21話 めちゃくちゃレベルアァアアップ!
とにかく、金を稼がなければいけない。
ユウガの学費、タイムリープ費用、シンプル生活費、税金、医療費、その他もろもろ。
この世界で生きていく上で、金がないのは致命傷。
というわけで、ユウガを送り出してから、俺はまっすぐダンジョンへと向かった。
これまでは、ずっと、レインボール狩りだけやってきたが……今日からは少し方針を変える。
A級やB級の『ちゃんと強い敵』ともガンガン戦って、経験値と一緒に、自分自身の戦闘技術……俗にいう『戦闘力』も伸ばしていきたい。
「まずは、レインボールを探しましょう……っと、うぉっ……いた……ラッキィ」
探し始めてすぐに発見できた。
めっちゃありがてぇ。
「なんか、裏面を見つけて以降、それまで運が悪かった分を清算するみたいに、運がよくなっている気がする。こんなに簡単にレインボールは見つからないぜ」
出現ポイントをしっかりと記憶して、
そのまま、黄金のナイフで一撃。
「ぱぱぱぱーぱーぱー、ぱっぱぱぁ! センエースはレベル28に上がった!」
普段なら、このまま次のレインボールを探すのだが、
今回は、自身の鍛錬《たんれん》用&配信用の映《ば》えるモンスターを探す。
「B級かA級の方、いませんかぁ……惨殺《ざんさつ》したいので、出てきてくださぁい」
物騒なことをつぶやきつつ、しばらく探索すると、
地下三階の奥で、『A級の地属性精霊種モンスター』を発見した。
全身が岩塊《がんかい》のような質感をした、人型の巨躯《きょく》。
「……地属性かぁ……雷属性の俺からしたら、ゴリゴリの苦手属性だねぇ……」
しかも物理が通りづらい精霊種。
「でも……その方がウケるかもな……C級にも勝てなかった俺が、苦手なタイプのA級相手にも、なんとか勝利……『引き』がありそうだな……」
色々と考えた結果、俺は、A級地属性精霊に挑むことにした。
……配信はせず、とりあえず、ためしに突撃。
「――どっせぇい!」
剣を叩きつけると、
キィンと、勢いよくはじかれた。
めっちゃ硬い。
まったく手応えがない。
「グォオオオ!!」
地属性精霊種が、反撃とばかりに、うなりを上げて拳を振り下ろしてきた。
おもいのほか動きがはやく、俺は為《な》す術もなく吹っ飛ばされた。
「――ぐぇ」
地面を転がされ、そのまま壁に激突。
レベル10の時だったら死んでいたな……
「痛ぇなぁ……くそが……」
レベル28の肉体は、この程度じゃへこたれねぇ!
というわけで、その後も、しばらく挑んでみた……が、
「うわぁ……話にならねぇなぁ……」
仕方なく俺は裏面に逃げ込んだ。
★
「いつでも、ここに逃げ込めるっていうの……普通に強いな……この要素だけでも、だいぶアドバンテージ……『次元ロック』さえなければの話だけど」
などとつぶやきつつ、
俺は、タイムリープの費用を確認する。
「147万……手持ち的に、まだ、いけるけど……無駄遣いはできねぇな……」
そこで、俺はふと思う。
「俺、何度も『0時すぎたタイミング』でタイムリープしているけど……これ、めっちゃもったいないんじゃね? だって、いつ飛ぼうが、昨日の朝7:00ごろにタイムリープするんだから。……今日の23:59分まで粘ってから飛んだ方が……費用対効果は絶対にいいな。ってか、倍ぐらい違うな……俺、今まで、めっちゃ損してる……」
0時になってすぐ飛ぶのは、コスパ的に愚の骨頂。
『23時間59分ぶん』も損をしている……
「アホすぎるな……俺……」
思わず頭を抱えてしまった……
「落ち込んでいてもしゃーない。とりあえず、前に進もう。これからは、基本的に、フルで時間を使い切ってから飛ぶことにする」
★
そこから、俺は、何度も飛んだ。
時間いっぱい、色々と探索や戦闘を繰り返す。
ユウガにラインで『今日は帰らないからメシいらない』と報告だけして、
家にも帰らず、SNSのチェックもせず、
ただひたすらに、ダンジョン内をかけまわる。
そして、23時50分を過ぎたあたりで、タイムリープをする。
朝7:00から、翌日の23:50まで。
……だいたい40時間ぐらい。
合間にちょこちょこ休憩しつつ、同じ40時間を繰り返す。
「だいぶしんどいけど……前に進んでいる実感がある分、『裏面を見つけるまでの停滞しきっていた地獄』と比べるとだいぶマシだな……」
苦しいとか辛いとか、そう思う部分は普通にある。
でも、充実感の方が大きい。
「俺は間違いなく強くなっている……」
……何度も何度も同じA級精霊に挑んでいるうちに、少しずつ、動きが見えてくる。
拳の予備動作。
踏み込みの間合い。
攻撃後の隙。
それは、死にゲーをクリアするときの感覚に似ていた。
理不尽なボスでも、繰り返せば、いつか勝ち筋が見えてくる。
そんなこんなで、8度目のタイムリープ。
「……見えた」
胸の奥、岩の隙間に、小さく光る結晶。
弱点コア。
部位が小さいし、敵の攻撃が激しいので、狙うのは難しいが……
「もらったぁあああ! 一閃!!」