ホラー系の世界に転生したのにあまりにも怪異がカラっとしている 作:ない因習村:全てのドアが一方通行
Q:なんで更新途絶えていたんですか?
A:嘔吐下痢高熱のトリプルコンボで入院していた
過労で倒れましたよ……更新再開です。皆さんも激務はほどほどにしよう!
「女子会、しようず!」
彼を退散させ、面子集めを任されたメリーさんは一先ず大先輩たる花子姐さんに声を掛ける事にした。
ゆで理論と同レベルの謎理論によってトイレ判定を下されたメリーさんは自身の腹にノックを二回(ここ重要)するとまるで休日宅配で起こされたような超絶不機嫌OLの如き表情で花子姐さんが登場するというワケである。
事情を説明すればさすがの花子姐さんも花の女子会と聞いて黙っちゃおれねぇ、そう言わんばかりにちょっぱやで身なりを整え、メイクしながらメリーさんから抜け出した次第。絵面がエイリアンが腹から生まれるようだったとはサイコパスの言だ。
だがしかし、ここで女子会メンツ集めは少し難航した。
何故ならメリーさんがこの地に引っ越してきてからというものの、ロクな女子に会っていなかったからだ。友達を錬成しようとする女は論外であり、ウンチ報告する隣人もまた論外だった。そうやって例外を省いていったら雨女さんとオカ研の副部長しか残らなかったのは絶望ものであるかもしれない。幸いどちらも暇していたらしく来てくれるとのこと。それプラス花子姐さんが一人連れて来てくれるようだ。
そんなわけで改めて面子の紹介をしよう。
「いやぁ、中々に中々な面子でございますな!頭の危険アラート鳴り響きっぱなしですわ!!」
生まれた時からサイコパス、天鋼。
自らの悪癖と業罪を人の役に立てる方面にしただけの悪。精神が歪みきっており、人が苦しむ姿を心底喜ぶという大変に大変なものをもっている。他者の悪感情をアンチエイジングに生き永らえる悪魔であり、部長が偶々人に生まれただけの熊というなら、この女は悪魔と人が
「女子会、初めて」
多分怪異ゲームの主人公、ベテラン幼女パイセン。
数多の怪異を退け、集め、あらゆる呪具をもってランドセルをいじめにいじめた女の子である。効率厨のきらいがあり、どうも花子姐さんとはマブダチであるらしかった。花子姐さんが根城にしている学校の一つに通っており、彼繋がりで花子姐さんから女子会にお呼ばれしたらしい。話には聞いていたがなるほど、メリーさんは納得した。これは歴戦だと。溢れ出るオーラが違う。
「……誘われてきましたけどこの……これは何?」
動揺を隠せずにいるのはオカ研の副部長、轟先輩。
とてもロジカルで冷静な人だが、さしもの彼女でもこの状況は処理しきれなかったらしい。頼んだ珈琲に砂糖を入れようとしているがバグかラグか座標ズレを起こして手の甲に砂糖をブチ撒けている。だがしかし、もう片方の手にはペンをがっちりと握りしめており、トイレの花子さんという大御所に話を聞けるとあっては熱も入るという感じだ。
「メンツがメンツでビビるんだけど……、あぁお久しぶりです花子姐さん」
キッチリ45度でお辞儀をする黒髪の女性、雨女さん。
訴える本人ということもありサイコパスに話を通すためにも呼んだ次第。例によってダサTを着ており、デカデカと『濡れ衣』と書かれていた。ダブルミーニングにしてはセンスがないなと、最近の彼氏によって磨かれつつあるユーモア評論家としての忌憚なき意見は心の奥底にしまい込まれるなどした。
「おぅ、まぁ座れや」
貫禄のある言い草をするはトイレの花子さん。
えげつないパワーと地位を獲得した学校の怪談きっての傑物であり、怪異界の大御所である。学校のない時間は風呂に冷の日本酒とスマホを持ち込んで長風呂しながら黒澤監督の映画を鑑賞するという優雅な時間を送っている。お気に入りは『隠し砦の三悪人』だ。だがさしもの花子さんでも女子会は女子会だ。参加しないという選択肢は存在しない。
「えぇ、それでは何故だか司会を務めることになったメリー、都市伝説のあのメリーさんその1体よ」
一応念のため昨今の流行に敏感なJK、メリー。
引っ越し作業(ほぼ私物がないので建前)や環境に慣れる(そもそも人形に適応する環境がない)為にお休みをいただいていたモデルの仕事を復帰しようと考えている最近の女子高生だ。人形として眠る事がない為専ら深夜に彼氏の寝顔を凝視したり、彼氏に似合う服装をデザインしたりと忙しい日々を送っているが、いち女子高生としてそういう話はとても興味がある。
以上6名、過半数が怪異という女子会というにはホラーに偏り過ぎている会が始まった。
「そうね。まずは簡単な自己紹介から始めましょう。言い出しっぺの私から……都市伝説のメリーさん、自分を捨てた相手を探し、電話して、相手を殺す人形の怪異、その1体よ。私はラブドールのメリーさん、彼氏と同棲中でゆくゆくは結婚を考えているわ」
「おぉ~~~、良いねぇ~~~。随分アグレッシブだぁ……。あ、私の番ね。私は天鋼、メリーさんの将来の義母になる人でぇーっす!」
「おぉおぉ、前のめりだわな。あぁアタシか。アタシは花子、トイレの花子で有名な花子だ。最近ちょいと収入があってこの女子会は奢ってやらぁ」
「よっ太っ腹~~~。あ、私は雨女です。あの~、雨に降られる人って意味でも妖怪って意味でもどっちでもです。花子姐さんゴチになります」
「……私。私は天蓋。じぇーえすです。トイレの花子さんにお呼ばれしました。彼氏は居たことありません、よろしくおねがいします」
一通り自己紹介したところでスッと手が上がった。雨女さんだった。進行役であるメリーさんがどうぞと声を掛けると雨女さんは恐る恐るベテラン幼女パイセンに問うた。
「……珍しい苗字だけどもしかして……お父さんって結構出張ばかりだったり人を使い潰す系の鬼だったりしない?」
「後者はわからない、けど前者はそう。お父さん出張ばかり、だからパージした」
「あ……ふーん……」
雨女さんは静かに天を見上げ、祈り、そして顔を抱えてすべてをぶちまけた。
「えー……訴えようとしている人のお子さんがそちらの方になります……」
「おん前マジかよっ……えぇ?話にゃ聞いてたがよォ……コイツに被害が及ぶってんならアタシもそうだし他の奴らも黙っちゃいねぇぞ。天狗のヤツも河童もな。特に河童はお得意様だ、ブチギレなんてモンじゃ済まねぇぜ?」
「ですよねぇ~~~~」
花子姐さんの物言いに雨女さんは絶望する。それもそのはず、ベテラン幼女パイセンは数多の怪異をフルボッコにし友誼を結び、家に呪物という呪物をコンプしている端的に言えば逆らっちゃいけないお方である。そのお父さんを訴えようとしているということは怪異にとって自殺行為と言ってもいい。たとえそれがモラハラと合理性という棍棒を振り回すような鬼であってもだ。
だがしかし、たとえ鬼の子であっても慈悲はあった。いや、鬼の子はロクに育児教育に参加しなかった
「別に、いいよ。お父さんロクに帰ってこないし、お金入れるだけだし、お母さんも、うん。
「シャオラッ!!!」
「いやさぁ……おめぇ、そうじゃねぇだろ。喜ぶよりもコイツの家庭環境を労わってやれよ。んだよ
「お父さん、ロクに家に帰ってこない。お母さん、それでずっとイライラして、お父さんパージしてからいつも笑ってる」
「ダメな笑いじゃねぇかよソレ……」
家庭環境の終わり具合にさしもの全員絶句した。夜〇関係でもそうだったがなぜこういう主人公の家庭環境は終わったものが多いのか。あるいは終わってるからこそ怪異に付け込まれやすいというべきか。
女子会そっちのけの緊急会議が全員合意の元開かれた。
「弁護士の姉ちゃん、こういうのって家庭内不和でどうにか出来ねぇのか?」
「無理だねぇ……無理というか難しいが正しいかな?どっちが親権取るかにもよるけど……話聞くにどっちが親権とってもマズイでしょ?」
「誘拐って案はどうです?コッチに引きずり込むってのも手ですけど」
「雨女さんですよね?それは難しいと思います。彼女の学校生活もありますし、親元から離すというのも大丈夫と口では言えどもストレスの要因としては大きく出ると思います」
「轟さんの言う通りよ。それに怪異側に引きずり込むってのは最終手段にしたいわ。どんな悪影響があるかわからないもの」
その言葉に怪異側で約一名の怪異が過る。封印されたハズのあのカスユーモアである。カスユーモアレベルでないにせよアレやソレな奴等はそこそこ居る。でなければ怪異になどなっていないからだ。面倒臭くない怪異はほぼ居ない。そんな奴はとっくのとうに成仏している。
「アレか……」
「アレな……」
「アレよ……」
三者三様の一致はしかし、怪異側に引き込むという手段をためらわせるには十二分な効力を発揮しているという証明だ。外野の人もその言い分に何となく察しの付くものがあったのだろう、議題は白紙に戻った。
「私、大丈夫、だよ?」
「大丈夫じゃねぇ奴は大丈夫っていうモンなんだよ」
「大丈夫な人も大丈夫っていうと思うけどね?」
「大丈夫?って聞いてる状態がまずヤバいってことを自覚出来ねぇなら大丈夫な奴でも大丈夫じゃねぇだろ」
大丈夫がゲシュタルト崩壊しそうだが至言だった。そもそも心配されるようなことをするな、心配されてる時点でダメだという花子姐さんの含蓄籠った言い分は周囲を黙らせるにたる重さがあった。流石は天下の花子姐さん、メリーさんは改めて一生ついていくことを決めた。
そこで、メリーさんに電流走る。
怪異の力によってTPEを導電性TPEに変更したメリーさんは避雷針の如く天窓から飛来した雷を一身に浴びた。
本来ならこんな芸当は出来ない。だが、この場には特性:あめふらしの雨女さんとことトイレに関することならありとあらゆる力を発揮するトイレの花子さんがいる。天気が雨であることにより、雷があってもおかしくない状況を作ったこと、洋式トイレになったことで永遠の小学5年生にして電気工事士の免許資格を取りに行った花子さんによって電気設備を取り付けることができる地盤が整っていた。そして、今のメリーさんはトイレ判定が下されている。つまりトイレの電気設備扱いできるということだ。
比喩表現が現実のものとなったことにメリーさんは内心ビビったが、怪異というのは得てしてそういうことが起こり得る。怪異は怖がられることが生業だ。だから語られる話や逸話に整合性なんてほとんどない。そうなるからそうなる。それだけだ。口裂け女に『私キレイ?』と聞かれて『まぁ~、タイプじゃないっすけど綺麗って聞くなら綺麗なんじゃないすか(笑)てか自分で聞いちゃうんすね(笑)』とか言うヤツは八つ裂きにされるのと同じだ。言い方が問題な気がしないでもない。
自らのひらめきを帯電でもって示したメリーさんは名案とばかり指を鳴らす。ここまで来たならもう突き進むしかない。口からは微かにバチリと雷が漏れ、静電気によって髪はサイヤ人の如く舞い上がっている。圧巻の変身を遂げたメリーさんに全員がドン引きする中、メリーさんは提案した。
「結論から述べるわ。私達と一緒に住まないかしら?」