俺はただのそこらへんにいるオタクだった。
いつものようにリゼロの新刊を買ってウッキウキで帰っている時に、通り魔に会ってしまった
腹を刺され、だんだんと痛みすら感じなくなり寒さだけが体を襲った。
怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい
もっとやりたいことがあった。もっと見たいものがあった。目標のために努力をしてきた。
「い……や、だ、」
そんな思いも虚しく喉は動かなくなり意識もなくなり俺の生は幕を閉じた
「オギャー!!オギャー!」
「おお、ついに生まれたか。立派な2本角だ!!この子はきっと強くなる!!」
どういうわけか俺は生まれ変わった。
今世の名前はマールス・イムムタービリス
そして女だ。つまり見事なTS展開により俺は今まで連れ添ってきた相棒を失ってしまったのだ。一回くらい使っとけばよかった。
そして何より最も大きな前世との違いは俺が鬼族という異世界ファンタジー全開の種族であることだ
そして俺の中である可能性が浮かんだ。
ここリゼロの世界じゃね?
ただ俺がリゼロ大好きすぎてそう思い込んでいるだけの可能性もある。だがしかし鬼族という種族、そしてたまに外から聞こえてくる父のエル・ドーナという詠唱。
ここまで揃ってくれば相当可能性が高いのではないではないか
そして俺が生まれてから2年たった時事件が起きた
一本角の双子の姉妹が生まれたのだ。そして名前はレムとラム
これを聞いて俺は確信に至った
ここはリゼロの世界だ
これが何を意味しているかというと、ズバリ!推しと会える!!
スバルきゅんに会ってそばにいたい。苦しんでいる顔も死にそうな顔も嬉しそうや顔も悲しそうな顔も怒ってる顔も全部、全部見たい
でも、スバルきゅんの心の一番と二番はすでに決まっている。これはどうやっても揺るがないであろう。というかそうじゃなきゃスバルきゅんじゃない。
なら俺はスバルきゅんの三番になればいいのだ!
そうと決まればまずやるべきことがある
それは強くなることだ
今から何年後かはわからないけどそう遠くない内に魔女教の襲撃がある。まずはそこで生き残らなければならない
「父さん、ちょっといい?」
「ん?あぁいいぞ、どうした?」
「僕の魔法属性を見て欲しいの」
「そのくらいならお安い御用だ!」
私が三歳になった時、父に俺の魔法属性を見てもらった。どうせなら火とか雷とか派手でかっこいいのがいいなー!闇の炎に抱かれて消えろ!とか言ってみたい!!
「うん、土だね。土属性」
「え?」
「僕の属性が遺伝したんだろうね。まぁ攻防どちらにも使えて汎用性があるから悪くない属性だよ」
「そ、そっか…ありがとう」
土だった。………土だった(脳死)
まぁいいんだよ?我愛羅とかかっこいいしね?でもこれだけは言える。地味!!何で異世界ファンタジーで地面ボコボコしなきゃいかんのだ!
だが何はどうあれ俺は土なのだ
なら土魔法を鍛える
まずは初級魔法のドーナから始めようと詠唱してみる
「ドーナ!」
そう詠唱した時地面が盛り上がった。俺の最初の魔法は驚くほど簡単にできた。おそらくはこの角の影響が大きいのだろう。マナを自然に動かせる
そして俺には中々才能があるらしい。いくらドーナを使っても一向にマナも切れずゲートも傷つかない
そこからはひたすらドーナを唱えた
たかがドーナと思うかもしれないが初級とは全ての基礎に当たるものだ
どっかの会長は一日一万回正拳突きして強くなったんだ。なら俺も一日一万回感謝のドーナをすればいい!
そしてこの一万回ドーナ生活をしているとだんだん村の人たちは俺のことを気味悪がるようになった。
まだ三歳でありながら遊ぶこともなく魔法ばかりしている子とかそりゃ気味悪いわ。俺でもそうなる
でも別に直接何かされたりはしないから俺は気にしない。なぜなら、推しに会うからだ!それだけでオタクとはどんなこともできる
そしてそれを一年ほど続けると、エル・ドーナだけでなくアル・ドーナも発動できるようになった。しかし発動できるというだけで制御ができないから安定して使えるのはエル・ドーナまでである
だがしかしこの年で最高位の魔法が使えるというのは鬼族の中でも異質らしく俺はだんだん村の人に認められてきた
実際父はエル・ドーナまでしか使えず、族長含む数人しかアルのつく魔法は使えないそうだ
そして俺は次に一日一万回感謝のエル・ドーナをすることに決めた
そしてさらにそこから2年がたった
俺はアル・ドーナの細かな出力調整もできるようになり、村で一番の土魔法使いになった
しかし魔法使いとしてどうしても勝てない存在がいる
「ねぇマル姉!今日も遊んで!」
「よーし、じゃあ今日は竹とんぼを作るか!」
「竹とんぼってなーに?」
「…これが異世界版ジェネレーションギャップか」
そう、今話してる双子の桃色髪の子、所謂姉様だ。まだ四歳だってのにもう世界トップクラスで強いもん。まじで何なんだよ君
そしてなぜかラムとレムの両方から俺は懐かれた。おそらく異世界の珍しいおもちゃとかを気に入っているんだろう
でも、こんな平和な日々ももうじきに崩れ去ってしまう。最初はただアニメの中のキャラって感じで人が死ぬって感じはあまりなかった。
でもここで過ごしている内に人が死ぬという実感が強くなってだんだん怖くなってきた
父も母も村の人もほとんどが死んでしまう
……俺はどうするべきだろうか
「マル姉?どうしたの?」
「いや、何でもない。心配してくれてありがとな」
「えへへー」
「あっお姉ちゃんずるい!私もー!」
「はいはい」
こうして頭を撫でると笑顔を向けてくれる
この顔を見るたびに体の左側が痛くなる。俺がどうにかできるのだろうか
そしてそこから4年後ついにその時は来た
「襲撃だー!!魔女教が来た!!」
その言葉で村の空気が凍りつく
そして真っ先に俺は戦場をかけていった。そして今俺が使える最も威力の高い魔法を使う
「アル・ドーナ!」
ここら一体の土が全て盛り上がり上空からさっきまで地面だった巨大な土塊が降ってくる
そして戦ってみてわかった。こいつらそんなに強くない
これならラムとレムはネームド以外にはそう負けないだらう。何ならラムはネームドでもほぼほぼ勝てないけど。
そして私もそこらの魔女教徒にはいくら囲まれても負ける気がしない。これなら生き延びられる。何なら何人か助けられる。
そう思った時俺のあたまには一つの疑問が浮かんだ
なんで原作の鬼族はこいつらに負けたんだ?
その疑問ぶつかった時俺の視界に最悪でそれでいて美しい白金が写った
「な、んで…」
「おや?どうかしましたか?私をみてそんなに驚いて。もしかして私は過去にあなたに何かしてしまいましたか?ところであなた、随分と愛されているんですね」
そう言葉を返してきたが俺の頭の中はそれどころではない
「何で、お前がいるんだ…、パンドラ!!」