第26話 『風見ヒーロー事務所』
職場体験初日。
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朝。
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駅のホームに立つ。
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一人だった。
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静かだ。
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素晴らしい。
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爆豪もいない。
緑谷もいない。
轟もいない。
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最高だった。
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「このまま何も起きなければいいんだが」
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過去の経験上。
そう思った時ほど何か起きる。
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嫌な予感しかしない。
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風見ヒーロー事務所
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地方都市の一角。
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駅から徒歩十分。
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建物は小さかった。
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かなり小さい。
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大手事務所のような派手さもない。
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見栄もない。
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普通の会社だった。
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俺は安心した。
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平和そうだ。
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とても。
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表札を見る。
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間違いない。
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扉を開く。
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「失礼します」
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すると。
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「おっ!」
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元気な声が返ってきた。
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二十代前半。
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黒髪。
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爽やかな笑顔。
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そして。
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妙に目が輝いていた。
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嫌な予感。
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非常に。
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「七瀬君だね!」
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「はい」
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「会いたかった!」
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「そうですか」
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初対面だった。
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なぜそんなに嬉しそうなのか分からない。
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「風見悠人だ!」
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「よろしく!」
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握手を交わす。
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第一印象。
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元気だな。
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それだけだった。
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「ナイチンゲールから話は聞いてるよ!」
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終わった。
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嫌な予感が当たった。
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「同級生なんですよね」
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「そうそう!」
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風見が笑う。
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「学生時代から真面目だったよなぁ」
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「今も真面目です」
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「だよなぁ!」
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テンションが高い。
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かなり高い。
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アルトリアとナイチンゲールの言葉を思い出した。
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『少し変人です』
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『面倒だ』
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今なら理解できる。
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とてもよく。
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「そうだ!」
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風見が急に目を輝かせた。
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嫌な予感。
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「体育祭見たぞ!」
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来た。
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絶対来ると思った。
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「鎖!」
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「はい」
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「釣竿!」
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「はい」
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「仮面!」
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「はい」
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「どういう能力なんだ!?」
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やっぱり来た。
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「秘密です」
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即答だった。
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風見が固まる。
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「全部?」
◇◇◇
「全部です」
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「少しくらい!」
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「無理です」
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露骨に落ち込んだ。
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少し申し訳ない。
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だが。
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言えないものは言えない。
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特に第2武装は。
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午前
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事務所の案内を受ける。
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所属ヒーロー三名。
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サイドキック二名。
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迷子対応。
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落し物。
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交通誘導。
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地域巡回。
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平和だった。
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本当に。
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「理想的ですね」
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思わず本音が漏れる。
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風見が笑う。
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「そうだろ?」
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「俺はこういう仕事が好きなんだ」
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窓の外を見る。
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商店街。
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遊ぶ子供達。
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買い物をする人達。
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穏やかな街並み。
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「派手な事件を解決するヒーローも格好良い」
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「でも」
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「誰かの日常を守るヒーローも必要だろ?」
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少しだけ。
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良いなと思った。
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「そうですね」
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本心だった。
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昼過ぎ
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巡回。
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街を歩く。
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風見は住民からよく声を掛けられていた。
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「風見君!」
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「こんにちは!」
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「今日も頑張ってね!」
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有名ではない。
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だが。
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信頼されている。
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そんなヒーローだった。
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「良い場所ですね」
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「だろ?」
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風見が笑う。
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悪くない。
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本当に。
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こんな職場体験なら平和に終わる。
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そう思った。
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夕方
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巡回を終えた帰り道。
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風見が鞄から新聞の切り抜きを取り出した。
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嫌な予感。
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「興味あるか?」
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「ないです」
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即答した。
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だが。
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風見は流した。
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もっと悪かった。
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止まってくれない。
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新聞には最近話題の事件が載っていた。
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ヒーロー襲撃事件。
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各地で発生している。
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犯人不明。
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被害者はヒーロー。
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世間ではそう認識されている。
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「面白いんだ」
風見が言う。
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「犯罪者には必ず行動原理がある」
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目が輝いていた。
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帰りたい。
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本当に。
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「無意味な犯行は存在しない」
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「どんな人間にも理由がある」
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風見は新聞を眺める。
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「だから調べれば見えてくる」
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「何がですか」
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「犯人が何を考えているのか」
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その目は。
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完全に犯罪心理学オタクだった。
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ナイチンゲールの評価は正しかったらしい。
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「暇があったら読んでみるといい」
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新聞の束を渡される。
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嫌だった。
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ものすごく。
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それでも受け取る。
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職場体験だからだ。
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「ありがとうございます」
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「おう」
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風見は満足そうに頷いた。
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そして。
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俺は気付いていなかった。
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この三日後。
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その新聞記事と風見の分析が。
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とんでもない事件へ繋がることを。
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平穏な職場体験の終わりは。
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もうすぐそこまで来ていた。
第26話 完