異世界帰りのTS美少女勇者、人気ダンジョン配信者に成り上がりながら、「性転換の薬」を追い求める   作:冰藍雷夏

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第24話 パーティーダンジョン、女たらし

:待機

:待機

:待機

:コン、コン、権狐~!

:全○待機

 

 

 登録者稼ぎの為の配信準備もOK。

 

「あ、あの……生配信までやるんですか? 個人情報はわたし」

「ん? あぁ、心配いらないぞ。この認識阻害の変身眼鏡付けてれば正体バレないからな。あげるよ」

「ふぇぁ!? あ、ありがとうございましゅ」

「おう!」

 

 サラから大量に貰った「化けるの大好き眼鏡」。萌に渡した。

 

 なんでもご主人様は常時姿を偽っていないと襲われる恐れがあるので持っていて下さいとか言われたんだが。どういうことだろうか?

 

「まぁ、チームでないと入れないダンジョンですの?」

「えぇ、なんでもこの奥で「性転換の薬」の作り方が綴られた紙の断片があるとユリカ奥様が教えてくれたらしいのです。探してワタシたちの役割はユウ様の護衛です」

「護衛ですの? たしかにダンジョン内は危険ですけど……氷室さんなら危険な目にあっても大丈夫ではないですの?」

「ダンジョン内では問題ありません。その後です」

「その後?」

 

 探索者用の衣服に身を包んだ有栖川と愛花ちゃんが、ダンジョン内での役割分担を話し合っているのだろう。

 

「……あ、あの、わたしはあまり運動とかダンジョン攻略とかは得意ではないんでしゅがどうすれば?」

「ん? あぁ、俺も()()()だと何回かしかしたことないから気にしなくていいぞ。楽しめばいいよ」

「た、楽しむでしゅか? わ、分かりました」

 

 萌は緊張しているんだろう。

 顔が汗だらけで身体が震えていた。

 

「それじゃあ、ダンジョン内に入るか」

「「はい!」ですわ!」

「しゃ、いぃ!」

 

 まぁ、今回入るダンジョンの攻略難易度なんてたかが知れているし、ハプニングなんてなんにも起きないだろう……たぶん。

 

 

 

 

 

 

 〈萌視点〉

 

 舞香様が話していた印象とだいぶ違う人。

 

「コン、コン、き~つね! 金色狐のユウで~す! 今日は浅草ダンジョンに美少女4人組で挑戦したいと思いま~す!……は? 同接もう1万人だと? あ、ありがとう~!」

 

:ユウちゃん。コンキツネ~!

:アリスちゃんとのコラボありがとう

:素顔未確認美少女ユウちゃんキター

:アイカちゃんサングラス&スーツのコスプレ最高

:新入りさんかな? 緑眼鏡ちゃん可愛い

 

「ありがとう~! これからどんどん奥に進んで行くよ~!」

「よ、よろしくお願いしますの」

「これはコスプレではないのです!」

「よ、よろしくお願いしましゅ!」

 

 ……配信が始まってもその人は穏やかな様子だった。

 

 おおらかで優しい印象は変わらない。

 視聴者の方々も優しいコメントばかり。

 

「あ、あのいつもこんな感じなんですか?」

「ん? あぁ、のほほんとやってるな。舞香ちゃ…とある魔王の策力がなければ平和だな。帰ったら何が待ち受けているか分からんけど。あ! スパチャありがとう~!」

「……そう、なんですか」

 

 最初、舞香様と一緒に現れた時は嫌な人かと思った。

 

 妙に舞香様と距離が近い女の子が現れたと、私の居場所が奪われるんじゃないかと勝手に考えた。

 

「萌っちは、回復魔法主体の探索者なんだな。覚えるの大変だったろう。すげえじゃん」

「い、いえ、これも全ては舞香様が怪我をしないためですから」

「そうなのか? それは嬉しいな。これからも舞香ちゃ…舞香お嬢様と仲良くしてあげてくれな。よろしく頼むよ」

 

 氷室さんはわたしの肩をポンッと優しく叩いた。いつも家では頼られることがないわたしに。

 

 優しい笑みを向けてくれた。

 

 

 わたしが生まれた家、椎名家は人並み以上にできて当然という家だった。

 褒められることはあまりない家、でも舞香様はわたしの些細な気遣いでも褒めてくれる人。

 

 小さい頃からあの人はわたしの本質を見極めて側に居させてくれる優しい人だった。

 

 だから、いきなり現れたよく分からないこの可愛い女の子に嫉妬していたのに。

 

「……なんでドキドキしてるんでしゅか、わたしは?」

 

 目の前で黄金の剣を振るう美少女。

 黄金の髪に白磁のような綺麗な肌と顔立ち。

 

「エクスカリバー!……! 萌っち、危ない! 風よ、友の宿敵を払え」

「ふぇ!?」

 

【キシャアアア!!】

 

 舞香様に頼まれたスパイ活動がバレた?

 嘘? このタイミングで?

 

「……間に合ったな。怪我はないか? 萌っち」

「……は、はい。ありがとうござ……氷室さん! 傷が! い、今すぐ治します! 新緑の癒し」

「いや、このくらいかすり傷だって、でも萌っちが無事で良かったぜ」

「はぅぁぁ!? こ、こちらこそありがとうございましゅ」

 

 あ、駄目だわたし、このまま行くとこの人にわたしはたぶん落とされちゃう。

 

 蕩けてる脳みそが警鐘を鳴らし始めてる。

 「このまま一緒に居たら危険だぞ。取り返しがつかないことになるから、さっさと逃げろ」ってシグナルを発してる。

 

 そのくらい氷室ユウさんという人物は美少女なのに、男らしくて素敵で優しい人なんだって気がついてしまった。

 

 ……酷いですよ、舞香様。

 こんなすごくすごくすごくすごく素敵な女の子を独り占めにして付き合おうとしていたなんて。酷いです――――このままだとわたしが氷室さんの魅力に堕ちちゃうじゃないですか。

 

「ふへぇ……」

 

 まったくもう。なんでこんな好い人をわたしにもっと早く紹介してくれなかったんですか?

 

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