「やりま、やりたくなりますねぇ!」未来の闇の帝王?うるせぇ!ホモビ見ろ!! 作:未完成な人
「あーつっ!冷えてるか~?」
ホグワーツ特急のコンパートメント。一人静かに本を読み、優雅な車内時間を過ごそうとしていたトム・リドルのささやかな希望は、けたたましいドアの開閉音とともに打ち砕かれた。
「空いてんじゃ~ん。じゃけん、横、失礼しますね~」
「……」
リドルは無言で本を閉じ、深く、深~く息を吐いた。
なぜだ。なぜこの広い列車の中で、ピンポイントでこの部屋を選んで入ってくるのだ。
「おっKMR!見ろよ見ろよ。外、木がいっぱい生えてるゾ!」
「…フーーッ……僕はKMRではないと言っているだろう。それに木が生えているのは列車が田舎に向かっているからだ。当たり前のことを口に出すな」
「あぁ~いいっすね~」
会話にならない。話しかけられたから答えているのに、返ってくるのは完全にピントのズレた相づちのみだ。
(耐えろ……耐えるんだ……ホグワーツに着けば、こいつとはおさらばだ。僕のような特別な人間と、こんな頭のイカれたマグルもどきが同じ寮になるはずがない……)
リドルが心の中で渦巻く感情を押さえつけ、ひたすら耐えていたその時、コンパートメントのドアが静かに開いた。
そこに立っていたのは、上質なローブを身に纏い、いかにも名家出身といった佇まいの少年たち――そうそれは後のデスイーター予備軍となるような純血貴族の生徒たちだった。
「失礼。君がトム・リドルかい? 評判は聞いているよ。マグル育ちでありながら、実に勤勉で…優秀な能力を持っていると…」
リーダー格の少年が洗練された笑みを浮かべ、リドルに手を差し伸べる。
リドルは心の中でほくそ笑んだ。そうだ、これだ。これこそが僕にふさわしい待遇だ。ここでこの純血貴族たちとパイプを作り、自らの地位を確固たるものにしてやる――。
リドルが完璧な優等生のスマイルを作ろうとした、まさにその瞬間だった。
「いいよ! こいよ!」
ホヨが突然、大音量でバンバンと自分の胸を叩き叩き叫んだ。
純血貴族の少年たちは一瞬でフリーズした。
「な……なんだこの女は……!?」
「あぁ~いいっすね~! お前さっき(僕の顔)チラチラ見てたろ」
「な、何の話だ!? 僕はリドルと話して――」
「見たいのか見たくないのか? ホラ、見ろよ見ろよ!」
ホヨは持っていた百味ビーンズの袋を突き出し、強烈な威圧感(※ただの語録)で迫っていく。
あまりの脈絡の無さと、一切の躊躇がない謎の態度に、純血貴族の少年たちは「……っ!? こ、こいつ……ただ者じゃない……!」「イカれてんのかこの女……!?」「錯乱呪文にでも掛かってんのか……!?」と完全に勘違いし、じりじりと後退し始めた。
「り、リドル……君の連れは少々……個性的すぎるようだね。ま、また後で話をしようじゃないか……ッ!」
純血貴族たちは引きつった顔で逃げるように去っていった。
(僕の社交ルートが……! 僕の将来の部下候補たちが……!!)
リドルの血管が額に浮き出る。
「お前ッ……いい加減にしろ……! なぜ余計な口を挟むんだ……!」
「(涙)で、出ますよ…」
「出すな!! 黙れ!!」
「クゥーン…おかのした」
リドルは頭を抱えた。ホグワーツに着く前から、自分の完璧な計画がガタガタと崩れていく音が聞こえるようだった。
―――…
ホグワーツの大広間は、幾千ものろうそくが宙に浮き、幻想的な光に包まれていた。
新入生たちがその壮観さに息をのむ中、リドルは冷徹に周囲を観察していた。
「トム・リドル!」
名前を呼ばれ、リドルは凛とした足取りで中央のスツールへ向かった。優等生らしい完璧な姿勢で腰掛け、古びた「組分け帽子」が頭に載せられる。
(……スリザリンだ。僕の血と才能にふさわしいのは、そこしかない)
帽子が頭に触れた瞬間、威厳ある声が大広間に響き渡った。
『――スリザリン!』
完璧だ。リドルは口元に微かな笑みを浮かべ、拍手に送られながらスリザリンのテーブルへと移動した。これでいい。自分の輝かしいホグワーツ生活が今、始まったのだ。
「ホヨ・モノリー!」
続いてあの女の名前が呼ばれた。
リドルは胸中で冷たく嘲笑う。せいぜいハッフルパフにでもぶち込まれて、平和ボケした連中と戯れているがいい。
ホヨが椅子に座り、組分け帽子がその頭に載せられた。
直後――
『ヒッ……!? ぬあッ……!? で、出ますよ……!?』
組分け帽子が突然、まるで激痛に悶えるかのようにブルブルと震え出した。
帽子は生徒の頭に触れることでその者の記憶や思考を読み取る。しかし、ホヨの脳内にあふれていたのは、緻密な野心でも純粋な勇気でもなく、意味不明な語録と謎の男たちが全裸で戯れる地獄のような映像の濁流だった。
『精神が……汚染される……っ! アカン! これ以上は見れへん! 頼むからあっち行ってくれぇ!』
帽子の悲鳴のような絶叫が響く。
『――スリザリン! 頼むからスリザリンに行ってくれええええ!!』
思考停止した帽子の投げやりな宣言に、大広間が静まり返った。
リドルは白目を剥いた。
(……は? なぜだ!? なぜスリザリンにあの汚物が!?)
ホヨは「おかのした」と一言呟くと、椅子を降りてリドルのいるスリザリンテーブルへと一直線に歩いてきた。そして、当然のような顔でリドルの隣に腰を下ろす。
「…ん(ガッツポーズ)」
「……(殺す……絶対に事故に見せかけて殺してやる……)」
さっき車内でホヨにドン引きしていた純血貴族の生徒たちは、「あいつ……組分け帽子が投げやりになってたぞ…?!」「スリザリンの怪物だ……」と震え上がっていた。
深夜。スリザリン談話室の会話を抜け出し、リドルは図書室の奥深くに潜んでいた。
手に取っているのは『高度な呪詛と無力化の魔術』。
「無言化では甘い……記憶消去か……いや、存在そのものを消し去る消滅呪文を低学年のうちにマスターする……!」
目の下にクマを作りながら、血眼でページをめくるリドル。
その時、ふと背後に気配を感じて振り返った。
「……ッ!?」
そこにいたのは、分厚い『魔法史』の大著を枕にして、長椅子でスヤスヤと寝息を立てているホヨの姿だった。なぜ追ってきた。どうやって図書室に入った。そしてなぜ寝ている!?
(消したい……今すぐこの手で消し去りたい……!)
リドルが杖を握りしめ、殺意を限界まで高めたその時、図書室の時計が深夜の訪れを告げる鐘を鳴らした。寮に戻らなければならない時間だ。
同時に、ホヨが「むにゃ……」と身体を折り曲げ、眠ったままゴロゴロと転がり始めた。そして、談話室へ続く廊下の方へと去っていく。
そこでリドルは、ハッと正気に戻った。
ホグワーツの寝室は、厳格な男女別だ。
男子寮の階段には女子は入れないし、女子寮へ男子が入ろうとすれば魔法の階段が滑り台に変化して弾き返される。
つまり――寝床だけは、あの女と完全に別の部屋なのだ。
(あいつと……部屋が……違う……!?)
孤児院では四六時中、あの地獄のような密室で語録を浴びせられ続けていた。
しかしここでは、ドアを閉めれば、あの女の「ぬあああああん!」も「で、出ますよ」も聞こえない完璧なパーソナルスペースが約束されている。
リドルは握りしめていた本をそっと閉じ、天を仰いだ。
生まれ落ちてからこの方、神など信じたこともなかった男の胸に、湧き上がるような感謝の念が宿る。
(神よ……感謝します……! 部屋が別……ただそれだけで、僕はまだ正気を保っていられる……!)
数分前まで殺意を燃やしていたはずの未来の闇の帝王は、女子寮の扉という「絶対不可侵の物理障壁」の存在に、心からの涙を流して感謝したのだった。
――もっとも、翌朝の朝食時、スリザリンのテーブルで「冷えてるか~?」と笑顔で隣に割り込まれる未来を、今の彼はまだ知らない。
感想がついたのが嬉しくて次話のアイディアがで、でますよ…。
セリフをいい感じに語録にする時にaiにアドバイス求めるといい感じになるんすよ。やはり淫夢とaiの相性は最高なんすねぇ。AIも淫夢厨、はっきりわかんだね。