異常。
理解不能。
深海棲艦たちは。
混乱していた。
本来なら。
人類は。
追い詰められているはずだった。
海。
奪取。
都市。
爆撃。
航空戦力。
制圧。
人類側。
有効な反撃手段。
なし。
計画。
順調。
そのはずだった。
だが。
今。
世界中の海で。
深海棲艦が。
沈んでいる。
一体。
また一体。
イ級。
ヌ級。
艦載機。
次々と。
消えていく。
何故。
原因。
探索。
人類の。
兵器。
変化。
なし。
航空機。
変化。
なし。
艦艇。
変化。
なし。
では。
何が。
変わった?
答え。
一つ。
あの。
六人。
最初に。
確認された。
六人の少女。
深海棲艦を。
傷つけた。
沈めた。
退けた。
そして。
その後。
人類側の。
異常な少女型戦力。
急増。
なら。
原因は。
あの六人。
あれらを。
排除すれば。
この異常も。
止まる。
そう。
結論。
残存戦力。
集結。
目標。
爆撃済み。
海軍基地。
六人。
そこに。
いる。
なら。
潰す。
それだけ。
海。
黒く。
染まる。
イ級。
多数。
ヌ級。
複数。
空。
艦載機。
無数。
全戦力。
一方向へ。
殺到。
もう少し。
もう少しで。
基地。
そこで。
また。
未知。
海面。
二人。
少女。
一人。
黒髪。
巨大な。
砲塔。
もう一人。
銀髪。
和弓。
データ。
なし。
警戒。
だが。
敵。
二人。
増援。
確認できず。
数。
圧倒的優位。
問題。
なし。
蹂躙。
可能。
深海棲艦群。
加速。
一気に。
距離を。
詰める。
黒髪の少女。
動かない。
逃げない。
砲塔。
旋回。
照準。
そして。
轟。
海そのものが。
割れたような。
砲声。
一発。
ただの。
一発。
だが。
先頭。
イ級。
三体。
四体。
五体。
まとめて。
吹き飛ぶ。
外殻。
破裂。
海面。
抉れる。
ヌ級。
一体。
直撃。
巨体。
大きく。
傾く。
何。
何だ。
今のは。
人類の。
砲撃ではない。
威力。
異常。
黒髪の少女。
次弾。
轟音。
さらに。
深海棲艦群。
崩れる。
数で。
押す。
距離を。
詰める。
砲撃を。
撃たせなければ。
接近。
一体のイ級。
少女へ。
突進。
少女。
避けない。
その代わり。
身体を。
沈める。
次の瞬間。
拳。
イ級の。
頭部。
直撃。
砕ける。
さらに。
艤装。
振るう。
もう一体。
横から。
叩き潰す。
接近戦。
可能。
異常。
後方。
ヌ級。
口腔。
開く。
艦載機。
発進。
空。
黒く。
埋まる。
銀髪の少女。
弓。
構える。
一本。
矢。
放つ。
それが。
空へ。
飛ぶ。
光。
矢が。
変わる。
航空機。
一機。
二機。
十。
二十。
次々と。
空へ。
現れる。
深海棲艦側。
艦載機。
迎撃。
交錯。
だが。
違う。
速さ。
違う。
旋回。
違う。
射撃。
違う。
人類の。
航空機。
相手ではない。
ヌ級の。
艦載機が。
一機。
また一機。
火を噴く。
落ちる。
これまで。
人類の空を。
一方的に。
支配していた。
艦載機。
今。
追われている。
逃げる。
後ろ。
銀髪の少女側。
航空機。
ぴたりと。
食らいつく。
機銃。
閃光。
撃墜。
別の機。
急上昇。
それすら。
先回り。
撃墜。
空。
支配。
逆転。
「――!」
ヌ級。
艦載機を。
追加。
だが。
足りない。
銀髪の少女。
弓。
また。
引く。
矢。
放つ。
今度。
狙い。
ヌ級。
矢。
命中。
一瞬。
何も。
起きない。
次の瞬間。
破裂。
刺さった。
箇所。
内側から。
爆ぜる。
光。
そして。
その中から。
航空機。
一機。
飛び出す。
ヌ級。
理解不能。
内部から。
攻撃。
さらに。
別の矢。
命中。
破裂。
また。
航空機。
ヌ級。
外殻。
崩壊。
そこへ。
上空。
爆装した。
航空隊。
降下。
投下。
爆発。
ヌ級。
巨体。
バラバラに。
砕ける。
海。
炎。
深海棲艦群。
混乱。
二人。
たった。
二人。
なのに。
基地へ。
近づけない。
海。
黒髪の少女。
空。
銀髪の少女。
どちらも。
抜けられない。
数。
数十。
数百。
意味。
なし。
黒髪の少女。
砲撃。
イ級群。
吹き飛ぶ。
接近。
叩き潰される。
ヌ級。
直撃。
沈む。
銀髪の少女。
空。
奪う。
艦載機。
落とす。
本体。
爆撃。
撃沈。
深海棲艦が。
人類へ。
してきたこと。
今。
そのまま。
返されている。
地下。
作戦指令室。
誰も。
言葉が。
出なかった。
「……何だ」
幕僚が。
呟く。
「何なんだ」
モニター。
長門。
主砲。
発砲。
海面。
白く。
爆ぜる。
「一斉射で……」
誰か。
「イ級が」
「何体沈んだ?」
「確認中です!」
別画面。
翔鶴。
弓。
放つ。
空。
烈風改二。
深海棲艦の。
艦載機。
撃墜。
「制空権……」
航空担当。
震えた声。
「完全に」
「取り返しています」
天龍。
モニター。
凝視。
「……やべぇな」
龍田も。
笑っていない。
「私たちとは」
「火力の桁が」
「違いますねぇ」
暁。
響。
雷。
電。
四人。
口。
ぽかん。
「かいしょうさん」
暁。
小さく。
「すごい……」
そして。
「おばあちゃんも……」
本人たちには。
何故。
その呼び名が。
出るのか。
分からない。
でも。
モニターの。
二人。
強い。
あまりにも。
強い。
時間。
経つ。
一時間。
二時間。
それでも。
敵。
来る。
残存戦力。
次々。
合流。
数を。
重ねる。
長門。
息。
荒い。
翔鶴。
肩。
上下。
疲労。
明らか。
艤装。
傷。
だが。
退かない。
一歩。
たりとも。
長門。
前。
見る。
海。
残る。
イ級。
ヌ級。
空。
まだ。
敵艦載機。
長門の。
目。
怖くない。
憎くも。
ない。
ただ。
決まっている。
ここから先へは。
通さない。
翔鶴。
同じ。
弓を。
握る。
震える。
指。
それでも。
引く。
深海棲艦群。
止まる。
一体。
イ級。
前へ。
出ようとして。
止まる。
長門の。
目。
覚悟。
第21章で。
ヌ級が。
最後に見た。
それと。
同じ。
――退かない。
――死ぬまで。
――ここを。
――守る。
深海棲艦。
内部。
揺れる。
恐怖。
一体。
後退。
次。
また。
一体。
ヌ級。
距離。
取る。
艦載機。
旋回。
そして。
一体の。
イ級。
完全に。
背を向ける。
逃走。
それが。
引き金。
二体。
三体。
十。
次々。
撤退。
ヌ級も。
反転。
艦載機。
引く。
群れ。
崩れる。
長門。
翔鶴。
追わない。
追う。
余力。
ない。
ただ。
見送る。
深海棲艦が。
人類から。
逃げていく。
「敵」
オペレーター。
声。
震える。
「後退!」
指令室。
誰も。
反応しない。
「残存イ級群!」
「海域離脱!」
「ヌ級!」
「同じく撤退!」
「敵艦載機!」
「退避しています!」
「…………」
静寂。
誰か。
ぽつり。
「……勝った?」
第12章。
同じ。
言葉。
だが。
今度は。
違う。
一度ではない。
偶然でもない。
世界中。
人類は。
深海棲艦を。
押し返している。
そして。
ここでも。
「……勝利」
誰か。
「勝利だ……!」
別の者。
「我々の」
「勝利だ!」
瞬間。
「うおおおおおおおおおっ!!」
基地。
揺れるほど。
歓声。
地下。
地上。
救護所。
通信室。
生き残った。
人々。
叫ぶ。
泣く。
抱き合う。
二度目。
人類は。
また。
勝った。
海。
長門。
膝へ。
手。
「……終わったか」
翔鶴。
大きく。
息を。
吐く。
「どうやら」
少し。
笑う。
「守れたようですね」
長門も。
ほんの少し。
笑った。
「そうだな」
海。
静か。
敵。
遠ざかる。
その。
はずだった。
海面。
ぼこ。
長門。
顔。
上げる。
「……ん?」
ぼこ。
ぼこぼこ。
翔鶴。
表情。
変わる。
「長門さん」
「ああ」
二人。
構える。
撤退した。
深海棲艦。
その。
向こう。
海。
泡立つ。
第17章。
ヌ級が。
現れた時。
同じ。
だが。
今回は。
規模。
違う。
海面。
盛り上がる。
そして。
轟。
巨大な。
水柱。
空へ。
何十メートル。
いや。
それ以上。
「何だ!?」
指令室。
歓声。
止まる。
モニター。
水。
その中。
何か。
飛ぶ。
「……イ級?」
違う。
残骸。
砕けた。
イ級。
ヌ級の。
外殻。
さっき。
沈んだ。
深海棲艦たち。
残骸が。
水柱と。
一緒に。
空へ。
打ち上げられている。
長門。
主砲。
再び。
展開。
翔鶴。
弓。
引く。
「来るぞ」
水柱。
落ちる。
ざああああああ――。
滝。
白い。
海水。
その。
向こう。
影。
一つ。
人。
「……人?」
翔鶴。
小さく。
長門。
目。
細める。
女性。
人間の。
女に。
見える。
だが。
違う。
白く。
長い髪。
蒼白い。
肌。
額。
角。
口元。
不自然な。
笑み。
身体。
まとわりつく。
黒い。
異形の艤装。
その後ろ。
魔獣。
そうとしか。
呼べない。
巨大な。
深海棲艦。
牙。
黒い。
外殻。
人型の女に。
従うように。
海面。
浮かぶ。
長門。
息。
止まる。
いるだけ。
ただ。
そこに。
いるだけ。
なのに。
海面。
重い。
空気。
沈む。
圧力。
今までの。
イ級。
ヌ級。
違う。
何もかも。
「……何だ」
長門。
「こいつは」
女。
返事。
しない。
まず。
周囲。
見る。
イ級。
残骸。
ヌ級。
破片。
燃える。
艦載機。
それら。
目。
細める。
表情。
嫌悪。
まるで。
壊れた。
道具を。
見るような。
目。
そして。
口。
開く。
初めて。
人類が。
聞いた。
深海棲艦の。
言葉。
「……ガラクタ共メ」
長門。
翔鶴。
完全に。
動きを。
止めた。
指令室。
誰も。
声。
出せない。
言葉。
喋った。
深海棲艦が。
人の。
言葉を。
「別海域!」
突然。
オペレーター。
叫ぶ。
「新たな反応!」
画面。
切り替わる。
太平洋。
人。
いや。
人型。
別の。
女性。
巨大な。
艤装。
「大西洋にも!」
画面。
追加。
別人。
「インド洋!」
また。
「地中海!」
また。
「南方海域!」
また。
指令室の。
巨大モニター。
人型。
人型。
人型。
姿。
違う。
装備。
違う。
随伴。
違う。
だが。
共通。
人間に。
似ている。
深海棲艦。
「……嘘だろ」
天龍。
龍田。
笑顔。
消える。
暁たち。
言葉。
ない。
幕僚。
震えた声。
「複数……」
「複数種類の」
「人型個体……」
海将。
もう。
いない。
だが。
その場に。
かつて彼と。
仕事をしていた。
人々。
皆。
同じ。
結論。
五年間。
人類は。
深海棲艦を。
見てきた。
イ級。
そして。
ヌ級。
それが。
敵。
そう。
思っていた。
違った。
あれらは。
ただ。
前に。
出ていただけ。
海の底。
その。
さらに。
奥。
そこに。
人類が。
まだ。
一度も。
見たことのない。
存在が。
いた。
長門。
翔鶴。
二人の前。
角を。
持つ。
女。
周囲の。
残骸を。
もう一度。
見る。
「……ガラクタ共メ」
吐き捨てる。
そして。
ゆっくり。
長門と。
翔鶴を。
見る。
口元。
笑う。
それは。
人間を。
見つけた。
怪物の。
笑みではなかった。
ようやく。
少しは。
遊べそうな。
相手を。
見つけた。
そんな。
笑みだった。
長門の。
背筋。
冷える。
つい先ほどまで。
イ級と。
ヌ級の。
大群を。
恐怖させ。
退却させた。
その二人が。
初めて。
理解した。
――こいつは。
――今までの奴らと。
――違う。
女。
一歩。
海面を。
踏んだ。
海が。
沈んだ。
第二の。
絶望が。
人類の前へ。
姿を。
現した。