七武装輪転の転生者は平穏に暮らしたい   作:ポーンδ

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職場体験

第25話 『職場体験』

 

ヒーロー科へ編入して数日。

 

俺は悟った。

 

◇◇◇

 

ヒーロー科はうるさい。

 

◇◇◇

 

非常に。

 

◇◇◇

 

朝から騒がしい。

 

昼も騒がしい。

 

放課後も騒がしい。

 

◇◇◇

 

平穏が存在しない。

 

◇◇◇

 

「帰りたい……」

 

◇◇◇

 

昼休み。

 

屋上。

 

◇◇◇

 

最近の避難場所だった。

 

◇◇◇

 

「諦めろ」

 

アルトリアが言う。

 

◇◇◇

 

「嫌だ」

 

◇◇◇

 

「無理だな」

 

◇◇◇

 

酷い。

 

◇◇◇

 

ナイチンゲールがお茶を差し出してくる。

 

◇◇◇

 

「大分馴染んでいますよ」

 

◇◇◇

 

「全然」

 

◇◇◇

 

「そうですか?」

 

◇◇◇

 

そうだ。

 

◇◇◇

 

一ミリも馴染んでいない。

 

◇◇◇

 

その時。

 

チャイムが鳴った。

 

◇◇◇

 

嫌な予感。

 

◇◇◇

 

非常に嫌な予感。

 

━━━━━━━━━━━━

 

ヒーロー科A組

 

━━━━━━━━━━━━

 

相澤が教壇へ立つ。

 

◇◇◇

 

「職場体験についてだ」

 

◇◇◇

 

教室がざわつく。

 

◇◇◇

 

来た。

 

◇◇◇

 

職場体験。

 

◇◇◇

 

体育祭後の恒例イベントだ。

 

◇◇◇

 

プリントが配られる。

 

◇◇◇

 

指名されたヒーロー事務所一覧。

 

◇◇◇

 

視線を落とす。

 

◇◇◇

 

多い。

 

◇◇◇

 

思った以上に。

 

◇◇◇

 

「すげぇな」

 

切島が覗き込む。

 

◇◇◇

 

「優勝者だもんな」

 

◇◇◇

 

嬉しくない。

 

◇◇◇

 

全然。

 

◇◇◇

 

「希望する事務所を選べ」

 

相澤が言った。

 

◇◇◇

 

少しだけ安心する。

 

◇◇◇

 

選べる。

 

◇◇◇

 

つまり。

 

平穏へ逃げられる。

 

◇◇◇

 

エンデヴァー。

 

却下。

 

◇◇◇

 

面倒。

 

◇◇◇

 

有名事務所。

 

却下。

 

◇◇◇

 

面倒。

 

◇◇◇

 

ホークス。

 

◇◇◇

 

「論外だな」

 

思わず呟く。

 

◇◇◇

 

「何がだ?」

 

上鳴が聞く。

 

◇◇◇

 

「いや」

 

◇◇◇

 

「絶対忙しいだろ」

 

◇◇◇

 

適当に誤魔化した。

 

◇◇◇

 

本当は違う。

 

◇◇◇

 

未来を知っているからだ。

 

◇◇◇

 

公安。

 

潜入。

 

裏社会。

 

◇◇◇

 

平穏から最も遠い。

 

◇◇◇

 

絶対に嫌だった。

 

◇◇◇

 

結局。

 

俺は小さな地方事務所を選んだ。

 

◇◇◇

 

『風見ヒーロー事務所』

 

◇◇◇

 

地方都市担当。

 

◇◇◇

 

所属ヒーロー数名。

 

◇◇◇

 

知名度低い。

 

◇◇◇

 

事件件数少ない。

 

◇◇◇

 

完璧だ。

 

◇◇◇

 

平和の匂いしかしない。

 

━━━━━━━━━━━━

 

放課後

 

ひなたの家

 

━━━━━━━━━━━━

 

「決まりましたか?」

 

ナイチンゲールが聞く。

 

◇◇◇

 

「決まった」

 

◇◇◇

 

「どちらです?」

 

◇◇◇

 

「風見事務所」

 

◇◇◇

 

一瞬。

 

ナイチンゲールの動きが止まった。

 

◇◇◇

 

珍しい。

 

◇◇◇

 

「知っているのか?」

 

◇◇◇

 

「ええ」

 

◇◇◇

 

ナイチンゲールが頷く。

 

◇◇◇

 

「私の同級生です」

 

◇◇◇

 

沈黙。

 

◇◇◇

 

「は?」

 

◇◇◇

 

思わず聞き返した。

 

◇◇◇

 

「元ヒーロー科です」

 

◇◇◇

 

「卒業後に地元で個人事務所を立ち上げました」

 

◇◇◇

 

「真面目です」

 

◇◇◇

 

「誠実です」

 

◇◇◇

 

「患者からの評判も良かったですよ」

 

◇◇◇

 

医者視点だった。

 

◇◇◇

 

「なら安心か」

 

◇◇◇

 

少しだけ肩の力が抜けた。

 

◇◇◇

 

アルトリアも頷く。

 

◇◇◇

 

「ナイチンゲールが評価するなら問題ないだろう」

 

◇◇◇

 

珍しく安心できる情報だった。

 

◇◇◇

 

だが。

 

ナイチンゲールは続けた。

 

◇◇◇

 

「ただ」

 

◇◇◇

 

嫌な予感。

 

◇◇◇

 

「ただ?」

 

◇◇◇

 

「少し変人です」

 

◇◇◇

 

終わった。

 

◇◇◇

 

「どのくらいだ」

 

◇◇◇

 

「授業中に犯人心理学について三時間話し続ける程度です」

 

◇◇◇

 

終わった。

 

◇◇◇

 

完全に終わった。

 

◇◇◇

 

アルトリアが遠い目をした。

 

◇◇◇

 

「懐かしいな」

 

◇◇◇

 

知っているのか。

 

◇◇◇

 

「知っているのか」

 

◇◇◇

 

「知っている」

 

◇◇◇

 

最悪だった。

 

◇◇◇

 

夜。

 

自室。

 

◇◇◇

 

ベッドへ倒れ込む。

 

◇◇◇

 

平穏そうな事務所だと思った。

 

◇◇◇

 

実際。

 

平穏なのだろう。

 

◇◇◇

 

ただ。

 

◇◇◇

 

どうにも。

 

◇◇◇

 

嫌な予感が消えなかった。

 

◇◇◇

 

七瀬刃人の予感は。

 

大体当たる。

 

◇◇◇

 

だからこそ。

 

◇◇◇

 

今回も外れない気がしていた。

 

第25話 完

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