34話 人類最強、更新中。
きっちり10回、ハグレインボールを倒した直後のこと。
俺は、自己鑑定を使って、自分の高みを確認した。
――レベル70。
「……やったねぇ……ついに、人類最高クラスのレベルに到達したねぇ……俺、すげぇ……時空旅団のメンバーを除けば……俺、今、人類で一番強いんですけどぉ……」
声が、震える。
時空旅団のメンバー以外で最強の人間は、バビロンズという海外配信者チームのエース、『ショーン・コナーズ』。
そのレベルは68と発表されている。
配信でバビロンズの活躍を何度か見たことあるが、まさか自分が並ぶ、いや、超える日が来るとは、夢にも思っていなかった。
コナーズ、めっちゃ強いんだけどねぇ。
怪物みたいな強さだったけど……
今の俺、あれより上なのか……えっぐ……
「これ……このまま、タイムリープしまくってレベルを上げ続ければ……時空旅団のメンバーを超えることも……不可能じゃないな……」
脳裏に、教え子たちの姿がよぎる。
異世界帰りのスーパースター。
レベル100超えの、圧倒的な化け物たち。
今まで、比べることすら烏滸《おこ》がましいと思っていた相手だが……
「――このまま、2~3か月ぐらい、ひたすらレベル上げれば……レベル128ぐらい、いけそうじゃね?」
現時点における、この星の最強ヒーローは、レベル128の『暁宮《あけみや》ジュリア』。
次点が猛田《たけだ》カルマのレベル125。
暁宮ジュリアは、圧倒的な力を持つ最強の姫騎士。
元教え子だけど、助けてもらった過去があるので、足を向けて寝れない相手。
猛田カルマの方は、蹴り殺してやりたいとしか思えない、恨みしかない相手。
どっちも現状だと、まだまだ雲の上の存在だけれど……
「いつかは、超えられるかも……」
そう思うと、腹の底から、じわじわと血が沸き立ってくる。
もっと頑張ろうと思える。
目に見える目標があるってのは、いいねぇ。
「マジで、いつか、この星の王になっちゃうかもねぇ、俺」
レベルが一番高くなったからといって王になるわけではないけどね。
そもそも王になりたくねぇし。
天皇陛下とか大変そうだしねぇ。
あんなもん、もはや罰ゲームだろ。
大変な仕事を山のように押し付けられて……
★
その後、3日ほどかけて、ひたすら、レベルアップにいそしんだ。
ハグレインボールを狩り、A級・S級を狩り、
また裏面へ潜ってタイムリープ……それを繰り返す。
そこで、俺は気づく。
「……レベル、上がらなくなってきたなぁ……」
レベル75を超えたあたりから、極端に上がりづらくなっているのだ。
もはや、ハグレインボールを一体倒すだけじゃ、レベルの1つも上がらない。
「普通のRPGと同じで、1を10にするのと、90を100にするのとでは、雲泥の差ってことか……」
当たり前といえば、当たり前の話。
レベル1から2に上げるのは経験値3ぐらいで、99から100にするには300万必要……それがRPGの常識。
「さて、どうしたものかな……正直、この感じだと、レベル128にするの、ちょっと無理っぽいぞ……」
時空旅団のメンバーは、異世界から帰ってきて以降、レベルがまったく変わっていない。
ダンジョンで毎日のように、強敵と戦っているにも関わらずだ。
「予想だけど……おそらく、レベル100を超えると、さらに、必要経験値が爆上がりするんじゃないだろうか……」
MMORPGなんかだと、たまにある。
レベルを一つあげるだけで数か月かかるなんてことも……
俺は、色々と考えた結果、
「50~60ぐらいまで上げて、ガチャを繰り返す……ってのが、一番効率的に強くなれるかもな」
という結論に至る。
高レベル帯で足踏みするより、伸びしろのある中間の数字を維持しつつ、『裏面2』に注いで新しい当たりを狙う方が、トータルでは効率がよさそう。
ちなみに、この時点でレベル82。
ガチャに注いでも、50残るから、その後のレベリングも問題ない。
★
ガチャは明日にしようと思い、いったん家に帰った。
すると、ユウガが、夕飯をつくりながら、
「あ、先生。……実は、保護者を連れてくるように、と担任に言われていますので、明日の夕方、学校にきてくれませんか」
「えぇ……何したのぉ? ……人を殺したりとか、してないよね?」
彼女なら、ありえると思ってしまった。
まあ、仮にそうなら、その場で捕まっているはずだから、こうして目の前に立っているわけがないんだけどね。
あと、彼女なら、完全犯罪しそう……
「大した用事ではありません。すぐに済むと思いますよ」