異世界帰りのTS美少女勇者、人気ダンジョン配信者に成り上がりながら、「性転換の薬」を追い求める   作:冰藍雷夏

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第16話 オニイニウム、俺の救世主

〈舞香視点〉

 

 私のお兄が帰ってこない。

 

 なんで?

 

「ま、舞香ちゃん。手が震えていますが大丈夫ですの?」

「え? えぇ、″オニイニウム″を摂取すれば収まります。自分が飼っているペットの匂いを嗅げないのと同じ現象に陥っているだけなので大丈夫です」

「……そ、それは本当に大丈夫ですの?」

「はい」

 

 お兄が戻って来ないと吸えない。お兄の″オニイニウム″が摂取できないよおぉおぉぉ!!

 

「ま、舞香ちゃん。スマホが鳴っているようですが。もしかして氷室さんからでは?」

「え?……あ、本当ですね。確認してみます」

 

 お兄からの連絡? もしかして、お兄を敬愛している愛花ちゃんにお兄のお兄が奪われちゃったの?

 

 い、いや待って! 愛花ちゃんにはちんこはついてないんだから、お兄に挿入はできないじゃん。勘違いしちゃ駄目駄目よ、私!

 

 それよりもお兄からの告白メッセージを早く聞かなくちゃね。

 

 

『ピッ!……もしもし、舞香ちゃん。体調が悪くなったんで先に家に帰るわ』

「ん?」

「ま、舞香ちゃん?」

 

 お兄のメッセージ、今なんて言ったの?

 

『え? ちゃんと真実を言ったほうがいい? わ、分かったよ。悪い舞香ちゃん。これから俺と愛花ちゃんでダンジョンに挑みに行くわ』

「あん?」

「ま、ま、舞香ちゃん?」

 

 おいおい、お兄。メッセージに何を残してるのかにゃ?

 

『キュフ、というわけで舞香お嬢様。ワタシはユウさ…ユウさんの新人研修のためにダンジョンに向かいます。それでは…あっ! 勿論ちゃんと寝とりますので怒らないで下さいね、舞香お嬢様。それでは~♪――――こら勝手に切るな、愛花ちゃん……ピッ!……ツーツーツーツー』

「何ですか? このメッセージは?」

「ま、ま、舞香ちゃん!? お顔がとんでもなく怖くなってますわよ。大丈夫ですの?」

「………あら? 失礼致しました。私はいつも大丈夫です」

「そ、そうですのね。それは良かったですわ」

 

 

 うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ、いやあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!! お兄の上から下までの隅々全てが私のものなんですけど? 愛花ちゃん、なんて言ってた?

 

 私のお兄を寝とる?……駄目ええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ、お兄は私のお兄なのにににににににに駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目お兄お兄お兄お兄お兄お兄お兄お兄……の初めてを奪ってエッチしたいのは私なのに!!

 

 ……やられた~! お兄の身体と心は絶対に取り戻すんだから、覚えておいてね、愛花ちゃん!

 

「フゥー……どうやら、ユウさんと愛花さんは先に帰ったようですので、お代わりのモンブランを30人前頼みましょう。そうしましょう、アリスちゃん」

「さ、30人前? す、少し落ち着いて下さい! 舞香ちゃん」

「はい! 私は至って冷静です。いつも完璧ですよ、アリスちゃん」

 

 …………仕方ない。

 

 このお茶会が終わったら、教室に戻って鞄の中にある″オニイニウム″が染み着いたハンカチを持ってトイレに行って、この高ぶったお兄のお兄を鎮めなくちゃ。

 

「その前に、サラっちに連絡ですね。フフフ、お兄、愛花ちゃん。私には日本最強の変態が味方に付い……て? サラっちの電話が圏外? なんで?」

「……舞香ちゃん?」

 

 

◇

 

 

〈ユウ視点〉

 

 船橋帰りにある葛西ダンジョンにやって来た。

 

 葛西ダンジョン前にはダンジョン監視ギルドがあるので、ダンジョン用の戦闘服に着替えてきた。勿論、舞香ちゃんの言い付け通りの麦わら帽子に白いワンピースだ。

 

「お待たせ~! この格好じゃないと舞香ちゃんが不機嫌になるからさ」

 

 ブシューッ!

 

 愛花ちゃんが俺を見た瞬間、宙へと鼻血のアーチを吹き出した。

 

「……ナイスハレンチです、ユウ様。今すぐに襲って食べちゃいたいです」

「……そうか。相変わらずヤバイな愛花ちゃんの思想は」

「はい、ナイスハレンチです、ユウ様」

 

 こっちの話を聞いちゃいねえ。

 いや、まぁ。愛花ちゃんに襲われないために、こちらも用心棒を頼んだんだがな。

 

 そろそろ来るかな?

 

「ユウさ~ま! お待たせしました!」

 

 夏だと言うのに全(・)身(・)を覆うレインコートを着た有栖川サラが、俺の元へと一直線にやって来て……俺へと抱きついた。

 

「は、はぁああああああ!? 何してるんですか、貴方はああああああああああああぁ!?」

 

 周囲にもダンジョン探索者は居るが、有名人のサラに一切の反応を示さないのは認識阻害の魔道具でも使ってるんだろうな。

 

「おー、助けに来てくれてありがとう、サラ~! 今日はよろしくな」

「はい! ユウさま!」

「ちょ、ちょっと待って下さい、ユウ様! だ、誰ですかこの綺麗な女の子……有栖川サラ…さん?」

「はい、ユウさまのメス豚のサラです! よろしくお願いします!」

「メス……豚?」

 

 とんでもなく自己紹介を満面の笑みでするサラに、とんでもない変態である愛花ちゃんはドン引きしていた。

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