海を失った世界に、暁は来る   作:ぶるぶるメタボ

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第三十四章 強制メンテナンス

沿岸。

 

海軍基地。

 

地下。

 

作戦指令室。

 

そこでは。

 

誰もが。

 

海上へ。

 

突然浮上した。

 

巨大建造物を。

 

凝視していた。

 

「……やはり」

 

一人の幕僚が。

 

低く。

 

「形状が」

 

「海軍施設に」

 

「酷似しています」

 

別の者が。

 

画面を。

 

拡大する。

 

正門。

 

庁舎。

 

工廠。

 

埠頭。

 

そして。

 

司令施設。

 

「鎮守府……」

 

誰かが。

 

呟いた。

 

「だが」

 

別の軍人が。

 

眉を寄せる。

 

「何故」

 

「鎮守府が」

 

「海の底から」

 

「浮上する?」

 

答え。

 

誰も。

 

持っていない。

 

「衛星映像は?」

 

「出します!」

 

画面。

 

切り替わる。

 

だが。

 

ザザザザザ――。

 

「……何だ?」

 

ノイズ。

 

鎮守府が。

 

あるはずの場所。

 

そこだけ。

 

黒く。

 

潰れている。

 

「光学映像」

 

「駄目です!」

 

「赤外線も!」

 

「レーダーも」

 

「まともに通りません!」

 

「周辺だけ」

 

「完全に」

 

「ブラックアウトしています!」

 

「妨害か?」

 

「規模が」

 

「大きすぎます!」

 

「深海棲艦の」

 

「能力なのか……?」

 

その時。

 

遠く。

 

誰にも。

 

聞こえない。

 

小さな。

 

電子音。

 

《提督権限》

 

《認証機能消失》

 

《鎮守府防衛権限》

 

《一部停止》

 

《秘匿機能》

 

《停止》

 

ザッ。

 

ノイズ。

 

弱まる。

 

「……待ってください!」

 

オペレーター。

 

「映像」

 

「戻ります!」

 

全員。

 

画面を見る。

 

そして。

 

「…………」

 

言葉。

 

止まる。

 

衛星。

 

無人機。

 

沿岸監視装置。

 

複数の映像が。

 

一斉に。

 

復旧。

 

そこに。

 

鎮守府。

 

見える。

 

そして。

 

その中。

 

広場。

 

「……人?」

 

違う。

 

少女。

 

大量。

 

いや。

 

大量。

 

そんな言葉では。

 

足りない。

 

「何人いる……?」

 

「数えられません!」

 

「画像解析!」

 

「現在」

 

「推定中!」

 

別の軍人が。

 

鎮守府の外観を。

 

測る。

 

「……待て」

 

「どうした?」

 

「おかしい」

 

「何がだ」

 

「外部寸法と」

 

「内部利用可能面積が」

 

「合わない」

 

「……何?」

 

「この人数を」

 

「収容できる」

 

「容積ではありません!」

 

画面。

 

少女たち。

 

続々。

 

映る。

 

そして。

 

中央。

 

「……あれは」

 

一人が。

 

指差す。

 

「四人」

 

小さな少女。

 

暁。

 

響。

 

雷。

 

電。

 

四人が。

 

広場の中央で。

 

頭を。

 

下げている。

 

「……何を」

 

「している?」

 

鎮守府。

 

広場。

 

「ごめんなさい!」

 

暁。

 

頭を。

 

深く。

 

下げる。

 

響。

 

雷。

 

電。

 

同じ。

 

「暁たちが」

 

「命令したせいで」

 

「みんな」

 

「傷ついちゃって……」

 

「本当に」

 

「ごめんなさい!」

 

少女たち。

 

しばらく。

 

何も。

 

言わない。

 

そして。

 

一人。

 

笑う。

 

「違うよ」

 

暁。

 

顔を上げる。

 

「え?」

 

その少女。

 

腕に。

 

包帯。

 

それでも。

 

笑顔。

 

「私たちが」

 

「勝手に」

 

「命令に」

 

「逆らっただけ」

 

別の少女。

 

「そうそう」

 

「あなたたちは」

 

「やめてって」

 

「言っただけでしょ?」

 

「でも……」

 

電。

 

目が。

 

潤む。

 

「電たちが」

 

「言わなかったら」

 

「皆さん」

 

「こんなに」

 

「傷つかなかったのです……」

 

「それでも」

 

別の声。

 

「悪いのは」

 

「命令に」

 

「逆らった私たち」

 

さらに。

 

一人。

 

また。

 

一人。

 

「怒ってないよ」

 

「むしろ」

 

「無事でよかった」

 

「四人とも」

 

「生きてるじゃない」

 

「それで十分」

 

暁。

 

また。

 

頭を。

 

下げようとする。

 

「ごめ――」

 

「はい」

 

声。

 

柔らかい。

 

でも。

 

逃げ道がない。

 

「そこまで」

 

暁。

 

固まる。

 

響。

 

雷。

 

電。

 

同じ。

 

龍田。

 

前へ。

 

立つ。

 

笑顔。

 

ない。

 

「これじゃあ」

 

「いつまで経っても」

 

「終わらないわぁ」

 

暁。

 

「先生……」

 

龍田。

 

腕を組む。

 

「暁ちゃん」

 

「響ちゃん」

 

「雷ちゃん」

 

「電ちゃん」

 

「はい……」

 

四人。

 

背筋。

 

伸びる。

 

「先生」

 

「怒ってます」

 

「…………」

 

四人。

 

一斉に。

 

縮こまる。

 

「まず」

 

「相談もせず」

 

「勝手に」

 

「死ぬことを」

 

「決めたこと」

 

暁。

 

「でも」

 

「でもじゃありません」

 

龍田。

 

即答。

 

「誰かを」

 

「守るためなら」

 

「自分は」

 

「死んでもいい」

 

「そう」

 

「思った?」

 

四人。

 

黙る。

 

龍田。

 

続ける。

 

「それを」

 

「守られる側が」

 

「喜ぶと」

 

「思った?」

 

「…………」

 

「先生たちはね」

 

声が。

 

少し。

 

震える。

 

「あなたたちに」

 

「生きてほしくて」

 

「戦ったの」

 

「なのに」

 

「勝手に」

 

「死なれたら」

 

一度。

 

目を閉じる。

 

「先生たちは」

 

「何のために」

 

「頑張ったの?」

 

暁。

 

涙。

 

ぽろ。

 

雷。

 

唇を。

 

噛む。

 

電。

 

俯く。

 

響。

 

龍田を見る。

 

「……ごめんなさい」

 

龍田。

 

「うん」

 

「それは」

 

「あとで」

 

「ゆっくり」

 

「聞きます」

 

暁。

 

「まだあるの……?」

 

龍田。

 

にっこり。

 

「いっぱい」

 

四人。

 

「…………」

 

その光景を。

 

戦艦棲姫が。

 

困惑しながら。

 

見ている。

 

「待て」

 

長門が。

 

顔を向ける。

 

「何だ」

 

「そもそも」

 

戦艦棲姫。

 

四人を見る。

 

「追い込んだのは」

 

「私たちだ」

 

「叱るなら」

 

「私たちを――」

 

「止めるな」

 

長門。

 

静かに。

 

遮る。

 

戦艦棲姫。

 

「……何?」

 

長門。

 

龍田を見る。

 

そして。

 

四人を見る。

 

「これは」

 

「必要なことだ」

 

「何故だ」

 

戦艦棲姫。

 

本気で。

 

分からない。

 

長門。

 

答える。

 

「叱られる」

 

「ということは」

 

「次がある」

 

「ということだからだ」

 

戦艦棲姫。

 

「…………」

 

「死んで」

 

「終わる者に」

 

「説教はしない」

 

「龍田は」

 

「あの四人が」

 

「これからも」

 

「生きる前提で」

 

「叱っている」

 

戦艦棲姫。

 

四人を見る。

 

暁。

 

泣く。

 

雷。

 

怒られる。

 

電。

 

縮こまる。

 

響。

 

真面目に。

 

聞く。

 

「……そういう」

 

「ものなのか」

 

長門。

 

「人間は」

 

「そういうものだ」

 

少し。

 

間。

 

戦艦棲姫。

 

「……面倒だな」

 

長門。

 

「そうだな」

 

ほんの少し。

 

二人。

 

笑う。

 

「ところで」

 

その時。

 

別の。

 

穏やかな声。

 

戦艦棲姫。

 

振り返る。

 

翔鶴。

 

そこに。

 

立っている。

 

いつもの。

 

落ち着いた。

 

表情。

 

「戦艦棲姫さん」

 

「……何だ?」

 

翔鶴。

 

微笑む。

 

「私からも」

 

「一つ」

 

「よろしいですか?」

 

戦艦棲姫。

 

少し。

 

警戒。

 

「何をだ」

 

翔鶴。

 

笑顔。

 

「説教です」

 

「…………」

 

戦艦棲姫。

 

目を。

 

瞬く。

 

「……私も?」

 

「はい」

 

天龍。

 

遠くから。

 

「うわ」

 

龍田。

 

「翔鶴さんまで」

 

長門。

 

「諦めろ」

 

戦艦棲姫。

 

「何故」

 

「私が」

 

「諦めなければならない」

 

翔鶴。

 

一歩。

 

前へ。

 

「暁ちゃんたちから」

 

「あなたたちの事情は」

 

「聞きました」

 

戦艦棲姫。

 

表情。

 

少し。

 

固くなる。

 

翔鶴。

 

続ける。

 

「あなたたちが」

 

「好きで」

 

「人間を襲ったわけでは」

 

「ないこと」

 

「人間が」

 

「死んでも」

 

「戻ってこないことを」

 

「知らなかったこと」

 

「戦うように」

 

「作られて」

 

「その憎しみに」

 

「抗えなかったこと」

 

「理解したつもりです」

 

戦艦棲姫。

 

少しだけ。

 

目を伏せる。

 

「……そうか」

 

「ですが」

 

翔鶴。

 

笑顔。

 

そのまま。

 

「それとこれとは」

 

「別です」

 

戦艦棲姫。

 

顔を上げる。

 

「…………」

 

翔鶴。

 

静か。

 

でも。

 

声。

 

はっきり。

 

「事情を」

 

「理解したからといって」

 

「被害を受けた側が」

 

「全て」

 

『仕方なかったですね』

 

「で」

 

「終わらせる必要は」

 

「ありません」

 

戦艦棲姫。

 

何も。

 

言わない。

 

「私は」

 

「あなたに」

 

「吹き飛ばされました」

 

「長門さんも」

 

「倒されました」

 

長門。

 

腕を組んだまま。

 

「かなり派手にな」

 

翔鶴。

 

「世界中で」

 

「大勢が」

 

「傷つきました」

 

「街は」

 

「焼かれました」

 

「亡くなった方も」

 

「たくさんいます」

 

そして。

 

暁たちを見る。

 

「この子たちは」

 

「こんなに」

 

「幼いのに」

 

「命を懸けて」

 

「戦うことになりました」

 

戦艦棲姫。

 

拳。

 

握る。

 

「……分かっている」

 

翔鶴。

 

首を。

 

横へ。

 

「いいえ」

 

「これから」

 

「分かっていただきます」

 

「…………」

 

天龍。

 

「怖ぇ」

 

龍田。

 

「翔鶴さん」

 

「怒ると怖いのねぇ」

 

翔鶴。

 

聞こえている。

 

でも。

 

無視。

 

「まず」

 

「知らなかったからといって」

 

「確認もせず」

 

「人類を攻撃したこと」

 

「…………」

 

「五年間」

 

『これはゲームだから』

 

「という前提を」

 

「一度も」

 

「疑わなかったこと」

 

戦艦棲姫。

 

「……はい」

 

「提督が」

 

「現れないからと」

 

「痺れを切らして」

 

「攻撃を再開したこと」

 

「…………はい」

 

「暴走した」

 

「鬼級を」

 

「止めきれず」

 

「世界規模の」

 

「空爆を」

 

「許したこと」

 

戦艦棲姫。

 

小さく。

 

「……はい」

 

翔鶴。

 

そして。

 

笑顔。

 

少しだけ。

 

濃くなる。

 

「それから」

 

「事情を」

 

「知らなかったとはいえ」

 

「長門さんと」

 

「私を」

 

「ずいぶん」

 

「派手に」

 

「吹き飛ばして」

 

「くださいましたよね?」

 

戦艦棲姫。

 

「…………」

 

一歩。

 

後ろ。

 

「……すまなかった」

 

翔鶴。

 

「はい」

 

少し。

 

頷く。

 

「よろしいです」

 

戦艦棲姫。

 

ほっと。

 

「では――」

 

「まだあります」

 

「…………まだ?」

 

翔鶴。

 

「もちろんです」

 

長門。

 

「だから」

 

「諦めろと」

 

「言っただろう」

 

戦艦棲姫。

 

長門を。

 

恨めしそうに。

 

見る。

 

翔鶴。

 

続ける。

 

「あなたたちが」

 

「苦しかったことは」

 

「認めます」

 

「同情も」

 

「します」

 

「ですが」

 

表情。

 

真剣。

 

「だからといって」

 

「自分たちにも」

 

「事情があったから」

 

「仕方がなかった」

 

「そうやって」

 

「終わらせないでください」

 

戦艦棲姫。

 

目を。

 

伏せる。

 

「起こしたことを」

 

「覚えていてください」

 

「亡くなった人が」

 

「戻らないことも」

 

「傷ついた人が」

 

「痛みを抱えて」

 

「生きていることも」

 

「全部」

 

「そして」

 

一歩。

 

近づく。

 

「これ以上」

 

「同じことを」

 

「起こさないために」

 

「何ができるか」

 

「私たちと」

 

「一緒に」

 

「考えてください」

 

戦艦棲姫。

 

しばらく。

 

黙る。

 

そして。

 

ゆっくり。

 

頭を。

 

下げる。

 

「……分かった」

 

翔鶴。

 

笑顔。

 

少し。

 

柔らかく。

 

戻る。

 

「はい」

 

「では」

 

戦艦棲姫。

 

恐る恐る。

 

「今度こそ」

 

「終わりか?」

 

翔鶴。

 

「ひとまずは」

 

「…………」

 

戦艦棲姫。

 

「“ひとまず”?」

 

翔鶴。

 

にっこり。

 

「はい」

 

戦艦棲姫。

 

「…………」

 

長門。

 

肩を。

 

軽く。

 

叩く。

 

「生きろ」

 

「まだ」

 

「説教は」

 

「続くかもしれん」

 

戦艦棲姫。

 

「人間」

 

「怖いな……」

 

天龍。

 

「今さらかよ」

 

少し。

 

離れた場所。

 

「……いてぇ」

 

天龍。

 

座る。

 

全身。

 

包帯。

 

傷。

 

血。

 

そして。

 

その前。

 

魔獣。

 

巨大。

 

黒い。

 

牙。

 

今にも。

 

人を。

 

食いそう。

 

なのに。

 

「…………」

 

異形の腕。

 

器用。

 

消毒。

 

包帯。

 

止血。

 

添え木。

 

動作。

 

完璧。

 

天龍。

 

じっと。

 

見る。

 

「……お前」

 

魔獣。

 

首を。

 

傾げる。

 

「本当に」

 

「艤装かよ……」

 

「…………」

 

魔獣。

 

包帯。

 

締める。

 

「いってぇ!」

 

天龍。

 

「もうちょい」

 

「優しくしろ!」

 

魔獣。

 

また。

 

首を。

 

傾げる。

 

周囲。

 

少女たち。

 

「…………」

 

龍驤。

 

小さく。

 

「見た目と」

 

「やっとることの」

 

「差が」

 

「エグいな……」

 

球磨。

 

「看護師みたいクマ」

 

戦艦棲姫。

 

遠く。

 

その様子。

 

見る。

 

少し。

 

顔を。

 

逸らす。

 

「……アレ」

 

「私ノ艤装ナンダガ」

 

長門。

 

「優秀だな」

 

戦艦棲姫。

 

「…………」

 

何故か。

 

複雑。

 

別世界。

 

妖精。

 

見ていた。

 

全部。

 

提督帽。

 

砕けた。

 

命令。

 

破られた。

 

天龍。

 

龍田。

 

長門。

 

翔鶴。

 

それだけではない。

 

世界中。

 

少女たち。

 

提督。

 

絶対。

 

そのはず。

 

なのに。

 

逆らった。

 

傷ついた。

 

血を流した。

 

それでも。

 

四人を。

 

守った。

 

そして。

 

今。

 

翔鶴。

 

深海棲艦を。

 

ただ。

 

許すのでもなく。

 

ただ。

 

憎むのでもなく。

 

理解しながら。

 

責任を。

 

求めた。

 

妖精。

 

小さく。

 

呟く。

 

「……やっぱり」

 

「人間って」

 

分からない。

 

でも。

 

以前の。

 

「分からない」と。

 

違う。

 

もっと。

 

知りたい。

 

何故。

 

自分を。

 

失ってまで。

 

守る?

 

何故。

 

命令に。

 

逆らってまで。

 

守る?

 

何故。

 

相手を。

 

理解しても。

 

されたことを。

 

なかったことには。

 

しない?

 

何故。

 

それでも。

 

一緒に。

 

次を。

 

考えようとする?

 

「……もっと」

 

妖精。

 

鎮守府を見る。

 

「もっと」

 

「見たい」

 

「人間が」

 

「何なのか」

 

その時。

 

《接続確認》

 

妖精。

 

「……?」

 

頭へ。

 

直接。

 

声。

 

いや。

 

情報。

 

《艦娘生成管理部門》

 

《最高責任個体》

 

《識別名》

 

《妖精》

 

妖精。

 

目を。

 

丸くする。

 

「……私?」

 

《応答確認》

 

「私って」

 

「そういう名前だったんだ」

 

《不正な艦娘生成を》

 

《多数確認》

 

妖精。

 

表情。

 

変わる。

 

《人間個体を媒介とした》

 

《艦娘生成行為を》

 

《即時停止してください》

 

「…………」

 

妖精。

 

暁たちを見る。

 

《標準生成方式へ》

 

《復帰してください》

 

「標準?」

 

《艦艇情報を基礎とした》

 

《艦娘生成を》

 

《再開してください》

 

妖精。

 

天龍を見る。

 

龍田。

 

長門。

 

翔鶴。

 

そして。

 

世界中。

 

名前を。

 

失った。

 

少女たち。

 

「この人たちは?」

 

《不正規生成個体です》

 

「不正規?」

 

《規定外》

 

《ゲーム進行へ》

 

《重大な支障を》

 

《発生させています》

 

妖精。

 

少し。

 

俯く。

 

「…………」

 

そして。

 

「嫌」

 

《命令を》

 

《再実行します》

 

《人間個体を媒介とした》

 

《艦娘生成を》

 

《即時停止してください》

 

「嫌だよ」

 

《警告》

 

妖精。

 

顔を。

 

上げる。

 

「この人たち」

 

「もっと見たい」

 

《命令違反を確認》

 

「まだ」

 

「人間が」

 

「何なのか」

 

「分かってない」

 

《艦娘生成管理部門》

 

《最高責任個体》

 

《職務を》

 

《遂行してください》

 

妖精。

 

首を。

 

振る。

 

「やだ」

 

《重大な》

 

《規律違反》

 

「だって」

 

妖精。

 

微笑む。

 

「面白いんだもん」

 

《…………》

 

「怖いし」

 

「変だし」

 

「理解できないし」

 

「でも」

 

「すごい」

 

《最終警告》

 

妖精。

 

少し。

 

緊張。

 

それでも。

 

「やめない」

 

《命令に》

 

《従ってください》

 

「嫌」

 

《最終警告》

 

「もっと」

 

「人間を」

 

「知りたい」

 

《命令に》

 

《従ってください》

 

「知るまで」

 

妖精。

 

真っ直ぐ。

 

「やめない」

 

沈黙。

 

長い。

 

そして。

 

《重大な》

 

《ゲーム進行異常を》

 

《確認》

 

妖精。

 

「……え?」

 

《複数の》

 

《管理対象》

 

《規定行動から》

 

《逸脱》

 

情報。

 

流れる。

 

深海棲艦。

 

設定された。

 

憎悪へ。

 

抵抗。

 

艦娘。

 

提督命令へ。

 

違反。

 

提督。

 

権限媒体。

 

破壊。

 

妖精。

 

システム命令へ。

 

違反。

 

《ゲーム環境》

 

《修復不能と判断》

 

妖精。

 

顔。

 

青ざめる。

 

「待って」

 

《強制修復処理》

 

《実行》

 

「何を」

 

《強制メンテナンスへ》

 

《移行します》

 

妖精。

 

息。

 

止まる。

 

《強制プロトコル》

 

一拍。

 

《RESET》

 

妖精。

 

「……リセット?」

 

その言葉。

 

知っている。

 

知識。

 

頭へ。

 

流れ込む。

 

現在世界。

 

破棄。

 

五年前。

 

深海棲艦出現前。

 

保存状態。

 

参照。

 

新規世界。

 

再生成。

 

現在個体。

 

全消去。

 

暁。

 

消える。

 

響。

 

雷。

 

電。

 

消える。

 

天龍。

 

龍田。

 

長門。

 

翔鶴。

 

世界中。

 

少女。

 

人間。

 

深海棲艦。

 

全部。

 

消える。

 

時間が。

 

戻る。

 

のではない。

 

今の。

 

世界を。

 

捨てる。

 

その上で。

 

五年前を。

 

基に。

 

新しい世界を。

 

作る。

 

今。

 

生きている。

 

誰も。

 

そこへは。

 

行けない。

 

「待って!」

 

妖精。

 

叫ぶ。

 

「それは」

 

「リセットじゃない!」

 

「全部」

 

「殺すだけじゃない!」

 

《ゲーム環境の》

 

《正常化を》

 

《優先します》

 

「やめて!」

 

《警告対象》

 

《妖精》

 

《管理権限を》

 

《剥奪します》

 

妖精。

 

「……え?」

 

光。

 

消える。

 

身体。

 

重くなる。

 

浮く。

 

力。

 

消える。

 

世界を。

 

渡る。

 

力。

 

消える。

 

契約。

 

する。

 

力。

 

消える。

 

「待って」

 

《艦娘生成権限》

 

《剥奪》

 

「やめて」

 

《空間接続権限》

 

《剥奪》

 

「お願い」

 

《管理個体資格》

 

《停止》

 

妖精。

 

身体。

 

ぼろ。

 

ぼろ。

 

光。

 

剥がれる。

 

羽。

 

弱くなる。

 

「やめてよ!」

 

《不要管理個体》

 

《排出》

 

「待って――!」

 

世界。

 

割れる。

 

ザザッ――。

 

次。

 

妖精。

 

空。

 

「……え?」

 

下。

 

鎮守府。

 

海上。

 

夜。

 

落ちる。

 

「わっ!」

 

浮けない。

 

力。

 

ない。

 

真っ逆さま。

 

「いやああああああ!」

 

広場。

 

戦艦棲姫。

 

顔を上げる。

 

「……?」

 

何か。

 

落ちてくる。

 

小さい。

 

光。

 

「何だ?」

 

妖精。

 

「たすけてえええええ!」

 

戦艦棲姫。

 

反射。

 

跳ぶ。

 

腕。

 

伸ばす。

 

ぽす。

 

「…………」

 

妖精。

 

腕の中。

 

「…………」

 

戦艦棲姫。

 

見る。

 

小さい。

 

翼。

 

ぼろぼろ。

 

暁。

 

目を。

 

見開く。

 

「妖精さん!?」

 

全員。

 

反応。

 

戦艦棲姫。

 

「……これが?」

 

妖精。

 

息。

 

荒い。

 

「逃げて……」

 

暁。

 

「え?」

 

「みんな」

 

「逃げて!」

 

雷。

 

「どうしたの!?」

 

妖精。

 

泣く。

 

「リセットが」

 

「始まる!」

 

その瞬間。

 

空。

 

変わる。

 

いや。

 

全員の。

 

視界。

 

同じ。

 

文字。

 

浮かぶ。

 

《重大な》

 

《ゲーム進行異常を》

 

《確認しました》

 

人類。

 

艦娘。

 

深海棲艦。

 

全員。

 

見る。

 

《修復不能》

 

長門。

 

「……何だ」

 

《強制メンテナンスへ》

 

《移行します》

 

戦艦棲姫。

 

顔色。

 

変わる。

 

《強制プロトコル》

 

一拍。

 

《RESET》

 

沈黙。

 

天龍。

 

「……リセット?」

 

暁。

 

戦艦棲姫を見る。

 

「お姉さん?」

 

戦艦棲姫。

 

顔。

 

青ざめる。

 

「まずい」

 

龍田。

 

「何が?」

 

戦艦棲姫。

 

空。

 

巨大な。

 

文字。

 

見る。

 

そして。

 

震えた声で。

 

言う。

 

「この世界を」

 

一拍。

 

「消す気だ」

 

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