「やりま、やりたくなりますねぇ!」未来の闇の帝王?うるせぇ!ホモビ見ろ!! 作:未完成な人
「ぬああああん疲れたもおおおおおおん!!」
孤児院の部屋に野獣の様な咆哮が響き渡る。先に部屋で本を読み寛いでいたであろう黒髪の美少年は騒音の発生源を一瞬睨み、現実逃避するかのように視線を本へ戻した。
「なんだKMR嬉しそうじゃねーかよぉ。」
「この辺にぃ、うまいラーメン屋の屋台、来てるらしいんすよ。じゃけん夜行きましょうね~」
「…僕は本を読んでるんだ。邪魔しないでくれるかな?それに君の言うKMRとは誰だ?そんなものはここにはいないし、ゴミのような情報を垂れ流すその汚い口を閉じてくれ。」
トム・リドルは心底うんざりしていた。数日前から同室になった。この汚物のような存在に。名前はホヨ・モノリーとかだったか。まあ、名前で呼ぶことなどない。はっきり言ってコイツにそんな価値はない。
今まで自分の手とは分からないように己の不思議な力を使い、虐めてきた人間はしてきたこと以上の目に合わせてきたが、コイツは何から何まで違った。
まず、心が読めない。いや、見えるには見えるがいつも言葉にするわけのわからんゴミのような情報しか読みとれない。
表裏がないのだ。口に出すことがこいつの全てだ。決していい意味ではない。見える面、話す口、その全てが腐っているという意味だ。
更にはわけのわからん。言葉しか喋らない。狂っているとしか思えない。それだけと言えばそうだが、四六時中こんな調子で話しかけられてはどんなに優秀な頭でもおかしくなりそうだ。
ただ、暴力を振るってくる以前の奴らよりはマシなのは事実だ。この孤児院に一人部屋を与える余裕はない。この騒音に耐えるだけでいいのならまあ、及第点だろう。
「(涙)で、出ますよ…」
「黙れ、耳障りだ。」
「クゥーン…おかのした」
トム・リドルは思った。こっちの方が苦痛かもしれないと。この汚物を消し去る方法を早急に考える必要があると。
―――…
トム・リドルは上機嫌だった。先程、魔法学校の校長と名乗る人物が孤児院を訪れ、自分は魔法使いであり、特別な才能を持った人間だと認めたのだ。
自分が人とは違う人間なのだという優越感で満たされていた。それにこれでもうあの頭を悩ます元凶と会う必要が無くなるというのだからもっと最高だ。
「…フッ」
やはり真に優秀な人間というのは望んだ方向に勝手に物事が進むものなのだろう。あまりにも上手くいき過ぎて変な笑いまで漏れてきた。
「KMR嬉しいかー?」
「ああ、嬉しくてたまらないね」
何時もなら反応するのも苦痛なお前の呼びかけに応えてやってもいいと思うほどにな。
「見たけりゃ見せてやるよ。ホラ、見ろよ見ろよ。」
トム・リドルは驚愕した。何故なら自分が貰ったはずの入学許可証と瓜二つのモノを奴も持っていたからだ。
トム・リドルは早急に聡明な頭でもって考えた。この汚物を足早に消し去る方法を。しかし、断念せざるをえなかった。
(…入学前にこいつを消せば間違いなく怪しまれるのは僕だ。)
それにあのダンブルドアとかいう老人は頭の切れる奴だった。間違いなく怪しまれるだろう。最悪、入学取り消しもあり得るかもしれない。そうすれば巡ってきたチャンスを自ら捨てることになる。
トム・リドルは考えることを放棄した。これは物心ついた時からいつも計算づくで行動してきた彼にとって初めての経験であり、屈辱的選択だった。感情的になって魔力が暴走しかかるほどに。
「お前はもう喋るな。僕も何も言わない。いいな?」
「ん。おかのした。」
トム・リドルは自分が少しでも魔法の世界とやらに期待していたことに後悔した。
(こんなのが自分と同じ?…そんな訳がない。魔法使いとかいうのもデタラメなくくりに決まっている。魔法使いもここと同じだ。上下がある。僕が上でコイツが下だ。そうだ。そうに決まっている。)
トム・リドルは必死だった。自分の自尊心と承認欲求を保つためにありとあらゆる可能性を考えて今の自分の状況を肯定した。
そこからはトム・リドルにとって地獄の日々だった。学用品やらを揃えるためにダイアゴン横丁とやらに行ったはいいもののホグワーツの教師と一緒だったため優等生の皮を被り続ける必要があったのだ。つまり…わかるよね?
「おっKMR!見ろよ。見ろよ。」
「ん?あれは…」
「(百味ビーンズの味がハズレで涙)で、出ますよ。」
「美味しくなかったのかい?ついてないねモノリー。」
「どうすっかなー。俺もなー。」
「ぬわあああああん疲れたもおおおおおん!。」
「おかのした。」
「サーッ!」
何時もなら無視する謎の言葉に反応しなければならない地獄が生まれた。教師がマグル生まれの生徒を楽しませようと寄る必要のない店まで寄っていることもその時ばかりはトム・リドルにとって最悪の一手だった。
トム・リドルは自分の運の無さを呪った。そして自分をこんなにも悩ます元凶も呪った。ホグワーツに着いたらまずはコイツを何とかする魔法を覚えよう。ホグワーツに行けば魔法を学べば何とかなるそう考えることで自分の心を守っていた。
トム・リドルは知らない。この状況がホグワーツを卒業するまでずっとずっと続くことを。この事実を知っていれば今着ている優等生の皮を彼は即座に脱いで投げつけたことだろう。
これは未来の闇の帝王になる?トム・リドルがホモビ狂いの転生者(女の子)に出会ったことで運命の歯車がガバガバになるであろう物語である。