センエース   作:閃幽零

22 / 66
22話 苦手属性のA級にも勝ったぁああああ!

 

 22話 苦手属性のA級にも勝ったぁああああ!

 

「一閃!!」

 

 踏み込み、懐に潜り込む。

 振り下ろされるA級の拳を紙一重で躱し、

 そのまま渾身の剣撃を、地属性精霊のコアめがけて叩き込んだ。

 

 ――パキン。

 

 硬質な音とともに、地属性精霊種の巨体が、光の粒子となって崩れていく。

 

「はぁ……はぁ……勝った……勝ったぁあああ!」

 

 この8回のタイムリープで、

 俺のレベルは38まで上がっていた。

 

 この数字はでかい。

 もはや、全体の上位1パーセントには入っている!

 

「よし……よしよしよし……いいぞ、いいぞぉ」

 

 これだけレベルが上がれば、A級はもう問題ない。

 得意属性なら、S級でも普通にいけると思う。

 

「いやぁ……強くなったなぁ……マジで。…………おまけに……」

 

 今回は勝てると思ったので、『苦手な地属性精霊のA級に挑む無謀なチャレンジ!』というタイトルで配信をしている。

 

 苦手なモンスターに挑んで、ボコられながらも、なんとかギリギリ倒す。

 

 ――その泥臭い動画は、思っていた以上に数字がはねた。

 同接は1000以上。

 

 コメント欄も、まあまあ賑やか。

 

『弱かったのに、めっちゃ強くなっていくのが気持ちいい』

『過去の配信も見たけど、昔と今で別人』

『強敵相手にも折れずに挑むのがいいね』

『あんたがどこまでいくのか見ていたい』

『よく苦手属性のA級に勝てたな。マジですげぇ』

『最近の俺の推し』

 

 推し、か。

 

 そんな言葉を向けられる人生を送ることになるとは、半年前の俺は想像もしていなかった。

 

 ★

 

 裏面に入り、スマホで今月の総再生数を見ながら、俺はぼんやりと考える。

 

「このぐらい見てもらえるようになると、収入的にも、まあまあになってくるだろうな……」

 

 毎日配信して、このペースを維持できれば……

 皮算用だが、月収70万ぐらいはいけそうな気がする。

 

「なるべく効率的にタイムリープを繰り返してレベルと戦闘力を底上げし、飛べる上限である10回目のタイミングで配信する。これを繰り返せば、『異常なペースで強くなっていくオッサン』として、さらに面白がってもらえるはずだ」

 

 月収100万も、そこまで遠い未来じゃないかも。

 年収300万を切っていたあの頃が懐かしいねぇ。

 

「……正直、俺一人が生きていくだけなら、もう十分すぎる稼ぎなんだけどな」

 

 ユウガの学費と、金の心配をしなくていい生活。

 そして、将来的な、タイムリープ費用。

 

「まだまだ必要だし、まだまだいける……とことんやってやる」

 

 俺は、拳を握りしめた。

 

 ――次は、S級に挑戦する動画をあげよう。

 勝とうが、ボコられようが、それなりには見てもらえるはずだ。

 

 

 ★

 

 

 A級精霊を倒した翌日の夕方、スマホを開くと、SNSでちょっとだけ俺の名前がはねていた。

 

『センエースという配信者が妙に覚醒していて面白い』

『校長のパワハラに耐えた教師の奮闘劇がはねてる』

『時空旅団の元教師がかなりキテる』

『追っていくべき逸材』

『完成されている時空旅団より、センエースの方が好きかも』

 

 ――本当に、ざわめき程度ではあるが……話題になっている。

 けっして『バズっている』というほどではないが、界隈の隅っこで名前が囁《ささや》かれ始めた。

 

「ついに始まってしまったか……俺の時代が……まいったな。まだサインの練習してねぇよ」

 

 朝食の席、ユウガの作った味噌汁をすすりながら、俺は渾身のボケをかましていく。

 だが、ユウガにはスルーされてしまった。

 『あなたのサインなど便所紙にもなりませんよ』ぐらい言ってほしかったのだが……

 

 ちなみに、本音というと、別に浮かれちゃいない。

 なぜなら……

 

「しかし、あいつら、えぐいな……」

 

 

 ――時空旅団、前人未到の6階層クリア!!!

 

 

 テレビでもSNSでも新聞でも、でかでかと躍る文字。

 すべてのトレンド上位を、ぶっちぎりで独占している。

 

「あいつらが帰ってくるまでは、3階層で足止めくらっていたのに……」

 

 前人未到の高い壁を鼻歌交じりに破壊していく教え子達。

 それと比べると、俺のなんと、ちっぽけなことか……

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。