異世界帰りのTS美少女勇者、人気ダンジョン配信者に成り上がりながら、「性転換の薬」を追い求める 作:冰藍雷夏
朝の起床。
それは1日の始まりの機嫌を決める大切な目覚めだ。
ちゃんと気持ちよく目覚められれば、その日1日の気分は楽しく過ごせるような気がする。
「おはようございます、
「……あぁ、おはよう、
「はい! 早速、お着替えをお手伝いします」
「いらんわ。そんくらい1人でできるって」
「しょんなぁ~!」
起きた途端に、俺の部屋には水着メイド姿の有栖川サラが立っていた。
どうしてこうなったかって?
あの暗黒義妹に押し付けられたからさ。
あのアホ義妹は、散々サラをうまいぞぉ棒調教で分からせながら弄び。
彼女の自尊心をバッキバキに折った後は俺の方へと丸投げしやがった。
あんの野郎~!
「御主人しゃま……二度寝しますか? 朝エチエチしますか?」
「しねえよ、起床したんだよ。それと俺のベッドに入って来ようとするな……や、止めろ……どこ触ってんだ! つうか脱ぎ始めるな。サラ!」
「これも未熟な心を持ったアタシを反省させるためでしゅ。だからアタシを懲らしめて下さい御主人しゃま」
サラ壊れちゃった。
恐ろしい義妹に分からされちゃったサラとの、変な関係が日々構築され始めた。
いや、実際は義妹いわく、サラは「性転換の薬」について多分知っているからなんとか聞き出せとのことだったので、仲良くなってその情報を俺に聞き出すように仕向けたんだろう……と思いたい。
「……御主人しゃま。アタシいじめられるのしゅきです」
「うおおぉ! 水着姿で抱きつくな! しっかりしろ! トップアイドル~!」
サラの身体能力「身体超過敏」。この特性によりサラは布地面積が少ない方が自身の身体にストレスを感じないとか言い、直ぐに全裸になりたがるのは止めてほしいんだが。
まぁ、ドキドキはしても俺にはもう立つものがないから何も起こらないんだ。こんちくしょう~!
◇
『数日前に起きました氷室家ご子息失踪事件ですが、大手アイドル事務所の社長「有鹿ナナ」さん(現在行方不明中)が、この事件に深く関与している可能性が浮上し、それにともない、アルカナ事務所の代表アイドル、有栖川サラさんは無期限の活動休止を突然SNSで発表したとのことです。なお、アルカナ事務所株式会社の株は大幅に……』
「おー、もうニュースになってるし。私のお兄に手を出すからこうなるのだよ。しめしめ……とはいっても日本 最大手のアイドル事務所が潰れると、お兄と私の氷室家にも影響がすこぶるでるのはいただけないので……」
バンッ!
「おい! アホ義妹! こいつをどうにかしろ! お前がサラを魔改造したせいで、こちとら毎朝毎朝密着されて大変なんだぞ」
「御主人しゃま、御主人しゃま~!……アタシに服を着させないで下さい。過敏なんで……すぅ」
サラに抱きつかれながら、なんとかリビングまでやって来た。
「おや、私の大切なお兄と身辺警護係のサラっちじゃないの。おはよう」
「あぁ、おはよう……じゃねえ! なにさらっと流そうとしてんだ。引き取れ! この変態女をお前が引き取れよ。舞香ちゃんよう」
「ん……ユウ御主人しゃま。乱暴だめですぅ」
「痛たた!! 抱きつくな! 離れろ馬鹿力がああぁ!」
流石は日本でもトップの戦闘力を誇る
「え~! いいよ。私にはお兄がいるもん。使用済みのサラっちはお兄の護衛兼色んなお世話係として重宝しなよ。夜のお供にどうぞ」
「いるかアホ! 自分じゃあサラをコントロールできないから俺に丸投げしただけだろうが。俺はリサイクル屋じゃねえんだ。返品するわ」
「いやいや、私は新品がいいもん。ちなみにサラっちのここは新品未使用だって本人が言ってたよ。ねえ? サラえっち」
「しゃい! 舞香しゃま~! 脱ぎます!」
「脱ぐな!」
くそ、朝からカオスだ。
義妹いわく、サラは俺との戦いの一件以来、有栖川家……つまり実家から数年間の絶縁をされたらしい。
まぁ、実の妹に刃物を向ければ親がブチギレてそうもなるわな。自業自得だ。
そして途方に暮れていたサラを拾ったのは愚かなる俺の義妹だった。
(家の近くで落ちてたから拾ってきちゃった。調教済みだし、丁度いいからお兄の護衛にしようよ。戦闘力最強だし、このエチエチなサラっちがお兄のお兄を守ってくれるよ~! 良かったね。お兄~! ちなみに私とお兄に逆らったら今度は中身を調教してあげるから覚悟してね。サラっち)
(しゃ、しゃい! 舞香しゃま)
なんて目をキラキラさせながら連れてきてたな。そんでサラが扱いきれない変態生物だと気がつくとどうぞどうぞだ。
どうなってんだよ。この飽き性義妹は?
「別にいいじゃん。サラっちはこんなエロい身体だし」
「あんっ!」
サラの両胸を揉むな。義妹よ。
「常に水着か全裸で家の中を徘徊するんだよ? 目の保養に最適じゃん。こことか具合凄く良さそうだよ」
「だめぇですぅ!」
サラの両尻をガシッと掴むな義妹様よう。
「それにサラっちは、こんなエロい身体だけど超一流のトップアイドルで女の子としても一流。女の子の所作を学ぶのにこんな都合のいい裸体はないと思うんだけど? どう思う? お兄」
「しゃ、しゃあ、口は駄目ですぅ」
サラの唇を指でエロくなぞるな変態義妹。
「あのアホロリおば様がやらかして、行き場を失ったサラが心配なだけだろう? そんでしばらく、サラの戦いで弱ってる俺の護衛をさせるために家に連れてきて保護して、俺の護衛係兼お世話係で働かせて給料あげるって魂胆か? 相変わらず、遠回りでめんどくさいツンデレみたいな優しさだな舞香ちゃん」
舞香は性格は終わっているがじつは優しい。
調教して、自分の素で本音を話せるサラを心配してんだろう……
「は? 違うし、サラっち。今のお兄の発言ムカついたから罰はサラっちが受けてね。全裸になってお兄に向けてお尻を広げて」
「しゃ……えぅ!? いきなりですか?」
バチンッ!
「しゃああ!!」
「早く脱ぐの!」
「しゃいっ!」
「止めろアホ! 朝から日本のトップアイドルになにさせる気だ?」
「え~? 中身観察? 望遠鏡あるからお兄、覗く?」
「何をだ? いいから止めろ。朝からハード過ぎるわ! 朝飯食って学校行くぞアホ!」
「ちぇっ! 了解しましたわ。お兄様……サラっち、今度からお兄が私をイラッとさせたらお仕置きはサラっちが代わりに受けるからね。いい?」
……なに言ってんだ? 義妹様よう。
「はい♡嬉しいです♡ 沢山いじって下さい。アタシのユウちゃま」
うわぁ、サラの両目がハートになっているように見える。気のせいか?
「そうそう。いじるのは私で、心がぞっこんになるのはお兄だよ。調教の成果が出て良かった良かった」
「……全然よくねえわ。どうすんだよ。朝からトップアイドルに痴態なんてさせて、アホ」
「サラっちは家からは出ないから大丈夫だって、家は広いしね。全裸で屋敷を徘徊しててもなんの問題もないって、お兄は心配性だな。まったく」
「心配だらけだろうが! 本当にどうすんだよ! これからの新生活~!」
なるほど。舞香が俺へのフラストレーションを最近ぶつけて来なくなったのは、サラにエロい命令をしてストレス発散してたからか。
これまでの反応からドMであるのは確実なサラも、ドSな舞香に命令されて嬉しそうだし、お互いウィンウィンの関係性ってわけか。
変態共め。
そんなところで変態共鳴しなくていいんだよ。
こうして俺たちの家には、完落ちしたトップアイドルが住むことになった。
しかも俺のお世話係として――――
◇
「「「きゃあ~! 舞香様。おはようございます~!」」」
「おはようございます。皆さん、今日も良い天気ですね」
「「「はい!」」」
学校に着くなり、取り巻きたちに囲まれる舞香。いいぞもっと囲め。雁字搦めに囲まれろ。
そして、そんな様子を俺は少し離れた席で両耳にイヤホンをしながらボーッとスマホ片手に見ていると、登校してきた有栖川が話しかけてきた。
「おはようございます、氷室さん。サラお姉さまは皆さんにご迷惑をおかけしてませんでしょうか?」
「ん? おー、おはよう。全然かけてないぞ。毎朝起こしに来てくれるし、目の保養になってるからな。ほれ」
「目の保養ですの?」
俺はスマホの画面を有栖川に見せる。
『ん……ユウ……しゃま……ここに……くだ―――――――――ピ――――――』
獣みたいな雑音が部屋の中で木霊して、聞き取りづらくなったぞ。いったい何が始まったんだ?
「サ、サラお姉さま!? 氷室さんのベッドで寝そべりながら何してますの?」
「何してんだろうな? 女の子になった俺にはよく分からん。まぁ、朝からストレス祭りだったし発散してんだろう」
人間はどこかしらでストレスを発散しなければいけない。サラは俺のベッドで何かを。俺はサラの何かを見ながら興奮しストレス発散。
これが世に言う等価交換の法則に違いない。
「わ、わたくしのお姉さまは変態ですの~!」
「いやいや、俺の義妹様の方とんでもないから大丈夫……いや、もっといたな変態。俺の元お世話係の変態」
「サラお姉さまを越える変態さんですの?」
「あぁ、俺の写真を常に持ち歩いてる女の子でな。とある問題を起こして氷室家の屋敷の別の部署に飛ばされて、名前はたしか愛花ちゃんだったか?」
俺がボソッとその名前を言うと、近くの席の女の子が反応した。
「はい? アタシの名前を呼びましたか? 氷室様」
「え?……あれ?……ん~?……君は愛花ちゃんか?」
「? はい。獅子舞愛花。氷室舞香お嬢様の警護兼学友でございます」
「…………は?」
その女の子はかつての俺の元お世話係。
愛花ちゃんだった。
その昔俺に求愛し、義妹の逆鱗に触れて俺の前から姿を消した、俺に初めて告白してくれた女の子だ。