あらすじ
アト子&ハス太「「
ニャル子&クー子「「
真尋「いっぺんに喋るなやかましい!!」
* * * * *
「―――はっ!」
真尋が目を覚ますと、何処かで見覚えのある気がする天井―――いや見た事がある。これはサウザントアイズのコミュニティの天井だ!
「十六夜達は!?」
「む、ようやく起きたか」
声が聞こえたので体を起こし、その方向に目をやると白夜叉が鎮座していた。
「彼奴らなら既に行ったぞ?」
「―――もしかして、此処は北側なのか?」
「うむ」
肯定を示す返事に項垂れる。そんな真尋のいる部屋に向かって足音が近付いて来た。段々足音が大きくなり、襖が勢い良く開けられる。
「真尋君、大丈夫!?」
「真尋さん、ご無事ですか!?」
「少年、怪我は無い?」
今までで散々見慣れた三人組―――ニャル子、ハス太、クー子だった。取り敢えず真尋は大丈夫だ、と伝えて立ち上がる。
「………ニャル子?」
「はい、何でしょうか?―――はっ、もしかしてプロポーズですか!?真尋さんの安否を心配してくれる私に魅力を感じ、ついにデレてくれましたか!?」
「―――お前ら、どうやってここに来た」
三人、全員が黙り込む。目を逸らし、口笛を吹いて、ニャル子に至っては比喩抜きで瞳がクロールしている。
「だ、大丈夫ですよ!
「ギリ!?ニャル子、お前ギリって言ったよな!?」
「も、モーマンタイモーマンタイ……」
冷や汗をダラダラと垂らす―――但し床はまるで濡れてない―――ニャル子を暫くジト目で見て、溜息をつく。
「まあ、今回は来てくれてありがたいくらいだからな。今は言及しないでおいてやる」
「アリガトウゴザイマス……」
この問題は後回しにして、店舗の出口へ向かう。出口にはすっかり顔馴染みになった割烹着の店員が立っていた、若干疲れた表情で。……店員には近い内に本気で謝罪しに行かなきゃいけないかもな。店員には軽く会釈をして店舗から出ると―――頬を熱い風が撫でた。
「これは………」
天を衝くかと言うほどの
「あ、真尋。起きたんだ」
「ん?」
余りにも異質な街に放心していた真尋は、声を掛けられてようやく耀が居た事に気付く。
「耀か……十六夜と飛鳥は?」
「逃げた。私は黒ウサギに捕まったから此処で待機してたの」
真尋は考える。十六夜と飛鳥が大人しく街を見歩くだけで済むだろうか、と。結論―――ありえない。言うならば、ニャル子と一緒に過ごして1週間平穏に過ごす
「おんしら、ちょっとこっちへ来てくれ」
「「?」」
* * * * *
「耀には既に告げたと思うが、
「そうなのか?」
「うん」
お茶を啜っていた耀に確認する。大きなギフトゲーム、というのがどこと無く不穏な気がするが、余り深く考えるとフラグになるので思考放棄する。
「そして、耀。おんしに出場して欲しいゲームがあるのだ」
「私に?」
耀は和菓子を頬へリスのように膨らませて詰め込み、小首を傾げる。……他種族の力を使える耀だからといって、本当にリスの力を使っている訳ではないだろう。無いと信じたい。真尋がそんな事を考えている間に、白夜叉は着物の袖からチラシを取り出して見せた。
『ギフトゲーム名"造物主達の決闘"
・参加資格、及び概要
・参加者は創作系のギフトを所持。
・サポートとして、一名までの同伴を許可。
・決闘内容はその都度変化。
・ギフト保持者は創作系のギフト以外の使用
を一部禁ず。
・授与される恩恵に関して
・"階層支配者"の火龍にプレイヤーが希望す
る恩恵を進言できる。
宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗の下、両コミ
ュニティはギフトゲームを開催します。
"サウザンドアイズ"印
"サラマンドラ"印』
「………?創作系のギフト?」
「うむ。人造・霊造・神造・星造を問わず、製作者が存在するギフトの事だ。北では、過酷な環境に耐え忍ぶために恒久的に使える創作系のギフトが重宝されておってな。その技術や美術を競い合う為のゲームがしばしば行われるのだ。おんしの持つギフト---"
「そうかな?」
「うむ。幸いなことにサポーター役として真尋もおる。本件とは別に、祭りを盛り上げる為に一役買って欲しいのだ。勝者の恩恵も強力なものを用意する予定だが………どうかの?」
うーん、とあまり気乗りしないように小首を左右に折る耀。龍には興味があっても、ゲームそのものには興味が無いらしい―――が、ふっと思い立ったように質問した。
「ね、白夜叉」
「なにかな?」
「その恩恵で………黒ウサギと仲直りできるかな?」
小首を傾げて白夜叉に尋ねる耀だが、真尋は代わりに答える。
「―――それは、やめておいた方が良いと思う」
耀は真尋の返答に驚きの色を浮かべ、不機嫌そうな顔になる。
「真尋には聞いてない」
「―――いや、真尋の言う通りかもしれんな」
「えっ………?」
白夜叉が頷くのを見て、信じられない物を見たかのように目を見張る耀。真尋は言葉を続ける。
「そもそもで恩恵で仲直りしようとする、という発想自体歪んでいる」
「そんなっ!」
「仲直りしたいなら、きちんと謝って仲直りしたいと伝えればいいんだ。
耀は真尋の容赦ない言葉に顔を歪ませる。耀が反論しようとするのを真尋は言葉を被せるようにして遮る。
「ッ!で、でも………」
「デモもストもあるか!仲直りしたいなら謝ってその旨を伝える!―――そして、仲直りした後で贈り物したらいいんだよ」
「え?」
「僕は贈り物自体は悪くないと思ってるからな。ただ、仲直りの手段に使うのは駄目だと思っただけで、仲を深めるのに使う分には問題ないだろ」
鳩が豆鉄砲を食らったような顔の耀に真尋はしどろもどろになりながら告げる。
「別に同情とかじゃないからな?僕はサポートを拒否してないんだから、手伝ってはやるよ。ただ、無様な姿を見せるなよ」
「……………ツンデレ?」
真尋の言葉は、まさに耀の言うそれであった。白夜叉も笑いを堪えて肩が震えている程度には、様になりすぎている。
「え、いや……違うからな!?」
「………うん、わかってるよ」
「その顔、絶対わかってないだろ!」
部屋は穏やかな雰囲気に包まれる。外は既に陽は昇りきり、昼を廻り始めていた。
「で、聞きそびれたんだけど、本件って何なんだ?」
「斯々然々」
「………は?魔王?」