センエース   作:閃幽零

75 / 75
75話 変身、強ぇえええ!!

 

 75話 変身、強ぇえええ!!

 

 そのまま、突撃した。

 全身に纏った雷が、バチバチと音を立てて弾ける。

 いつもより、はるかに速い。

 凄まじい勢いで、ハグレインボールへと肉薄していく。

 視界が間引かれたように粗くなる。

 それでいて、自分の体だけは驚くほど正確に、思い通りに動いてくれる。

 

「閃拳!!」

 

 俺は、深く腰をいれて、拳を突き出した。

 着弾の瞬間、レインボールの全身がバチバチと音を立てて焦げていく。

 そのまま勢いよく吹っ飛び、壁に激突した。

 

 あっさりと死に絶えた、その姿を見て、

 

「おぉ……」

 

 思わず、間の抜けた声が漏れる。

 

「特攻武器の黄金のナイフ以外だと、ほぼダメージが入らないことでお馴染みの、あのレインボールを……ただの、グーパンで倒せた……変身、強ぇ……あと、かっけぇ……」

 

 そのまま、護衛のレインシュバリエを粉砕していく。

 いつもなら、倒すのに多少の時間がかかるのだが、

 変身中は、

 

「ふははははは! 豆腐みたいに、ぐしゃぐしゃ潰せるぜぇ! おらおらぁ!!」

 

 すさまじい速度で抹殺することができた。

 ちょっと拳を振るうだけで、ポンポン吹っ飛んで死んでいく。

 

「俺、最強ぉおお!!」

 

 といったんは、図に乗ったものの、

 

「……あ……」

 

 ――ぐらり。

 

 視界が、大きく揺れた。

 どうやら、限界がきたらしい。

 俺は、そのまま崩れ落ち、片膝をついた状態で、息を切らしながら、

 

「……これ、めっちゃ、疲れるじゃねぇか……」

 

 荒い息を繰り返す。

 全身の関節という関節が、酸欠のランナーみたいに悲鳴をあげていた。

 

「そういえば、HPとMPを消費して変身するって、言っていたな……こ、こんな、消耗すんのか……」

 

 乾いた笑いが漏れる。

 

「なんか、俺の切り札って、こういう代償があるやつばっかりだな。もっと、こう……『ノーコストで、1億のダメージをだせる剣』とか、手に入らないものかね。ゲームバランスとか、ガン無視してくれていいからさぁ」

 

 誰に向けたものでもない、独り言。

 しばらく、そのままの体勢で、体を休める。

 

 ★

 

 体力がある程度回復したところで、俺は立ち上がった。

 そのまま日が沈むまで、ほかのハグレインボールを探してダンジョンを歩き回る。

 効率よくレベルを上げるためには、一体でも多く狩っておきたい。

 途中、足を伸ばして7、8階層にも寄ってみた。

 

「伝説の『レイン暴君《ぼうくん》』が、いたりしないかなぁ……」

 

 誰にともなく、そう呟いてみる。

 

 ――レイン暴君。

 

 これまで誰一人として、遭遇したことがない幻の個体。

 だが、昔から『存在するらしい』という噂だけは絶えなかった。

 

「あのうわさって、どこから流れてんのかねぇ……」

 

 などと、つぶやきつつ、

 俺は薄暗い通路を、一歩ずつ進んでいった。

 

 その道中で、A級やS級のモンスターにも遭遇したので、出現場所を頭に叩き込みつつ、

 時折、変身しながら、サクサクと処理していく。

 

「……攻撃する瞬間だけ変身する……みたいなコトもできるな。これなら、消耗はかなり抑えられる……」

 

 その夜は、通路の窪みに身を寄せて仮眠をとり、日が昇るとすぐに狩りを再開した。

 

 ★

 

 翌日の20時まで探し回ったが、

 

「ちっ……結局、レイン暴君どころか、普通のレインボールすら見つからなかった」

 

 A級は7体、S級は18体見つけた。

 

 8階層は、やはり上位個体がゴロゴロしている。

 

「もう、いい時間だし……そろそろ狩るか」

 

 スマホで時間を確認してから、俺は、そのまま9階層に向かった。

 

 目的はもちろん、傾国部隊+アシュラ。

 

「変身可能になった今の俺がどこまで通用するか、試させてもらう」

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

いじめられっ子にとりついたのは、異世界帰りの経済ヤクザ。理想の未来はヒラ公務員だったのに、裏社会での成り上がりが止まらない―蝉原勇吾は怖すぎる―(作者:閃幽零)(オリジナル:現代/冒険・バトル)

いじめられっ子の僕は自殺を決意した。▼だが、死のうと思ったその時、脳裏に声が響いた。▼(君の脆弱さは称賛に値する。契約しよう。君の人生を半分くれたら、俺の人生を半分あげよう)▼「あなたと契約したら、僕は普通に生きられる?」▼(極上を約束しよう)▼「……理想はヒラの公務員なんだけど……」▼(それは叶わない。俺が動けば世界が瞠目する)▼どうせ死ぬだけなら……と、…


総合評価:411/評価:7.26/完結:91話/更新日時:2026年08月19日(水) 07:17 小説情報

俺の終わってるハズレスキル『名字が田中になる』が、ダンジョン配信で不本意にバズってる。(作者:閃幽零)(オリジナル:ファンタジー/冒険・バトル)

俺の名は砦トウシ。半年前、俺たちはクラス転移に巻き込まれた。▼皆が女神から授かったのは、どれもとんでもないチートスキル。▼対して、俺が得たスキルは――『名字が田中になる』(効果:スキル使用中、近くに田中姓の人間がいると、『同じ苗字の人がいる!』とちょっと嬉しくなって、少しだけ元気を分けてもらえる)▼……な、ナメやがって……▼他の連中は、どんどん強くなり、▼気…


総合評価:69/評価:4.67/完結:82話/更新日時:2026年08月19日(水) 07:27 小説情報

ドールマスターヒロシ(作者:我島甲太郎)(オリジナル:SF/冒険・バトル)

人形使いは木製のマネキン人形を召喚して戦わせる職業だ。▼ゴーレムより脆く、精霊よりも火力がない木偶人形にも一つだけ利点があった。▼それはレベルを上げていけば、人間並みの知能を得られるということ。▼――なら、人工声帯とオナホ仕込んで嫁にするしかないよね。▼そんな性欲に脳を犯された猿どものせいで風評被害に塗れたとある人形使いの少年は、ある日に飛び降り自殺を図って…


総合評価:2512/評価:7.87/連載:125話/更新日時:2026年09月20日(日) 18:00 小説情報

今さら嫌われていることに気がついたので、黙って消えたらなぜかパーティーが壊れた(作者:どうも)(オリジナル:ファンタジー/冒険・バトル)

今さら陰口を言われていたことに気がついたので、嫌われ者は黙って消えようと思います。▼と思ったら、なぜかパーティーメンバーたちが病み始めたんだが……。▼なんで?


総合評価:865/評価:8/連載:3話/更新日時:2026年09月09日(水) 18:44 小説情報

病弱貴族になった俺、治癒魔法をかけながら戦えばいいことが判明する(※血反吐付き)(作者:池崎)(オリジナル:ファンタジー/戦記)

突如として前世の記憶を思い出し、自身が病弱貴族になってしまったことを悟った主人公は、とある出来事をきっかけに──「治癒魔法をかけ続けたら戦えるのでは??」と気づき、おっさん治癒術師を巻き込んで修練に励む。▼その結果──確率で血反吐を吐きながら拳で戦うHENTAIスタイルになってしまう。▼「だ、大丈夫! すごく痛いけどすぐ治るから!!」▼


総合評価:3371/評価:8.25/連載:14話/更新日時:2026年08月12日(水) 12:39 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>