転生者たちは今日も新エリー都を駆け回る 作:『 』を応援するテト
六分街、Random Play。
昼を少し過ぎた店内では、何人かの客が棚の間を行き来していた。
話題になった新作を探している客もいれば、棚の端に置かれた古い作品をじっくり眺めている常連もいる。アクション、恋愛、ホラー、コメディ、ドキュメンタリー、アニメに特撮。Random Playの棚には、定番から少し癖のある作品まで幅広く揃っていた。
カウンターでは18号が返却されたビデオを確認し、その近くではイアスがケースを何本か抱えている。
「ンナナ、ワタ?」
(これは元の棚に戻してくればいい?)
アキラはイアスが持っているケースを確認した。
「うん、お願い。場所が分からなかったら持ってきて」
「ワタタ!」
(分かった!)
元気よく返事をしたイアスが棚へ向かっていく。
その様子を横目に、アキラ、リン、ユウトの三人は次に仕入れる作品の候補を確認していた。
「僕はこれを入れておきたいかな。前作も結構借りられてたし、今回の題材も面白そうなんだ。新作が入れば、前の作品をもう一度借りる人もいると思う」
アキラが示したのは、とある監督の新作ドキュメンタリーだった。
ユウトも作品情報を覗き込む。
「前作なら俺も覚えてる。派手な作品じゃなかったけど、定期的に借りられてたやつだろ? だったら置いていいんじゃないか」
「私も賛成。じゃあ、お兄ちゃんのは決まりね。それで次はこれ!」
待ってましたとばかりにリンが別の作品を示した。
パッケージには、見るからに不穏な古い屋敷が描かれている。その窓の奥からは、何者かがこちらを覗いていた。
一目見たユウトが笑う。
「リンの好きそうなやつだな。新作ホラー?」
「そう! 前評判もかなりいいんだって。前に入れた作品とはタイプも違うし、この監督の前作も結構借りられてたでしょ? ホラー好きの常連さんから新作について聞かれたこともあるし、これは入れておきたいな」
「仕入れること自体には僕も反対しないよ」
アキラはそう前置きしてから、リンの手にあるパッケージへもう一度目を向ける。
「ただ、リンがそこまで推すと、入荷した日の夜に一緒に観ようって言い出しそうなのがね」
「さすがお兄ちゃん、よく分かってる。せっかくだし三人で観ようよ。ユウト兄はホラーくらい平気でしょ?」
「俺を巻き込むのは構わないけど、アキラの逃げ道まで塞いでやるなよ。まあ、店に置く分には俺も賛成。常連から聞かれてるなら、なおさらな」
「ユウトまでリンの味方をするの?」
「仕入れの話ではな。鑑賞会についてはノーコメント」
ユウトがそう返すと、アキラは苦笑した。
「そこは助けてよ、ユウト」
リンは満足そうに候補へ印を付ける。
「じゃあ次ね。ユウト兄は何かある?」
「もちろん」
ユウトが待ってましたとばかりに一つの作品を示す。
リンはタイトルを見るなり納得した。
「やっぱり特撮じゃん」
「劇場版な。シリーズ物の新作だから旧作も一緒に動く可能性があるし、今回は昔の主人公まで出る。予告で昔の変身演出を今の撮影技術で再現してたんだけど、あれがまた――」
そこまで聞いたリンが、アキラへ視線を向ける。
「お兄ちゃん、ユウト兄の長いやつ始まったよ」
「まだ仕入れに関係ある話だから大丈夫じゃない?」
「まだって何だよ。最後まで経営の話をするつもりだったぞ」
ユウトが抗議すると、アキラは笑いながら作品情報を確認した。
「でも、ユウトの言う通りシリーズ物なら過去作も動きそうだね。うちには前の作品も揃ってるし、仕入れていいと思うよ」
「だろ? それに今回は歴代主人公の――」
「はい、そこからはユウト兄の趣味の話だから後でね」
「リン、お前さっき自分のホラーについて散々語ってただろ」
「私は仕入れの話だったもん」
「俺もそうだったんだよ」
三人の好みは違っていても、長くこの店を切り盛りしてきたことに変わりはない。
自分が観たい作品だけを並べるのではなく、常連の好みや客からの要望、過去作の貸し出し状況まで見ながら棚を作る。
もっとも、自分の好きなジャンルになると少し話が長くなるのは別の話だった。
その途中、ユウトの視界に転生者掲示板からの通知が浮かんだ。
シーホースCEO。
『副店長、いる?』
「次はこれか。アクション……リン、この監督の前作ってまだ返ってきてなかったよな?」
「うん。昨日また借りられたから今は貸し出し中。新作も入れるなら少し多めに仕入れていいと思うよ」
「そうだな。アキラは?」
「僕も賛成。最近この監督について聞かれることが増えたしね」
そのまま三人は残りの候補を確認していった。
◇
一通りの相談が終わった頃には、店内の客足も少し落ち着いていた。
ユウトは時計を確認して椅子から立つ。
「ちょうどいいし、COFF CAFEでコーヒー買ってくるけど、お前らもいる?」
「僕はいつものでお願い。ちょうど飲みたいと思ってたところだから」
アキラが答えると、リンもすぐに手を挙げた。
「私もいつもの! ありがとう、ユウト兄」
「はいよ。じゃあ店よろしく」
Random Playを出たユウトは、六分街を歩いていく。
途中で人通りの途切れた場所へ入ると、短く印を結んだ。
小さな煙とともに分身が現れ、すぐに路地の奥へ姿を消す。
ユウトはそのままCOFF CAFEへ向かいながら、先ほどの通知を開いた。
【転生者掲示板】
「ビデオ屋副店長(仮)」
悪い、店にいた
今見た
ーーーーーーーーーー
「シーホースCEO」
大丈夫。
赤牙組が動き始めてる。
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「ビデオ屋副店長(仮)」
そっちか
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「機械執事」
こっちもCEOから情報を受けている。既に確認を始めたところだ。
ーーーーーーーーーー
「おっとり師範」
いよいよでしょうか~?
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「ちびリス博士」
金庫のやつ?
ーーーーーーーーーー
「半々医者」
以前聞いた件だな。研究所から金庫が盗まれ、邪兎屋が動き出すという。
ーーーーーーーーーー
「シーホースCEO」
それ。今回は事件そのものじゃなくて、いつ起きるのかを絞りたいの。
私は赤牙組周辺の資金と物流を調べる。装備の調達状況を見れば、準備がどこまで進んでるか分かるはず。
ーーーーーーーーーー
「機械執事」
ならば俺は、物資に加えて人員と輸送手段の動きを照合しよう。実行直前なら、それぞれの動きに何らかの変化が出ているはずだ。
ーーーーーーーーーー
「ビデオ屋副店長(仮)」
現場は俺が見る
もう分身は出した
ーーーーーーーーーー
「半々医者」
私は通常通り診療を続ければいいな。必要になったら連絡を寄越せ。
それと副店長、怪我をして私の仕事を増やすなよ。
ーーーーーーーーーー
「ビデオ屋副店長(仮)」
了解です先生
ーーーーーーーーーー
「ちびリス博士」
あたしはー?
ーーーーーーーーーー
「ビデオ屋副店長(仮)」
ちびっ子もいつも通り工房
ーーーーーーーーーー
「ちびリス博士」
ぶー!
ーーーーーーーーーー
「おっとり師範」
今回は私たちが動いても仕方ありませんからねぇ。何か分かりましたら共有をお願いします~。
ーーーーーーーーーー
「シーホースCEO」
それじゃお願い、副店長。
ーーーーーーーーーー
「ビデオ屋副店長(仮)」
了解
掲示板を閉じた頃には、COFF CAFEが見えていた。
ユウトは店へ入り、いつものようにティンへ声を掛ける。
「ティン、いつもの三人分頼む」
注文したコーヒーを受け取ると、そのままRandom Playへ戻った。
◇
「買ってきたぞー」
店へ入ったユウトが声を掛けると、リンがすぐにやってきた。
「ありがとう、ユウト兄。ちょうど休憩したいと思ってたところ」
「はい、リンの。こっちはアキラな」
「ありがとう、ユウト」
アキラも受け取り、一口飲んで満足そうに息を吐く。
「やっぱりこれだね。店にいると、たまに無性に飲みたくなる」
「分かるけど飲み過ぎるなよ。毎日通ってたらコーヒー代も馬鹿にならん」
ユウトが自分の分を手にすると、リンが呆れたように笑った。
「ユウト兄がそれ言う? 自分だって結構飲んでるじゃん」
「俺はちゃんと計算して飲んでます」
「コーヒー飲む時にそんな計算する人いる?」
「家計を預かる者としての心構えだよ」
「絶対今考えたでしょ」
三人はそれぞれコーヒーを手に、店の仕事へ戻っていった。
◇
ヴァレリアが追ったのは金と物だった。
アークライト社の情報網から、赤牙組へ繋がる取引を洗い出していく。
武器、防護装備、通信機器、車両。
それらに流れた資金と時期を並べていけば、一つの傾向が浮かび上がる。
新たな大口調達が減り始めていた。
「……これから準備するんじゃない。もう必要な物はほとんど揃ってるわね」
ヴァレリアは集めた情報をもう一度確認する。
残っているのは、実行へ移すことだけ。
「思ったより近いかもね」
◇
アルバートは、ヴァレリアから送られてきた情報を別方向から検証していた。
調達された物資がどこへ移動したのか。
輸送に使える車両がいつ確保されたのか。
赤牙組と関係のある人間が最近どこで活動しているのか。
個別に見れば意味を持たない情報でも、時系列へ並べれば形が見えてくる。
「物資の移動は既に収束しつつある。輸送手段も確保済み。そして人員の活動範囲にも変化がある、か」
準備段階というより、待機段階。
アルバートは分析結果をまとめ始めた。
◇
一方。
薄暗い路地を、一人の男が歩いていた。
顔も髪も体格も、Random Playの副店長とはまるで違う。
男は酒を飲んでいたごろつきの近くへ腰を下ろすと、何でもない世間話を始めた。
「そういや赤牙組、最近景気いいらしいじゃん。どっかデカい仕事でも入ったのか?」
「知らねぇよ。あいつらの仕事なんざ興味ねえ」
「そりゃそうか。妙に人集めてるって聞いたから、また抗争でもやるのかと思ってさ」
ごろつきは酒を口へ運びながら鼻を鳴らす。
「人集めてるって話なら俺も聞いた。普段ここらにいねぇ奴まで戻ってきてるらしいぜ。何やるかまでは知らねぇけどな」
「へえ。物騒だねぇ」
話はそこで終わった。
場所を変え、相手を変えながら断片を拾っていく。
実行役だけではない。
運転手。
運搬役。
普段は別の場所にいる構成員まで呼び戻されていた。
長く待機するための集め方でもない。
人気のない路地へ入った男の姿が、煙とともに消えた。
◇
Random Play。
棚へビデオを戻していたユウトの手が一瞬止まり、すぐに次のケースへ伸びる。
「ユウト兄、そっちが終わったらこっちもお願い。返却分が増えてきたから、私一人だとちょっと時間かかりそう」
リンの声が飛んできた。
「了解。こっちはあと三本だから、終わったら行くよ」
「ありがとう!」
ユウトは残ったケースを順番に棚へ戻していった。
◇
夜。
三人の調査結果が掲示板へ集まった。
【転生者掲示板】
「シーホースCEO」
こっちは終わった。
必要な物資はほぼ揃ってる。新規の大口調達も止まり始めてるから、準備は最終段階と見ていいと思う。
ーーーーーーーーーー
「機械執事」
こちらも同意見だ。
輸送手段は既に確保され、人員の動きも集中している。長期的な準備とは考えにくい。
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「ビデオ屋副店長(仮)」
現場も同じ
実行役だけじゃなく運転手と運搬役まで集まってる
長く待たせる感じじゃなかった
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「ちびリス博士」
じゃあ、かなり近い?
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「機械執事」
ああ。そう判断していいだろう。
しばらく、誰も書き込まなかった。
「おっとり師範」
ついに、ですか~。こちらも何かあった時に動けるようにはしておきますねぇ。
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「半々医者」
了解した。こちらは予定通り診療を続ける。
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「ちびリス博士」
あたしも工房で待機!
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「ビデオ屋副店長(仮)」
さっきぶーって言ってたの誰だよ
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「ちびリス博士」
気が変わった!
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「シーホースCEO」
切り替え早いわね。
少しだけ、掲示板の空気が緩む。
「シーホースCEO」
それで副店長。
そっちはどうする?
ーーーーーーーーーー
「ビデオ屋副店長(仮)」
いつも通りだよ
アキラとリンが仕事を受けたら
俺もエージェントとして同行する
ーーーーーーーーーー
「機械執事」
了解した。必要な情報が入れば、こちらからも共有しよう。
ーーーーーーーーーー
「おっとり師範」
私も必要でしたらお手伝いしますねぇ~。
ーーーーーーーーーー
「ちびリス博士」
副店長もイアスもがんばれー!
ーーーーーーーーーー
「ビデオ屋副店長(仮)」
まだ始まってないっての
ーーーーーーーーーー
「シーホースCEO」
でも準備はしておいて。
ーーーーーーーーーー
「ビデオ屋副店長(仮)」
了解
◇
閉店後。
Random Playから客の姿はなくなり、18号がカウンターで閉店作業を進めていた。
ユウトがスタッフルームから店頭へ戻ると、リンがスマートフォンを見ながら声を上げる。
「あ、ビリーから返事来た! 今度の勝負、受けて立つって。お兄ちゃん、今度こそちゃんと付き合ってよね」
「僕は別にいいけど、この前みたいに負けた後で『もう一回』を何度も繰り返すのはなしだよ。帰るの遅くなったから」
アキラが釘を刺すと、リンは少し不満そうに頬を膨らませた。
「だってあれは本当にあとちょっとだったんだもん。それに今度はユウト兄も連れていくから、前より面白くなるよ」
「待て。俺が参加することになってるのは初耳だぞ」
「でも来るでしょ? ユウト兄、アクション系のゲームも好きだし。ビリーも人数多い方が絶対喜ぶよ」
「まあ、予定が空いてりゃ行くけどさ。俺までビリーと張り合う流れにはするなよ?」
「それはユウト兄次第かな」
「なんで俺次第なんだよ」
二人のやり取りを聞いていたアキラが笑う。
その近くでは、イアスも興味を示したのか、ぱたぱたとこちらへやってきた。
「ンナンナ、ワタタ!」
(ボクも一緒に行きたい!)
「ほら、イアスも行きたいって。これで決まりだね」
リンが嬉しそうに言う。
ユウトはイアスを見下ろした。
「お前までか。まあ行くのはいいけど、ゲームするなら何で勝負するつもりなんだ?」
イアスは少し考えるように首を傾げる。
「ンナァ……ワタ!」
(行ってから考える!)
「何も考えてなかったのかよ」
リンが吹き出し、アキラも肩を揺らした。
そんな二人を見ながら、ユウトは少しだけ考える。
アキラとリンが、ただ生活のためだけにプロキシを続けているわけではないことくらい、ずっと一緒にいるユウトには分かっていた。
二人は以前から零号ホロウについて情報を集めている。
まだ自由に足を踏み入れられる場所ではないからこそ、今のうちに拾える情報を集めておく。ユウトも頼まれれば、自分の伝手や裏で拾った話を二人へ渡してきた。
前世の記憶がある以上、その先に何があるのかも少しは知っている。
けれど、それをユウトから口にすることはなかった。
二人が自分から話していないことまで、先回りして聞く必要はない。
ユウトにも、まだ二人へ話していないことがあるのだから。
「ユウト兄? さっきから黙ってるけど、やっぱりゲームセンター行きたくない?」
リンの声に、ユウトは顔を上げた。
「いや、予定が合えば行くって。それより俺まで誘うなら、ゲーム代は自分持ちだからな」
「えー! そこは副店長権限でなんとかならない?」
「Random Playにゲーム代を出す福利厚生はありません」
「ケチ!」
「家計を守ってると言え」
その時、イアスがユウトの服の裾をちょいちょいと引っ張った。
「ワタナ?」
(ボクのお金は?)
ユウトは足元へ視線を落とす。
「お前、そもそも財布持ってないだろ」
一拍。
イアスの耳がぴんと立った。
「ンナッ!? ワタタ!」
(そうだった!)
今度はアキラまで声を上げて笑った。
「そこまで驚くことだったの、イアス?」
「ンナナ、ワタワタ!」
(すっかり忘れてた!)
「いや、忘れる以前にお前が財布持ち歩いてるところなんて見たことないぞ」
ユウトが突っ込むと、リンも笑いながらイアスの頭を撫でる。
「大丈夫。イアスは私たちと一緒に行けばいいんだから」
「ワタタ!」
(やった!)
嬉しそうに両手を上げるイアスを見て、ユウトも笑った。
――もうすぐ始まる。
赤牙組が動けば、邪兎屋が動く。
その先でパエトーンもまた、大きな流れへ足を踏み入れていく。
何が起こるのか、ユウトは知っている。
だからこそ、少しだけ歯痒かった。
普段なら、危ないことは自分が前に出ればいい。
戦う必要があるなら戦う。守る必要があるなら守る。
けれど、この先に待っているものの中には、どうしたってアキラとリン自身が向き合わなければならないこともある。
未来を知っているからといって、全部を代わってやれるわけではない。
「ンナ?」
(どうしたの?)
いつの間にか足元まで来ていたイアスが、ユウトを見上げていた。
「……何でもないよ」
ユウトはイアスの頭を軽く撫でる。
全部を代わることはできなくても、隣を歩くことならできる。
アキラとリンが動く時が来たなら、自分も一緒に行く。
今は、それで十分だった。
「そういやリン。ビリーと勝負するゲーム、もう決めてるのか?」
「もちろん! 今度こそ絶対勝つから!」
「僕、その台詞この前も聞いた気がするんだけど」
「お兄ちゃんはどっちの味方なの!?」
「ンナナ! ワタタ!」
(ボクはリンの味方!)
「イアス~! やっぱりイアスはいい子!」
「おいおい、始まる前から陣営分けするなって」
閉店後のRandom Playに、いつもの声が響いていた。
その日常のすぐそばまで、物語の始まりは近づいていた。