海を失った世界に、暁は来る   作:ぶるぶるメタボ

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第二十四章 世界の海で

戦いは。

 

始まっていた。

 

一つの国ではない。

 

一つの海でもない。

 

太平洋。

 

大西洋。

 

インド洋。

 

地中海。

 

そして。

 

それ以外の。

 

名も知らぬ海域でも。

 

人類に。

 

忘れられた者たちが。

 

海へ出ていた。

 

かつて。

 

別の名前を持ち。

 

別の人生を生きていた者たち。

 

その名を。

 

世界から失って。

 

家族から。

 

友から。

 

愛した人から。

 

忘れられて。

 

それでも。

 

自分だけは。

 

覚えている。

 

守りたかった。

 

誰かのことを。

 

だから。

 

新しい名前と。

 

新しい力を持って。

 

海へ。

 

海へ。

 

海へ。

 

五年前。

 

人類が。

 

何もできず。

 

追い出された場所へ。

 

今。

 

彼女たちは。

 

戻ってきた。

 

フィリピン海

 

西太平洋。

 

五年前。

 

人類が。

 

何隻もの艦艇を失った海。

 

その海に。

 

再び。

 

砲声が響いた。

 

轟――!

 

「っ……!」

 

少女の身体が。

 

吹き飛ぶ。

 

海面。

 

一度。

 

二度。

 

三度。

 

水飛沫を上げながら。

 

転がっていく。

 

「大丈夫!?」

 

仲間が。

 

叫ぶ。

 

「来るぞ!」

 

別の声。

 

少女たち。

 

散開。

 

直後。

 

轟――!

 

海面。

 

爆発。

 

巨大な。

 

水柱。

 

「なんて火力……!」

 

そして。

 

彼女たちは。

 

敵を見る。

 

「…………え?」

 

一瞬。

 

誰もが。

 

戸惑った。

 

小さい。

 

これまで。

 

人類が見てきた。

 

深海棲艦。

 

イ級。

 

巨大。

 

実在する駆逐艦にも。

 

匹敵する巨体。

 

ヌ級。

 

さらに巨大。

 

軽空母を思わせる。

 

異形。

 

だが。

 

今。

 

目の前にいる敵は。

 

違う。

 

人間。

 

いや。

 

人間の女性と。

 

ほとんど変わらない。

 

大きさ。

 

青白い肌。

 

人に似た。

 

身体。

 

そして。

 

その身体とは。

 

あまりにも。

 

不釣り合いな。

 

巨大な。

 

砲塔。

 

異形の。

 

艤装。

 

「……人?」

 

誰かが。

 

呟く。

 

敵。

 

笑う。

 

人間とは。

 

到底思えない。

 

笑み。

 

そして。

 

砲塔。

 

旋回。

 

「避けて!」

 

轟――!

 

少女。

 

一人。

 

直撃。

 

「きゃあああっ!」

 

吹き飛ぶ。

 

「そんな……!」

 

身体は。

 

イ級より。

 

遥かに小さい。

 

なのに。

 

一発。

 

ただの一発で。

 

こちらを。

 

吹き飛ばす。

 

「撃て!」

 

反撃。

 

砲撃。

 

命中。

 

敵。

 

身体を。

 

揺らす。

 

外殻。

 

砕ける。

 

「効いた!」

 

「もう一度!」

 

砲撃。

 

命中。

 

確かに。

 

傷。

 

ついている。

 

五年前なら。

 

あり得なかった。

 

人類が。

 

何をしても。

 

傷一つ。

 

付かなかった。

 

深海棲艦。

 

今は。

 

傷つけられる。

 

だが。

 

「……倒れない?」

 

敵。

 

ゆっくり。

 

顔を上げる。

 

傷。

 

流れる。

 

黒い液体。

 

それでも。

 

平然。

 

「嘘……」

 

敵。

 

砲塔。

 

向ける。

 

狙い。

 

先ほど。

 

吹き飛ばされた少女。

 

「まずい!」

 

少女。

 

動けない。

 

艤装。

 

破損。

 

身体。

 

起こせない。

 

敵。

 

近づく。

 

人間と。

 

ほぼ同じ身体で。

 

海面を。

 

歩く。

 

「やめろ!」

 

「その子から離れろ!」

 

敵。

 

聞かない。

 

砲口。

 

負傷者へ。

 

「逃げて!」

 

逃げられない。

 

敵。

 

発砲――

 

轟――!!

 

――しなかった。

 

「――――ッ!!」

 

絶叫。

 

敵の身体。

 

横方向へ。

 

吹き飛ぶ。

 

「……え?」

 

側面。

 

巨大な。

 

穴。

 

炎。

 

黒煙。

 

敵。

 

それでも。

 

起き上がろうとする。

 

そこへ。

 

二発目。

 

轟――!

 

直撃。

 

巨大な艤装。

 

砕ける。

 

身体。

 

炎に。

 

包まれる。

 

絶叫。

 

そして。

 

沈む。

 

少女たち。

 

呆然。

 

「誰……?」

 

煙。

 

その向こう。

 

一人の。

 

少女。

 

長い。

 

黒髪。

 

白と赤を。

 

基調とした。

 

和装。

 

華奢な。

 

身体。

 

だが。

 

その背後。

 

身体とは。

 

あまりにも。

 

不釣り合いな。

 

巨大な。

 

艤装。

 

高く。

 

そびえる。

 

構造物。

 

そして。

 

巨大な。

 

主砲。

 

一人の少女が。

 

戦艦そのものを。

 

背負っている。

 

そう。

 

錯覚するほどの。

 

威容。

 

少女。

 

沈んだ敵を。

 

見る。

 

そして。

 

負傷者へ。

 

目を向ける。

 

「その子を」

 

静かな声。

 

「安全なところへ」

 

「……あなたは?」

 

少女。

 

一瞬。

 

黙る。

 

そして。

 

「扶桑」

 

「私の名前は」

 

「扶桑よ」

 

後に。

 

人類は。

 

先ほどの敵を。

 

分析する。

 

人間大。

 

しかし。

 

イ級を。

 

大きく上回る。

 

砲撃能力。

 

装甲。

 

耐久力。

 

そして。

 

戦闘特性。

 

重巡洋艦相当。

 

重巡リ級。

 

そう。

 

呼ぶことになる。

 

だが。

 

今。

 

扶桑には。

 

そんな名前。

 

どうでもよかった。

 

「……来る」

 

「え?」

 

海面。

 

泡。

 

一つ。

 

二つ。

 

三つ。

 

そして。

 

人影。

 

「そんな……」

 

次々。

 

同じ姿。

 

同じ。

 

人間大の。

 

怪物。

 

海から。

 

現れる。

 

一体。

 

二体。

 

五体。

 

十体。

 

「まだ……」

 

「こんなにいるの……?」

 

扶桑。

 

主砲。

 

向ける。

 

だが。

 

「…………」

 

違う。

 

一体。

 

赤。

 

人間大の身体を。

 

赤い光が。

 

覆っている。

 

同じ姿。

 

なのに。

 

分かる。

 

強い。

 

通常個体より。

 

遥かに。

 

さらに。

 

その奥。

 

黄色。

 

「何……?」

 

黄色い光を。

 

全身に纏う。

 

個体。

 

赤い個体より。

 

さらに。

 

異質。

 

そして。

 

さらに後ろ。

 

一体。

 

黄色い光。

 

その中。

 

片目。

 

青。

 

青白く。

 

輝いている。

 

扶桑。

 

額。

 

汗。

 

身体。

 

震える。

 

「……?」

 

その時。

 

頭の中。

 

何かが。

 

走った。

 

砲声。

 

炎。

 

血。

 

鉄。

 

誰かの。

 

悲鳴。

 

病院。

 

白い。

 

天井。

 

「…………」

 

扶桑。

 

胸を。

 

押さえる。

 

何?

 

今のは。

 

知らない。

 

そんな記憶。

 

扶桑には。

 

ない。

 

なのに。

 

身体が。

 

覚えている。

 

あの。

 

砲撃音。

 

あの。

 

海。

 

あの。

 

恐怖。

 

身体が。

 

逃げろと。

 

叫んでいる。

 

「……五年前」

 

口から。

 

勝手に。

 

言葉が。

 

出た。

 

扶桑自身が。

 

驚く。

 

「私……?」

 

何故。

 

五年前?

 

分からない。

 

だが。

 

一つだけ。

 

分かる。

 

あの時。

 

届かなかった。

 

何が?

 

分からない。

 

それでも。

 

今は。

 

違う。

 

さっき。

 

自分の砲撃で。

 

倒した。

 

深海棲艦を。

 

倒した。

 

「……今度は」

 

扶桑。

 

主砲を。

 

握る。

 

「届く」

 

敵群。

 

接近。

 

赤。

 

黄。

 

青い眼。

 

扶桑。

 

小さく。

 

息を吐く。

 

「……さすがに」

 

少し。

 

笑う。

 

「これは」

 

「一人じゃ厳しいわね」

 

「姉様」

 

扶桑。

 

固まる。

 

振り返る。

 

一人。

 

自分と。

 

よく似た。

 

少女。

 

黒髪。

 

和装。

 

そして。

 

同じように。

 

巨大な艤装。

 

「……姉様?」

 

言った本人も。

 

不思議そうな顔。

 

扶桑。

 

何故か。

 

胸が。

 

温かい。

 

そして。

 

名前。

 

自然に。

 

浮かぶ。

 

「……山城」

 

「え?」

 

二人。

 

見つめ合う。

 

知らない。

 

初めて。

 

会った。

 

はず。

 

なのに。

 

「……そう」

 

少女。

 

微笑む。

 

「私」

 

「山城っていうのね」

 

扶桑も。

 

少し。

 

笑う。

 

「たぶん」

 

「そうみたい」

 

山城。

 

扶桑の。

 

隣へ。

 

「なら」

 

「姉様だけに」

 

「戦わせるわけには」

 

「いきませんね」

 

「待った待った!」

 

別方向。

 

小柄な。

 

少女。

 

海面を。

 

滑るように。

 

接近。

 

独特の。

 

航空艤装。

 

「なんやなんや」

 

「えらい数やなぁ!」

 

扶桑。

 

山城。

 

見る。

 

少女。

 

にっと笑う。

 

「うち?」

 

「龍驤や!」

 

航空機。

 

発艦。

 

「空は任せとき!」

 

さらに。

 

「球磨もいるクマ!」

 

軽巡級の。

 

艤装。

 

「多摩もいるにゃ」

 

その隣。

 

もう一人。

 

そして。

 

「僕もいるよ」

 

重巡級。

 

敵の。

 

リ級と。

 

同等のカテゴリーに。

 

思える。

 

兵装。

 

「向こうが重巡なら」

 

少し。

 

笑う。

 

「僕にも」

 

「できることがあると思う」

 

「最上だよ」

 

扶桑。

 

皆を見る。

 

山城。

 

龍驤。

 

球磨。

 

多摩。

 

最上。

 

誰も。

 

知らない。

 

なのに。

 

何故か。

 

一緒に。

 

戦える。

 

そう。

 

思える。

 

山城。

 

敵群を見る。

 

「一人では」

 

「無理でも」

 

主砲。

 

展開。

 

「みんなで」

 

「力を合わせれば」

 

「きっと――」

 

「いいえ」

 

扶桑。

 

遮る。

 

山城。

 

見る。

 

扶桑。

 

一歩。

 

前へ。

 

海。

 

人間大の。

 

リ級。

 

大群。

 

その奥。

 

赤。

 

黄。

 

青い眼。

 

扶桑。

 

主砲。

 

向ける。

 

「きっとじゃないわ」

 

声。

 

静か。

 

だが。

 

揺れない。

 

「絶対に」

 

「倒すの」

 

龍驤。

 

笑う。

 

「言うやん!」

 

球磨。

 

「その方が」

 

「分かりやすいクマ」

 

多摩。

 

「賛成にゃ」

 

最上。

 

「僕も」

 

山城。

 

扶桑を見る。

 

そして。

 

笑う。

 

「ええ」

 

六人。

 

並ぶ。

 

その先。

 

海。

 

その。

 

さらに向こう。

 

人が。

 

住んでいる。

 

だから。

 

「この先には」

 

扶桑。

 

主砲。

 

完全展開。

 

「絶対に」

 

「進ませない」

 

六人。

 

誰も。

 

知らない。

 

かつて。

 

彼女たちは。

 

五年前の戦いで。

 

深海棲艦と戦った。

 

人間だった。

 

届かない。

 

砲撃。

 

効かない。

 

ミサイル。

 

沈む。

 

仲間。

 

そして。

 

彼女たち自身も。

 

傷ついた。

 

身体を。

 

壊した者。

 

手足を。

 

失った者。

 

二度と。

 

戦場へ戻れないと。

 

告げられた者。

 

病院。

 

ベッド。

 

白い。

 

天井。

 

五年間。

 

見上げ続けた。

 

者たち。

 

その名前を。

 

今。

 

誰も。

 

覚えていない。

 

軍の記録にも。

 

家族の記憶にも。

 

いない。

 

それでも。

 

彼女たちは。

 

戻った。

 

五年前。

 

何も。

 

できなかった。

 

海へ。

 

今度は。

 

届く。

 

今度は。

 

戦える。

 

なら。

 

戦う。

 

「敵!」

 

最上。

 

「来るよ!」

 

リ級群。

 

加速。

 

扶桑。

 

照準。

 

「――撃ちます」

 

轟――!

 

五年越しの。

 

再戦が。

 

始まった。

 

北大西洋

 

そして。

 

同じ頃。

 

別の海。

 

空が。

 

黒く。

 

染まっていた。

 

何十。

 

何百。

 

異形の。

 

航空機。

 

その。

 

発進元。

 

海面。

 

一人の。

 

人型。

 

「……あれが?」

 

少女。

 

思わず。

 

目を細める。

 

敵は。

 

人間の女性と。

 

ほぼ同じ大きさ。

 

だが。

 

頭部。

 

異形。

 

巨大な。

 

帽子とも。

 

口とも。

 

生物とも。

 

判別できない。

 

不気味な。

 

構造。

 

そして。

 

身体に。

 

似合わぬ。

 

巨大な。

 

航空艤装。

 

そこから。

 

次々と。

 

艦載機。

 

飛ぶ。

 

一体。

 

また。

 

一体。

 

海面。

 

人型。

 

並ぶ。

 

後に。

 

人類は。

 

それらを。

 

正規空母相当。

 

空母ヲ級。

 

そう。

 

分類する。

 

「上から来ます!」

 

一人。

 

長い黒髪。

 

赤と白を。

 

基調とした。

 

装束。

 

弓。

 

構える。

 

「加賀さん」

 

「右をお願いします」

 

隣。

 

同じく。

 

長い黒髪。

 

青と白。

 

静かな。

 

表情。

 

「分かりました」

 

加賀。

 

矢。

 

放つ。

 

「ここは」

 

「譲れません」

 

赤城。

 

同時。

 

矢。

 

放つ。

 

光。

 

航空機。

 

発進。

 

敵味方。

 

空で。

 

交錯。

 

「赤城さん!」

 

別方向。

 

明るい声。

 

「左からも来てるよ!」

 

赤城。

 

振り返る。

 

快活な。

 

雰囲気。

 

航空兵装を。

 

身に纏った。

 

少女。

 

「蒼龍さん!」

 

「分かってる!」

 

蒼龍。

 

航空隊。

 

発進。

 

その隣。

 

もう一人。

 

黒髪。

 

凛々しい。

 

顔。

 

どこか。

 

自信に満ちた。

 

笑み。

 

敵機。

 

見上げる。

 

「いやぁ」

 

「ずいぶん」

 

歓迎されてるみたいね!」

 

蒼龍。

 

「飛龍!」

 

「冗談言ってる場合!?」

 

「分かってるって!」

 

飛龍。

 

笑う。

 

そして。

 

弓。

 

構える。

 

その瞬間。

 

表情。

 

変わる。

 

獲物を。

 

見据える。

 

鋭い眼。

 

「でも」

 

「空母同士なら」

 

弦。

 

引き絞る。

 

「負ける気は」

 

「ないから!」

 

放つ。

 

航空隊。

 

一斉。

 

空へ。

 

さらに。

 

海面。

 

小柄な。

 

少女。

 

猛烈な速度。

 

「大丈夫です!」

 

笑顔。

 

「雪風も」

 

「ここにいます!」

 

赤城。

 

見る。

 

加賀。

 

蒼龍。

 

飛龍。

 

雪風。

 

そして。

 

敵。

 

「では」

 

赤城。

 

「行きましょう」

 

加賀。

 

静かに。

 

「ええ」

 

飛龍。

 

にっと。

 

笑う。

 

「この空」

 

「返してもらおうじゃない!」

 

矢。

 

放つ。

 

空。

 

激突。

 

インド洋

 

轟――!

 

海。

 

割れる。

 

「うわっ!」

 

一人。

 

高速回避。

 

「当たったら」

 

「洒落にならないネー!」

 

敵。

 

人間大。

 

女性型。

 

だが。

 

その背後。

 

巨大な。

 

戦艦級。

 

砲塔。

 

細い。

 

身体。

 

そこから。

 

放たれた。

 

一発。

 

海面。

 

大きく。

 

抉れる。

 

「見た目で」

 

「判断しちゃ」

 

「ダメみたいデース!」

 

後に。

 

人類は。

 

その敵を。

 

戦艦相当。

 

戦艦ル級。

 

そう。

 

呼ぶ。

 

一体ではない。

 

二体。

 

五体。

 

さらに。

 

奥。

 

「金剛!」

 

「分かってるヨ!」

 

長い。

 

金髪。

 

その隣。

 

「比叡!」

 

「はい!」

 

「榛名!」

 

「大丈夫です!」

 

「霧島!」

 

眼鏡。

 

少女。

 

照準。

 

「射撃諸元」

 

「入力完了です!」

 

金剛。

 

笑う。

 

「Good!」

 

「Four sisters!」

 

主砲。

 

展開。

 

「行くヨ!」

 

そこへ。

 

「待て待て!」

 

別方向。

 

航空兵装。

 

「わしらを」

 

「忘れるでないぞ!」

 

「利根姉さん」

 

隣。

 

よく似た。

 

少女。

 

「もう少し」

 

「落ち着いて」

 

「何を言う筑摩!」

 

利根。

 

敵。

 

指差す。

 

「あれだけおるのじゃ!」

 

「派手にやらねば」

 

「終わらんぞ!」

 

筑摩。

 

小さく。

 

笑う。

 

「はいはい」

 

金剛。

 

大笑い。

 

「Welcome!」

 

「まとめて」

 

「ぶっ飛ばすネー!」

 

ル級。

 

主砲。

 

一斉。

 

六人。

 

散開。

 

反撃。

 

インド洋。

 

砲声。

 

轟く。

 

地中海

 

海。

 

静か。

 

「……来る」

 

一人の。

 

少女。

 

呟く。

 

次。

 

水面下。

 

影。

 

魚雷。

 

「散開!」

 

爆発。

 

海中。

 

人型。

 

人間と。

 

同じほどの。

 

身体。

 

だが。

 

身体の周囲。

 

異形の。

 

潜水兵装。

 

一種類ではない。

 

小型。

 

高速。

 

そして。

 

より大きな。

 

兵装を持つ。

 

別種。

 

後に。

 

人類は。

 

それぞれを。

 

潜水カ級。

 

潜水ソ級。

 

そう。

 

呼ぶことになる。

 

「イク!」

 

「分かってるの!」

 

青紫の。

 

長い髪。

 

「伊168!」

 

「左!」

 

「了解!」

 

「ゴーヤ!」

 

「見えてるでち!」

 

「伊8!」

 

眼鏡。

 

少女。

 

「こちらも」

 

「捕捉しました」

 

魚雷。

 

発射。

 

海中。

 

爆発。

 

敵。

 

一体。

 

沈む。

 

だが。

 

次。

 

また。

 

次。

 

「まだ来る!」

 

その時。

 

海面。

 

砲撃。

 

「こっちも」

 

「手伝うよ!」

 

駆逐艦級。

 

軽巡級。

 

少女たち。

 

次々。

 

合流。

 

「潜水艦だけに」

 

「任せるわけには」

 

「いかないからね!」

 

伊19。

 

笑う。

 

「助かるの!」

 

魚雷。

 

装填。

 

「じゃあ」

 

海中。

 

敵。

 

見る。

 

「一緒に」

 

「やっつけるの!」

 

戦闘。

 

再開。

 

世界中。

 

戦っていた。

 

太平洋。

 

大西洋。

 

インド洋。

 

地中海。

 

人間ほどの。

 

大きさしかない。

 

深海棲艦。

 

それなのに。

 

巨大な。

 

イ級より。

 

強い。

 

ヌ級より。

 

速い。

 

そして。

 

知性。

 

戦術。

 

連携。

 

人類は。

 

ようやく。

 

気づき始める。

 

深海棲艦は。

 

大きいほど。

 

強いのではない。

 

むしろ。

 

人に。

 

近づくほど。

 

何かが。

 

変わっていく。

 

だが。

 

それでも。

 

人類は。

 

戦えている。

 

砲撃。

 

届く。

 

魚雷。

 

届く。

 

航空攻撃。

 

届く。

 

深海棲艦。

 

沈む。

 

人類は。

 

初めて。

 

世界規模で。

 

海の怪物へ。

 

反撃していた。

 

だから。

 

まだ。

 

誰も。

 

理解していなかった。

 

今。

 

彼女たちが。

 

必死に。

 

戦っている。

 

敵。

 

それが。

 

何なのか。

 

フィリピン海。

 

扶桑たち。

 

遥か。

 

向こう。

 

一人。

 

女性。

 

人間と。

 

変わらない。

 

大きさ。

 

巨大な。

 

航空艤装。

 

白い肌。

 

冷たい。

 

眼。

 

扶桑たちを。

 

ただ。

 

見ている。

 

戦わない。

 

動かない。

 

ただ。

 

観察。

 

している。

 

北大西洋。

 

ヲ級の。

 

さらに。

 

後方。

 

一人。

 

女性型。

 

人間大。

 

だが。

 

その周囲。

 

異常な数の。

 

航空戦力。

 

赤城たちを。

 

見る。

 

何もしない。

 

インド洋。

 

ル級群。

 

その。

 

遥か奥。

 

女。

 

人間と。

 

ほぼ同じ。

 

身体。

 

だが。

 

背後。

 

飛行場。

 

そうとしか。

 

表現できない。

 

巨大な。

 

異形艤装。

 

金剛たちを。

 

見る。

 

何もしない。

 

地中海。

 

海面。

 

その。

 

遥か下。

 

深海。

 

女。

 

静かに。

 

浮いている。

 

人型。

 

それでも。

 

人間から。

 

決定的に。

 

外れた。

 

何か。

 

伊19たちを。

 

下から。

 

見上げている。

 

何もしない。

 

世界中。

 

同じ。

 

彼女たちは。

 

まだ。

 

戦っていない。

 

援護も。

 

しない。

 

命令すら。

 

出しているようには。

 

見えない。

 

ただ。

 

人類が。

 

どこまで。

 

できるのか。

 

試すように。

 

見ている。

 

フィリピン海。

 

赤い個体。

 

黄色い個体。

 

青く光る片目。

 

それらすら。

 

人類は。

 

まだ。

 

名前を。

 

知らない。

 

扶桑。

 

主砲。

 

向ける。

 

身体。

 

震える。

 

それでも。

 

「……怖いわね」

 

山城。

 

横。

 

「姉様?」

 

扶桑。

 

少し。

 

笑う。

 

「でも」

 

照準。

 

「五年前とは」

 

「違うもの」

 

山城。

 

何も。

 

聞かない。

 

ただ。

 

姉と呼んだ。

 

少女の。

 

隣。

 

主砲。

 

向ける。

 

「ええ」

 

「今度は」

 

二人。

 

同時。

 

「届く」

 

轟――!

 

砲声。

 

世界中の。

 

海。

 

震える。

 

人類は。

 

まだ。

 

知らない。

 

深海棲艦を。

 

倒せる力を。

 

ようやく。

 

手に入れた。

 

その日。

 

自分たちは。

 

反撃を。

 

始めたのではない。

 

ようやく。

 

同じ戦場へ。

 

立つことを。

 

許されただけ。

 

だったことを。

 

そして。

 

海の底にいた者たちは。

 

まだ。

 

人類を。

 

見ているだけだった。

 

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