36話 裏面2のガチャに再度チャレンジするぞぉおお!
俺は、マサトくんの攻撃をよけながら、配信魔法を使い、スマホを浮かせて配信を開始する。
「どうも、皆さん。今、俺は中学生にケンカを売られています。もちろん、手は出しませんよ。ただ、今のご時世、証拠を残しておかないと、何を言われるかわかったものじゃないんでね……証人になってもらおうと配信を開始しました」
襲われているところを撮影しつつ、俺は、全員がへとへとになるまで、ひたすら攻撃をかわし続けた。
普段相手にしているモンスターと比べたら、こんなガキども、屁みたいなものだ。
かわし続けていると、相手が勝手に足をもつれさせて転んだり、拳を空振りして体勢を崩したりして、だんだんと、戦意そのものが萎《な》えていくのがわかる。
取り巻き連中が地面に膝をつき、
「ダメだ、マサトくん、こいつ……オッサンのくせに、動きがはやい」
「そりゃそうだよ、だって、この人、ダンジョン配信者だもん……動画、見たことあるぜ」
「ダンジョンでレベル上げている人は、プロボクサーとかより体が仕上がっているんだから……勝てるわけないって……」
全員の息が上がり切ったところで、
俺は、スマホに向かって、
「ごらんの通り、これだけの人数に囲まれましたが、一切、手を出していませんよ。何人か、勝手にコケてケガしていますが、さすがにそれを俺のせいにはしませんよね?」
俺は大勢に襲われている側で、手がだしていない。
これで証拠はばっちり。
仮に警察に捕まっても、この映像を提出すれば問題ない……はず。
もしかしたら、モンペが理不尽に牙をむいてくるかもしれないけど。
「くそがぁ!」
マサトくんが、最後の力を振り絞って殴りかかってくる。
ここで、俺は、あえて、殴られてやった。
「ぎゃあ! 手が!」
「高レベルの人間の体は硬いからねぇ。フライパンを殴るみたいなもんだ。痛いにきまっている」
そこで、また俺はスマホに視線を向けて、
「これで、俺が悪いっていうやつ……さすがにいないよねぇ? 俺は殴られただけですよぉ!」
そこで、俺はバカガキどもに視線を戻し、
「知っている奴もいるっぽいけど、一応、俺、ダンジョン配信者なのよ。つまりレベルが高いの。ガキには絶対に負けんって」
「くそが……おぼえてろ!」
「すごい……あんなテンプレセリフをマジで言うやつがいるのか……」
思わず、素の感想が漏れる。
ユウガが、すっと隣に並んで、俺の手を握ってくる。
「さあ、帰りましょう」
「そういうこと、さらっとやらないの。こんな大勢の目があるところで……また、変な誤解がうまれるだろう」
「家族で手をつなぐことになんの問題が?」
「いや、家族っていっても、血はつながっていないわけで……そうなると、条例的に色々と問題が……」
「そこに線引きを入れるぐらいなら、血縁以外は何も認めないというルールにすればいいのでは?」
「俺に言われても……政治家に言ってくれないと」
「現状の法律では、私たちは紛れもなく家族です。そして、家族は手をつないで帰るものですよ」
結局、いつものように押し切られて、俺たちは手をつないだまま、家路についた。
★
ユウガを家に送ってから、俺は一人、裏面へと向かった。
そのまま裏面2に足を運び、ATMを操作する。
すでに決意はかたまっている。
「俺のレベル32……持ってけぇ! 頼む! 当たってくれぇ! 超大当たり、こいぃいい!!」
必要なコスト『レベル32』を注いでガチャに挑む。
画面に表示された確認文に、『はい』と答えた、
――結果……