異世界帰りのTS美少女勇者、人気ダンジョン配信者に成り上がりながら、「性転換の薬」を追い求める 作:冰藍雷夏
日本のトップアイドル、トップ配信者、トップの戦闘力を持つ、トリプルホルダー「有栖川サラ」。
「まずは脱ぎなよ、お洋服をさぁ。君は麦わら帽子と白いワンピースか麦わら帽子と白い水着しか着脱は許さないからね。あぁ、それとその姿変化の仮面もちゃんと取ってね。超絶美少女ちゃん。可愛い女の子は世間に晒してなんぼなんだから」
「意味が分からないぞ。なんでこんな室内で日本刀なんか抜く? あんたもぶっ飛んだ側の人間かよ?」
義妹並み……いや、それ以上にぶっ飛んだお姉さんの登場だ。
「はわわ、サラさ……ひぃ!?」
有栖川に刀を向けるな、怖がってんだろう。
……ん? 有栖川……有栖川アリス……有栖川サラ!?
「アリスたん。お姉ちゃんと再会した時はあたしに向かって心を込めるのよ。サラお姉たまってね。サラさんなんて他人行儀は止めてね」
「お、お久しぶりでございますわ。サラお姉様……ひ、人前で恥ずかしいですわ」
お前達、姉妹なのかよ。いや確かに良く見たら顔立ちがそっくりだわ。
「あわわ、氷室さん。わたくしのサラお姉様がご迷惑をおかけします~! あわわ」
内気で常識人過ぎて落ち着いて気立てが良い妹と……
「サラちゃん。助かったんだよ~! そのまま、ボクのユウ君をギタンギタンにして、超厚待遇でアイドル事務所にぶち込むんだよ~!」
「うんうん。良いね、社長。今回の手柄として、金色狐の仮面ちゃんの初夜の初物はあたしに譲ってね」
「ん~! 絶対に拒否するんだよ。ユウ君はボクが大切に育てて淫乱金色狐に超進化させるのだよ」
「アハハハ、またまたご冗談を仰いますよ?」
とんでもなくぶっ飛んだ姉貴。
そりゃあ、有栖川もこんなとんでも姉がいたら、大人しい子に育つよな。
異世界に行っていた俺でも覚えている有栖川サラという人物。過激で危険で美しい。
その戦闘力は日本最速。
「お、雰囲気変わったね。金色狐の仮面ちゃん、戦闘経験あるの?……ファースト・アクセル」
突然の初動。
「なっ!? こいつ有栖川が近くにいるのに斬りかかるのかよ!? か、風よ、舞い上がれ!」
「安心して、これは触れた女の子の服だけ、細切れに切り刻む。伝説級の魔道具なんだから。はぁっ!」
有栖川の服に、有栖川サラが振り下ろした刀が触れる。するとビリビリビリビリビリビリッ!と服が破け始めた。
何だ? 刀で超高速で服だけ斬る斬撃を作り出して、刀を有栖川に振りかざしたら服が細切れになったぞ。どんな魔法だ?
いやそれよりも今は、有栖川サラはマジで何してんだ?
「……ふぇ!? キャアアアアッ!!」
「は!? お前、自分の妹に何してんだ!? ごらぁ!! 風よ!」
「え? いや、これは単なる手品だよ。金色狐の仮面ちゃ……きゃああっ!?」
思いっきり手から放った風の魔法で有栖川サラがソファーへと吹き飛んで行く。
あいつ、俺の目の前で、自分の家族を……妹を攻撃しやがった。禁忌を犯しやがった。実の妹の有栖川を傷つけた。絶対に許さん……有栖川は大丈夫なのか?
有栖川の方へと目を向ける。
「どんどん布面積が減っていきますわ~!」
有栖川の制服が破れていく。
「
ロリおば様が鼻血を垂らして喜んでやがる。何を考えているんだ、この代表取締役は。
「凄いんだよ。エッチなんだ。ムホホ」
ムホホじゃねえんだわ。喜ぶな。自社のタレントがとんでもない不祥事を起こしてるんだから注意しろよな。
あんなの見たら、普通怒って止めに入るだろう。俺でさえそうしてんだぞ。
「それにしても、この場には有栖川以外にまともな人間は居ないのだろうか?」
いや、それよりも有栖川の服をなんとかしてやらないと。
「有栖川サラ、マジで許さないからな! 俺の友達を傷つけやがって。何、実妹の服破いて裸にしてんだ。俺だったら、恐ろしい義妹に絶対にやらねえぞ。風よ、彼の者に衣服を着せよ」
舞香にやったら、十中八九ぶち殺される。いや、100倍返しでトラウマを植え付けられる。
「ひゃう!……氷室さんが着ていた白いワンピースですの? 湿ってますの!」
それと有栖川には俺が着ていた白いワンピースを一瞬で着せ終えた。俺は俺で学校で着ていた戦闘用メイド服に早替え。
「アハハハ! 凄いね? どんな魔法なのかな? アリスちゃんに一瞬で汗ばんだ自分の服を着せてあげるなんてさ。ファースト・アクセル」
「うおっ!? もう間合いに入って来た? こ……のっ!」
有栖川サラ。一見水着姿だが、油断ならない。
即座の判断と決めた行動の速さが凄すぎる。このままだと俺の服もビリビリに切り刻まれる。
パキンッ!
だがそこは対策済み。オリハルコンの鉄糸で編み上げた「オートクチュール刺繍」入りの魔法メイド服は破けない。
「………え? 刀を近づける前に折れた? なんで?」
「折れたんなら少しは大人しくしろよ! 風よ、吹き飛ばせ!」
「おわぁ!? アハハハ! 涼しい、何? 何? どうしたの君? お姉さんの水着でも剥いで裸でも見たいのかな?」
窓の外に風の魔法を放ってビルの屋上へと吹き飛ばした。
これ以上有栖川の近くで友達と姉の戦闘なんて見せたくない。
「あの
……いろんな意味で規格外。
正直、ああいう手合いとはこれ以上関わりたくない。
なにせ家族で1人そんなのがいるからな。なぁ? 義妹様よ。
だがあいつは有栖川を……俺の友達を傷つけようとした。許せん。
「サラが裸で野外プレイなんだよ。鼻血ブーブーなんだよ! 興奮が収まりきらないんだよ~!」
「うるさい。ヤバい奴2号、この縄で縛ってガムテープで口を塞いでやる」
「な、何するんだよ!? ボクをどうする気なんだよ」
「有栖川サラへの人質にする。一緒に来い! 風よ、舞い上がれ!」
「た、助けてなんだよ~! むぐぉ!?」
いちいちうるさい人質だ。なのでガムテープで口に施錠《せじょう》した。
「氷室さーん! わたくしも一緒に行きますの! わたくし、サラお姉さまの弱点を知り尽くしてますわ」
「お、マジか? それは頼もしいな、有栖川」
「はいですの! サラお姉さま、わたくしの服をビリビリに破いてしまうなんてもう許しませんの!」
日本のトップアイドル有栖川サラが着ていた水着は回収し、ポケットの中へと大切にしまった……も、勿論、有栖川サラに手渡すためだ。
下心なんて微塵もない。だって俺は付いてないし立てないんだからな。そうだ! 俺は今、女の子なんだ。
◇
狂ったアルカナの代表取締役に案内してもらい、ビルの屋上へとやって来た。
「やぁ、良い天気だね。狐の嫁入りってやつだね。あたしに嫁ぐかい? 金色狐の仮面ちゃん」
曇天の空から太陽の光が線状に地上へと降り注ぎ、小雨が降っていた。
有栖川サラは、そんな小雨を身体に浴びて気持ち良さそうに天を仰いでいる。
幸いにも彼女の銀髪は長いためか、濡れて全身にへばり付き、隠すべき場所の全てを上手く隠している。
左手には、折ったはずの日本刀が直った状態で握られていた。
「嫁がねえよ。それよりも有栖川に攻撃したことをちゃんと謝れ。自分の実の妹に攻撃したことにな。俺はそこを怒ってんだ」
「あー、あれのこと? あんなの単なるパフォーマンスだよ、マジックね。配信者同士の驚かし合いではね…」
「違う。俺が言いたいのはそこじゃない」
「? 何? 別に君は無理やりにでもうちの事務所に入れてあげるから心配ないよ。厚待遇でね、色々な
こいつ。真顔で答えた!?
本当に分かってないのか?
お前は冗談とはいえ家族を……妹を傷つけようとしたんだぞ。
「勝利の勇は友とあり」
こいつは俺が分からせる。
「!……これは、君の初配信の時と同じ黄金の光?」
両手を腰辺りへと持っていき剣を握るように構える。
「真に親愛なる友の為、危険に陥った友を救いたい。封じられた力をここに――――」
両手が黄金の色に輝き始める。
「……いや、配信の時とは違う力だね。その力、あたしにとって、とてもとてもワクワクする力」
有栖川サラが楽しげに笑う。
それが強者の笑みならば分からせよう。
自分の妹は大切にしろと。
「聖剣――――解放『エクスカリバー・シルフィード』……覚悟しろ。トップアイドル、お前は俺を怒らせた」
「ふーん、だから何? 君はあたしの玩具になるんだよ。おいで、金色狐ちゃん」
怒りに満ちた狐仮面メイド服と全裸アイドルの屋上の戦いが今始まる。
「ぷはぁっ!! アリス、撮るんだよ! サラの恥体を余すところなく記録として納めるんだよ」
「……相変わらず、女性の裸が大好きですわね。おば様」