33話 時空旅団が7階層を突破したぁああ!
――翌日。
ユウガと朝食をとっていると、テレビから、
『スーパースターたちが今日もすさまじい活躍! なんと7階層を突破!!』
というニュースが流れてきた。
時空旅団、また記録更新。
常に、はるかなる高みで、ご活躍あそばされている元教え子たち。
俺は、箸を止めて、思わず苦笑いを浮かべ、
「えぐいねぇ」
と、一言だけ感想を述べたのち、ユウガに、
「まあ、こいつらと比べたら全然だけど、俺も最近は登録者も再生回数も伸びているから……経済的な点で言えば、将来的には結構大丈夫だと思う」
タイムリープを駆使すれば、まだまだチャンネルを伸ばすことはできると思う。
いずれは、月収100万の大台にのせることも夢ではない……と思う。
「そうですか。安心しました。もっとも、あまり心配していませんでしたが。先生はいずれ、この星の王になる人ですから」
「そうなの? 知らんかった……」
「いけませんね。この世界の代表であるという自覚が足りません」
ユウガは、味噌汁を一口すすってから、静かにそう返した。
ユウガは、たまに、この手のワケわからんボケをふってくる。
『とりあえず根拠なく俺を過剰に持ち上げる』系のボケ。
正直、鼻で笑う以外の対処法がなくて困る。
彼女は毒舌のセンスは抜群だが、ほめ殺し系は微妙に滑《すべ》っている。
などと思いつつ、
俺は彼女に、
「東大、いけそう?」
「お金さえあれば確実に」
「賢いんだな、俺とは大違いだ」
死ぬほど勉強した時期もあるが、成績はそこまで伸びなかった。
暗記問題は根性でどうにかなっても、
難易度の高い数学とか、高次の理解度を求めてくる文章問題とか、
その辺はチンプンカンプンで対応できなかった。
偏差値でいえば、60に届くかどうか……
俺が、心の中で鬱に入っていると、
ユウガが、前置きもなしに、シレっと、
「東大に入れたら結婚しましょうか」
そんな、核爆弾みたいな発言を投下してきた。
「……またアホなボケを」
さすがに動揺しかけたが、俺はどうにか、軽く受け流す。
だが、ユウガは真顔のまま続けた。
「その方がおさまりがいいでしょう。今のままだと近所のバカが好奇の目で見てきますし」
「普通に、東大で良さそうな男を見つけて結婚して出ていけば済む話では?」
「東大生なんてモヤシばっかりじゃないですか。私に釣り合う良い男なんて先生のほかにいませんよ。私、先生以下の男と結婚する気はありませんので」
「俺よりいい男は、世界中に15億人ぐらいいると思うぞ……」
「では学校へいってきます」
話を切り上げるように、ユウガが立ち上がる。
「聞いてる? ねぇ、ねぇ」
「戯言《ざれごと》はその辺で結構ですので、さっさとハグしてください」
「いずれこの星の王になる俺様になんて口を……もっとこうべをたれてつくばいなさい」
「先生の妄言の相手をするのは時間の無駄ですし、ヘドが出ます」
「ヘドを伴《ともな》う相手とハグしたり結婚したりしない方がいいと思うよ……」
ぼやきながらも、俺は玄関先で、いつものように彼女を軽く抱きしめた。
★
ユウガを送り出したあと、俺はダンジョンへと向かった。
狙いは、もちろん、ハグレインボール。
5階層をうろうろしていると、簡単に見つけることができた。
ラッキィ、ラッキィ。
「限定空間、発動!!」
もう、すっかり手慣れた動作で、剣を天に掲げる。
視界が白く塗り替わり、いつも通りのタイマン。
「くらえっ!」
詠唱の隙を突いて、一撃で仕留める。
「ぱぱぱぱーぱーぱー、ぱっぱぱー!」
これでレベル50に上昇!!
自己鑑定を開くたび、俺の顔はニヤついてしまう。
「――上がるねぇ。バッキバキに上がるねぇ」
しっかりと、レベルが上がっていく。
「スキルの効果、すごすぎるだろ……」
パッシブスキル:『レベルが上がりやすい』
文字列は簡素だが、効果は絶大。