楽しい
「……やっぱり計算がおかしいな?」
昼食の時間、私は手元の紙を見ながら言う。
一つは未知とされた放射性核種に該当するものが既存の減衰時間定数の表から見つかったというものである。これは否定的に見れば似たような数字なだけかもしれないから化学分離を待たないと何も言えない。
他にも経験的に知られていた欠損質量を出す公式に当てはめるというのもある。
実験系に一歩踏み込んだ理論屋というのはいつもそうだ。測定結果に対して適当な式を当てはめてからその式の意味を考えたり考えなかったりする。熱放射だって微小振動力学だって式の意味を真面目に考えたせいで世界がおかしくなったのである。ただ、それ以外に説明がつかない現象を前には多少自由な物の考え方をするべきかもしれない。
ああ、それで欠損質量の式でしたね。これに
ではどこから核の中に働いている謎の結合力を破るほどの力が生まれるのですかという質問はもっともである。
電磁気的反発が抱える熱量の見積もりは加速電圧に換算して数百万
さて、粗雑な計算をしよう。このあたりは議論していた物理学者が食事の最中に食事をほったらかして紙手拭に書いた式を踏襲している。
ただし、これは地球の年齢を超えるような時間をかけて鉛になる過程を通してだ。それをもし
四倍の熱効率と言えば工学者は大喜びであろうが、そもそもの前提があまりしっくり来ない話だったな。総帥らしく喩え話にしてみようとしたが湯船にぷかぷかと浮かぶ私が想像できただけだったので止めておこう。
とはいえそれぐらいであれば崩壊を少し加速させるだけでもまあまあの熱源になりそうなものである。寒い冬に水に溶かした
「何やっているんですか」
フィーマが紙に囲まれた私を見て言った。借りてきた計算尺と読みにくい文字のおかげでこの思考を再現することは明日どころか今夜の私でも不可能だろう。
「計算よ、賞金を払いたくないからどうにかして眼の前の現実を否定しようとしている」
そう言って私は色々と机の上のものを片付け始めた。積み上げるとも言う。次の講演は大物、エニオ・ガルディによるものだ。ちらほらと写真機とかを構えた見知らぬ人もいる。おおかた宣伝用だろう。
まあ、それぐらいの面白いことを言ってくれるのだろう。私は期待して壇上の彼を見た。もし適当なことを言ったら編集部に送ってきた葉書をたっぷりの紳士的な文章をつけて紹介してやるぞ。
「では本題から入ろう。
その意味に気がつくまで、少し時間がかかった。会場の中であればまだ早い方だった、とは思いたい。
「まっさかぁ」
隣に座っていたフィーマが呆れたように呟いていた。まあ効率的な
NOTES ON POINTS IN SOME OF THIS WEEK'S LETTERS APPEAR ON P. 247.
CORRESPONDENTS ARE INVITED TO ATTACH SIMILAR SUMMARIES TO THEIR COMMUNICATIONS.
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今週の書簡の一部に関する要点の注記は、247ページに掲載されています。
投稿者の皆様には、ご自身の投稿に同様の要約を添えていただくようお願いいたします。
Letters to the editor. Nature, 1939, vol. 143, no. 3615, pp. 239–247.
『編集者への手紙』、
なお、該当号に投稿された手紙は以下の十五本である。
MEITNER, L.; FRISCH, O. R. Disintegration of uranium by neutrons: a new type of nuclear reaction.
LABY, T. H.; HOPPER, V. D. A novel thermostat.
LARMOR, J. Limitations on the modern tensor scheme of relativity.
MØLLER, C.; ROSENFELD, L. Theory of mesons and nuclear forces.
JEFFREYS, H. Frequency interpretations in probability.
DU TOIT, A. L. Antarctica and glacial ages.
APPLETON, E. V.; NAISMITH, R. Scattering of radio waves in polar regions.
CHALMERS, J. A.; LITTLE, E. W. R. Electric charge on soft hail.
FARKAS, L.; FARKAS, A. Catalytic exchange of deuterium and hydrogen in hydrocarbons.
SREENIVASAN, A. Availability of phosphorus in rice.
GATES, R. R. Self-sterility in Ånothera.
PAL, B. P.; RAMANUJAM, S. Induction of polyploidy in chilli (Capsicum annuum L.) by colchicine.
NICHOLLS, L. Period of gestation of loris.
WOOD JONES, F. The ‘thumb’ of the giant panda.
WILLIAMS, E. C. Electrified motor-vehicles.
リーゼ・マイトナー、オットー・ロベルト・フリッシュ『中性子によるウラニウムの崩壊: 新種の核反応』
トーマス・ハウエル・ラビー、ヴィクター・デイヴィッド・ホッパー『新型恒温器』
ジョゼフ・ラーモア『相対性理論の現代的テンソル形式の限界』
クリスチャン・メラー、レオン・ローゼンフェルト『中間子と核力の理論』
ハロルド・ジェフリーズ『確率における頻度解釈』
アレクサンダー・ロジー・デュ・トワ『南極大陸と氷河時代』
エドワード・ヴィクター・アップルトン、ロバート・ネイスミス『極地方における電波の散乱』
ジョン・アラン・チャルマーズ、E. W. R. リトル『雪霰の電荷』
ラディスラウス・ファルカシュ、アダルベルト・ファルカシュ『炭化水素における重水素と水素の触媒交換』
アルナーチャラ・スリーニヴァサン『米における燐の利用可能性』
レジナルド・ラグルス・ゲイツ『マツヨイグサ属における自家不稔性』
ベンジャミン・ピアリー・パル、
ルシウス・ニコルズ『ロリスの妊娠期間』
フレデリック・ウッド・ジョーンズ『ジャイアントパンダの「親指」』
エヴァン・クリフォード・ウィリアムズ『自動車の帯電』