爆発で意識飛んだと思ったら顎殴られて意識飛びかけた   作:なはは

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3話 初登校

 

 目が覚めた。

目覚ましを消して起き上がる。現在朝の5時半。記憶を辿ると、朝起きて軽く走り込んだあと、食事を取り、身支度をして学校に向かうようだ。

蒼凪学園の小学校で、自分は2年生。そこまで分かったところで、布団を出る。

 

 トレーニング用の服に着替え、外に出る。軽くストレッチしてから走り出す。

 

 走り込みながら昨日調べた情報をまとめていく。

今は何年なのか? 答えは2026年、俺が爆発に巻き込まれた時と同じ年だった。月日まで正確に思い出せた訳では無いのだが、2026年なのは確信があったので、一旦はそれで良しとした。

 

 なら俺は全く同じ世界にいるのか? これに関しては違うと言う説が濃厚だ。なぜなら、あまりにも男性が少なすぎる。

俺の世界はどうだったか覚えてないが、少なくとも男女比が1:7なんて極端な数字ではなかったはずだ。

おまけにその理由も男の生殖能力が低いからだと記載されていた。

 

 最初はジョークサイトを見てるのかと疑った。あまりにもおかしい。俺の世界の男は生殖能力の塊みたいな男ばかりだった。

だが、どれだけネットで検索をかけても、ジョークみたいな記事が目に留まる。そこから導き出されるのは二つ。俺のこの記憶がただの妄想か、ここは似ているけど全く違う世界かだ。

 

「勘弁して……」

 

 思わず口から漏れる。だが無理もないだろう。未だに信じられないし、信じたくない。仮に俺の記憶が妄想だったとしても、この記憶が本当だと信じている今の俺には耐え難い事だった。

常識が違いすぎてショックを受けている。仮に記憶が本当でも、どうしても元の世界に帰りたい訳じゃない。気分は最悪だった。

 

 

 

 

 1時間程で終えるはずが、考え過ぎて1時間半ほど走ってしまった。少し急ぎ気味に風呂に入る。

その前に鏡の前に立ち、自分の姿を見てみる。

 

 髪は明るい茶。ダークブロンド寄りで、肩くらいの長さのストレート。目は青みがかったグレー。白い肌。顔はハーフらしい彫りが少しあって、目は大きい。全体的に日本人らしくない容姿だった。

 

「やっぱり慣れないな……」

 

 仕方ない事だと思いつつも、慣れないものは慣れない。何せ前世(死んでいないかもしれないが)は男だったのだ。

 

 

 

 

「おはよう、セレン。今日は少し遅めだね」

 

「おはよう、お父さん。少し走りすぎちゃって」

 

 ダニエルに挨拶をしてテーブルに着く。朝食は毎日ダニエルが作ってくれる。料理は美味しかった。恋はランニングの後の朝食が大好きだったらしい。

 

 

 身支度を整え学校へ向かう。朝の走り込みと、制服のボタンを留めるのに時間がかかったせいか、遅刻する程ではないにしろいつもより少しだけ遅い時間に出た。まだ体に慣れていないので色んな場面で手間取ってしまう。

 

 記憶を頼りに学校へ向かっていると、後ろから声をかけられた。

 

 「セレン!」

 

 「おはよう、ひなた」

 

 ひなたはすぐ隣に並んで歩き出した。朝から声が大きい。

 

 「セレン、この時間に登校してるの珍しいね? 初めて見たよ。体調悪いの?」

 

 ひなたが心配してくれる。「昨日この体に取り憑いて、まだ動きに慣れていない」とは言えないので、適当に誤魔化すことにした。

 

 「走り込みすぎちゃって、少し遅れた」

 

「へえ〜……嫌がってたのに走りすぎちゃったの? 変なの。本当に体調悪いんじゃない?」

 

 不思議がりながらもからかってくるひなた。普段から嫌だ嫌だと言っていたらしいから、そう思われるのは当然か。

 

 「私さ、今朝母さんに起こされて慌てて出てきたんだよね。で、朝ごはん食べながら靴履いたら怒られちゃった」

 

「そりゃあ怒られちゃうよ」

 

「遅刻するよりはいいじゃん!」

 

 ふくれっ面で言うひなた。子供みたいにだと思い苦笑いしてしまうが、俺も子供だったと思い出す。

 

 「でも、セレンの家の方が厳しいでしょ? 毎朝走り込みなんて私には出来そうにないや」

 

 「まあ、そうかもね。少なくとも、ひなたみたいな事したら、殺されちゃうかも」

 

 ひなたが笑う。多分冗談だと思ったのだろうが、おそらく本当に死ぬ。ああ見えて愛妻家……ではなく、愛夫家らしいので、ダニエルが作った料理を片手間で食べようものなら、稽古と称してボコボコにされる。

どうでもいいが、男女が関わる言葉も全て反転しているのが、地味にストレスだ。

 

 ひなたはすぐ次の話題に移った。授業の話、先生の話、いつもの軽い調子だ。

 

 話しながら歩いているうちに、学校が見えてきた。

 

 蒼凪学園。私立の名門校で、小中高一貫のエスカレーター、らしい。少なくとも俺自身は通った記憶が無く、恋の記憶でもあまりピンと来ていなかったようなので、そうらしいとしか言えない。

 

 

 

 校門をくぐる。ひなたと同じクラスのようなので、会話に相槌を打ちながら後ろを着いていく。

 

 廊下を歩いていると、やはり男の姿があまり見えない。

 教室の前で止まる。自分のクラスだ。

 ひなたがドアを開けて入っていくので、後ろを着いていき、教室に入りドアを閉める。

 

 教室はざわついていた。席に着いている子、立って話している子。そしてやはりと言うべきか、男子は数えるほどしかいない。

 

 一瞬皆の視線がこちらに向く。髪の色と目の色が違うせいで目を引くからか。

もしくは黒瀬の長女だからか。そんなのは関係なくただ目立つのか。あるいは、もう中身が男だとバレたのか。

 

 ありそうな事から無さそうな事まで考えた後、意味の無い事だと思い思考を手放す。ひなたが自分の席の方へ先に行く。

俺も自分の席に着く。ひとまず、第一関門は突破したような気がした。

 

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