その憑依先、既に死体につき   作:憑依転生って?

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なんか良いところまで書けたので、一旦初投稿です。

じゃあ俺ギャラ貰って帰っから……。



冷たい不時着:三話

 

 私のことを見てしまった男は、私の美貌により(捏造)完全に寝ているが、いつ起きるかも分からない現状から、ここを離れることに。マジでごめんな、名も知らぬ男よ。次また出会ったら何か奢るよ。ガ◯ガ◯くんナポリタン味で手を打たない?

 鋼人七瀬のことや七瀬かりんについては十分に知れたので、スニークしながら漫画喫茶から退出する。

 

 掲示板での目撃証言から小さいおじさんの妄言でないことも確認できたため、実際に出会ってみようと思う所存。

 

『おひいさまにお会いすれば、自ずと鋼人七瀬にも遭遇できそうじゃが……』

 

 う〜ん、一旦それは控える方針で。

 私が一体どんな存在なのか見当もつかないが、此度の事件に関われば変に捻れることは確実。忙しそうにしてるおひいさまをもっと忙しくさせるのは正直忍びないというのが一つ。

 

『ふむ、であれば儂めが上空から鋼人七瀬を探しましょうか?この百々爺の菊之門助、飛ぶのに一家言を有しておりますれば』

 

 私を運ぶときめっちゃ息切れしてたけどね。いや、この小さい体躯で私を持って飛べることはすごいことか。偉いぞ〜。

 

『ほほっ、若いのに褒められると照れますな。どれ、私の息子めも褒められたいようで、如何ですかな?』

 

 おうその愚息しまえや。

 というか小さいおじさんじゃなくて、ももん爺?って種族なんだ。種族?妖怪に種族ってあんのか?まぁいいや。

 ……名前、それ菊門……。隠語……。これ以上はよそうか。

 

『女性の方には理解しがたいでしょうが、男の菊門の奥には女性にはない性感帯がありましてな。儂はそれを弄られるのがヒッホホありがとうございます!ありがとうございます!』

 

 こいつ踏んでも喜ぶだけじゃねえか。こいつ無敵か?(黄金の風)

 

 こんな変態ジジイは置いておき、いや上空に飛んで捜索してもらうとして。えいやー(上空へ放り投げられる菊之門助)。

 

 少々私も変装をしようと思う。

 鋼人七瀬のようにフリフリの目立つドレスを着ているわけではないが、幽霊だからと顔丸出しで胸も見せつけるような可愛らしい服なのは大分まずいことを、あの一般男性に見られたことで理解した。もしかしたら見られるかもしれないからね。サイン求められても困っちゃうしな〜。

 

 というわけでそそくさと変装を開始する。実はこの身体、便利な能力を宿している。

 既に消灯しているアパレルショップに立ち寄り、闇に隠れて生きれそうな良さげの衣装を探す。おっ、この半袖のパーカーとか涼しげだし黒いからちょうどいいね。これにしよう。

 じ〜っとパーカーを眺め、脳内に自分がこれを着たときの姿を想像する。強く強く想像し、もしかしてずっと前からこんな姿だったんじゃないか、そう勘違いするまで強く想像すると。

 チラリと自身の衣服を確認すると、想像していた通りの黒いパーカーを着た姿になっていた。

 

 この能力に気づいたのは、今も腕に着けている腕時計を発現させたときだ。時間が気になり自然と腕の方を見やると、見慣れた感じのする腕時計が巻かれていたのだ。しばらくは自然すぎて腕時計を発現させたことに気づかなかったが、移動とかしているときに、あれっこんなの最初なかったよな、と気付いたのだ。

 

 私の解釈では、化け狸的なものだと思っている。平成狸合戦◯んぽこでも、人間に化けたとき服も一緒に化けられるだろう?そんな感じで私も変装できるのだ。同じ怪異だしね!

 ただ、化け狸のように姿をガラリと変えることはできない。精々着ている衣服や小物、あとは髪色くらいだろう。体型を変えるのはどうやっても無理だった。自由自在に変えられるなら、特級呪霊の◯人ごっこをしてみたかった。

 

 そんな訳で、髪色も紫がかった明るい色を黒く染め、フードを深く被れば変装完成だ。どこからどう見てもただの豊胸な美少女にしか見えない。

 うっふ〜ん、女よ~ん。早く鋼人七瀬を見つけなさ〜い。

 

 

 

 それから暫くして午前一時頃。既に真倉坂の住宅街は歩き回り終えて、郊外の方へと差し掛かっていた。民家も少なくなっていき、それと同じように道を照らす街灯も少なく、暗い夜道となっていた。

 国道沿いをネリネリと練り歩くが、怪しい雰囲気はなく、蒸し暑さとカエルの合唱で若干参ってきていた。

 ちらりと上空を見上げてみる。どうやらまだ見つけていないのか門助の姿は見当たらない。ピンクな場所にでも行ってるんじゃないだろうな、あのジジイ。

 ……いや、いくら一人が上空から探しているとしても、街全体から神出鬼没の怪異を見つけるのは難しいのだろう。

 

 この身体になってから肉体的な疲れは感じないのだが、精神的疲労は溜まっていく。

 少しばかり休もうと寂れたガソリンスタンドへ立ち寄る。ガソリン給油装置にもたれ掛かるように地べたに膝を抱えるように座り込み、頬杖をつく。

 

 意識が芽生えてからまだ一日しか経過していないのに、この情報量と移動量。私ほどの超人でなければ耐えられぬ労力だ。

 ……思えば、なぜ私は鋼人七瀬を探しているのだろうか。ふと息を入れて、自身がおかしな行動を取っていることに気付き、自身に問いかける。

 

 なぜ鋼人七瀬に会いたいのだろうか。

 

 生前が七瀬かりん本人なら、本物である自分とは別の、偽物である鋼人七瀬を気にするのはまだ理解できる。しかし、偽物が偽物を確認する理由はあるのだろうか?

 私自身、私が七瀬かりん本人ではないことを確証はないが確信はしている。そして、私は七瀬かりんになろうとは思っていない。なぜなら既に私は霊体、つまり死んでいるからだ。

 もし私が本物に成り代わろうとしているなら、偽物を探すのは理解できる。本物と似ている偽物など、目障りでしかないからだ。だが、私は別にそうなろうとは思っていないのだ。

 

 自身の無意識の行動から生じた違和感に疑問を覚え、うんうんと悩み続ける。

 愛とは……。人生とは……。世界平和とは……。

 ……宇宙とは……。

 

 たまに通り過ぎる車両をぼうっと眺めながら思い耽っていると、一台の普通車両が止まった。

 はて、このガソリンスタンドは潰れているものだと思っていたのだが、間違って入ったのだろうか。あるいは、美少女である私をナンパしに来たのだろうか。すでに変装済みのため、鋼人七瀬が見つかるまでの間なら一杯付き合っても構わない所存である。

 

 腕まくりして(半袖)ドヤ顔しながら待っていると、車両の運転席から、屈強そうな厳つい男性がこちらを険しい顔で見つめながら降りてきた。デカすぎる肩幅とデカすぎる背丈と、目の鋭い坊主頭に睨みつけられ、さっきの余裕など消え失せてちびりそうになる。

 怖い助けて大人の人呼んで!

 ビビってる私なんて気にせず、胸元からなんか手帳、アレって警察手帳じゃね? わーお警察? 警察ナンデ?

 

「警察だ。そこのお前、こんな夜中に何をしている」

 

 しょ、職質だー! 警察に見える人がいるとかルール違反ですよね。そんなの私聞いてないっ!

 あぇ、っと、どうしよっかなー。なんて答えるのが正解なんだろう。

 一旦タイム!考える時間を求めます!

 

「ふざけているのか?」

 

 ウッスすいませんした。だからそんな睨まないでクレメンス。最期に星を見ていいですか。死ぬときは夜空を眺めながらと決めているんです。

 

「やっぱりふざけているだろ? ……ただの職務質問だ。先ほどフードを被った女性が一人夜道を歌いながら歩いていたという話を聞いてな。お前だろ」

 

 あっるぇー?なんか滅茶苦茶に見られてない?我幽霊ぞ?もしかしてこの街霊能力者の街だったりしない?もしくは私がおかしいの?

 

「もう一度聞くが。こんな夜中の、人気のない場所に一人で、何をしていたんだ?」

 

 うおーすっげ睨んでくる。頑張って気丈に振る舞おうとするけど、膝が生まれたての小鹿のようにガッタガタで自分でも笑っちゃうんですよね。

 

 ……さ、さんぽ。

 

「……住所は?」

 

 ……こ、ここらへんの近くぅ。

 

「それを証明する物は?」

 

 ……な、ないっピ。

 

「……署まで、ご同行願おうか」

 

 ああ逃れられない!(逮捕)

 なんでだよ私幽霊じゃなかったのかよ!助けてアイア◯マン!

 待って、待ってください! 私のこの顔に免じて見逃したりしませんか?! ほうら可愛い可愛いお顔でしてよ! ね、如何です?!あと胸でっけぇぞコレ!

 

「待て、待て。怖い顔して近づいたのが悪かったんだな。別に取って食おうって訳じゃない。話を聞く、だ……け……」

 

 泣きそうな顔で近づいた私から距離を取るように払いながら話していたら、なんか私の顔を見て固まった。はっはーん、コレあれだ。一目惚れってやつですな。これはイケるぜ逃げれるぜガハハ!

 

「七瀬……かりん?」

 

 あっ。

 

「髪色は違うが、顔は写真のまま」

 

 おっ、お〜っ。(^ω^≡^ω^) おっおっおっ

 ……チ、違いマスヨ? 人違いじゃアリマセンカ?

 

「さっきから嘘をつくのが下手過ぎるぞ!」

 

 違うもん! 本人じゃないもん! 本当に似てるだけの別人だもん! 本人ならもっと嘘つくの上手なんじゃないですかね〜!

 

「じゃあ身分証明できるものはあるのか!」

 

 ないもーーーん!!!(逆ギレ)腕捕まんといて腕ぇ!

 

「開き直るな! 最近の鋼人七瀬の話もお前がやっているんだろ! 署で詳しい事を聞くから車に乗れ!」

 

 うぅぅう!くそぅ!くそぅ!

 カツ丼奢ってくれるなら行くぞ!何か食べてみたい!取調室でカツ丼食べるの地味にやってみたいランキング上位だからお願いします!

 

「さっきから何言ってんだお前!」

 

 やんややんやと夜中に騒ぎ立てながら門助が来るまでの時間を稼ごうとしていると。

 

 なんか、警察の人の後ろに黒い靄が一箇所に固まり始めたのが視界の端に見えた。

 それは瞬く間に人の形を成していき、足ができたと思えば、すぐに特徴的なフリルのドレスが現れる。

 

 ずっと騒いでいた私が急に静かに一点を見つめ始めたことに気付き、警察の人も私の視線の方へ顔を向けた。

 

 黒い靄は既にその仕事を終えていた。

 頭部には大きなリボン。赤と黒のフリルがついたミニスカートのドレス。右手には、華奢な身体では到底持てないほどの大きさのH型鉄骨。

 

 そしてその顔は━━

 

 大きく、黒く窪んでいた。

 





主人公ちゃんが呑気に夜道散歩してるせいで、寺田巡査部長が原作より早くガソリンスタンドに到着しました。
幽霊だからと歌ってたからですね。語録しか喋れない哀れな魂……。

それでは次回、「百々爺、死す」でお会いしましょう。
さようなら、さようなら、さようなら。
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