▽過換気症候群(Hyperventilation Syndrome)
**過換気症候群(かかんきしょうこうぐん 英:Hyperventilation Syndrome/HVS)**とは、心理的な不安や緊張、強いストレスなどを契機として、必要以上に速く、あるいは深く呼吸する過換気状態が生じ、それに伴ってさまざまな身体症状を呈する症候群である。
過度な換気によって血液中の二酸化炭素濃度が低下すると、血液は一時的にアルカリ性へ傾く(呼吸性アルカローシス)。その結果、息苦しさや胸部の圧迫感、動悸、めまい、ふらつき、手足や口周囲のしびれ、震え、筋肉のこわばりなどが現れることがある。症状が強い場合には、失神あるいは失神しかける状態に至る場合もある。
発作時には強い呼吸困難感を覚えることが多く、実際には呼吸を繰り返しているにもかかわらず、本人は「空気が吸えない」「窒息する」と感じることがある。この恐怖や不安によってさらに呼吸が速くなり、症状が悪化するという悪循環に陥ることも特徴の一つである。若年者、とりわけ若い女性に多くみられ、精神的ストレスや極度の緊張などが発作の誘因となることがある。一方で、呼吸困難や頻呼吸は心臓・肺などの疾患でも生じるため、過換気症候群の診断には他の身体疾患を除外することが重要とされる。
治療では、発作時に安静を保ち、ゆっくりとした呼吸へ誘導するなどの対処が行われる。発作を繰り返す場合には、その背景にある不安やストレスなどへの対応が必要となり、状態によっては心理療法や薬物療法などが検討される。
なお、過換気症候群そのものによって恒久的に運動能力が失われるとは限らない。しかし、運動中に発作を経験した場合、「再び発作が起こるのではないか」という不安から運動を避けるようになることもある。
▽高知的潜在能力(HPI)
**高知的潜在能力(こうちてきせんざいのうりょく 仏:Haut Potentiel Intellectuel、英:High Intellectual Potential)**とは、同年代の一般的な集団と比較して、知的能力が著しく高い水準にある状態を指す概念である。フランス語の頭文字を取り、HPIと略される。
一般に、標準化された知能検査においてIQ(知能指数)130以上を示すことが一つの目安とされ、統計上では人口のおよそ上位2%に相当する。HPIは疾患や精神障害を意味するものではなく、高い知的能力を示すために用いられる呼称である。特徴として、論理的推論、抽象的思考、言語理解、情報処理、問題解決、記憶、認知などの能力が高い水準を示すことがある。また、複数の情報から共通点や因果関係を見いだす、複雑な概念を素早く理解する、得られた情報を整理・分析して結論を導き出すといった高度な知的処理を得意とする場合がある。HPIの判定・評価には、年齢に応じた標準化知能検査が用いられる。児童・青年ではWISC(ウェクスラー式児童用知能検査)などが代表的であり、言語理解、推理、ワーキングメモリ、処理速度など複数の認知領域を測定し、その結果から知的能力の水準や特性を総合的に評価する。なお、HPIは英語圏で広く統一された医学用語というより、特にフランス語圏で用いられる概念・呼称であり、英語圏では〈 intellectual giftedness、giftedness、high intellectual ability 〉などの表現が用いられることも多い。