「……夢じゃなかったか……」
私はベットから起き上がったあと変身と唱えて昨日の出来事が夢でないことを再確認してしまう。
「はぁ……ど〜しよ……」
マジで魔法少女になっちゃったんだよなぁ……
戦死とかやだよぉ……
「うぅ……こうなったらいっそ誰も私を殺せないぐらい強くなるしかないのかなぁ……」
何もしなくても敵から来る以上死にたくないなら戦って勝たなければいけない。
つまり強くなるしかない……
「うごご……私の一番嫌いなことが努力なのに……」
はぁ……人生おわた……
* * *
さて、そんな絶望的な現実を実感しつつも今日は平日であり、つまり学校がある。
私は重たい足をなんとか動かし学校でいつも通り授業を受け、そして放課後になった。
「んぁ〜……」
「なんか今日元気ないね、どしたん?」
「んぇ〜……」
席でうなだれていると凛花が話しかけてきた。
ん〜……正直に言うとめんどくさいことになりそうだな。
凛花って魔法少女オタクだし……
「なんかやる気でないだけ〜」
「そっか、じゃあ私帰るね」
「ちょいちょいちょいちょい! そこはもうちょっと粘るべきだろ!」
「え〜……めんどくさ……」
「こいつ……!」
詳しく聞かれても困るが聞かれないとそれはそれでなんかムカつく……!
もうちょっと心配しろや!
「んじゃあなにがあったん?」
「秘密」
「……ちっ」
「シンプルな舌打ち!?」
確かにめんどくさい女ムーブはしたけど舌打ちする程じゃないでしょ!?
「はぁ……しょうがないなぁ……、じゃあ今日は街巡りに付き添ってあげるから元気だしな」
「えっまじ?」
よっしゃなんかやる気出てきた!
「よ〜しじゃあ早速行こうすぐ行こうさっさと行こう!」
「現金なやつだな〜」
凛花がなんか言っている気がするが今の私の耳には入らん!
今日はどこに行こうかな〜
あっ、そうだ!
せっかくだしちょっと遠いけどビル街まで行こう!
早速街巡りじゃあ!
* * *
私と凛花が街巡りを開始してからしばらく経過した頃
「ん? あれ魔法少女じゃね!」
「んぇ?」
凛花が妙に高いテンションで指差した方向を見ると、確かにそこにはビルに囲まれる中空中に浮かび、魔物と殴り合う魔法少女の姿があった。
「あ、ホントだ」
「お〜……、戦闘中に出会えるとはラッキー!」
凛花は喜んでるけど正直私にはその感覚が分からない。
むしろ戦闘に巻き込まれて死ぬかもだしアンラッキーじゃないか?
「さっさと避難するよ」
「え〜」
魔法少女は市民を守るためという高潔な思想のもとに命がけで戦ってるんだ。
私たち守られる市民は速やかに逃げるべきだろう。
そう私は思っていたのだが、どうやら凛花は違ったらしい。
「む〜……じゃあ映利は避難してて、私は野次馬しに行くから!」
「は?」
何言ってんだこいつ、そう私が思った時には凛花は走り出していた。
「ちょっと待っ……!?」
走っていく凛花の後を追いかけようとした直後のことだった。
突如として目の前が真っ暗に……いやちがう、これはどちらかというと……
「穴……?」
そう私が認識した瞬間その穴から手のようなものが飛び出し私の手をつかんだ。
「っ!? 引きずり込まっあっ! 『変身』!」
すぐに変身するべきだと判断できたのはたまたまだ。
ついさっき魔法少女が戦っているのを見て自分が魔法少女になったことを思い出してしまっていたから、そんな理由だ。
そしてその判断は正解だった。
穴へと引きずり込まれた私がその直後に見たものは形容しがたいほどいびつな形状をした魔物であり、私は今にも飲み込まれそうになる。
「触るな汚物が!」
『GYA!?』
私は反射的にそう口に出しながら手に持っていたデジカメのシャッターを切り、私を掴んでいた手のようなものを抉り取る。
そしてそのまま私は地面を蹴って後退した。
「っはぁ、び、びびった……」
何なんだよいきなり!
……つ〜かどこだここ!?
周りを見渡す限りどっかしらのビルの屋上か!?
なんか変な穴に引きずり込まれたと思ったらなんでこんなところにいるんだよ!?
「あ〜もう! なんでこんなことに巻き込まれてるんだよ私は!!!」
クソが!
よく分からんがきっとこれもすべて昨日のナマモノのせいだ!
絶対次あったらぶちのめしてやる!
『GRYAAAAA!!!』
「あっやべまだ襲われてる最中だったぁぁ!!!」
つい別のことに意識がいって魔物のこと忘れてた!?
っていうかもしかしなくても魔物めっちゃキレてない!?
とんでもない勢いで突進てきてるんですけど!?
あんなん食らったら貧弱な私の体なんて一瞬でミンチ肉になるわ!?
そう判断した私は左に思いっきり飛ぶことで突進をなんとか回避する。
「あっぶな!?」
『GAAA!!!』
「えぇい! やられる前にやってやる!」
そう私は宣言し、再び突進される前に魔物の全身をカメラに収めてシャッターを切った。
「ふぅ、これで私のか『GRAAAA!!!』あっれぇなんで!?」
確かに私は魔物を写真に収めたはずじゃんか!?
なのになんで魔物は元気に私に向かって突進してきてんの!?
「ひでぶ!?」
『GRA!!!』
いったぁぁぁあああ!?
凛花に思いっきり腹パンされたときぐらい痛いんだけど!?
「……ってあれ? そう考えると思ったより……」
魔物の突進は間違いなくとんでもない勢いだった。
それこそトラックが全力疾走してんのかってぐらいで……
「って、まてまて! なんで私そんなスピードで迫ってくるのが普通に見えたんだ!?」
よくよく考えたら最初に回避できたのもおかしい!
もしかして魔法少女になった影響で身体が色々と強化されてる!?
「って今はそんな場合じゃない!」
私は今魔物の前にいるんだ。
強化された肉体とか確かに気になるけどそう言うのは後にする!
そう思い、私は改めて魔物の方を見た。
『GRAAA……』
「……ん? あれ?」
するとなぜか魔物はさっきまでしていた突進を仕掛けてきていなかった。
というか……こっちをじっと観察してる?
もしかして隙を伺ってるのか?
……うん、なら好都合、今のうちにさっきなんで私の魔法が効かなかったかを考えるべきだろう。
まずは前提となる二択から、効かなかった原因が自分にあるか相手にあるかだけど……
うん、これは最初の一撃は通用したし自分にあると考えるべきだ。
魔物に一度食らった攻撃はもう効かない能力があるとかなら別だけど……
まぁその場合はもうどうしょうもないから考えないこととしよう。
よし、じゃあ原因が自分にあるとすると考えられるのは……
「対象に何らかの制限がある……か」
その制限の基準が何かはわかんない、体積か質量……いや、なんなら私の知らない全く別のものが基準かもしれないけど、とにかく何かしらあるんだと思う。
「……となると狙うは部位破壊だな!」
『GRAAA!!!』
私がカメラを構えた途端、魔物が何かを感じ取ったのか暴れ出す。
周囲に私を誘拐した時の穴が無数に現れ、ワープを繰り返しながら移動し続ける。
「あ〜もう! 速すぎて画角に入んない!」
というかなんかちょっとずつ速度速くなってないか!?
移動するごとに魔物の脚力が強すぎて地面が割れてるし!
「くっそ、こうなったら私も覚悟を決めてやる!」
見た限り多分穴でワープする先は一定だ!
だから一つの穴のワープする先だけ覚えて私はその先へと移動する。
「よっしゃ来いやぁ!」
そう私が啖呵を切った直後に魔物が覚えた穴へと入り、目の前へと現れた。
『GRAAAAA!!!』
「はいチーズ!!!」
私に対して横に移動してるならともかく、向かってきているなら画角に入れるのは簡単だ。
私は正確に魔物の頭部だけを画角に収め、シャッターを切った。
そしてそれと同時に魔物の頭部が抉り取られる。
「ぐぅぅぅぅぅ!」
しかし頭部以外は未だに変わらぬ速度で私に走ってきているため、私はそれを気合で受け止めることになった。
「っ〜〜! ……っは!」
あまりの速度に地面のコンクリートを削りながら後ろへ通されていき、あわやビルから落ちるかと思ったとき、ようやく頭部を失った魔物が完全に蒸発して消え、なんとか落下死は免れた。
「っぶな……」
死にかけた……
もう二度と戦いたくのねぇ……
そう思いつつ、今も生きているという事実に安堵した時だった。
「あれ、魔物が一体こっちに向かったはずなんだけど……」
「っ!?」
突如ビルの屋上に空から何者かが現れる。
あれは……さっき見た魔法少女じゃん!?
そう私が相手を認識すると、どうやら相手も私を認識したらしく話しかけてきた。
「あ! もしかしてあなたがやっつけてくれたの?」
「っす〜……」
なんと返せばいいのか、私はついコミュ障を発動させ一歩後退する。
そんな時だった。
「……!?」
「えっ!?」
立ってた地面が割れた!?
っあ、さっきまで地面のコンクリート削ってたから脆くっていうか落ちてるぅぅぅ!?!?!?
「うぇぇぇぇぇ!?」
やばいやばやばい!
死ぬ! 絶対死ぬ!
そう私が思った瞬間持っていたデジカメの画面が突然変わり、昔撮った自室の写真を映しだす。
そしてそれを私が認識すると、画面が光だし……
「いてっ……んぇ?」
気がつくと私は自室に居た。
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