海を失った世界に、暁は来る   作:ぶるぶるメタボ

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第二十五章 提督は何処だ

理解。

 

できなかった。

 

暁は。

 

ただ。

 

モニターを。

 

見ていた。

 

響も。

 

雷も。

 

電も。

 

同じだった。

 

そこに。

 

映っているものが。

 

何なのか。

 

分からない。

 

海。

 

長門。

 

翔鶴。

 

そして。

 

角の生えた。

 

白い髪の。

 

お姉さん。

 

その女が。

 

ゆっくり。

 

長門へ。

 

歩いていく。

 

「かいしょうさん……」

 

暁が。

 

小さく。

 

呟く。

 

長門。

 

主砲。

 

向ける。

 

迷い。

 

なし。

 

轟――!

 

あれだけ。

 

イ級も。

 

ヌ級も。

 

吹き飛ばした。

 

砲撃。

 

角の女。

 

見る。

 

そして。

 

片手。

 

上げる。

 

「……え?」

 

砲弾。

 

来る。

 

その瞬間。

 

女。

 

腕を。

 

振った。

 

それだけ。

 

砲弾が。

 

横へ。

 

弾かれた。

 

海。

 

着弾。

 

巨大な。

 

水柱。

 

指令室。

 

静寂。

 

「…………」

 

天龍。

 

龍田。

 

軍人たち。

 

誰も。

 

声を。

 

出せない。

 

暁たちは。

 

もっと。

 

分からない。

 

だって。

 

あの砲撃は。

 

すごく。

 

強かった。

 

なのに。

 

「手で……?」

 

雷。

 

響。

 

モニター。

 

凝視。

 

「違う」

 

小さく。

 

「止めたんじゃない」

 

「……?」

 

「払いのけた」

 

その言葉。

 

指令室の。

 

大人たちに。

 

突き刺さる。

 

長門。

 

明らかに。

 

驚いた。

 

その一瞬。

 

女。

 

消えた。

 

「え?」

 

暁。

 

次。

 

長門の。

 

目の前。

 

女。

 

いる。

 

「――ッ!?」

 

拳。

 

長門の。

 

腹部。

 

鈍い。

 

音。

 

「がっ――!」

 

長門の身体。

 

折れる。

 

そのまま。

 

海面へ。

 

叩きつけられる。

 

一撃。

 

たった。

 

一撃。

 

「かいしょうさん!」

 

暁。

 

叫ぶ。

 

翔鶴。

 

すぐ。

 

動く。

 

弓。

 

引く。

 

放つ。

 

矢。

 

高速。

 

女の。

 

胸元へ。

 

だが。

 

ぱし。

 

「…………」

 

片手。

 

掴んだ。

 

翔鶴の。

 

矢。

 

女。

 

それを見る。

 

つまらなそうに。

 

折る。

 

ぽき。

 

暁の。

 

口が。

 

開く。

 

「おばあちゃんの……」

 

翔鶴。

 

一瞬。

 

固まる。

 

女。

 

振り返らない。

 

背後。

 

魔獣のような。

 

巨大な艤装。

 

ほんの少し。

 

指。

 

動かす。

 

まるで。

 

「やれ」

 

そう。

 

命じるように。

 

魔獣。

 

口腔。

 

開く。

 

砲撃。

 

「翔鶴さん!」

 

直撃。

 

しない。

 

だが。

 

爆風。

 

海。

 

破裂。

 

翔鶴。

 

身体。

 

吹き飛ぶ。

 

海面。

 

転がる。

 

弓。

 

手から。

 

離れる。

 

「…………」

 

指令室。

 

誰も。

 

動かない。

 

時間。

 

一分。

 

経っていない。

 

長門。

 

倒れた。

 

翔鶴。

 

倒れた。

 

二人とも。

 

さっきまで。

 

イ級とヌ級の。

 

大群を。

 

押し返した。

 

その。

 

二人。

 

たった。

 

一人に。

 

何も。

 

できなかった。

 

「……嘘だろ」

 

天龍。

 

掠れた声。

 

龍田。

 

何も。

 

言わない。

 

暁。

 

響。

 

雷。

 

電。

 

ただ。

 

モニター。

 

見ている。

 

角の女。

 

倒れた。

 

二人。

 

見る。

 

そして。

 

本当に。

 

つまらなそうな。

 

顔。

 

「……ツマラン」

 

指令室。

 

凍る。

 

声。

 

人の。

 

言葉。

 

女。

 

片耳へ。

 

手を。

 

当てる。

 

誰かと。

 

話している。

 

「思ッテタヨリ」

 

「大シタコトナイ」

 

一拍。

 

「適当ニ遊ンデ」

 

「切リ上ゲテコイ」

 

「……誰と」

 

幕僚。

 

小さく。

 

「話してる……?」

 

誰も。

 

答えられない。

 

その時。

 

「報告!」

 

別の。

 

軍人。

 

声。

 

震える。

 

「世界各地!」

 

「戦況が急変!」

 

巨大モニター。

 

分割。

 

フィリピン海。

 

扶桑たち。

 

その前。

 

人型。

 

一体。

 

北大西洋。

 

赤城。

 

加賀。

 

蒼龍。

 

飛龍。

 

雪風。

 

その前。

 

別の。

 

人型。

 

インド洋。

 

金剛。

 

比叡。

 

榛名。

 

霧島。

 

利根。

 

筑摩。

 

その前。

 

また。

 

人型。

 

地中海。

 

伊19。

 

伊168。

 

伊58。

 

伊8。

 

その。

 

海中。

 

人型。

 

「何が起きてる!」

 

「人型個体!」

 

「戦闘開始!」

 

そして。

 

映像。

 

「……っ!」

 

扶桑。

 

吹き飛ぶ。

 

山城。

 

砲撃。

 

防がれる。

 

龍驤の。

 

航空機。

 

一瞬で。

 

落とされる。

 

「フィリピン海!」

 

「戦線崩壊!」

 

画面。

 

切り替わる。

 

空。

 

赤城たちの。

 

航空隊。

 

人型。

 

その。

 

周囲。

 

異常な。

 

艦載機。

 

味方。

 

次々と。

 

撃墜。

 

加賀。

 

直撃。

 

海面へ。

 

飛龍。

 

反撃。

 

届かない。

 

「北大西洋も!」

 

インド洋。

 

金剛四姉妹。

 

一斉射。

 

人型。

 

笑う。

 

爆発。

 

次の瞬間。

 

比叡。

 

倒れる。

 

榛名。

 

膝。

 

霧島。

 

艤装。

 

大破。

 

「インド洋!」

 

「主力損耗!」

 

地中海。

 

水中。

 

伊19。

 

魚雷。

 

回避。

 

人型。

 

一瞬。

 

消える。

 

次。

 

伊168。

 

吹き飛ぶ。

 

「各海域!」

 

「次々と!」

 

軍人。

 

言葉。

 

続かない。

 

世界中。

 

同じ。

 

たった。

 

一体。

 

それだけ。

 

それだけで。

 

数人。

 

数十人。

 

協力していた。

 

少女たち。

 

成すすべなく。

 

倒される。

 

暁。

 

青ざめる。

 

雷。

 

天龍の。

 

服。

 

掴む。

 

電。

 

泣きそう。

 

響。

 

声。

 

出ない。

 

そして。

 

「コンナ幼子マデ」

 

声。

 

背後。

 

「艦娘ニスルトハナ」

 

全員。

 

固まる。

 

ゆっくり。

 

振り返る。

 

そこ。

 

いる。

 

白い髪。

 

角。

 

青白い肌。

 

さっきまで。

 

モニターの中。

 

海の上に。

 

いた。

 

女。

 

「……いつ」

 

幕僚。

 

「どうやって……」

 

分からない。

 

モニター。

 

一瞬。

 

ノイズ。

 

そして。

 

女。

 

消えていた。

 

次の瞬間には。

 

指令室。

 

まるで。

 

深海そのものから。

 

抜け出してきたように。

 

そこに。

 

いる。

 

暁。

 

息。

 

止まる。

 

目。

 

合う。

 

女。

 

四人。

 

見る。

 

忌々しそうに。

 

「……艦娘?」

 

軍人。

 

小さく。

 

「今」

 

「艦娘と」

 

女。

 

興味。

 

なし。

 

暁たちだけ。

 

見る。

 

四人。

 

震える。

 

「先生……」

 

暁。

 

小さく。

 

天龍。

 

即座。

 

前へ。

 

龍田。

 

その横。

 

「こいつらに」

 

「近づくな」

 

天龍。

 

艤装。

 

構える。

 

龍田。

 

同じ。

 

女。

 

見る。

 

そして。

 

ため息。

 

「……マタカ」

 

天龍。

 

撃つ。

 

砲撃。

 

直撃。

 

女。

 

避けない。

 

煙。

 

天龍。

 

目。

 

見開く。

 

煙。

 

晴れる。

 

無傷。

 

いや。

 

服。

 

少し。

 

焦げた。

 

それだけ。

 

「……嘘だろ」

 

龍田。

 

攻撃。

 

直撃。

 

女。

 

微動。

 

しない。

 

「何なのよ……」

 

龍田。

 

初めて。

 

笑顔。

 

消える。

 

女。

 

二人を見る。

 

「戦イ方ガ」

 

「マルデ素人」

 

天龍。

 

「……何?」

 

女。

 

眉。

 

寄せる。

 

「本当ニ」

 

「艦船カラ生マレタ」

 

「艦娘ナノカ?」

 

指令室。

 

静まる。

 

艦船。

 

生まれた。

 

艦娘。

 

意味。

 

分からない。

 

だが。

 

天龍。

 

その言葉へ。

 

何か。

 

引っ掛かる。

 

「俺たちは」

 

言いかける。

 

女。

 

消える。

 

「――っ!」

 

次。

 

天龍。

 

腹部。

 

衝撃。

 

「がっ!」

 

倒れる。

 

龍田。

 

振り返る。

 

遅い。

 

女。

 

横。

 

一撃。

 

龍田。

 

壁へ。

 

叩きつけられる。

 

「先生!」

 

四人。

 

叫ぶ。

 

天龍。

 

動かない。

 

龍田。

 

起き上がれない。

 

軍人たち。

 

動く。

 

銃。

 

構える。

 

「撃て!」

 

だが。

 

女。

 

見る。

 

それだけ。

 

「…………」

 

誰も。

 

引き金。

 

引けない。

 

殺気。

 

そう。

 

呼ぶしかない。

 

目に。

 

見えない。

 

何か。

 

指令室。

 

満たす。

 

身体。

 

動かない。

 

呼吸。

 

苦しい。

 

軍人たち。

 

汗。

 

暁たち。

 

もっと。

 

怖い。

 

「やだ……」

 

雷。

 

涙。

 

「先生……」

 

電。

 

響。

 

足。

 

震える。

 

暁。

 

泣く。

 

それでも。

 

四人。

 

互いに。

 

近づく。

 

女。

 

見る。

 

「…………」

 

そして。

 

背後。

 

魔獣のような。

 

艤装。

 

伸びる。

 

巨大な。

 

異形の。

 

腕。

 

「きゃっ!」

 

四人。

 

まとめて。

 

掴む。

 

「うっ……!」

 

「痛い……!」

 

「離して!」

 

「やめるのです!」

 

女。

 

反応。

 

薄い。

 

ただ。

 

四人。

 

見る。

 

つまらなそうに。

 

「……ツマラン」

 

四人。

 

苦しい。

 

女。

 

少し。

 

顔。

 

近づける。

 

「五年」

 

誰か。

 

反応。

 

女。

 

続けない。

 

代わり。

 

「マア」

 

「ツマラン結末ダッタガ」

 

「仕方ナイ」

 

暁。

 

泣きながら。

 

見る。

 

女。

 

尋ねる。

 

ごく。

 

当然の。

 

質問を。

 

するように。

 

「オ前達ノ」

 

一拍。

 

「大事ナ提督ハ」

 

指令室。

 

誰も。

 

意味。

 

分からない。

 

女。

 

最後。

 

「何処ニ居ル?」

 

暁。

 

涙。

 

目。

 

「……ていとく?」

 

女。

 

初めて。

 

表情。

 

少し。

 

変わった。

 

「…………」

 

暁。

 

震えながら。

 

「だれ……?」

 

女。

 

沈黙。

 

そして。

 

ほんの僅か。

 

眉。

 

動く。

 

「……何?」

 

初めて。

 

深海棲艦の。

 

余裕に。

 

小さな。

 

亀裂が。

 

入った。

 

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