邪神たちが異世界から来るそうですよ?   作:一反目連

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誤字脱字指摘感想評価、また、『ぼくのかんがえたさいきょうのうちゅうCQC』、その他諸々待っています。


第六話

あらすじ

 

クー子「飛鳥『来いよガルド、武器なんか捨ててかかって来い、それとも何だ?怖いのか?』ガルド『テメェナンカコワカネ-ヨ!』」

 

ニャル子「耀『ただの案山子ですな』」

 

ハス太「容疑者は男、約200cm、髪は金、筋肉モリモリマッチョマンのタキシードを着た変態紳士だよ」

 

 

真尋「あながち間違いでも無い………のか?」

 

   *   *   *   *   *

 

黒ウサギは横に置いてあった水樹の苗を大事そうに()(かか)えると、椅子から腰を上げる。

そして、コホンと咳払いをした黒ウサギは気を取り直して全員に切り出した。

 

「そろそろ行きましょうか。本当は皆さんを歓迎する為に素敵なお店を予約して色々とセッティングしていたのですけれども………不慮(ふりょ)の事故続きで、今日はお流れとなってしまいました。また後日、きちんと歓迎を」

 

「いいわよ、無理しなくて。私達のコミュニティってそれはもう崖っぷちなんでしょう?」

 

驚いた黒ウサギはすかさずジンと呼ばれた少年の方を見る。彼の申し訳なさそうな顔を見て、自分達の事情を知られたのだと(さと)る。ウサ耳まで赤くした黒ウサギは恥ずかしそうに頭を下げた。

 

「も、申し訳ございません。皆さんを(だま)すのは気が引けたのですが………黒ウサギ達も必死だったのです」

 

「もういいわ。私は組織の水準なんてどうでもよかったもの。春日部さんはどう?」

 

「私も怒ってない。そもそもコミュニティがどうの、というのは別にどうでも……あ、けど」

 

思い出したように呟く耀。ジンは必死の表情で問う。

 

「どうぞ気兼ねなく聞いてください。僕らに出来る事なら最低限の用意はさせてもらいます」

 

「そ、そんな大それた物じゃないよ。ただ私は………毎日三食お風呂付きの寝床があればいいな、と思っただけだから」

 

ジンの表情が固まった。この箱庭では水の入手が大変困難なため、お風呂に入るというのは一種の贅沢なのだ。

その事を察した耀は慌てて取り消そうとしたが、先に黒ウサギが嬉々(きき)とした表情で水樹を持ち上げる。

 

「それなら大丈夫です!十六夜さん達がこんな大きな水樹の苗を手に入れてくれましたから!これで水を買う必要もなくなりますし、水路を復活させることもできます♪」

 

ジンは一転して明るい表情に変わる。これには飛鳥も安心したような顔を浮かべた。

 

「私達の国では水が豊富だったから毎日のように入れたけれど、場所が変われば文化も違うのね。今日は()()(じん)に湖に投げ出されたから、お風呂には絶対入りたかったところよ」

 

「それには同意だぜ。あんな()(あら)い招待は二度と御免(ごめん)だ」

 

「あう………そ、それは黒ウサギの責任外の事ですよ………あれ?真尋さん、どうされました?」

 

黒ウサギが驚愕しているような顔の真尋に気づく。

 

「いや………久遠や春日部も人を気遣うことが出来たんだな……と思って」

 

「「流石にそれは失礼じゃないかしら(かな)?」」

 

その二人の気迫に冷や汗をかきながら真尋は謝る。

 

「ああ、悪い………そう言えばジン、で良かったよな?」

 

「あ、はい。何でしょうか」

 

「部屋とかを用意するなら僕ら4人の分と追加で3人分用意しておいてくれないか?無理ならソファーにでも寝かせるけど」

 

この言葉の真意が分からない十六夜が真尋に問う。

 

「真尋、一体どういうことだ?」

 

「いや……後で僕の知人が来るかもしれない………いや、間違いなく来るから用意してもらおうかとね」

 

「は?お前の知人って世界を渡ることができるのか?」

 

「ほぼ間違いなく可能だ」

 

断言する真尋に全員が絶句する。そして真尋は思い出したように問う。

 

「あ、そう言えばコミュニティに向かわないのか?」

 

「あ、そうでした。ジン坊っちゃんは先にお帰りください。ギフトゲームが明日なら"サウザンドアイズ"に皆さんのギフト鑑定をお願いしないと。この水樹の事もありますし」

 

十六夜達四人が首を傾げて聞き直す。

 

「"サウザンドアイズ"?コミュニティの名前か?」

 

「YES。ですが説明はまた後日します。早く行かないと閉まるかもしれませんし」

 

「ギフトの鑑定というのは?」

 

「勿論、ギフトの秘めた力や起源などを鑑定する事デス。さあ、急ぎますヨ!」

 

黒ウサギは普通の人基準の早さで走る。そして四人もそれに慌ててついて行く。

 

   *   *   *   *   *

 

走っていると黒ウサギの目に"サウザンドアイズ"の旗印が記された商店の旗が見える。

日が暮れて看板を下げる割烹着(かっぽうぎ)の女性店員に、黒ウサギは(すべ)り込みでストップを、

 

「まっ」

 

「待った無しです御客様。うちは時間外営業はやっていません」

 

………ストップをかける事も出来なかった。黒ウサギは悔しそうに店員を睨みつける。

 

「なんて商売っ気の無い店なのかしら」

 

「ま、全くです!閉店時間の三分前に客を締め出すなんて!」

 

「文句があるならどうぞ他所へ。あなた方は今後一切の出入りを禁じます。出禁です」

 

「出禁!?これだけで出禁とか御客様舐めすぎでございますよ!?」

 

キャーキャーと(わめ)く黒ウサギに、店員は冷めたような眼と侮蔑(ぶべつ)を込めた声で対応する。

 

「なるほど、"箱庭の貴族"であるウサギの御客様を無下にするのは失礼ですね。中で入店許可を伺いますので、コミュニティの名前をよろしいでしょうか?」

 

「………う」

 

一転して言葉に詰まる黒ウサギ。しかし十六夜は何の躊躇(ためら)いもなく名乗る。

 

「俺達は"ノーネー」

 

「いぃぃぃやほおぉぉぉぉぉぉ!久しぶりだ黒ウサギイィィィィ!」

 

名乗ろうとした十六夜を妨げるかのように爆走して来た着物風の服を着た真っ白い髪の少女は黒ウサギにフライングボディーアタックをブチかまして、黒ウサギと共にクルクルクルクルと空中四回転半ひねりして街道の向こうにある浅い水路まで吹き飛んだ。

 

「きゃあーーーーー…………!」

 

ボチャン。そして遠くなる悲鳴。

言葉を妨げられた十六夜は眼を丸くし、店員は痛そうな頭を抱えていた。

 

「……おい店員。この店にはドッキリサービスがあるのか?なら俺も別バージョンで是非」

 

「ありません」

 

「なんなら有料でも」

 

「やりません」

 

「というか十六夜はまだ箱庭(ここ)の通貨を持ってないだろ」

 

真剣な表情の十六夜に、真剣な表情でキッパリ言い切る女性店員。そして呆れたような表情の真尋。場は益々(ますます)混沌に落ちていた。

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