七武装輪転の転生者は平穏に暮らしたい   作:ポーンδ

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分析

第27話 『分析』

 

職場体験三日目。

 

◇◇◇

 

結論から言う。

 

◇◇◇

 

平和だった。

 

◇◇◇

 

非常に。

 

◇◇◇

 

迷子を保護した。

 

◇◇◇

 

落し物を届けた。

 

◇◇◇

 

犬を木から下ろした。

 

◇◇◇

 

平和だ。

 

◇◇◇

 

理想的だった。

 

◇◇◇

 

俺が求めていたヒーロー活動にかなり近い。

 

◇◇◇

 

だから。

 

◇◇◇

 

油断していた。

 

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風見ヒーロー事務所

 

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夕方。

 

◇◇◇

 

事務所へ戻る。

 

◇◇◇

 

すると。

 

◇◇◇

 

風見が机へ向かったまま動いていなかった。

 

◇◇◇

 

資料の山。

 

◇◇◇

 

新聞の切り抜き。

 

◇◇◇

 

地図。

 

◇◇◇

 

そして。

 

◇◇◇

 

缶コーヒー。

 

◇◇◇

 

嫌な予感。

 

◇◇◇

 

「何してるんですか」

 

◇◇◇

 

「分析」

 

◇◇◇

 

即答だった。

 

◇◇◇

 

面倒な予感しかしない。

 

◇◇◇

 

「昨日渡した記事」

 

◇◇◇

 

「読んだか?」

 

◇◇◇

 

「一応」

 

◇◇◇

 

読んだ。

 

◇◇◇

 

正確には。

 

◇◇◇

 

読まされた。

 

◇◇◇

 

ヒーロー襲撃事件。

 

◇◇◇

 

数件。

 

◇◇◇

 

いや。

 

十件近い記録。

 

◇◇◇

 

全部同じ犯人かは分からない。

 

◇◇◇

 

だが。

 

◇◇◇

 

風見は違う考えらしい。

 

◇◇◇

 

「同一人物だと思うんですか」

 

◇◇◇

 

「思う」

 

◇◇◇

 

即答だった。

 

◇◇◇

 

風見は地図を広げる。

 

◇◇◇

 

丸が幾つも書かれている。

 

◇◇◇

 

事件現場だろう。

 

◇◇◇

 

「共通点がある」

 

◇◇◇

 

「共通点?」

 

◇◇◇

 

「被害者」

 

◇◇◇

 

風見が資料をめくる。

 

◇◇◇

 

ヒーロー。

 

◇◇◇

 

ヒーロー。

 

◇◇◇

 

ヒーロー。

 

◇◇◇

 

全部ヒーローだった。

 

◇◇◇

 

当然だ。

 

◇◇◇

 

ヒーロー襲撃事件なのだから。

 

◇◇◇

 

だが。

 

風見は首を振る。

 

◇◇◇

 

「もっと細かい」

 

◇◇◇

 

資料を机へ並べる。

 

◇◇◇

 

「人気はある」

 

◇◇◇

 

「実力もある」

 

◇◇◇

 

「だが」

 

◇◇◇

 

「評判が悪い」

 

◇◇◇

 

沈黙。

 

◇◇◇

 

俺も記事を見返す。

 

◇◇◇

 

確かに。

 

◇◇◇

 

少し問題を起こしているヒーローが多い。

 

◇◇◇

 

「犯人はヒーローが嫌いなんだ」

 

◇◇◇

 

風見が言う。

 

◇◇◇

 

その目が輝いていた。

 

◇◇◇

 

犯罪心理学モードだ。

 

◇◇◇

 

帰りたい。

 

◇◇◇

 

「思想犯ですか」

 

◇◇◇

 

「おそらく」

 

◇◇◇

 

風見が頷く。

 

◇◇◇

 

「ただの暴力じゃない」

 

◇◇◇

 

「選別している」

 

◇◇◇

 

「自分なりの正義がある」

 

◇◇◇

 

その瞬間。

 

◇◇◇

 

脳裏に浮かぶ。

 

◇◇◇

 

ヒーロー殺し。

 

◇◇◇

 

ステイン。

 

◇◇◇

 

嫌な汗が流れた。

 

◇◇◇

 

知っている。

 

◇◇◇

 

俺は知っている。

 

◇◇◇

 

その思想を。

 

◇◇◇

 

その名前を。

 

◇◇◇

 

「七瀬?」

 

◇◇◇

 

風見がこちらを見る。

 

◇◇◇

 

「顔色悪いぞ」

 

◇◇◇

 

「気のせいです」

 

◇◇◇

 

嘘だった。

 

◇◇◇

 

かなり悪い。

 

◇◇◇

 

風見は気にせず地図へ視線を戻した。

 

◇◇◇

 

そして。

 

◇◇◇

 

赤ペンを動かす。

 

◇◇◇

 

事件現場。

 

◇◇◇

 

事件現場。

 

◇◇◇

 

事件現場。

 

◇◇◇

 

線で結ぶ。

 

◇◇◇

 

円ができる。

 

◇◇◇

 

さらに。

 

◇◇◇

 

別の資料。

 

◇◇◇

 

目撃情報。

 

◇◇◇

 

失踪者。

 

◇◇◇

 

細かい情報。

 

◇◇◇

 

全てを書き込む。

 

◇◇◇

 

やがて。

 

◇◇◇

 

ペンが止まった。

 

◇◇◇

 

「あった」

 

◇◇◇

 

嫌な予感。

 

◇◇◇

 

本当に。

 

◇◇◇

 

嫌な予感。

 

◇◇◇

 

風見が地図を回す。

 

◇◇◇

 

俺に向ける。

 

◇◇◇

 

「ここだ」

 

◇◇◇

 

示された場所を見る。

 

◇◇◇

 

固まった。

 

◇◇◇

 

知っている。

 

◇◇◇

 

原作知識が反応した。

 

◇◇◇

 

保須市。

 

◇◇◇

 

ヒーロー殺しステインの活動地域。

 

◇◇◇

 

ほぼ間違いない。

 

◇◇◇

 

「どうした?」

 

◇◇◇

 

風見が聞く。

 

◇◇◇

 

「いや」

 

◇◇◇

 

心臓が嫌な音を立てる。

 

◇◇◇

 

「当たってたら面倒ですね」

 

◇◇◇

 

本音だった。

 

◇◇◇

 

「面倒?」

 

◇◇◇

 

風見が笑う。

 

◇◇◇

 

「むしろ面白い」

 

◇◇◇

 

考え方が違った。

 

◇◇◇

 

非常に。

 

◇◇◇

 

「犯人と知恵比べだぞ?」

 

◇◇◇

 

風見は楽しそうだった。

 

◇◇◇

 

俺は全く楽しくない。

 

◇◇◇

 

その時。

 

◇◇◇

 

風見が立ち上がる。

 

◇◇◇

 

嫌な予感。

 

◇◇◇

 

最大級の。

 

◇◇◇

 

「行くか」

 

◇◇◇

 

「どこへ」

 

◇◇◇

 

分かっている。

 

◇◇◇

 

だが。

 

◇◇◇

 

聞かずにはいられない。

 

◇◇◇

 

「保須市」

 

◇◇◇

 

終わった。

 

◇◇◇

 

完全に終わった。

 

◇◇◇

 

「今からですか」

 

◇◇◇

 

「今からだ」

 

◇◇◇

 

即答だった。

 

◇◇◇

 

「ただ確認するだけだ」

 

◇◇◇

 

「大丈夫だ」

 

◇◇◇

 

その言葉。

 

◇◇◇

 

全く信用できなかった。

 

◇◇◇

 

経験上。

 

◇◇◇

 

そう言った時は大体大丈夫じゃない。

 

◇◇◇

 

本当に。

 

◇◇◇

 

全く。

 

◇◇◇

 

「帰りたい……」

 

◇◇◇

 

誰にも聞こえないように呟く。

 

◇◇◇

 

だが。

 

◇◇◇

 

風見は既に準備を始めていた。

 

◇◇◇

 

三日前まではただの職場体験だった。

 

◇◇◇

 

今は違う。

 

◇◇◇

 

七瀬刃人は。

 

◇◇◇

 

原作でも最悪クラスのヴィラン。

 

◇◇◇

 

ヒーロー殺しステインへ。

 

◇◇◇

 

少しずつ近付いていた。

 

第27話 完

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