「やりま、やりたくなりますねぇ!」未来の闇の帝王?うるせぇ!ホモビ見ろ!!   作:未完成な人

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書けるとこだけ書いていくので時間はポンポン飛びます。許してください何でもしますから!


4話 計算ガバガバで冷えてるか~?

「……はぁ。で、今回は何枚書かされたの?」

 

放課後の夕闇が差し込む地下談話室。重厚な革張りソファが並ぶ一角で、机の上にうずたかく積まれた羊皮紙の山を前に、ホヨ・モノリーは羽ペンを握りしめたまま白目を剥いて倒れ伏していた。

 

声をかけてきたのは、同じ1年生の女子生徒——ミリセント・ヴァンスだった。

 

整った顔立ちにどこか世話焼きな雰囲気を漂わせた彼女は、ホヨの悲惨なデスク環境と、今にも魂が抜け出そうな顔を見比べて呆れたように深いため息をつく。

「ん。サーッ!(810枚)」

「15枚ね。……ったく、男子トイレに突撃するからでしょ。いくら『女子トイレと間違えた』からって、トムにチクられるようなヘタなマネしちゃダメでしょ。あいつ、そういう規律違反にはめちゃくちゃ厳しいんだから」

ミリセントはホヨの放った短い「サーッ!」から、見事に『羊皮紙15枚』という正確な数字と、事の経緯における切迫した心理描写までを瞬時に解読してみせた。

このホグワーツ魔法魔術学校広しといえど、ホヨの口から吐き出されるゴミのような語録の意味を正しく訳し、会話として成立させられる人間はミリセントただ一人である。

「ぬああああん疲れたもおおおおおん!!」

「はいはい、愚痴を言わないで手をとめない。ほら、インク切れかかってんじゃないの。……ほら、私の予備使っていいから」

文句を言いながらも、ミリセントはカバンから新しい黒インクの瓶を取り出してコトンと机に置いてやった。

入学当初、ホヨの奇行や意味不明な言動に誰もが引き、関わりを避けようとしていた。しかし、面倒見のいいミリセントだけは違ったのだ。

彼女は、ホヨの精神構造に「心の裏表が一切ない(なさすぎる)」という、ある意味で恐ろしいほどの素直さを見抜き、気づけばこうして怪奇現象のような存在の世話を焼くようになっていた。

 

「(涙)で、出ますよ…」

 

「出さないで。出すなら反省文を出しなさい。……でもまあ、トムも少し容赦ないわよね。先生に報告する前に、一言『そっちは男子トイレだぞ』って注意してくれればいいのに。速攻で監督生に言いにいくんだから」

 

ミリセントは苦笑しながら空いていた椅子を引き、ホヨの隣に腰かける。

 

「あのトム・リドルって子、いつも誰にでも優しくて、礼儀正しくて、完璧な優等生のフリをしてるじゃない? でも……なんだかアンタのことになると、妙に目が冷たいというか、トゲがある気がするのよね。まあ、アンタが毎夜毎夜『おかのした』とか『ありますあります』とか意味不明な寝言を大声で言ってるせいかもしれないけど」

 

「見たけりゃ見せてやるよ。ホラ、見ろよ見ろよ。」

「見ないわよ、反省文の進行状況なんて。……あ、でも全体の半分は終わってるじゃない。えらいえらい」

よしよし、と小さな子供を撫でるように頭を撫でてやるミリセントに、ホヨは「クゥーン…」と情けない犬のような声を漏らす。

ホヨにとって、過剰な自尊心の塊であり事あるごとに冷酷な視線を送ってくるトム・リドルが「地獄」なら、この意味不明な語録を完璧に理解して甘やかしてくれるミリセントは「天国」そのものだった。

 

「ほら、あと半分でしょ。これが終わったら、この前ダイアゴン横丁で買い溜めしたカボチャジュースと蛙チョコレート奢ってあげるから。頑張りなさい」

「おかのした!」

 

「よろしい。じゃあ、私は横で魔法史の課題やってるから、わからない単語があったら聞きなさいね」

ミリセントはパチンと教科書を開き、羽ペンを走らせ始めた。ホヨも「サーッ!」と気合いを入れ直し、再び羊皮紙に向き直る。談話室には、二人の羽ペンが紙を滑るカリカリという心地よい音だけが響いていた。

 

——しかし、その平和な空気は唐突に破られる。

談話室の入り口である壁の肖像画がゆっくりと開き、一人の黒髪の美少年が入ってきた。

トム・リドルだ。

 

トムは、男子トイレ誤進入(進んで進入)の罪で大量の反省文を叩きつけられた汚物(ホヨ)の情けない姿を鑑賞し、自尊心を存分に満たそうと足取り軽く戻ってきたのだった。

 

(フッ……あの汚物め、今頃は絶望に打ちひしがれて泣き叫んでいる頃か。僕を苛立たせた罰だ、せいぜい一晩中反省文に追われるがいい……)

 

完璧な優等生の 笑みを浮かべながら談話室を見渡したトムは——しかし、次の瞬間、目に入った光景に固まった。

ホヨの隣に、同学年の女子生徒であるミリセント・ヴァンスが座っている。

それだけならまだいい。問題は、その二人の空気感だった。

 

「ん? これ、字が汚くて読めないんだけど」

「(百味ビーンズの味がハズレで涙)で、出ますよ。」

「あ、インクが跳ねて手に付いちゃったのね。拭きなさい。ほら、ハンカチ」

「おかのした。」

「よし、あと5枚! 終わりが見えてきたじゃない」

 

解読不能。理解不能。

トムの天才的な頭脳をもってしても弾き出せない、謎の現象が目の前で繰り広げられていた。

 

(……なぜだ? なぜあの女は、あの汚物の発するゴミのような言葉が理解できている……!?)

 

トムの額に、ピキッと青筋が浮かぶ。

トムがこれまでどれほど苦しんできたか。

心が読める自分の能力をもってしても、ホヨの脳内からは「言葉通りのゴミのような情報」しか読み取れず、発せられる言葉は狂人の戯言。表裏がないからこそ対策も立てられず、四六時中ストレスに晒され続けてきたのだ。

 

…それなのに。

なぜ、ごく普通の魔法使いの少女が、あの暗号以下の謎言語を完璧に理解し、あまつさえ「意志の疎通」を果たしているのか。

しかも、だ。

トムが「校内のゴミ」として社会的に孤立させ、精神的に追い詰めようとしていた存在が、いつの間にか校内で着実に「人間関係」を築き始めているという事実。

 

「あ、トム。お帰りなさい」

 

ミリセントがトムの視線に気づき、軽い調子で手を振った。

 

「何か用? もしかして、ホヨの反省文が進んでるか見に来たの? 安心して、あと少しで終わるから」

 

「……ああ。そうかい。いや、あんまりにも静かだったから、反省しているのか確かめに来ただけだよ」

 

トムは必死で顔の筋肉を制御し、貼り付けたような完璧な「優等生の笑顔」を崩さなかった。だが、その瞳の奥は一切笑っていない。

 

「おっKMR!114514!」

ホヨが嬉しそうに、書き終えた羊皮紙の束をトムに向けて掲げてみせ、自分の座るソファの隣を叩いてみせる。

「……僕の名前はトム・リドルだと言っているだろう。それに、軽々しく僕に話しかけないでくれないか」

 

低く、殺意の籠もった声で返すトム。しかしミリセントは「はいはい、トムも意地悪言わないの。ホヨも煽らないの」と二人を手の手 GLOBE のようにあっさりとあしらってみせた。

 

(この女……僕の完璧な計画を、僕の苦悩を、なんだと思っているんだ……!)

 

トム・リドルは引きつった笑顔を維持したまま、静かに、そして強く両拳を握りしめた。

入学すれば、魔法を学べば、この汚物を排除する手がかりがつかめるはずだった。

しかし現実はどうだ。ホグワーツに来てからも、運命の歯車はガバガバに狂い続けている。

 

(……僕の計算が…また狂う…。まずはあの女から引き離す方法を考えねば……いや、まずはアイツの謎の言語の解読法を……いや、そもそもなぜ……!)

 

未来の闇の帝王の頭脳は、かつてないほど無駄なフル回転を強いられていた。

トム・リドルは深いため息を呑み込み、教科書を抱えて自室へと引き返していった。その背中は、どこか悲壮感に満ちていた。

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