前世の私が両面宿儺と仲良く古書に載ってた件   作:テン吉

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6話

 

 3歳になると両親と共に出掛けることが多くなった。

 

 

 なのでその機を逃す筈もなく、念能力の再確認や、呪力を少しでもコントロール出来るようにひたすら自己強化に努めていた。

 

 しかしまだ操れる段階には至っていない。

 家は勿論、車内や3歳から始まった幼稚園でもだ。

 

 ちなみにオーラを極めている時は、生命エネルギーを使っているので人はあんまり近寄ってこなかった。

 恐らく本能的に近づいちゃいけないと感じているのだと思う。

 

 

 

 

 

 そんな私も4歳になった。

 母に誕生日プレゼントは何がいいかと訪ねられながら、ショッピングへと出掛ける。

 人がごった返しに溢れている通りにて、私は母の手をぎゅっと握っていた。

 だけど木っ端微塵にはならないし、死ぬわけでもない。母があのとき(無自覚だけど)身を持って証明してくれなかったら、一生誰とも触れていなかった。

 

 

 だから私は母が好きだ。

 勿論他にも理由はあるけれど。

 

 

 それに母も父も愛してくれ_____。

 

 

 

 ガッと服の襟を掴まれて、足が浮く。「嬢ちゃん悪く思うなよ」と少し小汚ない男に俵担ぎされ、後ろ向きの風景のまま走られた。

 それも物凄いスピードで。

 私の名前を呼ぶ両親の姿が小さくなっていく。

 

 

 

 おいおい良いシーンどこに行った。

 

 

 

 人混みのせいで近づいてきたこの男に全く気がつかなかった。

 

 

 気配を読めるようになったのに、まだまだ私tueeeeは程遠い模様。

 そのとき、このスピードよりも比べ物にならないくらい早さで人が近づいてきている気配がした。

 母は走れないとして、父ってこんなにも足が早かったっけ。

 

 

 脳内の父は母と一緒に笑顔でベビーカーを押す姿のままだ。

 

 

 

 

 顔を上げれば確かに走ってくる人の姿があった。

 

 遠くて見えなかったが、段々と視界がクリアになってくる。

 

 

 

 ムスッとした顔で、大きめの黒シャツでも鍛え上げられている体が分かり、さらには肩に芋虫みたいな形をした中くらいの呪霊を肩に乗っけていて......。

 

 

 

 

 

 あれ? パパはパパでも、

 

 

 パパ黒じゃない??

 

 

 

 

 

 

 

 

 犯人が走っている内に分かったことがある。

 どうやら浚った犯人は呪詛師で、一般人(私)を連れて呪術殺し(パパ黒)から逃げる算段の模様。

 というのも、呪詛師が子供だとナメてポロポロと口から情報を溢してくれたおかげで色々と知った。

 

 

 そしてパパ黒の目的も知った。

 

 

 ちなみにパパ黒は多くの人の前で殺るのは後処理が面倒なのか、はたまた気が削がれるのか、一定の距離で着いてきていた。

 

 

 

 「元警察の知り合いだか何だか知らねぇが、そんな犬っころの肩を呪術殺しが持ちやがって。くそっ!!」

 「おじちゃん殺されちゃうの?」

 「ああ!? 生け捕りだよ!糞が!!」

 

 

 

 あ、教えてくれるんだ......。

 

 前言撤回。今回のパパ黒は生け捕り目的のようだ。

 

 パパ黒と言ったら呪術師専門の暗殺者で有名だからてっきりこのおじちゃんもそうなのかと。

 元警察の知り合いだから、韓国籍のあの人からの依頼かな。

 

 

 それにしても暗殺じゃないのか。

 呪術師だから牢屋とか破壊しそうだし無理そうなのに。それとも脱獄が出来ないと分かっているから捕まえるのか。

 生け捕りってことは逮捕だよね。

 

 

 ふーん。へー。

 

 

 

 じゃあ、パパ黒に協力しますか。

 

 

 

 

 あっさりと決めたことに、このおじちゃん人質の人選完全にミスったなーと思う。

 

 ついでに憐れみの目も送っておいた。

 

 

 まず、人混みがある所だと、万が一戦われたときに一般人(私じゃないぞ)を守れないので、犯人が思うがままに連れていって貰うことにした。

 

 

 しかし、いくら経っても人混みから離れないので、逆にそういう狙いなのかと気付く。

 

 

 人混みの中、襲えないだろうと知った上での行動だろう。

 パパ黒側も、呪詛師があまり同じところには居られないだろうとは思っているだろうけど、そこまで時間を掛けたくもないだろうな。

 

 

 着いてきてはいるけど手が出せないって感じ。

 

 

 となると、ここは私が誘導した方が早い。

 できるか分からないけど呪詛師を誘導させよう。

 そうと決まれば、俵担ぎをされたまま服を引っ張ってみる。

 

 

 案の定、呪詛師は「ああん?」と苛立ちを含んだ声を出して止まってくれた。

 

 

 ......よし。

 

 

 

 

 「おじちゃん、トイレ行きたいぃー! 漏れちゃうよぉ~」

 

 

 

 

 ピクッと呪詛師の肩が跳ねる。

 ついでにパパ黒の動きが止まった気がした。

 

 

 

 

 「ああ!? 俺は今それどころじゃ...」

 「いいの? 私がここで漏らしたら皆が注目して誘拐犯がここに居るってこともバレちゃうよ? そしたら皆がおじちゃんを捕まえに来るよ?」

 

 

 

 _____本当に、いいの?

 

 

 

 

 

 オーラをちょこっとだけ出しながら念押しをすると、呪詛師の額に冷や汗らしきものが流れた。

 目をじっと見て、もう少しだけこの男にのみオーラを流す。

 すると男は汗をダラダラ流しながら「あそこのビルに入る」と言ってくれた。

 

 

 後ろから着いてきてるパパ黒がプルプルと肩を震わせているのも同時に見える。

 

 

 五感が冴えてるから絶対聞こえてるな、あれ。

 

 

 

 聞こえてるなら言ってみるかと思い、小声で「今から11時の方向にあるビルのトイレに入る」と言ってみた。

 

 

 するとパパ黒をチラッと見たら目を見開いていたので、聞こえていることを確認。

 

 

 なんとなくサムズアップもしておいた。

 

 

 今度は呪詛師ではなく私をずっと見ていることにしたようだ。

 ちゃうねん、呪詛師見てあげて。

 

 

 

 

 首が痛くなるほど高いビルに入る前に、呪詛師は私を逃がさないように腕を掴みながら降ろした。

 そして自分の着ていたパーカーを私に着させ始める。

 

 

 だぼだぼのパーカーなので裾が地面に付いてしまうも、呪詛師が再度私を俵担ぎしたので関係なかった。

 ビルの中は、インフォーマルな服装の人達が行き交っていた。

 中に入れば少しは人が減るかと思いきや、予想を越えて人が沢山居た。

 

 

 呪詛師はその行き交う人々の中を突っ切って、非常階段へと真っ直ぐ進む。

 

 

 なんで後ろが見えるのかと言うと、実はセーラー●ーンの『月に代わっておしおきよ』がプリントされた手鏡を使っているからに過ぎない。

 ちなみに今はセー●ームーンRの放送時期であるので、母が買ってくれたのだ。

 他にも私のポッケにはちっちゃなセーラー●ーンのバッジや小型のペンが入ってたりする。

 

 

 と、そんな情報はさておき、呪詛師は階段の手すりに足を掛けるとジャンプを器用に繰り返して一気に上の階へと降り立った。

 

 

 上の階は高級感満載のレストランだった。

 

 

 

 

 

 

 さらにズンズンと進んで、WOMANという文字が見えてきて_____かと思えばくるりと反転し、MENの文字が。おん??

 

 

 

 

 「悪いが男トイレでして貰う」 

 

 

 

 

 その一言で私の口元が引くついた。

 

 

 

 

 

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