[RemembeR me]
2014.5.21 11:08:51 星見里研究所内部(第三試験室)
side:神空 鴉那
月夏が決めた!
合図で槽を切り裂くと、中から蛍光色の液体がドバッと溢れ出てくる。
それがあいつに触れた時だった。
完全に動きが止まってる、痙攣すらも。
あの溶液が、まるで無意識すらも奪ってるかのように。
月夏の仮説は多分あってた!
なら次にやることは、コンセントから切断したコードの先端をその液体に投げ込む。
バチバチッバツン!と激しい音と共に部屋の電源が落ちた。
念のため、一気にコンセントを引き抜く。
焦げたビニールの匂いと熱が、その凄まじさを物語っていた。
念のため液体に金属片を投げ入れてみる。
……帯電してないね、よし。
そのままそいつのすぐそばまで歩いて行く。
……きっとこいつも、ここの被害者なのだろう。
でも、同情はしない。
あるのは、さよならだけ。
その首元へ、右腕の断頭の刃を振り下ろした。
「おわったね……やったよ!げっ……」
月夏の方を振り向いた瞬間だった。
背中から焼きごてを当てられたような熱さが体の中を貫く。
「ありがとう、鴉那。よく頑張ったわね。おやすみなさい」
え……
なんで、わたしのなま……え……
ちが、ししょ、う……?
「ア……!!」
まって、げっか
つれてかないで
やめて
いたい、あつい
「
必要なものはもう残ってないので全破棄の上焼却処理。オーバー」
なにいって
「エメラルドからM1、後何分後に到着予定?オーバー」
ねえ、ししょう
「了、なら任せるわ、アウト」
おいてかないで
ほのおが
……あ
だれ……?
こないで……
た す ……
[アナリティクス・プロジェクト 第一章 終]
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[ブルーカラー・アーカイブ]
とある携帯電話に残されたメモファイル
初めは給料に釣られてだった。
何もない山の中の倉庫の守衛業務、それだけで月60万も貰えるなら文句なんかねぇだろうよ。
何を運んでいるか詮索禁止他言無用。
でもそんな守秘義務なんてどこにだってあるわけで、別にここが特別とも思っちゃなかった。
あの日までは。
ある日内部守衛に移れと言われた。
一人蒸発したらしい。
……高飛びでもしたのかな、ここは給料はいいが得られるものもねぇしな。
だが、その日出会ってしまったのだ。一人の少女と。
「やめっ……!」
その部屋から聞こえたのは、悲痛な叫びだった。
まだ10代であろう少女を、一人の科学者が襲っていた。
服も纏わされず、両手足を縛られて。
「ゔっ!」
思わずトイレに駆け込む。
あんなことが許されていいのか?
見てはいけないものを見たのではないか?
そんな疑心と恐怖心とが、全てを覆い尽くすには時間はかからなかった。
助けてあげたい。
でもどうやって?
金か?力か?
何をしてやればいい?
だが、あまりにも無力で、俺ごときではどうしようもなかった。
毎日謝ることしか出来ない自分に嫌悪を繰り返す。
ああ、前任者もこうやって心が折れたのかな……
っと、なんだろう、話って。
このファイルは……いや、残しておこう。
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2014.5.12 最終更新
被験体04 "アンガーフック"
被験者:◼️原◼️◼️
ステータス:元守衛
施工日:2014.5.◼️◼️
付随遺伝子:ゴリラ62%、クマ38%
定着率:33.4%
備考:職務怠慢の目立つ守衛員が適正値が高いことが血液検査により発覚、施工。
現状、かなりの適応力を確認できるが、異常なまでにゲノムマザーである、Aへの執着を確認。
現状では写真などを投与することにより精神的安定が観測されているが、将来的な不安要素としては目立つ。
暴走時に抑止が可能なように、溶媒液の中に行動抑止ナノマシンを散布。
これを体内に投与すれば行動を強制終了させられるものを開発、試験中。
というわけで今回で第一章は終わりです。
ここまでお付き合いくださった皆様に感謝を!
もし面白かった、続きを読んでみたいと思ってくださりましたら、評価をいただけると次の章へ向けたモチベーションになりますm(_ _)m
ん?
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「マリア1よりエメラルド。
こちら総員現着。コードブラック実行予定、オーバー」
男装の少女が咽頭マイクでの対話中、暇そうに後ろで控えてた赤髪の少女が隣の金髪の少女に話しかける。
「ねぇカタリナ。あれが例の?」
その指先には、背中から刺されて虫の息の少女が倒れていた。
「咽頭マイクだから入らないとは思うけど、報告が終わるまでは黙っといたほうがいいよ、マリア3」
「ちぇー」
その少女、カタリナから指摘されて拗ね気味に赤髪の少女はボヤいた。
「了、マリア1、アウト。
はぁ……マリア3……いえ、ピース。流石に空気は読みなさい」
「はいはい、ごめんなさいねミアちゃん」
あまり反省の色もないその返事に、もう一人の大柄な少女が身を乗り出す。
「おい!!」
「何よ腰巾着!カレンさぁ、アンタ、ミアがいなきゃ何もできないじゃない」
「んだとぉ?」
カレンと呼ばれた緑髪の少女とピースの間に走る緊張に、カタリナは半ば辟易したように仲裁する。
「やめなって二人とも」
「はぁ……ピース、あなたね……」
流石にミアも隊長として思うことがあるのか、一言挟もうとしたのを、ピースが遮る。
「あーもーやってらんない!さっさと終わらせましょ!私がもらうね」
ピースが手に持ったライフルを少女に向かって構える。
バン
一発の音が、燃え盛る研究所の中に響いた。