6月。数日が経過しているが相変わらずポイントは振り込まれていない。石崎達が起こした暴力事件の審議までまだ少し時間がある。その結果が出るまでポイントは振り込まれないのだろう。
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昼休みになり私はいつものように教室でお弁当を食べている。私は相変わらず教室でお弁当を食べているが教室には人がほぼいない。教室に残ってるのは私のように一人でご飯を食べているような人達だ。グループで食べている人間はほとんどが学食へ行っている。私も何度か行ってみたものの騒がしいし量が全体的に少し多かったので大人しく自作のお弁当を食べている。まあ友達がいれば騒がしいのも気にならないのだろうし量が多いのも少し食べてもらったりでどうにでもなるのだろうが生憎一緒に行く友人がいない。だけどそれを寂しいと思えずむしろ気楽だと思ってしまう。そんな風に考えてる自分が私はどうしようもなく嫌いだ。
お弁当を食べ終え私は石崎達に会うため中庭に向かう。前までは教室で待っていれば昼休みの間に食堂から帰って来てたのでそこで怪我の手当てが出来たのだが最近は中庭で談笑しており昼休みが終わるギリギリに戻ってくる。おかげで教室で待っていても手当てが出来ない。まあそもそも手当てを頼まれてるわけでもないし石崎達が昼休みをどう過ごそうが勝手なので文句はない。私も勝手に中庭に訪れて手当てさせてもらっているだけだ。今日も石崎達の元に向かう。途中で目が合うが向こうは特に気にした様子はなく談笑を続けている。私は話している石崎達を勝手に手当てする。向こうも放っておけば私が勝手に手当てして帰っていくのでわざわざ反応したりしない。慣れた手つきで手当てを終え私はその場を離れる。四月の頃は龍園と何度か喧嘩していたが五月に入る頃には格付けが済んだようで怪我をしていなかったのだが今回は結構ひどい怪我だ。須藤とかいう奴にやられたらしく、呼び出されて一方的に殴られたそうだ。でもきちんと学校側に訴えて処分をして貰うらしい。それなら私が関与するまでもないだろう。
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授業が終わり教室を出て私は図書室へ向かう。別に部屋で勉強してもいいのだが一人だとどうしても怠けてしまう。人間は適度に視線があったほうが集中出来るものだ。廊下を歩いていると奇異な目で見られることが増えた。元々Dクラスの人間からはそういう目で見られていたが最近は一之瀬さんもDクラスに協力してることもありBクラスの人間からもそのような目で見られるようになった。まあ私の場合はそれだけじゃなくて石崎達や龍園といるところを見られてるっていうのもあるんだろうけど。
図書室に着き端の方の目立たない席に座りノートと問題集を広げる。ふと視線を上げると水色の長髪が視界に入る。椎名ひより。同じクラスの女子。特に話したことはないけどいつも図書室にいるらしい。そのまま私の斜め前の席に座り本を読んでいる。あまりジロジロ見ていても失礼かと思い私は再びノートと問題集に目を向けた。
しばらく勉強していたら周りから視線を感じる。またヒソヒソと話し声までも聞こえる。気になって聞き耳を立ててみるとどうやら私の事、いや私達の事を話しているらしい。
「おいアレ、アイツらCクラスの奴らだよな?」
「あぁ、あの銀髪の方は石崎や龍園と連んでるのを見たことがあるわ。」
「迷惑な奴らだぜ。アイツらがDクラスの不良品共と揉めてるせいで今月まだポイントが振り込まれてないんだろ?俺たちは関係ないんだからアイツらだけポイント振り込まなきゃいいのによ。」
ジロジロ見られてコソコソ話されるのは不快だがまあ内容は至極真っ当だった。おそらく彼らはAクラスかBクラスの生徒なのだろう。私達に巻き込まれてポイントが振り込まれなきゃ悪口の一つや二つ言いたくもなる。
「にしてもあの銀髪はまあ見た感じCクラスっぽいけどあっちの水色の髪の奴もCクラスなのか?あんま見えねえな。」
「確かにな。まあでももしかしたら中学の頃はヤンキーだったんじゃね?高校デビュー的な。」
「…w、それもそうだなwじゃなきゃCクラスなんかに配属されてねぇか。」
……私は奇異な目で見られることに慣れてるし陰口だって中学の時死ぬほど言われてきた。人は事実より憶測が好きなのだ。だから言われた方の気持ちも考えずに好き勝手言う。私が言われる分にはまだ我慢出来るが人が言われてるのは我慢出来ない。あの頃の事をどうしても思い出してしまうから。
「あのさ。うるさいんだけど。」
そう言いながら私は話してた彼らに近づく。まさか向こうも絡んでくるとは思わなかったのか少しの間固まっていたがそれも一瞬ですぐに言い返してくる。
「あ?事実を言っただけだろうが。お前らのせいで俺たちAクラスにも迷惑がかかってんだよ。」
「うん、まあそれはそうだね。でも私はうるさいって言っただけで内容について言ってない。それに高校デビューがどうとかは憶測でしょ。事実を言ってるだけじゃない。」
「はっ、何だ?次は俺たちがターゲットか?龍園にAクラスにも絡んでこいって命令でもされたか?」
「は?龍園は関係ないでしょ。私が絡んでるのは単純にあんたらが気に食わないだけ。Aクラスなら頭がいいんでしょ?なのにそんなのもわからないの?」
「んだとおま
「はいはーい。そこまでだよ。」
そう言いながら私達の間に入り仲裁してくるピンク色の髪の綺麗な女の子。友達のいない私でも知ってる。一之瀬さんだ。
「あ?何だ一之瀬。お前は関係ないだろ。」
「にゃはは、関係なくても同じ一年生が図書室で揉めてたら止めるよ。大事になったら君達も困るんじゃないかな?」
「はっ、コイツから絡んできたんだぜ?俺達は被害者だ。」
「うーん、被害者かなぁ。君たちが余計なこと言ってるの私も聞いてたけど?」
一之瀬さんがそう言うとAクラスの男は気まずそうな顔をして黙るが一之瀬は話を続ける。
「まあ私も大事にしたいわけじゃないからさ、今日はこのまま解散って形でどうかな?」
一之瀬さんがそういうとAクラスの彼らももう行こうぜと言いながらその場を去って行った。私も早く立ち去ろう。荷物をまとめ図書室を出ようとする私に一之瀬さんが小声をかけて来た。図書室である事を考慮してだろう。
「あ、待って月下さん。」
「…何ですか?」
「あ、いやBクラスの網倉さんってわかるかな?この前転んで怪我した時に月下さんに手当して貰ったって聞いてね。お礼したいなって。良かったらこの後お茶でもしない?」
「…好きでやってるだけなので気にしないでください。じゃあ私は失礼しますね。」
そう言い軽く会釈をしてその場を去った。騒がしくしてしまったしもう図書室には行けないかもしれない。
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あちゃー振られちゃったなぁ。そんな事を思っているとふと視線を感じたのでその方向を見ると椎名さんと目が合った。そのまま無視するのもアレかと思い声をかける。
「こんにちは。椎名さん。ごめんね?騒がしかったかな?」
「こんにちは。一之瀬さん。いえいえ。仲裁、お見事でした。」
「にゃはは。まあ一応中立の立場で止めたけどAクラスの子達の方に問題があったと思うしね。椎名さんも色々言われてたけど大丈夫?」
「そうなんですか?何か話してるのは気づいてましたけど内容までは聞いてなかったです。本に集中してたので。」
「そっかそっかー。まあくだらない内容だったから聞かなくて正解だよ。」
「そうですか。でもすみません。月下さんと一之瀬さんの会話は気になって聞き耳を立ててしまいました。」
どうやら椎名さんと目が合ったのは私達の会話を聞いてたかららしい。まあ別に聞かれて困る事を話していたわけではないので大した問題ではない。
「にゃはは。まあ振られちゃったけどね。やっぱり他クラスの人間だから警戒されちゃったのかなー。」
「どうでしょう。でもクラスメイトに話しかけられてもあんな風に躱されることが多いですよ。なのでCクラスでは何となく月下さんには話しかけない空気が出来てます。まあ龍園君は気にしてませんが。」
「あはは。龍園君らしいね。」
「はい。でも彼女も龍園君とは普通に話してますし昔からの知り合いなのかもしれませんね。私達には意図的に距離を作ってる感じがしますが龍園君に対してはそうでもないですし。」
「そっか〜。仲良くしたかったけど残念だな〜。」
そうして椎名さんとの会話が終わり私は帰路に着く。怪我した子の手当てをしたり椎名さんの為に怒ったりはするのに人と距離を取ろうとする不思議な女の子。そんな彼女に私は少しだけ興味が湧いた。
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図書室でAクラスと揉めてからはや数日。石崎達の暴力事件の審議も終わりポイントが振り込まれた。結局石崎達が訴えを取り下げたので事件自体がなくなったらしい。私達Cクラスにペナルティが無かったのは良い事だけど一体何がしたかったのだろう。
高度育成高等学校学生データベース 7/1時点
月下 名草
一年Cクラス
部活動 無所属
誕生日 4/20
評価
学力 B+
知性 C
判断力 C
身体能力 C+
協調性 D-
面接官からのコメント
問題児が多い中学校に通いながらも特に問題行動を起こさず勉学に励んでいた生徒である。ただ、小学生の頃に暴力事件を起こしている。当校ではこういった生徒にも救済措置を与え成長を促す必要があると考える。
担任メモ
Cクラス内では比較的高い学力を持ち合わせ授業態度や生活態度には問題が見られませんが引き続き注意深く見守ろうと思います。また交友関係は狭く限られた生徒としかまともにコミュニケーションをとっていません。