異世界帰りのTS美少女勇者、人気ダンジョン配信者に成り上がりながら、「性転換の薬」を追い求める 作:冰藍雷夏
「ユウちゃ〜ん! お待たせ~! お久~!」
「お~! なつめ久しぶり~!」
俺にちんぽがまだあった頃の男友達に、百合《ゆり》なつめという子がいた。
そして浅草ダンジョンの秘密の隠し部屋で手に入れた紙切れには、百合家の家紋が彫られた印が押してあり、なつめのサインまであったんだ。
その家紋を見た俺はピンときた。
「性転換の薬」の作り方を記した何かを持っているのは、百合家の関係者に違いないと。
それを相談するためになつめをここに呼んだんだが。
「わ~! 本当に女の子になっちゃったの? 超絶美少女じゃん! ユウちゃん」
「お、おい! やめろ! いきなり抱きつくな! 舞香…お嬢様が見てるだろうが。お仕置きされるわ」
いきなり抱きしめられた。
「え~! いいじゃん別に。
「は?」
……いやいや待ってくれ。俺の昔からの親友、百合なつめは男の子だったはず。
長い銀髪をポニーテールにまとめ、中性的な美少年顔で……
「うん。それは隠してんだ~! わ~! これからは女の子同士で遠慮なくコミュニケーションできるね。ぎゅ~だよ! ユウちゃん」
「お、おい! マジでお前女の子だったのか? なんで隠してた?」
「なにって、その方がスリルがあって面白いじゃん! 昔は一緒にお風呂にも入ったのに、ユウちゃん全然気がつかないんだもん。面白い~!」
衝撃の事実が発覚した。
俺の昔からの男の親友は女の子……雌だったんだ。
「お、お、お、お、お、い、お兄。その新しく現れてお兄に究極のスキンシップを図る超絶美少年はいったい誰なのかな? ていうか、その子が女の子ってどういうことぉ、お、お、お、おんぅん!?」
オットセイのように身体を震わせて、オットセイのような声を上げる暗黒義妹が俺へと迫り。
「ここに来て新たな女の子登場ですか? それに、そんな可愛い女の子の存在はまったく把握していませんでした。ユウ様、なぜワタシにその方の存在を教えてくださらなかったんですか?」
いや、だから、なつめは俺がちんぽあった頃の男友達だから今日紹介してやろうと思ってたんだけどな。
つうか、なんでそんなに興奮してんだ愛花ちゃん。
「……百合家のなつめさん? 百合家にそんな方いましたか?……初めまして、椎名萌と言います。こちらの舞香様のお友達です。よろしくお願いいたします。それと、それ以上親しみに任せて氷室さんに近づかないでくれませんか? 不愉快なんで」
おー、流石この中ではまともな萌っちだ。
初対面の相手に普通の挨拶ができてる……?
……なんか皆イラついてないか?
「うわ~! 身体が女の子に変化《へんげ》したから慌ててるって割に落ち着いてると思ったら、ユウちゃんを心配してくれる女の子たちがこんなにいるんだね。ボク、少し嫉妬しちゃったよ~!
「な、なつめ? そんなに強く抱き締められると動けないのだが」
「ん〜? いいのいいの。今日はユウちゃんに『性転換の薬』の件が書かれた紙切れを渡す代わりに、事務所に入ってもらうよう交渉に来たんだからさ」
「な……に?」
「出番だよ! リリアちゃ〜ん!」
突然なつめが大声を上げた。
それに、リリアだと?
リリアといえば、アイドル配信者のサラと並ぶ三大アイドルで、ナイスバディな体を持つとかいう……人気配信者のリリアか?
「は〜い! 副社長! つ〜か〜ま〜え〜た!」
巨大な網が俺の頭上を覆う。
そしていつの間にかなつめの奴が居ない!?
「これはまさか。生け捕りってやつか?」
「そうそう~! まさか金色狐ちゃんの正体が副社長の親友とはね~! これから同じ事務所になるんだし、よろ~!」
ボーイッシュな青髪の女の子が網を片手に俺へとウインクする。
あの容姿、間違いない。人気配信者のリリアだ。
「させません! 激流剣!!」
愛花ちゃんが豊満な胸から短刀を取り出すと、頭上に撒かれた網を細切れに切り裂いた。
「へ? ウチの網がボロボロに切られた?」
「氷室家の守り人だね~! 流石はユウちゃん。良い相棒を連れてるね」
なつめの奴、いつの間にリリアの隣に立ったんだ?
「あ、愛花ちゃん!?」
「ユウ様は、あの男の娘のお相手を! ワタシはユウ様を捕縛しようとした女を殺ります!」
「……殺意が怖いわ。了解、リリアは愛花ちゃんに任せるよ。来い! エクスカリバー!! 風よっ!」
右手には黄金の剣。
風の魔法でなつめとの距離を一気に詰める。
ガキンッ!
「金の斧? なんでそんな物物しい物持ってんだ! なつめ!」
「フフフ、
なつめの奴はいったい何を言ってるんだ?
それに目が……いつもの黒い瞳から金色に変わってる?
こいつ、色々とやばい。
「萌っち! 戦いのサポートを頼む。千里眼魔法で、なつめとリリアの弱点を探ってくれ!」
「……了解です。氷室さん!」
「愛花ちゃんはなるべく適切な距離で戦って時間を稼いでくれ! 俺がなつめを倒したら加勢する」
「了解しました! ユウ様!」
仲間たちに次々と指示を与えていく。
「お、お、お、お、お兄、私は?」
そしてオットセイの真似をする舞香ちゃんのことをすっかり忘れていた。
「……とりあえず応援頼む。オットセイ義妹」
「だ、誰がオットセイだってぇ? お兄……お、お、お、お」
とりあえず普段引きこもりの舞香は応援に回す。
「フフフ、ユウちゃん。ボクに勝てると思ってるの? いつもボクの色気に発情してたのにさ」
「うるさいぞ、なつめ。俺の今の性別は女の子。俺が形なりにもお前に発情なんてするわけないだろう!」
そして始まるは、女の子同士?の戦いだった。