その憑依先、既に死体につき 作:憑依転生って?
もう少しだけ続くんじゃ。
ちなみに移動に関しては、この小さなおじさんを用いて移動している。小さいおじさんはどうやら空を飛べるらしく、その足を掴むかたちで一緒に空を飛んでいる。
空を飛ぶたびに息切れして膝をつくため重くないのか?と聞いてみたのだが、「女性はA4用紙一枚分の重さしかありませんからなぁ!なーんも重くありませんともぉ!これは儂の出不精が祟っただけゴッホゴッホゴホォ!」と威勢よく言っていたので有り難く使わせてもらおう。
そんな尊い犠牲のもと辿り着いたのは、とある二十四時間営業の漫画喫茶店。漫画に飲み放題だけでなく、シャワーなんてものも設置された、何でもござれな喫茶店だ。個室のような空間も用意されているためか、本来寝泊まりしてはならぬ喫茶店でありながら、その居心地の良さで居眠りして朝を迎えてしまう客も多いとか。
今回狙うのはそこで寝泊まりしてる部屋のパソコンとなりまーす。
『ぱそこん?については知らぬのですが、空いてる部屋ではいけぬのですか?』
駄目って訳では無いけど、これは良心の問題である。人のいないはずのパソコンが勝手に動き始めたら霊障沙汰と噂になってしまうかもしれない。そうなるとオカルト好きな人が我先にと集い有名になってしまうかもしれない。そうなったらもうテレビ出演するしかないじゃないか。えへへ。
『なんという桶屋的話の展開を』
この見た目でテレビに出ないなんてことはないだろう。このでっけぇ胸に美麗な顔だぞ。
さて、そんな他愛もない話をしてる間に入眠している個室の部屋を見つけたので扉を透過して侵入する。お邪魔しま~す。
このインターネットで何処でも誰とでも繋がる社会。こんな薄暗い都市伝説みたいな話でもやんややんやと話し合っていることだろう。
……そういえば小さいおじさんからしか鋼人七瀬の話を聞いてないな。もし妖怪のみに被害が出ていて人間には何もないですよって場合もあり得る……と思ったが、まぁいいや!無かったら無かったで七瀬本人について調べればええねん!
お誂向きにパソコンのモニターが煌々と光っているため、よだれ垂らしながら寝る男を横にのけてカタカタと検索ドライブに入力する。『鋼人七瀬』で検索検索〜っと。
一発で出た。
〈鋼人七瀬まとめサイト〉
もうこれが元凶の一つって言われても違和感ないくらいに完成度が高いサイトだ。サイトに入ってすぐに映るのは鋼人七瀬のイメージイラストだ。顔面が潰れたかのように黒く塗られ、細腕では到底持ち上げられない鉄骨を悠々と持つ、私と良く似た、いや瓜二つと言える少女の姿が描かれていた。
私と瓜二つであることを知った小さいおじさんは、私とモニターに映るイラストを何度も見比べては驚愕の顔を浮かべていた。
私も同じく驚愕の顔を浮かべ……ているわけではなく、なんか違うなという、違和感だけを感じていた。
なんか、なんか違う。これはあれだ。好きな漫画がアニメ化されてウキウキで観たら、絵も綺麗だし手抜きもされていない良作だと理解できる。できるが、なんかなぁ、この漫画と雰囲気が合ってないんだよなぁっていう、そんな違和感を感じる。チェン◯ーマンのアニメとかそうだった。映画は脳を焼かれた。
『ご、御人よ。貴方様のお名前を伺っても宜しいか』
なんか震えてるけど、残念ながらこのサイトの鋼人七瀬とは別人だ。名前は七瀬と漢字も一緒だが。
『ひょ、ひょえぇぇぇぇええええ!お、おひいさまに伝えねばぁ!』
おう落ち着け。ほーれ胸だ。ぺろん。
『すごく落ち着いた』
なんだこいつ。こいつが一番良い空気吸ってないか?私許せねぇよ。
さて、この鋼人七瀬まとめサイト、嬉しいことに七瀬かりん(これは芸名で、本名は七瀬春子というらしい)についての経歴や鋼人七瀬についてをまとめているようだ。一個人、いや一故人を調べるのにも一苦労のため、こうやってまとめられているのは大変有難い限りだ。早速あやかって読み進めていく。
『ん、んん?七瀬殿、少し宜しいか』
おう今読んでるから後にしてくれ。
ざっくりまとめると、アイドルとして売れ出した頃に父親が自殺し、その自殺した父親の日記になんと七瀬かりんが殺意を私に向けてきているという記述があったことで、かりんが殺したのではと騒ぎに発展。警察の調べでは自殺と断定したそうだが、マスコミはそうは問屋が卸さないとかりんと、かりんの姉を猛烈アタック。おお、なんたるマスゴミ共め。
そんな状況じゃあ事務所も活動を続けることに難色を示し、話題が収まるまでの間、七瀬かりんは活動休止し雲隠れをする。……が、そんな雲隠れしている最中、泊まっていたホテルの近くにある工事現場にて、顔面が潰れた状態で鉄骨に押し潰される遺体を発見。ホテルにあった指紋と遺体の指紋が合致したところから、七瀬かりんの遺体と警察は判断したそうな。
そして、その遺体が発見されたのが現在いる真倉坂市となる。
ここまでが、七瀬かりんという人物の非業の来歴という訳なのだが。……うーん、なんか自分とは違う存在だと思ってしまう。記憶がないから他人事に聞こえるという訳でなく、どうにもこれが自分の来歴とは思えない。何というのだろうか、魂がこの人とは別人だと叫んでいるのだ。
『な、七瀬殿!七瀬どのぉ!』
ちょっと待てぇ。次は鋼人七瀬について調べんの!
鋼人七瀬について掲示板で調べれば、七瀬が主演で演じていた深夜ドラマ『青春!火吹き娘!』の象徴的な赤と黒のドレス衣装を身に纏い、顔面は深い穴のように黒く染まり、片手に鉄骨を持って人を襲うそうな。
真倉坂市中心で発見例が相次ぎ、見た襲われたと掲示板では報告が多く挙がっている。面白半分で報告を挙げているなら可愛いものだが、実際に警察に駆け込んで襲われたと供述した、なんて話が伺えるところから、人にも実害があるようだ。
『七瀬殿!見られておりますぞ!』
ミラレテオリマスゾ? なんだいその言葉初めて聞いたぜ。人名か何かか?
全く煩い小さなおじさんだぜと騒ぐ方を見れば、こちらを驚愕の表情で見てくる人間さんとバッチリ目が合った。きゃっ。
(ここでアイマスの『目が◯う瞬間』が流れる)
……えっ。どうしよう。鋼人七瀬の噂に「漫画喫茶で自分のこと調べる七瀬がいる」って噂が広がっちゃうよ。えっおもろ。
とりあえず両手を挙げて威嚇するポーズを取ってみる。がおー。
▶ナナセモドキ の いかく!
▶いっぱんだんせい は おびえて こえもでない!
おうそんなびびんなよ。我美人ぞ? せめて頬赤らめるくらいしとけよな。恐怖で青褪めんな。私スタンド使いの吸血鬼か?
ま、しっかり見えてるみたいだし事情を話せば伝わるだろう。若人よ、そなたの部屋にいるのは水たまりより深く、水たまりより広い理由があるのじゃよ。ささ、話してやるから近う寄れ。
「えっ、あっ。はい」
そうそう近くで鼻☆塩☆塩じゃないか。そう言って男の肩を叩く動作をすると実際に叩けた。
おっ、触れるじゃーん。
「あっ、あの?」
…………。
『どうされましたか』
バカめ近寄ったな!喰らえ裸絞め!言葉なんて物騒なことはせん!穏便に暴力にて絞め落としてくれるわ!
「ぐ、ぐぇっ!」
やはり暴力。暴力は全てを解決する。
一瞬千撃。元気ハツラツ。オ◯ナミンC。
『なんでそんな快活に人の首を絞められるのでしょうか……儂には理解できぬ』
修行が足りんな。基礎からやり直せ。
……いや、テンパっただけなんですけどね。
『テンパって裸絞めする人を、儂の長い生でも聞いたことはありませんな』
子供の頃から何かとテンパると首を絞めにかかる、そんな子でした。親からは可愛いもんだと言われて育ちました。
そんな馬鹿な話をしている間に男性は気を失って再び眠りに落ちていった。ぐっない。
『なぜそんな子に育ってしまったのか……。これでは親殺しを疑われるのも納得ですな』
うるせぇうるせぇ!あとその話は私ではない!
必死に考えた結果、「私幽霊なんですよーはい最近噂の鋼人七瀬によく似た幽霊なんですー」なんて言ったって混乱しか発生しないでしょ!
それなら襲われた気を失い、起きたら其処には誰もいなかったの方が、一月ほど眠れない夜にはなるだろうが気の所為だったと思ってくれる可能性の方に私は賭けたのだ!
『テンパってたと』
そういうこと!是非もないネ!
説明回ですら耐えられずギャグに走る。
それ、面白くないよ(自虐)
これ以降の構想自体はありますが、文章は塵一つないので続きは期待しないでください。