45話 ガチャで、えぐいアタリひいたぁああああ!
目標と方針を固めた俺は、今日も、ガチャに投入するためのレベル稼ぎに勤しんでいた。
サクっと9回のタイムリープを終えたところで、
いつものように、10回目では配信者としての職務を全うする。
地下7階まで降りて、スマホを浮かせて配信魔法を起動する。
「どうも、『センエースの革命チャンネル!~ランクCも倒せなかった俺が、ある日、死ぬほど覚醒しました~』です! 協会公式にもなったことだし、今日から、チャンネル名を変えることにしました。その名も、『舞い散る閃光センエース』です! もう、サクっと短めにまとめました!」
配信開始から、すでに3000人以上が集まっている。
俺のチャンネルも、成長したものだ。
名前の変更に伴い、コメント欄も賑わっている。
『かっこいいよ』
『公式感ある』
『マイセン!』
『私の推し!』
などの好意的なコメントも結構あるが、
『かっこつけすぎ』
『オッサンには似合わない』
『だせぇ』
『閃光が舞い散る? 意味不明』
などのナメたクソコメも結構ある。
クソコメを書き込む時は住所を添《そ》えてからにしろ。
家を燃やしてやるから。
燃やされる覚悟のないやつがコメントを残すんじゃねぇ。
燃やしていいのは燃やされる覚悟のあるやつだけだという、昔のエロい人の言葉を知らんのか。
「今日は人生初となる7階層に挑戦しにます! 公式になったばかりなのに、死んでしまうかもしれません! 応援よろしくです!」
ここまでのタイムリープで、7階層の探索もばっちり行っている。
雑魚敵のレベルは正直大差ない。
えぐい敵もたまに出てくるが、事前に調査済みなので、かちあうことはない。
だから、正直、問題はないのだが……そんなことをバカ正直に言ったりしない。
『ドキドキ』と『わくわく』は常に高いレベルで演出していくのが配信者なのだ。
★
配信業のかたわら、ひたすらに、ハグレインボールをぶっ殺す日々。
2日ほどかけて、なんとかレベルを83にすると、
「よし……レベル33で、ガチャを引きますか」
ATMの前に立ち、確認画面を呼び出す。
『レベル33を注ぎますか? はい/いいえ』
もう見慣れた文面。
「はい……と」
指先で触れた瞬間――体が、ズシッと重くなる。
自分の輪郭《りんかく》が、内側から少しだけ縮んだような感覚。
『力』がなくなった分だけ、単純に、体が重く感じる。
体が縮んで、重くなる……この感覚は、レベルダウンでしか味わえないかも。
「……相変わらず、この感覚には慣れねぇな。レベルが下がったという現実が、体だけじゃなく、メンタルにもくるんだよなぁ」
小さく独り言をこぼしながら、俺は、画面の表示を待った。
――と、そこで。
キュインキュインキュイン!
これまでとは、明らかに違う音が鳴り響いた。
パチンコの大当たりを彷彿とさせる、けたたましい電子音。
ATM全体が、ぶわっと淡い光を放ち始める。
「……おっとぉ?! なんですかぁ?!」
思わず、後ずさりしそうになる。
小当たりの時も、大当たりの時も、ここまでの演出はなかったはずだ。
画面の中央に、これまで見たことのない文字が、じわじわと浮かび上がってくる。
『超・絶・神・大当たりィイ!!』
その一文字一文字が、やけに強調されて表示されている。
「うぉ……マジで? そんなエグい大当たりとかあるんだ……へぇ……やった」
声が、思わず上ずる。
全身の毛が、ぞわりと逆立つ。
……一体、何が出るんだろう。