5話 負けた時だけタイムリープすればいいんじゃね?
俺は、また闇金に足を運んだ。
ちなみに、すでに裏面でもろもろ確認済み。
今回のタイムリープに必要なのは102万円。
前回のあれこれで、大体の勝手はわかっている。
「どうも、はじめまして。ここの利用は初めてですね」
「もちろんですとも。どうぞ、好きなだけ調べていただいて。俺に借金の経歴はありません。あと、今は無職ですが、今度、清掃業の仕事が正式に決まりましてね! ただ、色々と物入りで……できれば、15万ほど貸していただければ……絶対に返しますし、最悪の場合は、腎臓を売りますので! なんなら2個売りますよ! ついでに角膜も!」
手慣れた嘘で返しながら、速攻で、必要な額を作り上げた。
腎臓でも、角膜でも、心臓でも、何でも差し出す約束ができる。
だって、全部、なかったことにできるから!
ヒャッハー!
★
翌日、裏面で、ATMに102万円を入金し前日へタイムリープ。
もうすっかり慣れたもの。
視界が白く染まり……
気づけば、いつもの自室に戻っていた。
問題なくタイムリープできたところで、
俺はすぐさま競馬場に向かってダッシュ!
★
競馬場に着くと、第一レースで前と同じ馬券を買った。
「負けたらまたタイムリープすればいい……そう考えると、だいぶ楽だな……ギャンブルやっている興奮とか面白さみたいなものはゼロだけど……」
スタートの合図とともに馬群が飛び出す。
俺の本命は、道中から危なげなく先頭集団につけていた。
「完全に同じ……いや、ちょっと後ろの方の馬の並びが……前回とは違うような……そうでもないような……」
――などと思っていると、
本命が、ゴール前で他馬を突き放し、危なげなく先頭でゴールした。
「……勝ったな……勝ちやすいレースは普通に勝つ……か」
払い戻しは、ちょうど倍。
30万円が、60万円になった。
あくまでも実験中なので、マックスの喜びではないが、
なんだかんだ、金が増えると、脳汁があふれる。
★
続けて、前回負けた第二レース。
全額の60万円を、前と同じシカダアークに投入する。
券売機に金を突っ込んだ瞬間、オッズが下がった。
ちなみに、前は3.5倍になったけど、今回は3.7倍になった。
「こういう細かいところでも、違いがあるんだよなぁ……」
スタートの合図。
馬群が飛び出す。
シカダアークは、危なげなく上位につけている。
「……あれ……これ、勝つんじゃね?」
最終コーナーを回る。
シカダアークがゴール前で他馬を突き放した。
何の問題もなく……
シカダアークが1着……
「……普通に……勝った……」
思わず声が漏れた。
払い戻しは、200万円を超えていた。
「……完全に同じ結果ってワケじゃない。着差も、オッズも、展開も、微妙に違う。けど……基本的には、似た結果になるんだな……」
バタフライエフェクトは確かにある。
細部はズレる。
時には大きくズレる。
だが、大枠の『勝ちやすい馬が勝つ』という流れ自体は、そう簡単には覆らないらしい。
★
正直、もうすでに1日200万以上稼げたんだから、十分ではある……
『次も絶対に勝てる』というわけではないのだから、
ここで引いておく方が賢いとは思う。
わかっているけど……
第三レースのオッズは15倍。
200万を入れたら……3000万円になって帰ってくる。
「……さすがに、これは挑戦しないわけには……いかないよねぇ……だって、3000万だぜ……3000万あったら、何ができる? なんでも買えるぜ、マジで!! うぇっへっへっへ!」