不審者の一部設定開示を兼ねた番外編です。
不審者情報…ってコト?!
懐かしい声を思い出す
_______あの子をお願いします
僕が守りきれなかったあの声を思い出す
僕はそれをきっと、生涯忘れることはないのだろう。
アラームの音で目を覚ます。
街の伝承や新聞記事を整理しているうちに、うたた寝してしまっていたようだ。
時計を見るとあの子を送り出して15分ほど経っていた。
さて、僕もそろそろ行くかな。
「あの子が戻ってくる前に確認したいこともあるし、少し遠出するとしますか」
準備をしながら思考を纏める。
事前に得ていた情報とあの子に聞いた話から、分かったことがある。
まず、怪異の異常発生は、やはりというか、山にいるナニカが原因だろう。山の近くや、山に
逆に言えば山から離れるほど怪異の量と強さは落ちるだろう。
であれば、次に調べるべきは異常発生の範囲だ。
軽く隣街まで歩いて確認するとしよう。
置手紙を残し、いくつかの道具を手に取って部屋を出た。
結論から言うと、異常発生の範囲はこの街の全体を覆うものだった。
この街は
それとは別に、隣の街も霊的に不安定なようで、土着の神である大百足の神の力が弱まっているのかもしれない。
そんなことを考えながら隣街の商店街を散策していたら、所々掃除されている痕跡があるが、高い所などの汚れが目立つ社を見つけた。
神の力が弱まる原因は大抵の場合、信仰の不足だ。
「よし、掃除するか」
既に綺麗に保たれている石畳や壊れかけの賽銭箱には手をつけず、灯籠や屋根裏などの汚れや埃が溜まりやすい場所を掃除していく。
社や地蔵などを清潔に保つ行為は信仰を集め、力を強めるだけでなく、穢れを祓い、悪いものを近寄らせない一種の儀式だ。
商店街の神として大百足が祭られているのは、『足が多い、つまり客足が多いということで商売繁盛の象徴である』ということ、そして
『決して後ろに下がらないという百足の特性から、戦いの神である毘沙門天の使いとされている』という2つの理由から来ているものだろう。
柱に足をかけ、屋根裏の蜘蛛の巣を取り除きながら考える。
「よし、これで終わり」
一通り掃除を終えて一礼とお賽銭を投げ、帰宅しようと振り返る。
__________こんばんは
そこには、
「……………
いや、違う。
「大丈夫ですか?」
その言葉を聞いて我に返った。
「あ、すまないね。」
「こんばんは、早く帰らないとおばけが、いや、これは不要な忠告かな?」
子どもながらに初対面の僕に気後れしない胆力と経験に裏打ちされた勇敢さと慎重さを併せ持つ顔の少女は「ここでなにをしてたんですか?」と僕に聞く。
「僕は隣街の人間でね、少し用事があってこの街に来たんだ。今は掃除がてら休憩中ってところかな?ほら、ここは神域だから他の、あー、おばけが入ってこられないからね」
こんな時間からこの神社に訪れたところを見るに、石畳やらが綺麗にされていたのはこの少女によるものだろう。高い所が他と比べて掃除されていないのは背が届かないからと考えれば合点がいく。
「君はお参りかい?」
「うん。わたし、連れていかれたおねえちゃんを返してもらいにかみさまに会いにいったら、色々あって、朝でもおばけが見えちゃうようになって、ここでしか休めないの」
「でも、夜に街を歩くのってちょっぴりこわいけど、色々面白いものも拾えるし、楽しいよ」
「そっ…か、君も大変なんだね」
絶句した。
こんなに幼い子どもが満足に眠ることができない事実と、それをましてや楽しいなんて言ってのけるこの子の胆力に、そして何より、神から生贄を取り返して生きているという事実に。
『
それが出来ないのは、大人どころか人間失格だ。
「僕のことは『やもりさん』と呼んでくれ。」
「君の名前を聞いていいかい?」
「こともって言います。」
ぺこりと頭を下げる少女。
「こともちゃん、君、うちで働かないかい?」
「僕はおばけ関係の何でも屋なんだ。今は隣街のおばけの大量発生について調べてる。ここに事務所がある。おばけはここに入ってこられないから、いつでも来てくれて構わないよ。君は僕の事務所で、この街でおばけの話、噂話なんかを聞いたら僕に教えて欲しい。」
「?」
一方的に捲し立てられ、手に地図を握らされ、困惑した表情を浮かべた少女。
「まあ、つまり、危なくなったり、疲れたりしたらいつでも僕の所まで来てくれ。それで、気が向いたら君や、君の周りの人の話を聞かせて欲しい。」
「それと、青いリボンの女の子に会ったら、仲良くしてあげて欲しい。良い子だからさ。」
「それじゃあ、用が済んだから僕は帰るよ。君もゆっくり休んで、朝になる前に帰りなさい。」
「それじゃあ、おやすみ。」
彼女の言葉も一切聞かず、言いたい事を強引に言い切り、神社を去る。
「あの!それ…」
彼女は僕を呼び止め、賽銭箱を指す。
そこには、先ほどまで無かった、皿の上に盛られた塩。
いわゆるところの盛り塩が置かれていた。
「これは…?」
「わたしがおそうじしてるとき、よくムカデさまがくれるの」
神が信仰を捧げた者に返礼をしたといったところか。
塩を丁重に紙に包み、懐に仕舞う。
賽銭箱を前にもう一度一礼。
「ありがとうございます。大切に扱わせていただきます。」
視界が一瞬赤く染まる。しかし、瞬きをする間に元に戻ってしまった。
「それじゃあ、改めて、いつでも来てくれて構わないからね。」
「おやすみなさい。」
さて、そろそろあの子も戻ってくる頃だろうか。
「無事に戻ってくるといいが」なんて呟きながら、怪異を躱すため屋根伝いに移動しながら帰宅する。
帰りに、お茶菓子を三人分買ったのは、語るまでもない。
こともちゃん
家でも安心して眠れないし、頼みの綱のムカデ様の神社は近いうちに確実に壊されるし、お姉ちゃんは助かったけど、こともちゃん本人は逃れられてない感じがして超心配だったので今作ではその辺なんとかしたいと思ってました。
不審者
幼女を部屋に連れ帰る事案を1日で2回やらかす人
彼女
不審者が に所属していた の 人。