「君たちは――何者なんだ?」
海将の問いに。
六人は。
すぐには答えなかった。
天龍が。
龍田を見る。
龍田も。
天龍を見る。
そして。
二人とも。
困ったような顔をした。
「……それ」
天龍が口を開く。
「こっちが聞きてぇくらいなんだよ」
海将が。
僅かに眉を動かした。
「分からない?」
「ああ」
天龍は。
自分の身体を見る。
腕。
脚。
服。
そして。
身体に備わった。
異形の兵装。
「俺が天龍って名前なのは分かる」
「これの使い方も」
艤装へ目を向ける。
「何となく分かる」
「海の上を走れるのも」
「深海棲艦を撃てば倒せるのも」
「身体が知ってるって感じだ」
海将は。
黙って聞いている。
「でも」
天龍は。
頭を掻いた。
「なんで俺がこんな姿なのか」
「そもそも」
「俺が何になったのか」
苦笑する。
「さっぱり分からねぇ」
「私も同じですよ~」
龍田が続ける。
いつもの。
柔らかな声。
だが。
表情には。
僅かな困惑があった。
「ですので」
「お話しできるのは」
「こうなるまでに何があったのか」
「それくらいですねぇ」
海将が。
僅かに身体を前へ傾けた。
「聞かせてもらえるだろうか」
「もちろん」
天龍が答える。
そして。
少しだけ。
考える。
どこから。
話すべきか。
「俺たちは」
ゆっくり。
「元々」
「幼稚園の先生だった」
海将の目が。
僅かに見開かれた。
「幼稚園?」
「ああ」
天龍が。
龍田を見る。
「俺と」
「こいつ」
龍田が笑う。
「二人で働いていたみたいですね~」
「……みたい?」
海将が。
その言葉を拾った。
天龍の表情が。
少し曇る。
「ああ」
「そこが妙なんだ」
自分が。
幼稚園の教師だったことは。
覚えている。
子供の世話をしていた。
毎朝。
園舎へ行った。
遊具。
教室。
絵本。
給食。
そういう。
断片的な記憶は。
ある。
なのに。
何かが。
欠けている。
「今日」
天龍が続ける。
「警報が鳴った」
「深海棲艦が」
「街を攻撃し始めた」
海将の表情が。
引き締まる。
「それで」
「俺たちは……」
天龍が。
額へ手を当てる。
「逃げた」
「子供たちを連れて」
そこで。
声が。
少し止まった。
子供たち。
確かに。
そうだった。
自分たちは。
園児を連れて。
逃げていた。
なのに。
誰だった?
何人だった?
顔は?
名前は?
何も。
出てこない。
「天龍ちゃん?」
龍田が。
僅かに心配そうに見る。
「……いや」
天龍が続ける。
「途中で」
「砲撃が来た」
音。
衝撃。
眩しい光。
「そこから先は」
「よく覚えてねぇ」
「私もです」
龍田が。
自分の身体へ。
そっと触れる。
「気が付いたら」
「避難所で治療を受けていました」
海将が。
静かに尋ねる。
「お二人とも?」
「ああ」
「重傷だったそうです」
龍田が。
少し笑う。
「どうやら」
「かなり酷かったみたいですねぇ」
その言葉に。
暁たち四人が。
僅かに。
身体を震わせた。
まだ。
誰も。
気付いていない。
「その後だ」
天龍が続ける。
「避難所で」
「テレビを見た」
「そこに」
天龍の目が。
四人へ向く。
「こいつらが映ってた」
暁。
響。
雷。
電。
「知らない子供だった」
「……はずなんだ」
天龍の声が。
僅かに。
低くなる。
「なのに」
暁たちが。
戦っている。
泣いている。
傷ついている。
それでも。
立っている。
「見た瞬間」
「涙が出てきた」
海将が。
天龍を見る。
「理由は?」
「分からねぇ」
即答。
「胸が」
「苦しくて」
「どうしても」
「助けに行かなきゃって思った」
龍田も。
静かに頷く。
「私も」
「同じでした」
二人は。
病院を出た。
海へ。
理由も分からず。
ただ。
あの四人を。
助けなければならない。
それだけで。
「そこで」
天龍の顔が。
少し。
何とも言えないものになる。
「……会った」
「誰に?」
海将が聞く。
天龍と龍田が。
顔を見合わせる。
「……妖精」
沈黙。
海将。
無言。
天龍。
無言。
龍田だけが。
いつものように。
微笑んでいる。
数秒。
海将が。
ようやく。
口を開いた。
「……申し訳ない」
「今」
「何と?」
天龍が。
少し顔をしかめる。
「だから」
「妖精だ」
再び。
沈黙。
海将は。
目を閉じた。
深海棲艦。
人類の兵器を受け付けない怪物。
海を走る少女。
その身体に備わる。
艦艇のような兵装。
既に。
五年前の自分なら。
鼻で笑ったであろう現実を。
いくつも経験した。
だから。
妖精。
その単語だけを。
荒唐無稽だと。
切り捨てることは。
できない。
それでも。
「……妖精」
もう一度。
確認する。
「お伽噺に出てくる」
「小さな人の姿をした」
「あの妖精か?」
「そう」
天龍が言った。
「俺も」
「他にどう説明したらいいか分からねぇ」
龍田も。
頷く。
「小さくて」
「空に浮いていて」
「人の言葉を話しましたよ~」
海将が。
眉間を押さえる。
「……もう少し」
「何か」
「軍事的な名称は」
「ないのだろうか」
「ねぇよ」
天龍が。
即答した。
海将は。
小さく息を吐いた。
「……そうか」
「そいつが」
天龍が続ける。
「俺たちに」
「契約を持ち掛けた」
海将の目が。
変わる。
「契約?」
「ああ」
「力をやるって」
「深海棲艦と戦える力を」
「こいつらを助けられる力を」
「条件は?」
海将が聞く。
その瞬間。
天龍と龍田の表情が。
僅かに。
曇った。
「それは――」
天龍が。
言おうとして。
止まった。
「……ん?」
何か。
気付いた。
四人。
暁。
響。
雷。
電。
さっきまで。
静かに話を聞いていた。
その四人が。
泣いていた。
「……え?」
天龍の顔から。
血の気が引く。
「お、おい」
「どうした?」
龍田も。
四人を見る。
「暁ちゃん?」
「響ちゃん?」
「雷ちゃん?」
「電ちゃん?」
ぽろぽろ。
涙。
四人とも。
声を出さず。
泣いていた。
海将も。
驚く。
「どうした?」
暁が。
震える唇を。
開いた。
「……せんせい」
時間が。
止まった。
天龍。
龍田。
二人とも。
動かない。
「……何?」
天龍が。
掠れた声を出す。
「先生……!」
暁が。
立ち上がった。
そして。
天龍へ。
抱きついた。
「先生ぇ……!」
「暁?」
次。
響。
天龍の服を。
掴む。
「先生」
静かな声。
でも。
涙で。
ぐしゃぐしゃだった。
雷と電は。
龍田へ。
「先生!」
「先生なのですぅ……!」
二人へ。
四人が。
しがみつく。
「ちょ」
天龍が。
完全に。
混乱する。
「待て!」
「待ってくれ!」
龍田も。
いつもの笑顔を。
保てなかった。
「あなたたち……」
「どういう……?」
「先生なの!」
暁が叫ぶ。
「暁たちの先生!」
天龍の目が。
見開かれる。
「俺が?」
「うん!」
「龍田も?」
「そうなのです!」
「…………」
天龍は。
何も言えない。
知らない。
この子たちを。
覚えていない。
でも。
胸が。
痛い。
痛くて。
苦しくて。
それなのに。
懐かしくて。
「……待てよ」
天龍が。
小さく呟いた。
「俺」
「幼稚園の先生だったんだよな?」
龍田が。
ゆっくり。
頷く。
「……ええ」
「じゃあ」
天龍の声が。
震え始める。
「なんで」
四人を見る。
「園児の顔を」
「一人も」
「思い出せねぇんだ?」
部屋が。
静まり返った。
海将の表情も。
変わる。
確かに。
おかしい。
職業を覚えている。
幼稚園で働いていたことを。
覚えている。
仕事の内容も。
園舎のことも。
覚えている。
なのに。
そこにいたはずの子供だけが。
一人も。
存在しない。
「……あなたたち」
龍田が。
四人を見る。
声が。
震える。
「本当に」
「私たちの園児だったの?」
四人。
全員が。
頷いた。
「うん」
「先生だった」
「毎日一緒だったの」
「遊んでくれたのです」
その瞬間。
天龍の頬を。
何かが。
流れた。
「……は?」
手で。
触れる。
涙。
「何で……」
一滴。
また。
一滴。
止まらない。
「何で俺……」
龍田も。
泣いていた。
笑っていない。
ただ。
涙が。
止まらない。
「覚えてないのに……」
龍田が。
呟く。
「何にも」
「覚えてないのに……」
四人を。
抱き締める。
「どうして」
「こんなに」
「懐かしいの……」
天龍も。
暁と響を。
強く。
抱き締めた。
「ごめん」
何故。
謝ったのか。
分からない。
「ごめんな……」
暁が。
首を振る。
「いいの!」
「先生が生きてるから!」
「それでいいの!」
「…………っ」
天龍の涙が。
さらに。
溢れる。
海将は。
何も言えなかった。
目の前で。
六人が。
泣いている。
演技。
そう言われれば。
否定する材料など。
ない。
だが。
どう見ても。
演技には。
見えなかった。
天龍と龍田の。
困惑。
四人の。
喜び。
そして。
記憶にはないはずの相手を。
抱き締めて。
泣き続ける二人。
海将は。
天龍が語った。
妖精。
契約。
その全てを。
少しずつ。
現実として。
受け入れ始めていた。
だが。
一つ。
どうしても。
引っ掛かる。
四人を見る。
外見。
どう見ても。
十代前半。
幼稚園。
園児。
合わない。
「いや」
海将が。
心の中で。
否定する。
何かの。
勘違いだ。
四人が。
元園児?
そんなはずがない。
それなら。
この子たちは。
何歳だ?
――待て。
海将の思考が。
止まる。
今まで。
見てきた。
頭を撫でれば。
泣きそうになって。
天龍の後ろへ隠れた。
知らない場所では。
二人から。
離れようとしない。
言葉遣い。
考え方。
反応。
外見と。
噛み合っていない。
まるで。
「……幼稚園児」
海将の顔から。
血の気が。
引いた。
嘘だ。
違ってくれ。
間違いであってくれ。
海将は。
まだ抱き合っている。
六人へ。
ゆっくり。
声を掛けた。
「……天龍さん」
天龍が。
涙を拭いながら。
顔を上げる。
「悪い」
「少し」
「四人に質問しても」
「いいだろうか」
天龍は。
海将の表情を見る。
「……ああ」
龍田も。
四人から。
少しだけ身体を離す。
海将は。
暁を見る。
「暁君」
「なに?」
「君は」
言葉が。
出ない。
だが。
聞かなければ。
「何歳なんだ?」
暁が。
首を傾げる。
何故そんなことを。
聞くのか。
分からない。
だから。
普通に。
答えた。
「五歳よ?」
海将の。
呼吸が。
止まった。
「響君は?」
「五歳」
「雷君」
「五歳よ!」
最後。
「電君は……?」
「四歳なのです」
「…………」
海将は。
動かなかった。
十代前半に見える。
四人。
五歳。
五歳。
五歳。
四歳。
海将は。
ゆっくり。
顔を覆った。
「……海将?」
天龍が。
心配そうに見る。
海将は。
答えなかった。
頭の中。
ただ。
一つの言葉だけが。
繰り返される。
ふざけるな。
神でも。
仏でも。
妖精でも。
何でもいい。
何故。
こんな子供に。
戦わせた。
何故。
四歳と五歳の子供に。
人類が。
五年間。
できなかったことを。
やらせた。
「……少し」
ようやく。
海将が言った。
「少しだけ」
「時間をくれ」
六人は。
何も言わなかった。
海将は。
顔を覆ったまま。
俯いている。
暁が。
不安そうに。
天龍を見る。
「暁たち」
「何か悪いこと言った?」
「違う」
天龍が。
すぐに答える。
「お前らは」
「何も悪くねぇ」
海将の肩が。
僅かに。
動いた。
その言葉が。
胸に。
痛かった。
数分。
誰も。
話さなかった。
そして。
海将は。
ゆっくり。
顔を上げた。
目元。
僅かに。
赤い。
「すまなかった」
六人を見る。
「そして」
「待ってくれてありがとう」
「大丈夫か?」
天龍が聞く。
「……大丈夫ではない」
海将は。
苦笑した。
「だが」
「話を続けよう」
そして。
四人を見る。
「君たちが」
「今の姿になった時のことを」
「最初から」
「話してもらえるだろうか」
四人が。
顔を見合わせる。
暁が。
ゆっくり。
話し始めた。
「警報が鳴ったの」
「先生が」
「逃げるよって」
雷が続ける。
「みんなで逃げてたの」
響。
「途中で」
「先生が」
「伏せろって言った」
電の表情が。
曇る。
「すごい音がしたのです……」
天龍。
龍田。
二人の表情も。
変わる。
「それで」
暁が。
自分の膝を。
握る。
「起きたら」
「周りの家が」
「いっぱい壊れてて」
「先生たちが」
声が。
震える。
「血だらけで」
「倒れてたの……」
天龍が。
目を閉じる。
龍田も。
四人へ。
そっと。
寄り添う。
「先生が死んじゃうって思った」
雷が言う。
「どうすればいいか」
響が。
「分からなかった」
「それで」
電。
「泣いていたら」
「妖精さんが来たのです」
海将は。
何も言わない。
もう。
妖精。
という単語を。
笑う気には。
なれなかった。
「妖精さんが」
暁。
「先生を助けられるって」
「それから」
雷。
「街のみんなも」
「守れるようになるって!」
「だから」
暁が。
天龍を見る。
「先生が助かるなら」
「やるって言ったの」
天龍の顔が。
歪む。
龍田も。
また。
泣きそうになる。
四人が。
自分たちを。
助けるために。
契約した。
それが。
確定した。
天龍が。
四人を。
再び。
抱き寄せる。
「……馬鹿」
声が。
優しい。
「そんなの」
「自分の方を」
「大事にしろよ……」
「でも」
暁が言う。
「先生がいなくなるの」
「嫌だったもん」
「…………っ」
天龍は。
もう。
何も言えなかった。
海将が。
静かに。
口を開く。
「先ほど」
「天龍さんも」
「契約と言った」
「君たちも」
「同じなんだね?」
四人。
頷く。
「その」
海将が。
慎重に。
言葉を選ぶ。
「契約には」
「何か」
「条件があったのか?」
空気が。
変わった。
天龍。
龍田。
二人の表情が。
一気に。
沈む。
海将は。
それだけで。
嫌な予感がした。
暁が。
答える。
「代償があるって」
「……代償?」
「うん」
暁は。
まるで。
妖精から。
聞いたことを。
思い出すように。
言う。
「今までの暁たちのことを」
「みんなが忘れちゃうの」
海将の眉が。
動く。
「……忘れる?」
響が。
補足する。
「お父さんも」
「お母さんも」
「友達も」
「先生も」
「私たちが」
「誰だったのか」
「分からなくなる」
海将の顔から。
表情が。
消えた。
「それだけ?」
聞いてしまった。
そんなはずが。
ない。
だが。
少しでも。
軽い答えを。
期待した。
電が。
小さく。
首を振る。
「記録も」
「なくなるって」
「写真も」
雷が。
少し寂しそうに。
「みんなの思い出からも」
そして。
暁。
「前の暁たちは」
「世界から」
「いなくなっちゃうんだって」
沈黙。
海将は。
四人を見る。
嘘だ。
そんな馬鹿なことが。
だが。
天龍を見る。
龍田を見る。
二人とも。
泣いていた。
目の前の。
自分たちの園児を。
覚えていない。
それなのに。
抱き締めて。
涙を流している。
答えは。
もう。
出ていた。
「……本当なのか」
海将が。
天龍と龍田へ。
尋ねる。
天龍は。
何も言わず。
頷いた。
龍田も。
静かに。
「ええ」
海将の中で。
何かが。
落ちた。
こんな力を。
人類は。
五年間。
求め続けた。
深海棲艦を。
倒す力。
世界中の。
研究者が。
軍人が。
政治家が。
祈るように。
欲し続けた。
それが。
今。
目の前にある。
だが。
その代価は。
人生。
家族。
名前。
存在。
全て。
「……どうやって」
海将が。
小さく呟く。
「こんなことを」
「世界に」
「説明すればいい……」
誰に。
伝える?
政府。
国民。
世界。
人類を救う力を。
手に入れた。
ただし。
使う者は。
自分という存在を。
世界から。
失わなければならない。
そんなものを。
希望と。
呼べるのか?
その時。
海将の。
心の奥。
ふと。
何かが。
囁いた。
――だが。
――払えば。
海将の目が。
僅かに。
見開かれる。
――その代償を。
――払えば。
――自分も。
――深海棲艦を。
――倒せるのではないか。
「……っ!」
海将は。
瞬時に。
その考えを。
振り払った。
何を。
考えている。
目の前に。
四歳と五歳の子供が。
その代償を。
払った結果として。
いる。
天龍と龍田も。
自分たちの人生を。
失った。
それを。
力として。
欲しがった?
自分は。
何を。
考えた?
海将は。
奥歯を。
噛み締める。
だが。
一度。
浮かんだ考えは。
消えなかった。
人類には。
この力が。
必要だ。
その事実だけは。
あまりにも。
残酷なほど。
明白だった。
「……今日は」
海将が。
ゆっくり。
言った。
「ここまでにしよう」
六人が。
海将を見る。
「え?」
暁が。
首を傾げる。
海将は。
表情を。
柔らかくした。
「君たちは」
「今日」
「あまりにも多くのことをした」
「戦って」
「傷ついて」
「ここまで来て」
「そして」
「話してくれた」
「これ以上は」
「明日にしよう」
天龍が。
海将を見る。
その表情から。
何か。
考えていることは。
分かる。
だが。
今は。
聞かない。
「そうだな」
龍田も。
「そうしましょうか~」
海将が。
四人を見る。
「今日は」
「この基地に泊まっていくといい」
暁の目が。
少し。
明るくなる。
「ここに泊まるの?」
「ああ」
雷が。
「ご飯もある?」
海将が。
少し笑う。
「もちろん」
電。
「お風呂もあるのです?」
「あるよ」
響が。
ソファへ。
少し沈みながら。
「……眠い」
天龍が。
苦笑する。
「そりゃそうだろ」
龍田が。
響の頭を。
撫でる。
「今日は」
「ゆっくり休みましょうね~」
その場の。
張り詰めた空気が。
ようやく。
少しだけ。
緩んだ。
やっと。
休める。
海将も。
そう。
思った。
その時。
バン!!
扉が。
勢いよく。
開いた。
全員が。
振り返る。
一人の自衛官。
息を切らして。
立っている。
「海将!」
海将の表情が。
瞬時に。
軍人へ戻る。
「何事だ」
部下は。
六人がいることに。
気付き。
一瞬。
言葉を止めた。
だが。
すぐに。
「失礼しました!」
そして。
「緊急事態です!」
天龍と龍田が。
顔を上げる。
暁たちも。
不安そうに。
部下を見る。
海将が。
静かに。
尋ねた。
「何が起きた」
部下が。
答える。
「深海棲艦の行動に――」
一度。
息を呑み。
「大きな変化が確認されました」