【AI利用実験中】ポケモン世界に転生したら、旅どころではなかった 作:うどん風スープパスタ
午後
今日もポケモン達と訓練をする。
ただし今日はこれまであいまいになっていた、ポケモン達が使える技を確認することにした。ログハウスからは少し離れた湖畔でポケモン達に出てきてもらい、一匹ずつ使える技を全て披露してもらった。
結果、俺が把握していなかっただけで、いつの間にかポケモン達は多彩な技を覚えていたことが判明。
まずオリーニョはたいあたり、あまいかおり、すいとる、せいちょう、はっぱカッター、じたばた、メガドレイン、てだすけ……以上の8つ。前半5つは分かっていたが、じたばたはレベルアップ? メガドレインはすいとるの強化? てだすけは作業中の協力だろうか?
ヌオーはみずでっぽう、しっぽをふる、たたきつける、ドわすれ、あなをほるの5つ。“ドわすれ”は外見からは動きが固まっただけで非常に分かりにくかったけれど、その後のみずでっぽうの威力が上がっていたから判別できた。あなをほるはおそらく農作業を通じて覚えたと思われる。
最後にツボツボはからみつく、まきつく、しめつける、からにこもる、ねむる、むしくい、がまん、ころがる、いわおとし、むしのていこう、しんぴのまもり。合計11個と最も多いけれど、前半の5個か6個はただの身体機能のような気がする。
技の習得は生まれつきまたは成長に伴って自然に覚えるものと、アニポケ的な訓練や経験によるものがありそうだ。臨時研究員になったら、それについても調べてみたい気持ちも沸いたが……ここで1つ問題が発生。
「ヌオゥ……」
(……サノ、ヌオーが)
『明らかに落ち込んでるな。他の2匹より、自分だけ技の数が少ないことに気づいたんだろう。ほぼ半分だからなぁ……俺達は別に気にしないけど、バトルに積極的でないことも技の少なさに関係あるんだろうか?』
(がんばりやな性格だし、その辺も気にしてそうだね……なんとかできないかな?)
『なんとかと言われても、そう簡単に増えるものじゃないだろ。わざマシンもないし、“技教え”みたいな人の技術があればいいけど……いや、待った』
(何かある?)
『技術というか、前世のプレイヤーとしてのテクニックだけど“遺伝技(タマゴ技)”ってのがあっただろ。
最初は卵を産ませる段階でしか技を遺伝させられなかったけど、ソード・シールドからは後天的にタマゴ技を覚えさせられる仕様になって、パルデアが舞台のSVだと“ものまねハーブ”を持たせてピクニックをすれば技を伝授できたはず。
あれで一時期、技の組み合わせにハマったことがあって……たしかヌオーとペリッパーなら“たくわえる”、“のみこむ”、“はきだす”を遺伝させられたはず』
(そっか! ものまねハーブなら前にネコメさんから分けてもらったのがあるし、シズカ先生にお願いすれば協力してもらえるかも!)
『ついでにツボツボを助けた時の“のみこませる”っていう応用まで習得できたら、ヌオーの自信にもなるし、いざという時に助かるよな?』
可能性が見えてきた。漠然とした手順しかわからない上に、この世界に対応しているかも定かではない。期待をさせるだけになるかもしれないが……本人に話して気持ちを聞いてみたところ、
「ヌオーッ!」
やってみる! と強い意志を見せたので、そのままシズカ先生のところへ相談に向かった。
……
…………
………………
~医務室~
「あらウノ君、どうしたの? 怪我はしていないようだけど」
医務室に来てみると、先生は俺が作った乾燥キズぐすりを調べていた。邪魔をして申し訳ないが、ヌオーのためにも事情を説明。すると、
「遺伝技にタマゴグループ……異なる種のポケモン同士で卵が産まれて、技が遺伝するなんて聞いたことがないわね。生物学とか遺伝学の観点からもありえないと思うのだけれど、それも前に読んだ本の内容なの?」
「そうですね……」
『確かに生物学的に考えたらおかし過ぎる』
(でも、たしかタマゴグループはウツギ博士が発見してなかったっけ?)
『そのはずだった思うけど……まさかまだ発見前?』
(それ以前に、この世界にウツギ博士は存在するのかな?)
……そこはかとなく、やらかした気がする。
「分かったわ、外に出るだけでいいのよね?」
「あっ、はい! 手伝ってもらえるんですか?」
「話を聞く限り危険はなさそうだし、手間もかからなそうだもの。それに信じがたい内容ではあったけど、ウノ君の知識でこれまで間違ってたこともないからね」
「ありがとうございます!」
これも信頼の積み重ねだろうか? とにかくシズカ先生の協力を取り付けられた。そして先生が手伝ってくれるとなると、キャンプの設営もあっという間に終了。
父さんたちがフィールドワークで使う折り畳みテーブルやイスを、湖の傍に設置しただけの簡易キャンプでペリッパーを出してもらい、ヌオーにものまねハーブを持たせる。
『……ここからどうしようか……』
(とりあえず、ペリッパーに技を見せてもらう? ほら、ものまねハーブは“バトル中に相手の能力上昇をまねる”って効果だったじゃない。名前がそもそも“ものまね”だし、真似をしてみるとか)
『そのくらいしかやれることもなさそうだしな……よし、やってみよう!』
ということで、先生にお願いしてペリッパーの技を見せてもらう。
「ペリッパー、お手本だからゆっくりお願い。“たくわえる”よ」
指示を受けたペリッパーが、以前と同じく何かを吸い込むような動作を行う。すると、前よりも弱く、ゆっくりとだけど、口の中に何かが吸い込まれる感覚を覚えた。その上で、チラリとヌオーの方を見ると、
「?」
視線はペリッパーに集中しているけれど、どことなく放心状態のようにも見えた。それを指摘する間もなく、
「ペリッパー、続いて“はきだす”」
「ペッ!」
吐き出されたエネルギーの塊が、湖に着弾してしぶきを上げた。これもヌオーはボーっと見つめている。
「これでいいかしら? もう何回か見せた方がいい?」
「どうでしょう? ヌオー?」
「ヌオー……!!」
「えっ!?」
我に返ったかと思えば、大きく口を開けたヌオー。その口の中に感じる、再びエネルギーが集まる感覚。これは?!
「ヌオー、そのまま湖に”はきだす”!」
「ヌオゥッ!」
そして上がった水しぶき。ペリッパーより威力はないが、技としては成立したように見える。
「成功した?」
「したわね……」
念のために“のみこむ”も見せてもらったが、ヌオーはこれも習得。ただしシズカ先生達の応用技である“のみこませる”は習得に失敗。これに関しては“3種類の技を基礎として、組み合わせるために訓練、テクニックが必要だからだろう”と先生に言われた。
「私達も習得までに時間をかけて訓練したから、そっちは不思議じゃないけれど……まさか本当にペリッパーの技を覚えるなんて。でも普通はヌオーが覚える技じゃないはずだし……ちょっと待っていてもらえる?」
頭を悩ませた先生はログハウスに走っていった……
「ヌオ?」
「ん……まぁ、大丈夫でしょう。それより技3つの習得おめでとう。回復ができるのは心強いよ。これからも頑張ろうね」
「ヌオー!」
バトルが苦手なヌオーにとっても、俺達の体調的にも役に立つ技だろう……と、呑気なことを考えながら、父さんを先頭に走ってくる大人達の姿を眺めていた。
……
…………
………………
夜
~自室~
(疲れた……)
『お疲れ様、ウノ』
(サノもね……)
あの後、湖畔はちょっと騒がしくなった。
シズカ先生は遺伝技やタマゴグループという概念を知らなかったが、確かにヌオーが技を覚えたことを確認。事実は事実として認識し、知っていたか? と父さんたちに確認したらしい。しかし、誰も知っている人はいなかった。
その後に父さんたちが集まってきたのは、驚きと興味本位。ポケモンの新しい技の習得方法、それも“本来なら覚えない技”を覚えたから。これは文字通り、この世界の常識を覆すような出来事だった。
研究所に場所を変えて、パソコンで学術資料を掲載しているWebサイトを覗きヌオーの技を確認するなどもしていたが……大人達が騒いでいたのはそこまで。
驚くべき発見であることは間違いないが、彼らは自然の専門家であり、ポケモンの専門家ではないから。本当に正確な情報を確認したいのであれば、専門の研究者とコンタクトを取る必要があるだろう。
結論として、彼らにできることは事実を事実として受け入れることのみ。まだまだ知らないことは多いな、と笑って仕事に戻っていった。
『本当に、それだけで収めてくれて助かった』
(学会とか研究機関に報告とかいう話になってたら、どうなったか……)
『まぁ、正直そういうことも頭にはあっただろう。畑違いとはいえ、希少なデータの価値は研究者なら分かってると思うし、ウノの事を考えて胸の奥に留めてくれたんだよ』
いや本当に、ここに研究や自分の功績を第一に考える人がいたら、何が起きていたことか……
(外でポケモンを出すだけでなく、知識を使う時はもう少し気を付けようね)
『そうだな……とは思うけど、確約はしない』
(なんで?)
『ウノ、いいか? 何かを“もうやらない”と約束してできるような人間の大半はな……“そもそも最初から約束させられるようなことをしない”んだよ。自分含めて、人生一周終えた俺の経験則だ』
やめる奴が絶対にいないとまでは言わないけれど、まぁその辺はお察しというやつだ。
『さて! それはそうと、今日やるべきことは終わったんだからゆっくりしよう。そうだ、この前買ったあの本、試してみないか?』
(そうだね、今日も皆頑張ったし)
部屋の隅の本棚に向かい、一冊の本を取り出す。それは前回のバザーで購入していた“ポケモンマッサージとボディーケアの基本”という本。ゲームで言うところの“ポケパルレ”、あるいは“ポケリフレ”に近いものではないかと思って購入した。
ゲームの世界に入り込み、ゲームシステムっぽいものを育成に役立てられるようになったとはいえ、ポケモンが生きていることを忘れてはいけない……という戒めと健康維持のために、こちらの健康方面にも手を出してみることにした。
ベッドの上に座り、本を開いて置く。そしてボールを投げて、オリーニョ、ヌオー、ツボツボを呼び出す。彼らも今日の技の把握で疲れているようで、少し眠そうだ。
「オリ?」
「ヌオー……」
「ツボッ」
「今日もお疲れ様。古本市で買っておいたこの本を試したいから、ちょっと協力してくれる?」
「オリッ!」
オリーニョが真っ先に嬉しそうな声をあげ、俺が手で招いたベッドの縁に腰掛ける。肯定と見て、くさタイプや植物系ポケモンの皮膚、茎などの構造についての記述を読み進める。
「草タイプは、花や葉など柔らかい部位はデリケートで触れられることを嫌う事が多い。破ったり千切ったりしないように。時間は短時間、特に慣れないうちは10分以上は控えること……」
頭頂部に実る小さなオイルの実の根元や、細い茎のような首周り、足の付け根付近へ指先をのせ、円を描くイメージで軽く力を加えていく。
「……オリィ……」
心地いい刺激のようで、オリーニョは気持ちよさそうに目を細め、実からうっすらとあまい香りを滲ませながら脱力していく。そのまま5分ほど経ったところで不思議と“これ以上の変化・効果はない”と感じ、一旦ここまでで辞めておくことにした。
『ウノ、今の感覚』
(うん……ほんのちょっとだけど、ツボツボと最初に会った時の感じに近かった気がする)
『だよな?』
マッサージで超能力……触れることが発動条件なら“サイコメトリー”という能力があったはず。俺達の能力もそれなのだろうか? ……そうだとしても、違うとしても、今ははっきりしない微妙なものだ。
生活に支障が出るようなものでもないし、今はマッサージを続けよう。
「次はヌオー、おいで」
「ヌー」
「ヌオーはベッドに横になるか」
言うが早いか、ベッドの上でうつぶせになるヌオー。
本によると、みずタイプのポケモンは体温が低く、あまり温めないようにするのが望ましい。体が汚れている場合は水やしめらせたタオルなどで軽く拭うこと……これは昼に水浴びをしていたので、今は不要だろう。
柔らかい体、内臓に負荷をかけないように点ではなく面で。太い首筋や背中、短い肩の周辺を手のひら全体で大きく擦るように解していく。
「このへんどうかな?」
「ヌオー……ヌオォァアア……」
特に尻尾の根元から腰回りにかけての圧迫が効いたようだ。ヌオーは口をあけたまま、あっという間に寝息を立て始めた。水タイプも慣れないうちは長時間は控えた方が良い、と書かれていたので10分ほどで終了。
一番疲れていたのだろう……幸せそうに寝ていて動かないので起こさずに、一旦ベッドの端に転がしておく。
「お待たせ、ツボツボ」
「ボー」
最後におとなしく順番を待っていたツボツボが、ベッドに這いあがってくる。
岩タイプは……基本的に硬いので、かなり力を込める。ただし複合タイプの場合は部位の状態ともう一方のタイプについても考慮する、ということなので虫タイプも参照。弾力がある部位は、指の腹で押し込むように揉むのが基本。
……本に従い、手足が細いので両手で包み込むように保持してから、親指の腹で押すように。先端から殻の根元までを小刻みに揉んでいく。ツボツボの体の大半は硬い殻に守られているが、穴から突き出た黄色い首や手足は柔軟で、思ったよりも伸縮する。
「ツー」
右手、左手、右足、左足、そして頭から首のすじを丹念に解してやると、ツボツボは満足そうに首を伸ばして、俺の指へすり寄るように頭を擦りつけてきた。
「オリ」
「ツボッ」
「ん?」
ツボツボのマッサージも終了──と思ったら、ツボツボとオリーニョが近づいてきて俺達の両手を取り、そっと揉みほぐし始めた。
『おお、しっかり気持ちいいな』
(オリーニョのあまいかおりもアロマみたいだしね)
『俺は行ったことないけど、エステサロンってこんな感じなのかもな……』
いい匂いと心地よいマッサージ、そして背中に当たるヌオーのひんやりとした体。
心地よい感覚に包まれて、段々とまぶたが重くなってきた……
【お知らせ】
職場の先輩が退職されることとなり、業務の引き継ぎが通常業務に加わるため、
誠に勝手ながら、以下の期間は投稿を一時休止させていただきます。
休止期間:10月22日 〜 11月17日
投稿再開:11月18日
読者の皆様には申し訳ありませんが、仕事を片付けてから、改めて実験を継続します。
ご理解いただけますと幸いです。