邪神たちが異世界から来るそうですよ?   作:一反目連

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第三話

あらすじ

 

ハス太「十六夜くんに連れられ三千里」

 

クー子「世界の果てまでイ〇テQ」

 

ニャル子「世界の中心で愛を叫びましょう!」

 

 

真尋「僕が向かったのは世界の果てなんだが」

 

   *   *   *   *   *

 

"世界の果て"。トリトニスの大滝の近隣。

ズドォォ…ン……!! 地震でも起きたのかと錯覚させるほどの音を出し、八坂真尋を抱えて飛来、跳んできた逆廻十六夜は着地した。

 

「―――っと、到着だぜ」

 

「―――」

 

「おお、中々いい眺めじゃないか」

 

「―――」

 

「いやぁ、空気がおいしいってこういう事を言うんだろうなぁ。そう思わないか、真尋?」

 

「―――お前なぁ!死ぬかと思ったじゃないか!」

 

真尋が声を荒らげて十六夜に文句を言う。

 

「僕を抱えて連れていくとか何なんだよ!僕は厄介事に巻き込まれるのはもう飽き飽きなんだよ!そもそもお前が走っていた速度はそこらのスポーツカーよりずっと速かったんだぞ!シートベルトもないし風圧で息苦しくもなるし!ふざけんなよ!」

 

「どうどう、落ち着け真尋」

 

「おまっ………。」

 

真尋が十六夜を見て―――正確に言うならば十六夜の後ろを見て絶句する。

 

「ん?」

 

そしてそれに気づいた十六夜が振り返ると、白くて長いモノが目に映る。二人の目の前に居たそれは―――身の丈三〇尺強はある巨躯の大蛇であった。

 

小童(こわっぱ)共、我の縄張りに何用じゃ?』

 

「"世界の果て"を見に来たんだよ」

 

『ほう………そうじゃ手土産に我と少しゲームをしてみないか?』

 

「―――ほう?」

 

『何、簡単で単純なただのギフトゲームじゃ』

 

「十六夜っ!これは受けなくてもいいんだからな!」

 

『―――まあ、我との勝負を(おそ)れてゲームをしないというのもいいじゃろう』

 

「あ゙?」

 

『小童共は水神の眷属の蛇神である我が怖いのじゃろう?怯えておるのじゃろう?』

 

「いいぜ、その喧嘩買ってやるよ………そん代わり負けても文句言うなよ」

 

「ちょっ、十六夜っ!?」

 

『ふふふ…さあ、試練を選べ小童!その余裕が何時まで持つのか見物(みもの)じゃな!』

 

「さて、()()()()()()()()()()()()()()()()!せいぜい失望させないでくれよ!」

 

   *   *   *   *   *

 

「ハッ―――ねんねしときな!」

 

十六夜が蛇神に踵落としを入れた直後、大地を揺らす地響きが森全体に広がる。そして巨大な水柱が立ち上がり、十六夜は体を濡らしながらも安否を確認するために後ろに跳躍して真尋の(もと)へ行く。

 

「真尋、お前は流れ弾とかで怪我してないか?」

 

「僕は一応平気だけど………十六夜は?」

 

「俺はあの程度の奴相手だったら傷一つ受けないぜ」

 

まだ体力なども余裕であろう十六夜が真尋と少し言葉を交えると丁度良く、黒ウサギが跳び出してくる。

 

「この辺りのはず………」

 

「あれ、お前黒ウサギか?どうしたんだその髪の色」

 

十六夜の声が聞こえた黒ウサギはワナワナと―――恐らく怒りで身を震わせ、思い切り振り返る。

 

「もう、一体何処まで来ているんですか!?」

 

「"世界の果て"まで来ているんですよ、っと。まあそんなに怒るなよ」

 

黒ウサギは少し落ち着いたのか十六夜達に傷が無いのか見始める。だが、行く前と変わったところなど十六夜と真尋が()(ねずみ)になっていることくらいである。

 

「しかしいい脚だな。遊んでいたとはいえこんな短時間で俺に追いつけるとは思わなかった」

 

「むっ、当然です。黒ウサギは"箱庭の貴族"と(うた)われる優秀な貴種です。その黒ウサギが」

 

そこで黒ウサギが首を傾げる。そして考え込み始める。黒ウサギはそこで考えるのを一旦止めて話を再開した。

 

「ま、まあ、それはともかく!十六夜さんたちが無事でよかったデス。水神のゲームに挑んだと聞いて肝を冷やしましたよ」

 

「水神?―――ああ、()()のことか?」

 

え?と黒ウサギは硬直する。十六夜が指さした川面(かわも)に浮かぶ白くて長いモノ―――蛇神だ。そして蛇神は鎌首を起こし、

 

『まだ………まだ試練は終わってないぞ、小僧(こぞう)ォ!!』

 

「蛇神………! って、どうやったらこんなに怒らせれるんですか十六夜さん!?」

 

「悪い、黒ウサギ。僕は止めれなかった………!」

 

申し訳なさそうな真尋と対照的にケラケラとおかしげに笑う十六夜は事の顛末(てんまつ)を話す。

 

「なんか(えら)そうに『試練を選べ』とかなんとか、上から目線で素敵なこと言ってくれたからよ。()()()()()()()()()()()()()()()()()()のさ。結果はまあ、残念な奴だったが」

 

『貴様………付け上がるな人間! 我がこの程度の事で倒れるか!!』

 

蛇神の甲高い咆哮(ほうこう)が響き、牙と瞳を光らせる。巻き上がる風が水柱を上げて立ち昇る。普通に考えるとあの水流に巻き込まれたならば、人間の胴体など容易く千切れ飛ぶだろう。黒ウサギはすぐさま(かば)うために真尋の前に出たあと、

 

「十六夜さん、私の後ろに下がってください!」

 

黒ウサギの言葉に十六夜は鋭い目付きで答える。

 

「何を言ってやがる。下がるのはテメェだろうが黒ウサギ。これは俺が()()()、奴が()()()喧嘩だ。手を出せばお前から潰すぞ」

 

真尋は此処でじゃあ何でその喧嘩に僕を巻き込んだとか、その他諸々(もろもろ)不平不満を言おうと思ったが、余計に場が(こじ)れると思い、ぐっと言葉を飲み込んだ。

 

『心意気は買ってやる。それに免じ、この一撃を(しの)げば貴様の勝利を認めてやる』

 

「寝言は寝て言え。決闘は勝者が決まって終わるんじゃない。()()()()()()()()()()()()

 

此処で真尋は、その傲慢(ごうまん)(きわ)まりない台詞を聞いて現実逃避気味に「ニャル子辺りがその台詞、気に入りそうだな………」と思っていた。

 

『フン―――その戯言(たわごと)が貴様の最期(さいご)だ!』

 

蛇神の雄叫(おたけ)びに応えて嵐のように川の水が巻き上がる。竜巻のように渦を巻いた水柱は遥か高くにまで舞い上がり、何百トンもの水を吸い上げる。竜巻く三本の水柱、それぞれが生き物のように(うな)り、蛇のように十六夜に襲いかかる。

 

「十六夜さん!」

 

黒ウサギが叫ぶがもう遅く、竜巻く水柱は川辺を抉り、木々を捩じ切り、十六夜の体を激流に呑み込む―――!

 

「―――ハッ―――しゃらくせえ!!」

 

そしてその水柱を十六夜はただ腕の一振りでなぎ払う。

 

「嘘!?」

『馬鹿な!?』

 

驚愕する二つの声。そして真尋は一つの結論に辿(たど)り着く。

 

「(ああ、十六夜はニャル子達と同じように常識が通用しないんだな………)」

 

そして獰猛(どうもう)な笑いと共に着地した十六夜は、

 

「ま、中々だったぜオマエ」

 

大地を踏み砕くような爆音。胸元に飛び込んだ十六夜の蹴りは蛇神を高く打ち上げて川に落下させた。その衝撃で川は氾濫(はんらん)し、水で森が浸水する。

また全身を濡らした十六夜はバツが悪そうに川辺に戻った。

 

「くそ、今日はよく濡れる日だ。クリーニング代ぐらいは出るんだよな黒ウサギ」

 

そして黒ウサギは彼らを召喚するギフトを与えた"主催者(ホスト)"の言葉を思い出す。

 

「彼らは間違いなく―――人類最高クラスのギフト保持者よ、黒ウサギ」




2/20(金) 真尋君の心情を一箇所修正。
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