4話 宝くじで楽に稼ごう!!
手にした馬券が、ひらひらと風に揺れる。
無価値な紙切れを見つめながら、
俺はゆっくりとしゃがみ込み、頭を抱えた。
「くそが……マジかよ……なんでだ……第二レースの一着はシカダアークで間違っていないはずなのに……」
しばらくうずくまったまま、俺は考え続けた。
そこで、ふと気づく。
「――これは……もしかして、『バタフライエフェクト』ってやつか?」
タイムリープやタイムスリップをすると、なんか色々あって過去が狂う現象。
「俺が過去に記憶を持ち込んだことで……結果が変わった?」
もしそうなら、うざすぎる。
競馬じゃ稼げねぇってことじゃねぇか……
「くそが……」
★
所持金が0になっちまった……
そのせいで、今回は100万円をまるまる借りなければならなくなっている。
「……めんどくせぇ」
俺は重い足取りで、見慣れた路地裏へ入り、闇金のドアを開く。
「どうも、はじめまして。うちの利用は初めてですね」
カウンターの向こうから、聞き覚えのある声。
はじめましてじゃないが……と、心の中で思いつつ、
「……5万でいいんで貸してください。なるべくすぐに」
タイムリープしているので、当然、俺の借金履歴はリセットされている。
これほど都合のいい話があるだろうか。
勢いのまま、前回よりも多くの店を巡り、
最終的に101万円をかき集めることに成功する。
「……よし、これで足りる。問題はタイムリープして何をするか……」
競馬はダメだ。
それ以外。
……しばらく考えて、俺は一つの答えに行き着いた。
――ナンバーズ4。
四つの数字を当てるだけの、宝くじ。
これなら、いけるんじゃないか?
競馬よりだいぶシンプルだし。
「1756……」
発表されたばかりの当選番号を確認し、しっかりと頭に叩き込む。
「ストレートで118万円……」
――当選金額を確認しているところで、
ふと、俺は思いつく。
「タイムリープして……そこからまたタイムリープしたら……一昨日《おととい》に戻れる……で、それを繰り返したら……10日前でも、1年前でもいけるんじゃ……」
試そうと裏面へ向かい、
ATMに金を入れようとした……が、
『一昨日へのタイムリープは不可能です』
画面に、無機質な文字が表示される。
どうやら、この機械じゃ、前日にしかタイムリープできないらしい。
「細かいルール、ウゼェ……」
★
一晩明けてから、俺は改めて裏面にいく。
ATMは普通に使えるようになっていた。
そのまま101万円を入金し、確認画面の『はい』に触れる。
視界が白く染まり――
気づけば、俺は自分の部屋に戻っていた。
スマホの日付は、確かに昨日を示している。
昨日ってか……もう今日だけど。
「よし……今度こそ」
俺は迷わず、宝くじ売り場へと足を運んだ。
タイムリープ直後に記した手元のメモを何度も確認しながら、慎重に数字を選んでいく。
購入を終え、あとは発表を待つだけだ。
★
――発表の瞬間。
俺はドキドキしながら確認する。
「いけるだろ……これなら……さすがに……」
1桁目、合っている。
2桁目、合っている。
3桁目――
違う。
「……もぉ……くそがぁ……」
スマホに表示された当選番号を何度も確認する。
数字は間違いなく不一致。
競馬に続いて、これも外れた。
「俺が過去にきたからって、抽選に影響って出るもんか? バタフライエフェクト、えぐすぎだろ……どういう理屈なんだよ……」
競馬もダメ、宝くじもダメ。
これまでの人生、色々と、ダメなことばっかりだったが、
『タイムリープでもダメなのかよ』と、げんなりする。
「……株……いや、FXなら、どうかな……」
円高か円安か、その二択くらいなら――
「いや……一緒か……」
結局のところ、俺が過去に紛れ込んだ時点で、
あらゆる未来が少しずつ書きかわってしまうんだろう。
「……ん!」
そこでふと思いつく。
「タイムリープを『セーブ』として考えるか? 勝った時だけタイムリープせずに次の日にいって……負けたらタイムリープ……これなら、確実に稼げるんじゃね?」