拓海落ち
捏造ありまくり
イツキ成り代わり
無理な方はここで引き返してください!!
幼稚園の砂場で幼なじみの男の子がボケーッとしている後ろで、私はその男の子の背中でミニカーを走らせていた。
丸まった背中に白と黒のパンダトレノ____ではなくクラウンのパトカーが走り込む。
よし、肩甲骨付近で慣性ドリフトだ。
するとタイヤがくい込んだのか、男の子の背中がピクリと跳ねた。
可愛いヤツめ。
そういえばコイツは誰だっけ。
桜型の名札を確認しようと、そのボケっとした男の子の前に出る。
藤原拓海……ふじわらたくみ!?!?
ソイツの顔をまじまじと見た。
”例の原作”ではクラスで2番目のイケメンだと書かれてあった。
確かにコイツは隠れたイケメンである。
スラッとした輪郭に、細い鼻筋、ぱっちり二重だが眠たげな孤高のイケメンさがある。
対して自分の名札を確認すれば、武内伊月と書いてあった。
名前の漢字は違えど、あの「イツキ」には違いない。
そして何より己の性別が____女だってこと。
本来ならば武内樹と藤原拓海は、中一からの付き合いになるはずだが、この世界では幼稚園の頃から出会っているらしい。
急に目の前に出てきてガン見してくる私にビビったのか、拓海は泣きそうになっていた。
あまりの可愛さに思わず自分の右手がその明るい髪に伸びる。
元々メラニン色素が違うのだろう。
日に当たると茶色く見えたその髪は、触るとさらりと指の合間を抜けていった。
なでなでしていると、拓海が段々と落ち着くのが分かる。
にしても本当に何考えてるか分かんない奴だなあ。
「わたし、たけうちいつき!きみのなまえは?」
名札はあるが、幼稚園児に名札を見やがれは流石に無いと思うので本人から聞き出したい。
「…………ふじわら、たくみ」
「たくみね!!ともだちになろ!」
「……いいよ」
拓海はどうやら照れているらしい。
見分けは付きにくいが、若干口角が上に歪んでいるのが分かる。
そうと決まれば拓海、今から英才教育をしよう。
いいか、今から持ってくるミニカーはハチロクと言うんだ。
あーゆーおーけー?
そして白と黒はパンダトレノと言う。
つまりお前は未来に「ええ!ハチロクじゃなくてトレノだろ!」という可愛いおバカな発言は無くなるんだ。
「これ……とーちゃんがのってた」
「おとうさん?」
親父じゃないのか。まだ反抗期前とみた。
「うん。うちに、はちろくあるよ」
「ほんと!?!? みたい!!」
あるのは知っていたが、やはり拓海からハチロクがあるのを聞くのとじゃ訳が違う。
キラキラした顔で拓海にぐいと近づくと、拓海はびっくりして目尻に涙を溜めていた。
ああ、すまんすまん。
撫で撫でを忘れずにしておくとまた落ち着きを取り戻す拓海がいた。
どうやら私のハンドテクニックが気に入ったらしい。
拓海のハチロクはあとで聖地巡礼として絶対に行くとして……目当ては文太さんだな。
原作の文太さんは池谷先輩に言っていた。
ドライブテクニックってのは1日や2日じゃ付く代物じゃないと。
だったら今のイツキはどうだろうか。
実は拓海と良い勝負になる逸材だと私は密かに思っている。
原作のイツキはハチゴーでも免許取り立てとは思えない成長速度を見せていた。
拓海と埼玉の子のおかげにもよるが、やはりイツキ本人のアドバンテージだと思いたい。
つまり私も幼い頃から文太さんに習えばいいのだ。
最初はカーレースの習い事を考えたが、八百屋の何も後ろ盾のないイツキには無理な話だ。
ならば元ラリーストの文太さんに頼む方が希望がある。
何故ここまでするのか。
それは拓海に理由がある。
前世の私は拓海が一番好きだった。
そして拓海の出来事に一番泣いたのも私だった。
だからこそ私は拓海に寄り添いたい。
一番の親友だって。
横にいて、辛い時も嬉しい時も泣きたい時も誰かを殴りたい時も、隣に居てあげたいと思うんだ。
そうと決まれば拓海を懐柔しなくてはならぬ。
私はくぅ〜!!と原作イツキと変わらぬ笑い方で悪どい笑みを浮かべたのであった。
初めての頭文字D夢小説投稿……。
私は!!!藤原拓海の夢女子なんだ!!!!
ハーメルンに欲しかった。