第29話 『生命進化』
脳無が笑った。
◇◇◇
不気味だった。
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明らかに。
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普通の脳無じゃない。
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知性。
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判断能力。
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戦闘経験。
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全部ある。
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そして。
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強い。
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異常なほど。
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「ハイエンド……?」
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思わず漏れる。
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だが。
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あり得ない。
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まだ完成している時期じゃない。
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原作知識と現実が食い違っていた。
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最悪だった。
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脳無が踏み込む。
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地面が砕ける。
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速い。
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風見が叫んだ。
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「七瀬!!」
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同時に。
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七武装輪転。
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黄金のルーレットが空中へ現れる。
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カラカラカラカラ。
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高速回転。
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『1』
『2』
『3』
『4』
『5』
『6』
『7』
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頼む。
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2はやめろ。
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5もだ。
◇◇◇
まだ出したくない。
◇◇◇
絶対に。
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『2』
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通過。
◇◇◇
安堵。
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『5』
◇◇◇
通過。
◇◇◇
さらに安堵。
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ルーレットが減速する。
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『6』
◇◇◇
通過。
◇◇◇
『7』
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停止。
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仮面舞踏会。
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黄金のルーレットが砕け散る。
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無数の光の破片。
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その全てが顔へ集まった。
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形成。
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白い仮面。
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見たことのない仮面。
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脳内へ声が響く。
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『生命進化』
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『究極生命体カーズ』
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『能力劣化再現開始』
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「カーズ?」
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知らない名前だった。
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だが。
◇◇◇
仮面は続ける。
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『全生命を内包した究極生命体』
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『進化を開始します』
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瞬間。
◇◇◇
身体が変わった。
◇◇◇
筋肉。
◇◇◇
神経。
◇◇◇
骨格。
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全てが再構築される。
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脳無が突撃した。
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拳。
◇◇◇
だが。
◇◇◇
遅い。
◇◇◇
見える。
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完全に。
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回避。
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紙一重。
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脳無が目を見開いた。
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「なるほど」
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自然と声が漏れる。
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「興味深い」
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「人間がここまで生命を弄れるとはな」
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風見が固まる。
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「お前マジで口調変わってるぞ」
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無視した。
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脳無が咆哮する。
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腕が増殖する。
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六本。
◇◇◇
八本。
◇◇◇
十本。
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異形。
◇◇◇
怪物。
◇◇◇
だが。
◇◇◇
「不完全だ」
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「生命とはもっと自由であるべきだ」
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背中が裂けた。
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黒い翼。
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展開。
◇◇◇
風見が叫ぶ。
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「翼まで生やしたぁ!?」
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「必要だったのでな」
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「それだけの話だ」
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羽ばたく。
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飛翔。
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脳無を上回る速度で空へ。
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空中戦。
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激突。
◇◇◇
拳。
◇◇◇
蹴り。
◇◇◇
再生。
◇◇◇
超再生。
◇◇◇
何度破壊しても戻る。
◇◇◇
だが。
◇◇◇
こちらも進化する。
◇◇◇
適応。
◇◇◇
学習。
◇◇◇
進化。
◇◇◇
差は縮まる。
◇◇◇
いや。
◇◇◇
逆転し始める。
◇◇◇
「良い」
◇◇◇
「実に良い」
◇◇◇
「もっと見せろ」
◇◇◇
「生命の可能性を」
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脳無が怒る。
◇◇◇
全力で突撃する。
◇◇◇
その瞬間。
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右腕が変わった。
◇◇◇
骨。
◇◇◇
筋肉。
◇◇◇
神経。
◇◇◇
全てが収束。
◇◇◇
そして。
◇◇◇
光。
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白銀の光。
◇◇◇
さらに。
◇◇◇
虹色。
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無数の粒子が右腕へ集まる。
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超高速回転。
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圧縮。
◇◇◇
収束。
◇◇◇
形成。
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巨大な光刃。
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太陽光そのものを刃にしたかのような輝き。
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風見が絶句する。
◇◇◇
「なんだよそれ……」
◇◇◇
仮面が答える。
◇◇◇
『光のモード』
◇◇◇
『輝彩滑刀』
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脳無が後退した。
◇◇◇
本能が理解したのだろう。
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危険だと。
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「判断は正しい」
◇◇◇
「だが」
◇◇◇
「遅い」
◇◇◇
光刃を構える。
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脳無が最後の突撃を放つ。
◇◇◇
全身全霊。
◇◇◇
全力。
◇◇◇
俺は静かに言った。
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「安心しろ」
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「貴様の生命は無駄ではない」
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「よく観察させてもらった」
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脳無が迫る。
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あと数メートル。
◇◇◇
あと一歩。
◇◇◇
そして。
◇◇◇
「ならば」
◇◇◇
「生命の高みを見せてやろう」
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光が弾けた。
◇◇◇
「光のモード」
◇◇◇
「輝彩滑刀」
◇◇◇
一閃。
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虹色の斬光が世界を切り裂く。
◇◇◇
静寂。
◇◇◇
脳無が止まった。
◇◇◇
再生しない。
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傷口が閉じない。
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数秒後。
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身体が崩壊する。
◇◇◇
消滅。
◇◇◇
完全な死。
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決着だった。
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光刃が砕ける。
◇◇◇
翼が消える。
◇◇◇
仮面が崩壊する。
◇◇◇
生命進化終了。
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俺は地面へ座り込んだ。
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「疲れた……」
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一気に現実へ戻る。
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風見が近寄ってくる。
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数秒。
◇◇◇
俺を見る。
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そして真顔で言った。
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「七瀬」
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「何ですか」
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「今の絶対誰にも言うな」
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「賛成です」
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即答だった。
◇◇◇
だが。
◇◇◇
二人はまだ知らない。
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この戦いを遠くから観察していた存在がいることを。
◇◇◇
そしてその存在が。
◇◇◇
七瀬刃人という人間に。
◇◇◇
強い興味を抱いたことを。
**第29話 完**