【AI利用実験中】ポケモン世界に転生したら、旅どころではなかった 作:うどん風スープパスタ
「はぁ……ふぅ……」
「ウノ、大丈夫か?」
「もう少し持つ?」
「いやいや、あと少しだから……」
パワー系アイテムの入ったバッグを背負って、母さん達がいるキッチンカーへと向かう途中。思ったよりも早く体力が切れてきた。
しかし、既にシンとルリにはアイテムの半分、1セットを分けて持ってもらっている。十分に助けられているのだから、あと少しくらいは頑張ろう。
気合を入れて歩くこと数分、気分的には10分ほどに感じたけれど、無事に到着。丁度昼休憩のタイミングになっていたらしく、お隣も含めて大人たちが集まって、折り畳みの椅子に座って談笑していた。
「ただいまー!」
「あらあら、どうしたの? 凄い汗じゃない」
「こっちに来て座りなさい。シン君とルリちゃんも」
「飲み物を持ってくるわね」
俺が息を切らせながら近づくと、気づいた両親が席を空けてくれて、シズカ先生がキッチンカーに入っていった。
「お父さん、シンとルリから、荷物を受け取って。僕が買ったものを、運んでくれたんだ」
「そうなのか。ウノを助けてくれてありがとう」
「別に……」
「なに照れてんのよ」
「うっせぇ。案内するって言ったんだから、当然だろうが」
「それがありがたいんだ、っと。これはなんだい? 結構重いけど」
シンからパワー系アイテム3つを受け取った父さんが、思わずといった様子で尋ねた。
「ポケモンのトレーニング器具だそうです」
「企業ブースで売ってたんだよ」
そのまま2人は開場直後から今までに何をしていたかを、大人達に説明してくれた。その間に俺は重いバッグをイワオさんに預け、シズカ先生が持ってきた冷たいチーゴコーヒーを飲んで、体を休める。
「そういうことだったのね」
「ウノが楽しめたようでなによりだよ」
「うん、満足した」
おっと、忘れないうちにソウジさんとの約束を果たしておこう。
安く買わせてもらった代わりに宣伝する約束をしたこと。また、自分自身がオリーニョとウパーしか持っていないので、父さんたちにも使ってみて欲しいことを説明すると、父さんとイワオさんが興味を示した。
「確かにその効果が本物なら、お金を払う価値はあるね」
「2週間試してみて、結果によっては購入を考えよう」
ここで何を考えたのか、シンとルリがほっとした顔をしている。
どうしたのか? と尋ねると、2人は俺が大人たちに叱られるのでは? と思っていたらしい。
「だってほら、ルリが値切ったとはいえ高かったじゃん? 効果も正直俺達はよくわかってねぇし、無駄遣いとか言われたら否定できないっつーかさ……」
「半額にしたら倍買っちゃうし、ウノ君のお金をどうしようと勝手だと思うけど“一つでいいでしょ!”とかそのくらいは言われると思ってたわよ」
「はははっ、確かに。普通はそうかもしれないね。ただうちのウノは、親の贔屓目かもしれないけど歳の割に大人びていてね。ある程度は本人に任せてもいいんじゃないかと思うんだ」
「予算の範囲内でやりくりをしている分には、特に言うことはないわ」
「イベントの話もそうだったけれど、ウノ君のポケモンに関する知識は相当なものでね。私たちが知らないようなことを知っていたりするのだよ。
また、知識を元に我々の仕事にも貢献してくれているので、無駄ではないかと疑うよりも、とりあえず試してみようかという気持ちが先にくるね」
両親とイワオさんがそう言うと、続けてシズカ先生が俺がきのみを栽培していることや、その用途を話したところ、2人とその親であるゲンさんやタエさんも納得したようだ。
「ってことは、おこづかいも自分で稼いだようなものなのか」
「その歳で立派じゃねぇかウノ坊」
「きのみって食べるだけじゃなくて薬にもなるのね……で、大昔のシンオウ地方の知識をウノが知っていて作れたと」
「うむ。森の中では物資の確保も一苦労。手軽に安定して手に入る食料や常備薬は、非常に助かる。怪我に関しては特に、命に直結する問題だからね。拠点に戻れば治療できるとはいえ、現場での応急処置は予後に大きく影響するのだよ」
「興味深いわね〜」
と、ここでお金に関する話が一区切りついた。だいぶ体も楽になってきたし、話を戻してシンとルリにどの器具を使うかを尋ねる。
「どれを使うかと聞かれても、ねぇ?」
「借りるとは決めたけど、俺たちはその道具をよく知らないし、ウノが決めてくれよ」
「そう? じゃあ、2人はどのポケモンに持たせたい? というか、2人のポケモンは?」
「おっ、じゃあ見せてやるよ」
「ちょっと待った、もうすぐお店が再開するでしょ? ここじゃ邪魔になるし、自然公園に行きましょう。奥の方に行けば人もほとんど来ないから、ウノ君のポケモンも見せてくれない?」
「うん、人目につかないならいいよ」
ルリの提案にシンも賛成し、俺たちは緑豊かな公園へ行くことになった。
……
…………
………………
~ミズハタウン自然公園~
自然公園はその名の通り、自然が多い。しかし同時に人が歩くための道路は整備され、木々は適度に剪定されている。生き物の気配もほとんどない。野生の森の中に住む俺達としては、人の手が入っていることを強く感じた。
尤も、だからといって不快というわけではない。適度に入る風と木々の香りの爽やかさ。ちょうどいい塩梅で自然が楽しめる場所だ。だから公園に踏み込んだあたりでは、バザーに来て休憩していると思しき人を多く見かけた。
しかし、奥に入るにつれて徐々に人気はなくなっていき……とうとう誰もいない場所についた。
「よし、この辺でいいだろ」
「結構奥まで来たの?」
「大体公園の3分の2くらいかしらね。もう少し行けば反対側につくわよ。そこから先は街の外になるから、行ったところで何もないけど」
「そうなんだ」
「それより早くポケモン出そうぜ! 来い! アリゲイツ!」
「アリィ!」
シンが先んじて投げたボールから出てきたのは、大きな顎が発達した青い体のポケモン・アリゲイツ。ジョウト御三家の一匹であるワニノコの進化系だ。
「せっかちなんだから……まぁいいわ。出てきて、マグマラシ!」
「マグマグ!」
ルリが出したのは長めの胴と、背中から噴き出す炎が特徴のマグマラシ。こちらもジョウト御三家の一匹である、ヒノアラシの進化系。
ポケモン金銀では俺も、何度も周回して何度も使ったことのあるポケモンが目の前にいることに、ちょっと感動を覚えた。そしてこの2匹が対象なら、俺もアドバイスがしやすい。
だが、その前に……
「みんなもおいで」
「オリー!」
「ウパー!」
周囲に人がいないことを確認してから、俺もモンスターボールを投げると、オリーニョとウパーが元気に飛び出してきた。二匹は普段と違う場所や見慣れない人とポケモンを、興味深そうに眺めている。
「すげえ! これがパルデアのポケモンか! 見た感じ草タイプだよな?」
「そう、こっちは草タイプのオリーニョだよ。サンドイッチに使ってるオイルもこの子が作ってくれたもの」
「油もウノ君が関わってたんだ……というかこっちのウパー、色違いじゃない!」
「森で倒れてたのを保護したんだけど、珍しいから街中ではあまり出してあげられないんだよね」
「変な奴に目をつけられたら困るものね」
「まぁ、この辺なら人目もないし心配ないさ。それよりどの道具が合ってるかを教えてくれよ」
「分かった。でもその前に、いくつか質問するから答えてね」
丁度いい道具を選ぶには、事前に確かめなければならないことがある。
質問1、2匹のポケモンの性格は?
「性格? うちのアリゲイツはめっちゃ努力家だぜ!」
「マグマラシは真っ直ぐな性格ね。私の指示にも良く従ってくれるし、分かりやすいわ」
なるほど、アリゲイツは“がんばりや”。マグマラシは“すなお”ってところか。
(どっちも補正のない性格で分かりやすいね)
『御三家だから初心者向けに、扱いやすさも加味して与えられてるのかもな。
とりあえず補正のことは気にする必要なし、と……では次だ』
質問2、2匹の特性は?
「特性……聞いたことがあるような、ないような」
「ポケモンの持ってる性質のことなのは知ってるけど、マグマラシのが具体的に何かっていわれると、答えられないわね」
「どっちも不明と……なら一旦特性は無視して考えるね。
ちなみにアリゲイツの特性は“げきりゅう”か“ちからずく”、マグマラシの特性は“もうか”か“もらいび”。どっちも条件を満たすと攻撃の威力が上がるタイプの特性だから、戦っててなんかこの攻撃や条件だと威力強いな~って思ったらそれで分かるかも」
最後に質問3、2匹はどんな戦い方を好む? あるいは、2人がさせたい戦い方は?
「させたいっつーか、ガンガン攻めてく! 守りに入るのは性に合わねぇ! 俺もアリゲイツもだ!」
「アリッ!」
「シンは攻撃力か特殊攻撃力と。ちなみに物理か特殊かは? アリゲイツだと物理攻撃の方が得意な場合が多いと思うけど」
「そうなのか?」
「僕の知識が間違ってなければ、ワニノコからオーダイルまで、物理攻撃と防御に長けている傾向があったはず。もちろんアリゲイツも。
だから攻撃の威力を高めていくなら、特殊攻撃力を高めてどっちでも同じくらい戦えるようにするか、それとも得意な物理攻撃をさらに伸ばすか。短所を補うか長所を伸ばすか、って感じかな」
「マジか……どうしよう……」
「急ぎじゃないし、アリゲイツと一緒にしばらく考えてみて」
その間にルリの希望を聞かせてもらおう。
「ルリとマグマラシはどう?」
「う~ん……私もそこまで考えたことがないし、そもそも私ってそんなにバトルが得意でもないのよね。シンと比べたら本気で取り組んでるわけでもないし、ただ他所の街まで出かける時とかの保険として、って感じ。
だからちょっと変な答えかもしれないんだけど……」
ルリは声を潜めて、手招きをしている。何か言いづらい事なんだろうか? 黙って近づき耳を貸してみると、
「“シンに勝てるやつ”って選択肢はない? 悔しいけど私、あいつとアリゲイツに勝ったことないのよ。強くなりたいって言うより、あいつに負けっぱなしなのが嫌なの」
「なるほど。マグマラシの長所は“特殊攻撃力”だから、相性で効果半減。一方アリゲイツは特殊攻撃が不得意でも相性で弱点を突かれる。物理攻撃なら半減はしなくても、比較的威力は低いしアリゲイツは物理防御も高いからなぁ……」
「詳しいわね……でも、本当にそんな感じで押し切られて負けちゃうの。工夫はしても結局じり貧になって負けるから、マグマラシにも申し訳なくて。せめて一度は勝たせてあげたいのよ」
「そういうことなら、素早さを鍛えてみる? マグマラシの長所であって、アリゲイツの短所だから。あとはこれに加えて」
さらに素早さを活かした戦術についても、ちょっとした提案をしてみたところ──
「いいわね。それが上手くハマれば、って感じ。可能性がありそうだし、それにするわ」
「了解。それじゃルリにはこの“パワーアンクル”ね。装着中は速度が半減するはずだから、実感はしにくいかもしれないけど、その分外した時には身軽になってるはず」
「わかったわ。せっかく貸してもらうんだから、この2週間は本気で鍛えるわ。そして打倒、シンとアリゲイツよ!」
これでルリは決まったので、シンはどうなっただろうか?
「ウノ! 決まった、俺達は長所を伸ばす! そしてとにかく実戦あるのみだ!」
「攻撃力ね、了解。じゃあシンとアリゲイツは“パワーリスト”をどうぞ」
「借りるぜ。これでガンガン強くなってやる!」
「アリ!」
腕に付ける段階で気合を入れても仕方ないのだけれど、それは言わぬが花だろう。
あとは俺も、残ったものからオリーニョとウパー用の道具として、特攻を上げる“パワーレンズ”と特防を上げる“パワーバンド”を選択。2匹に装備してもらい、残る“パワーウエイト”と“パワーベルト”は父さんたち用にしまっておく。
これで道具の割り振りは済んだということで、残る時間はのんびりと遊んで過ごそう……と、考えた時だった。
『……ボ……』
「え?」
どこかから、何か声のようなものが聞こえた気がした。