邪神たちが異世界から来るそうですよ?   作:一反目連

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更新です。

誤字脱字指摘感想評価、また、『ぼくのかんがえたさいきょうのうちゅうCQC』、その他諸々待っています。


第九話

前回のあらすじ

 

ニャル子「異世界の地平線に混沌を刻みなさい!」

クー子「邪神群がコミュニティに着任しました」

ハス太「これよりコミュニティの指揮を取ります」

 

真尋「取らせてたまるか!」

 

   *   *   *   *   *

 

"ノーネーム"・居住区画、水門前。

 

十六夜が手に入れた水樹を設置するために、僕らは貯水池へ向かっていた。貯水池ではコミュニティに所属しているのであろう子供達が水路の掃除に精を出していた。

 

「ご苦労様ですジン坊っちゃん♪皆も掃除を手伝っていましたか?」

 

子供達が黒ウサギの元に群がり口々に喋り出す。

 

「黒ウサのねーちゃんお帰り!」

「眠たいけどお掃除手伝ったよー」

「ねえねえ、新しい人達って誰!?」

「強いの!?カッコいい!?」

「YES!とても強くて可愛い人達ですよ!皆に紹介するから一列に並んでくださいね」

 

パチン、と黒ウサギが指を鳴らすと子供達は一糸乱れぬ動きで横一列に並ぶ。数は二〇人前後で、ヒトとは違う異種族の子供も見られる。

 

(結構教育とかは行き届いてるのかな?にしてもこんなに子供がいるのか……)

 

真尋は感想を心の中で呟く。真尋は子供が嫌いな訳ではない。むしろ好きな方と言えるため大丈夫だが、耀の方を見ると若干顔を(しか)めていたので耀は子供が苦手か嫌いかなのだろうと見当を付ける。

 

コホン、と仰々しく咳き込んだ黒ウサギは七人を紹介する。

 

「右から逆廻十六夜さん、久遠飛鳥さん、春日部耀さん、八坂真尋さん、八坂ニャル子さん、八坂クー子さん、八坂ハス太さんです。皆も知っている通り、コミュニティを支えるのは力のあるギフトプレイヤー達です。ギフトゲームに参加できない者達はギフトプレイヤーの私生活を支え、励まし、時に彼らの為に身を粉にして尽くさねばなりません」

「あら、別にそんなのは必要ないわよ?もっとフランクにしてくれても」

「駄目です。それでは組織は成り立ちません」

 

飛鳥の申し出を、黒ウサギはこれ以上ない厳しい声音で断じる。今日一日の中で一番真剣な表情と声だった。

 

「コミュニティはプレイヤー達がギフトゲームに参加し、彼らのもたらす恩恵で初めて生活が成り立つのでございます。これは箱庭の世界で生きていく以上、避ける事が出来ない掟。子供のうちから甘やかせばこの子達の将来の為になりません」

「………そう」

 

黒ウサギは有無を言わさない気迫で飛鳥を黙らせる。それは今日までの三年間、たった一人でコミュニティを支えていたものだけが知る厳しさだろう。

 

「此処にいるのは子供達の年長組です。ゲームには出られないものの、見ての通り獣のギフトを持っている子もおりますから、何か用事を言い付ける時はこの子達を使ってくださいな。みんなも、それでいいですね?」

 

「「「「「よろしくお願いします!」」」」」

 

二〇人前後の子供達が生み出した耳鳴りがするほどの大声(ハウリング)で真尋は思わず手で耳を抑えてしまう。

 

「ハハ、元気がいいじゃねえか」

「そ、そうね」

「耳が痛い………」

「皆さん、よろしくお願いしますね!」

「ん、よろしく」

「よろしくね〜」

 

笑っているのはヤハハと笑う十六夜と超能天気の大馬鹿なニャル子、元々子供らしい性格のハス太だけであり、他の三人はなんとも言えない複雑な顔をしていた。なお、クー子は普段通りの無表情だった。

 

「さて、自己紹介も終わりましたし!それでは水樹を植えましょう!黒ウサギが台座に根を張らせるので、十六夜さんのギフトカードから出してくれますか?」

「あいよ」

 

長年水が通っていないと聞いた水路だが、骨格だけは立派に残っており、所々がひび割れていたり要所に砂が溜まっていたりしているが、充分に使える状態に戻されていた。そこで真尋が石垣に立っている耀達を見てみる。

 

「大きい貯水池だね。ちょっとした湖ぐらいあるよ」

「ニャ。ニャーニャ、ニャーオ。ニャー?ニャニャ」

「はいな、最後に使ったのは三年前ですよ三毛猫さん。元々は龍の瞳を水珠に加工したギフトが貯水池の台座に設置してあったのですが、それも魔王に取り上げられてしまいました」

「龍の瞳?何それカッコいい超欲しいなら。何処に行けば手に入る?」

「さて、何処でしょう。知っていても十六夜さんには教えません」

 

ふむ。龍の瞳、ねぇ………ただのコミュニティが強力であろう龍から手に入れれるであろうギフトを持っているのは考えにくいから………。没落前は結構強いコミュニティだったのだろうか。

 

「真尋さん真尋さん。龍の瞳がy.com(ヤマンソドットコム)で格安で売られてましたけど、買いましょうか?」

「いや、やめてくれ。絶対厄介なことになるから」

 

   *   *   *   *   *

 

十六夜達が作業を終わらせ、屋敷に着いた頃には既に夜中になっていた。本拠はかなり広めの一軒家に住んでいたとはいえ一般市民の真尋や耀にとっては巨大すぎるほどに巨大であった。そして耀は本拠となる屋敷を見上げて感嘆したように呟く。

 

「遠目から見てもかなり大きいけど………近づくと一層大きいね。何処に泊まればいい?」

「コミュニティの伝統では、ギフトゲームに参加できる者には序列を与え、上位から最上階に住む事になっております………けど、今は好きなところを使っていただいて結構でございますよ。移動も不便でしょうし」

「そう。そこにある別館は使っていいの?」

 

飛鳥が屋敷の脇に建つ建物を指さす。

 

「ああ、あれは子供達の館ですよ。本来は別の用途があるのですが、警備の問題でみんな此処に住んでます。飛鳥さんが一二〇人の子供と一緒の館でよければ」

「遠慮するわ」

 

飛鳥は即答した。真尋でも子供が好きな方とはいえ、一二〇人という大人数の子供と一緒の館というのは勘弁したいものだ。そして十六夜達に言われて黒ウサギがしばらく使われていなかった大浴場を見て顔を真っ青にさせて、

「一刻ほどお待ちください!すぐに綺麗にいたしますから!」

と叫んで掃除に取り掛かった。それはもう凄惨な事になっていたのであろう。

七人はそれぞれに(あて)がわれた部屋を一通り物色し、来客用の貴賓(きひん)室で集まっていた。

 

「ニャ……ニャアニャーニャ?」

「駄目だよ。ちゃんと三毛猫もお風呂に入らないと」

「………ふぅん?聞いてはいたけど、オマエは本当に猫の言葉が分かるんだな」

「うん」

「ニニャ、ニャオニャニャーニャアニャ!ニャーニャニニャニャア!」

「駄目だよ、そんなこと言うの」

 

傍目にはニャーニャーとしか聞こえない猫の声に耀は反応している。耀と飛鳥が会話しているのを尻目に真尋は外に風を浴びに出かけることにした。

 

「ちょっと僕は外で風浴びてくるな。風呂は先に入っていていいよ。あ、ニャル子達はきちんと入れておけよ。僕が風呂に入っている時に来られるとフォークを刺さなきゃいけなくなるからな」

「あら、ニャル子さんはそんなに真尋くんのことが好きなの?」

「そうなんですよ、私は真尋さんのことをマジでぞっこんラブしてるというのに!」

「後ろにクラフトが付くようなラブはいらん」

 

ニャル子の言葉を聞いて扉の前で一応告げて、館の外へ向かった。

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