理解。
できなかった。
暁は。
ただ。
モニターを。
見ていた。
響も。
雷も。
電も。
同じだった。
そこに。
映っているものが。
何なのか。
分からない。
海。
長門。
翔鶴。
そして。
角の生えた。
白い髪の。
お姉さん。
その女が。
ゆっくり。
長門へ。
歩いていく。
「かいしょうさん……」
暁が。
小さく。
呟く。
長門。
主砲。
向ける。
迷い。
なし。
轟――!
あれだけ。
イ級も。
ヌ級も。
吹き飛ばした。
砲撃。
角の女。
見る。
そして。
片手。
上げる。
「……え?」
砲弾。
来る。
その瞬間。
女。
腕を。
振った。
それだけ。
砲弾が。
横へ。
弾かれた。
海。
着弾。
巨大な。
水柱。
指令室。
静寂。
「…………」
天龍。
龍田。
軍人たち。
誰も。
声を。
出せない。
暁たちは。
もっと。
分からない。
だって。
あの砲撃は。
すごく。
強かった。
なのに。
「手で……?」
雷。
響。
モニター。
凝視。
「違う」
小さく。
「止めたんじゃない」
「……?」
「払いのけた」
その言葉。
指令室の。
大人たちに。
突き刺さる。
長門。
明らかに。
驚いた。
その一瞬。
女。
消えた。
「え?」
暁。
次。
長門の。
目の前。
女。
いる。
「――ッ!?」
拳。
長門の。
腹部。
鈍い。
音。
「がっ――!」
長門の身体。
折れる。
そのまま。
海面へ。
叩きつけられる。
一撃。
たった。
一撃。
「かいしょうさん!」
暁。
叫ぶ。
翔鶴。
すぐ。
動く。
弓。
引く。
放つ。
矢。
高速。
女の。
胸元へ。
だが。
ぱし。
「…………」
片手。
掴んだ。
翔鶴の。
矢。
女。
それを見る。
つまらなそうに。
折る。
ぽき。
暁の。
口が。
開く。
「おばあちゃんの……」
翔鶴。
一瞬。
固まる。
女。
振り返らない。
背後。
魔獣のような。
巨大な艤装。
ほんの少し。
指。
動かす。
まるで。
「やれ」
そう。
命じるように。
魔獣。
口腔。
開く。
砲撃。
「翔鶴さん!」
直撃。
しない。
だが。
爆風。
海。
破裂。
翔鶴。
身体。
吹き飛ぶ。
海面。
転がる。
弓。
手から。
離れる。
「…………」
指令室。
誰も。
動かない。
時間。
一分。
経っていない。
長門。
倒れた。
翔鶴。
倒れた。
二人とも。
さっきまで。
イ級とヌ級の。
大群を。
押し返した。
その。
二人。
たった。
一人に。
何も。
できなかった。
「……嘘だろ」
天龍。
掠れた声。
龍田。
何も。
言わない。
暁。
響。
雷。
電。
ただ。
モニター。
見ている。
角の女。
倒れた。
二人。
見る。
そして。
本当に。
つまらなそうな。
顔。
「……ツマラン」
指令室。
凍る。
声。
人の。
言葉。
女。
片耳へ。
手を。
当てる。
誰かと。
話している。
「思ッテタヨリ」
「大シタコトナイ」
一拍。
「適当ニ遊ンデ」
「切リ上ゲテコイ」
「……誰と」
幕僚。
小さく。
「話してる……?」
誰も。
答えられない。
その時。
「報告!」
別の。
軍人。
声。
震える。
「世界各地!」
「戦況が急変!」
巨大モニター。
分割。
フィリピン海。
扶桑たち。
その前。
人型。
一体。
北大西洋。
赤城。
加賀。
蒼龍。
飛龍。
雪風。
その前。
別の。
人型。
インド洋。
金剛。
比叡。
榛名。
霧島。
利根。
筑摩。
その前。
また。
人型。
地中海。
伊19。
伊168。
伊58。
伊8。
その。
海中。
人型。
「何が起きてる!」
「人型個体!」
「戦闘開始!」
そして。
映像。
「……っ!」
扶桑。
吹き飛ぶ。
山城。
砲撃。
防がれる。
龍驤の。
航空機。
一瞬で。
落とされる。
「フィリピン海!」
「戦線崩壊!」
画面。
切り替わる。
空。
赤城たちの。
航空隊。
人型。
その。
周囲。
異常な。
艦載機。
味方。
次々と。
撃墜。
加賀。
直撃。
海面へ。
飛龍。
反撃。
届かない。
「北大西洋も!」
インド洋。
金剛四姉妹。
一斉射。
人型。
笑う。
爆発。
次の瞬間。
比叡。
倒れる。
榛名。
膝。
霧島。
艤装。
大破。
「インド洋!」
「主力損耗!」
地中海。
水中。
伊19。
魚雷。
回避。
人型。
一瞬。
消える。
次。
伊168。
吹き飛ぶ。
「各海域!」
「次々と!」
軍人。
言葉。
続かない。
世界中。
同じ。
たった。
一体。
それだけ。
それだけで。
数人。
数十人。
協力していた。
少女たち。
成すすべなく。
倒される。
暁。
青ざめる。
雷。
天龍の。
服。
掴む。
電。
泣きそう。
響。
声。
出ない。
そして。
「コンナ幼子マデ」
声。
背後。
「艦娘ニスルトハナ」
全員。
固まる。
ゆっくり。
振り返る。
そこ。
いる。
白い髪。
角。
青白い肌。
さっきまで。
モニターの中。
海の上に。
いた。
女。
「……いつ」
幕僚。
「どうやって……」
分からない。
モニター。
一瞬。
ノイズ。
そして。
女。
消えていた。
次の瞬間には。
指令室。
まるで。
深海そのものから。
抜け出してきたように。
そこに。
いる。
暁。
息。
止まる。
目。
合う。
女。
四人。
見る。
忌々しそうに。
「……艦娘?」
軍人。
小さく。
「今」
「艦娘と」
女。
興味。
なし。
暁たちだけ。
見る。
四人。
震える。
「先生……」
暁。
小さく。
天龍。
即座。
前へ。
龍田。
その横。
「こいつらに」
「近づくな」
天龍。
艤装。
構える。
龍田。
同じ。
女。
見る。
そして。
ため息。
「……マタカ」
天龍。
撃つ。
砲撃。
直撃。
女。
避けない。
煙。
天龍。
目。
見開く。
煙。
晴れる。
無傷。
いや。
服。
少し。
焦げた。
それだけ。
「……嘘だろ」
龍田。
攻撃。
直撃。
女。
微動。
しない。
「何なのよ……」
龍田。
初めて。
笑顔。
消える。
女。
二人を見る。
「戦イ方ガ」
「マルデ素人」
天龍。
「……何?」
女。
眉。
寄せる。
「本当ニ」
「艦船カラ生マレタ」
「艦娘ナノカ?」
指令室。
静まる。
艦船。
生まれた。
艦娘。
意味。
分からない。
だが。
天龍。
その言葉へ。
何か。
引っ掛かる。
「俺たちは」
言いかける。
女。
消える。
「――っ!」
次。
天龍。
腹部。
衝撃。
「がっ!」
倒れる。
龍田。
振り返る。
遅い。
女。
横。
一撃。
龍田。
壁へ。
叩きつけられる。
「先生!」
四人。
叫ぶ。
天龍。
動かない。
龍田。
起き上がれない。
軍人たち。
動く。
銃。
構える。
「撃て!」
だが。
女。
見る。
それだけ。
「…………」
誰も。
引き金。
引けない。
殺気。
そう。
呼ぶしかない。
目に。
見えない。
何か。
指令室。
満たす。
身体。
動かない。
呼吸。
苦しい。
軍人たち。
汗。
暁たち。
もっと。
怖い。
「やだ……」
雷。
涙。
「先生……」
電。
響。
足。
震える。
暁。
泣く。
それでも。
四人。
互いに。
近づく。
女。
見る。
「…………」
そして。
背後。
魔獣のような。
艤装。
伸びる。
巨大な。
異形の。
腕。
「きゃっ!」
四人。
まとめて。
掴む。
「うっ……!」
「痛い……!」
「離して!」
「やめるのです!」
女。
反応。
薄い。
ただ。
四人。
見る。
つまらなそうに。
「……ツマラン」
四人。
苦しい。
女。
少し。
顔。
近づける。
「五年」
誰か。
反応。
女。
続けない。
代わり。
「マア」
「ツマラン結末ダッタガ」
「仕方ナイ」
暁。
泣きながら。
見る。
女。
尋ねる。
ごく。
当然の。
質問を。
するように。
「オ前達ノ」
一拍。
「大事ナ提督ハ」
指令室。
誰も。
意味。
分からない。
女。
最後。
「何処ニ居ル?」
暁。
涙。
目。
「……ていとく?」
女。
初めて。
表情。
少し。
変わった。
「…………」
暁。
震えながら。
「だれ……?」
女。
沈黙。
そして。
ほんの僅か。
眉。
動く。
「……何?」
初めて。
深海棲艦の。
余裕に。
小さな。
亀裂が。
入った。