邪神たちが異世界から来るそうですよ?   作:一反目連

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第九.五話

あらすじ

 

ハス太「邪神、それは嘲笑(あざわら)う者」

クー子「邪神、それは愉悦(ゆえつ)(ひた)る者」

アト子「邪神、それは探索者(たんさくしゃ)の生活にクリープするチャーミングな傍観者(ぼうかんしゃ)!」

ニャル子「そう!これは1人の少年のため、命をかけて戦う邪神達の、超コズミックバトルストーリーなのである!」

 

真尋「阿鼻叫喚(あびきょうかん)を広げることになったら追い出すからな?………って、増えてる!?」

 

   *   *   *   *   *

 

女性五人は大浴場で体を洗い流し、湯に浸かってようやく人心地ついたように寛いでいた。大浴場の天井は箱庭の天幕と同じなのか、天井が透けて夜空には満天の星が見える。

 

「本当に長い一日でしたら、まさか新しい同士を呼ぶのがこんなに大変とは、想像もしておりませんでしたから」

「それは私達に対する当て付けかしら?」

「め、滅相(めっそう)もございません!」

 

バシャバシャと湯に波を立てら慌てて否定する黒ウサギ。耀は隣でふやけた様にウットリした顔で湯に浸かっている。そのふやけそうな顔で呟いた。

 

「このお湯………森林の中の匂いがして、凄く落ち着く。三毛猫も入ればいいのに」

「そうですねー。水樹から溢れた水をそのまま使っていますから三毛猫さんも気に入ると思います。浄水ですからこのまま飲んでも問題ありませんし」

「うん。………そういえば黒ウサギも三毛猫の言葉が分かるの?」

「YES♪"審判権限(ジャッジマスター)"の特性上、よほど特異な種でない限り黒ウサギにはコミュニケーション可能なのですよ」

 

そこにタオルで髪を纏めたニャル子が割り込んでくる。

 

「そうなんですか?あ、じゃあシャンタッ君とも意思疎通が可能なんでしょうか。私、気になります!」

「シャ、シャンタッ君ですか………?えっと、一体なんの種族の方で………」

「シャンタク鳥ですが、なにか?」

「それは、試した事がないのでなんとも言えないのデス………」

 

すると少しニャル子は考え込み、名案を思いついたと言わんばかりに手を叩いた。

 

「そうだ、試してみましょうか」

「え゙っ?」

 

ニャル子は頭のタオルの中から一つのカプセルを取り出す。そしてそのまま振りかぶり、床に向けて思い切り投げた。

 

「シャンタッ君、(きみ)に決めた!」

 

すると床に叩き付けられたカプセルから桃色の煙が吐き出され――――一匹の小さな生物が現れた。

 

「みー!」

 

現れた生物の顔は馬面……というには短く、河馬(カバ)のように見える。足は小さな鳥の足で、手は蝙蝠(こうもり)のような羽。身体は灰色の鱗で覆われている、不気味というには可愛く、可愛いというには不可思議な生物であった。

 

「あ、あれ?シャンタク鳥とはこんなにも小さな生き物だったでしょうか?」

「あ、それは今のシャンタッ君がエコモードだからですね」

「いえ、生物にエコモードがあるのはおかしいと思うのデスが」

「こまけぇことは気にすんな!」

 

ニャル子は一度風呂から上がると、チョコチョコと可愛らしく歩くシャンタク鳥(エコモード)を抱きかかえて再び風呂に入り、黒ウサギに近づいた。

 

「私はまだシャンタク鳥語の宇宙TOEICで合格点を取ることができてませんからね〜」

「もしかしてニャル子さん達って、既存の単語に適当に宇宙〜を付けてるだけなんデスか?」

「あっはっは、そんなわけナイジェリア!」

 

わざとらしくニャル子は目を逸らし、掠れてしまっている口笛を吹く。誰がどう見ても図星であった。

 

みー、みー(ご主人様をいじめないであげて)!」

「え、えっと………私はそんなつもりは無かったのデスが………」

「………やーい、先生に言いつけてやるー」

「耀さん!?」

 

純粋な性格ゆえに勘違いをしてしまい黒ウサギを止めるシャンタッ君とそれに乗っかる耀。そこに飛鳥が割って入る。

 

「それで、黒ウサギはあの珍妙な生き物との会話はできたってことでいいのかしら?」

「あ、はい。そうでございますね。クトゥルフ神群との会話はこれが初でございましたが、できて良かったのデスヨ」

みー(良かったね)!」

「フフッ、そうでございますね」

 

笑顔でシャンタッ君の言葉に返事する黒ウサギに飛鳥は少しばかり羨ましく思う。飛鳥だって年頃の女子なので、動物と会話することには少しばかりの憧れがあるのだ。

 

「ねぇ、黒ウサギ。私も動物と会話することができるようになりたいのだけど………」

「アハハ………そうなると動物と会話する為のギフトを賭けたギフトゲームに参加して勝ち取るか、資金を貯めてそのようなギフトを購入するかとなりますが、そのようにして手に入れたギフトでもこのシャンタク鳥のような特殊な種族には効かない可能性が高いかと思われますね」

「そう………」

「で、でも飛鳥さんも強力な"ギフト"をお持ちでいらっしゃいます!きっと十六夜さんが水樹を手に入れたように、飛鳥さんも素晴らしい"ギフト"を手に入れれると思うのデスヨ!」

 

そこで飛鳥が思い出したかのように黒ウサギに聞いた。

 

「あ、そういえば。水を生む樹………これも"ギフト"と呼ばれる物なの?」

「はいな。"ギフト"は様々な形に変幻させる事ができ、生命に宿らせることでその力を発揮します。この水樹は"霊格の強い霊樹"と"水神の恩恵"を受けて生まれたギフトでございます。もしも恩恵を生き物に宿らせれば、水を操る事のできるギフトとして顕現したはずデス」

「水を操る?水を生むのではなく?」

「それも出来なくはないですが、霊樹みたく浄水にするのは難しいです。それに水樹は無から水を生むのではなく、大気中の水分を葉から吸収して増量させているのが正しい解です。完全な無から有限物質を生むとなると、それこそ白夜叉様や龍ぐらい地力がないと」

 

そう、と空返事する飛鳥。そこにクー子がやってくる。

 

「ギフトゲームって、どんな種類がある?」

「そうですね、基本となる物はやはり力・知恵・勇気の内のどれかを競うものが多いですね。ただ、純粋な"運気"を試すギフトゲームも数多(あまた)に存在します。代表的なのはサイコロを使ったゲームでしょうか」

「運勝負ですか?運勝負なら私が負けることなんて一切ないと言っても過言じゃありませんよ!」

 

唐突なニャル子の言葉にポカン、とする黒ウサギ。そして黒ウサギはニャル子に対して忠告する。

 

「いいですか、ニャル子さん。純粋な"運気"を試すギフトゲームとなると、ニャル子さんが如何(いか)に強大な力を持っていたとしても勝つのは難しいんですよ?それにイカサマがバレた時点で反則負けになるんですからね?」

「ニャル子が運勝負に強いのは本当」

 

クー子がニャル子側に加勢する。

 

「ニャル子にかかれば大富豪でジョーカー革命ジョーカー革命返しジョーカージョーカージョーカー最後に2で上がることも、麻雀で手牌が全てドラか赤ドラになるか、ダブリー出してカン三連発からのツモで、嶺上(リンシャン)ツモ小三元(ショウサンゲン)混一(ホンイツ)混老(ホンロウ)対々(トイトイ)三暗刻(サンアンコウ)三槓子(サンカンツ)場風で裏ドラ乗っけてドラ三十二の合計五十二(ファン)でクアドラプル数え役満作って十二万八千点要求することも可能。というかやっていた」

「ニャルラトホテプ星人の中でもエリートな私は存在自体が切り札なため、自在にジョーカーを作り出すスキル。通称、極限の切り札(ジョーカーエクストリーム)を習得しているのですよ!」

「ごめんなさい、そこまでいくと恐らくニャル子さんはギフトゲーム出禁になると思うのデス………」

 

馬鹿なッ!と言わんばかりに驚くニャル子。そのようなゲームを根本から覆しかねない存在など当然のことながら、誰もゲームに参加させないようにする。誰だってそーする、黒ウサギだってそーする。黒ウサギはニャル子の手綱を握っている真尋に対し、少しばかりの同情を覚えたのであった。

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