ホラー系の世界に転生したのにあまりにも怪異がカラっとしている 作:ない因習村:ラーメンは魚介派が9割
大変お待たせしました。激務オブ激務でこの週の平均睡眠が4時間切って帰ったら寝るだけの生活を繰り返し、土曜日も爆睡……ようやく日曜日で手を付けられました。これから毎日投稿復帰していきますので改めてよろしくお願いします。
「こんにちは、47」
「47じゃないですが」
「とある人物(私)から依頼の連絡が届いたわ。これによりウチの会社のブラックさが浮き彫りになった。今法的機関への手続きを進めているところ。だけどそれだけでは足りないわ。膿の元凶となる大本を始末しないことにはいずれまた腐った企業が再誕するだけよ。仕留めてもらいたいのは社長、専務、部長。まず法定労働時間を亡き者にした社長、セクハラパワハラの鬼である専務、モラハラとオーバーワークで鬱を発病させる部長。この3人が相手よ。準備は一任するわ」
「準備が一任されているけれど……!」
残念ながら暗殺以外なんでも出来る禿みたいにはいかないんですよ。此処法治国家ですし。
「久しぶりにやるとさぁ、楽しいよね。アレ」
「楽しいですけど」
「あと上司を暗殺する時の予行練習になる」
「目からハイライトを消さないでください。そもそも貴女怪異なんですから怪異っぽく殺してくださいよ。ただの面白暗殺じゃないですか」
「ヒトの尊厳を弄ぶなら怪異殺よりも面白暗殺じゃない?」
「一理……あるかぁ?」
とりあえず神隠しして証拠も残さず行方不明を出すことは出来そうものの、その3人がどこにいるのかわからないと行動も出来ない。そこらへん知ってるの?と聞いてみる。
「知ってる知ってる。知ってないと誘ってないって。社長は今家で寝てる。専務は繁華街でおぢさん(笑)としてパパになってる。部長は会社で部下をいびってるわ」
「どいつもこいつもロクでもないですね」
「ロクでもないから殺さなきゃいけないのよ」
社会の闇か……
「で、どうします?神隠しすると言っても、綺麗に散らばってますよね。手分けして誘拐してきますか?」
このド直球アナーキーパーティーは、2/3が空間に干渉できるとかいう割と無法な性能をしている。俺は辻ワープで異世界渡りが使えるし、メリーさんは対象の後方に転移する事ができる。じゃあ雨女さんはというと今この瞬間環境有利を取っている為基本ワープよりも強いと思ってもらっていい。役割分担としては、メリーさんが奇襲、俺が気絶させた相手を運搬、雨女さんが確殺を決めるという形になるだろう。
「ん~、一人一人確実に殺すよりまとめて誘拐してから殺した方が良いと思うの。これが犯罪である以上不確実要素は最小限に抑えていきたいわ。死体がバレたらコトよ、コト」
「犯罪の自覚あったんだ……」
「私は雨女!雨を降らせる雨女!昨今は行くとこ全部雨降らせる人のことを言うせいで何故だか怪異なのに人間の属性を手に入れた女!許すまじ人間……!でもそのおかげで恐怖に頼らずとも人間の飯でエネルギー補給できるからそこは許そう。だが私をこき使った奴は怪異の意地に懸けて許さない!怪異に法律なんざ必要ねぇんだよォ!」
「大分頭にキてた」
「もう救えないわね……」
メンヘラ包丁が私も連れてけとばかりにバイブレーションしていたのでメリーさんにジャッジャッと研いでもらい3人と1本で向かうことになった。善は急げだ、雨降ってる時の雨女さんは環境有利でクソ強いので雨が止む前に事を済ませなければいけない。俺達はとりあえずダイナミック誘拐する以外の計画すら立てず、ぶっつけ本番で企業転覆に向けて行動するのだった。
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ステップ1 社長を誘拐しよう
「『もしもし?私メリーさん、諸々をハショって殺すわ』」
「なになになになに!?……ウッ」
誘拐したのち、雨女さんがしかるべき罰を与えるらしいのでとりあえず辻世界に放り込むことになった。雨女さんにより社長の居所を獲得。メリーさんが電話を掛け、寝ぼけ眼で取った瞬間、爆速ドパガキ構文で背後を取ったメリーさんが即座に首を締めあげ鎮圧した。内側から鍵を開けてもらい、家へと侵入。辻ワールドに放り込んでミッションコンプリート……!
スピード誘拐だ。多分ゲームなら☆3つだろう。☆5ではない。残念ながら☆5はソロでかつ正規の手順で暗殺しないといけない。これはどちらかというと面白暗殺である。
ちなみに辻ワープはあくまで辻世界という異世界に入るだけなので、運搬は俺達が担当しなくちゃいけない。気絶から目が覚めることも考慮し、定期的に頭部に一撃を加えながら運ぶことにした結果……
えっほ、えっほ、ガッ、えっほ、えっほ、ガッ
俺が両足を持ち、メリーさんが両肘あたりを持つ。断続的にメリーさんが後頭部に膝蹴りを入れて気絶時間を延長することになった。これをとあるゲームになぞらえてストレッチャー運搬と名付けよう。めちゃくちゃ患者が滑る奴ね。
「ぬるぽ」
ガッ
良い膝蹴りを食らったのか首がカクンカクンとなってしまったのを横で並走していた雨女さんが心配する。
「ねぇ死んでない?死んでないよねぇ?私復讐するんだけどそれ死ぬよねぇ?」
「いやいやそんなまさか……し、死んでる……!」
「ほらぁー!死んでるじゃん!怪異の膝蹴り喰らったら死ぬんだよ!絶対死ぬって!」
「私メリーさん、ここ最近で一番イイ膝蹴りが入ったわ」
「クリティカル出してんじゃーん!!ねーぇ!?」
「いやいやいや、社長の耐久力がないのが悪いですって。暴れられても困りますし。ほら、心臓マッサージ心臓マッサージ」
「無理でしょこれもー……てか人工呼吸したくないんだけど」
「俺もですね」
「私はそもそも呼吸をしないわ」
「……死ですね」
復讐計画は初手で頓挫した。うっかり殺してしまったからだ。メリーさんがてへぺろっとするが、それで許されるワケ……許されるわ。そもそも貴女怪異ですもんね。法律通じませんよね。
後日、わかることなのだが、社長は最初の首絞め気絶の時点で死んでいたらしい。司法解剖に何故だか詳しいお稲荷様が脳みそを食みながら解剖結果を渡してくれた。死因は頸椎の圧迫骨折だった。つまり、膝を入れなくてももう死んでいて、俺達は死体蹴りをしていたことになる。やっぱりメリーさんがやってたんじゃーんと俺とメリーさんでキャッキャしていた。人の死因でキャッキャするモンでもないというクレームは受け付けないことにする。
「死んじゃったかぁ……クソォ……まぁロクな死に方だったのが救いか」
「言うほど救いですか?」
「私にとってはね」
「あぁなるほど」
つまりは惜しい人を亡くしてしまった。(殺したかっただけで)死んでほしくはなかったということか。
「惜しくねぇよ労働基準法を亡き者にしたヤツだ」
「法律って亡き者に出来たんですね」
「労基を『始末』しようとするって事は逆に『始末』されるかもしれないという危険を常に『覚悟して来ている人』ってことよ。社長は『覚悟』していた。そしてその報いを受けた。それだけ」
「恐らく5部から9部を見たんだろうなということはわかります」
「惜しい。徹夜で3部からよ」
「1部2部」
「スタ〇ドある方が好きなのよねぇ~。というか1部2部はほら、主人公たちが使う技術ってモロお祓いだからさぁ、なんか見てて苦しいんだよね。自分自身の末路みたいな感じで」
「アレ自分自身の末路として見てたんですか」
「コワ~ってなるよ。雨女的に太陽ってのもね。サンライトのヤツとかモロ天敵。ギリターコイズ行けるかなっていう」
「ギリなんだ……」
ちょっとした面白雑談を挟みつつ、俺達は社長を引きずって専務をヤリにいくのであった。勿論、今度は殺さないようにする。俺はメリーさんに念押しした。
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ステップ2 専務を誘拐しよう
「ぎゃああぁぁあぁ!!!女の子になっちゃうぅぅぅううぅぅ!!!!」
「ちんちんがへこんだからといって女の子になるわけじゃないと思う」
専務は断末魔の叫びをあげて死んだ。ちんちんが凸の形から凹の形になって死んでしまったのだ。下手人はメリーさん。死因は呪いであるらしかった……。なんでこうなったかというとちょっと遡る事になる。
専務はおぢさん(笑)として神待ち女子を漁っていた。そこを急襲するにはどうすればいいか話し合いになったのだ。なんせ周りに人が多く、気絶させようにもみられる可能性が高い。よって、囮を使うことにした。
メリーさんに神待ち風に立ってもらい、チラチラとエロ専務おぢさんに視線を送る。興味を惹かれたおぢさんといくらか会話した後、ホテルへ入っていった。こそこそ隠れてみていた俺と同じく隠れていた雨女さんが心配の色を見せる。
「大丈夫なの?彼女なんでしょ?良いの?」
「うーん、なし崩し的に彼氏彼女の関係性になりましたけどその程度で関係性が崩れると思ってないので」
「君達会って1か月も経ってないよね?」
「経ってないですね」
「えぇ……?」
彼女がおぢさんとホテル入ったら囮でも焦るモンじゃないの……?そんなことを言われるが……
「俺がメリーさんに囚われてんのに、メリーさんが俺を手放すのはおかしくないですか?」
「………ヤバぁ………」
えぇ?いやいや、だってそうですよ。俺メリーさんになし崩しで彼氏彼女の関係になって同棲まですることになって拒否ったら殺すみたいに言われてるのにメリーさんが俺手放すのはおかしくないですか?俺損しかしてないじゃないですか。なんで俺ばかり損する必要あるんですか?曇り亡き眼で見つめるとドン引かれる。why?
「いや、えー……?もっとさぁ、彼氏彼女なんだから損とかそういう勘定で判断せずにもっとこうメンタルでさぁ……NTRの導入みたいなモンって思わないの?」
「まぁ俺が捨てるって言ったら殺すって言われてるんで、俺を捨てるならこっちも殺そうかなって。そうしたらフィフティフィフティかなって」
「重ォ……」
「何言ってんすか。雨女さんも言ってたじゃないですか。『覚悟して来ている人』ってことですよ。殺される覚悟殺される覚悟」
「いやぁ……怪異だからまぁ理不尽なのは良いけど君がぁ?人間じゃん」
最近の若い子ってこんなモンなの……?延々に首を傾げる雨女さんを差し置いて、メリーさんから着信。
「もしもし」
「『もしもし、私メリーさん。順調に侵入したわ。臭いからってシャワーに叩きこんで待機してる状態よ。302号室に入って来て。受付には連絡済みよ』」
「はいはい。あ、メリーさんメリーさん」
俺はスマホをスピーカーにした。
「『何かしら?』」
「もし俺が別に彼女作ったりしたら俺を殺しますよね?捨てたりしても殺しますよね?」
「『殺すわね』」
「じゃあメリーさんが俺を捨てたり他に男作ったら殺しても良いですよね?」
「『そんなこと天変地異が起きてもないと思うのだけれど』」
「もしもの話です」
「『そう……えぇそうね。もしそうなった場合私は私ではないから殺してくれると助かるわ。プライドと愛情は一度曲げると幾らでも曲げられるようになってしまうもの。美しく殺してちょうだいね?』」
「なるべく努力しますね。それじゃあ、今から向かいます」
「『えぇ、待っているわ』」
俺はスマホを切ってから雨女さんに視線を向けた。
「ね?」
「コワァ……」