七武装輪転の転生者は平穏に暮らしたい   作:ポーンδ

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理解できない

第30話 『理解できない』

緑谷出久視点

 

保須市事件が終わった。

 

◇◇◇

 

ステインは逮捕された。

 

◇◇◇

 

飯田君は助かった。

 

◇◇◇

 

轟君も無事だった。

 

◇◇◇

 

僕も生きている。

 

◇◇◇

 

本来なら。

 

◇◇◇

 

それで良かった。

 

◇◇◇

 

全部終わったはずだった。

 

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雄英高校

 

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職場体験終了後。

 

◇◇◇

 

教室は騒がしかった。

 

◇◇◇

 

みんなそれぞれの体験を話している。

 

◇◇◇

 

上鳴君。

 

◇◇◇

 

切島君。

 

◇◇◇

 

芦戸さん。

 

◇◇◇

 

八百万さん。

 

◇◇◇

 

楽しそうだった。

 

◇◇◇

 

だけど。

 

◇◇◇

 

僕の意識は別の人物へ向いていた。

 

◇◇◇

 

七瀬刃人。

 

◇◇◇

 

体育祭優勝者。

 

◇◇◇

 

普通科から編入。

 

◇◇◇

 

七武装輪転。

 

◇◇◇

 

何もかもが分からない人。

 

◇◇◇

 

正直。

 

◇◇◇

 

苦手だった。

 

◇◇◇

 

いや。

 

◇◇◇

 

少し嫌いだった。

 

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放課後

 

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分析ノートを開く。

 

◇◇◇

 

七瀬刃人。

 

◇◇◇

 

何ページも使っている。

 

◇◇◇

 

それでも。

 

◇◇◇

 

分からない。

 

◇◇◇

 

第二武装。

 

◇◇◇

 

そして第五武装。

 

◇◇◇

 

第五武装については説明されていた。

 

◇◇◇

 

武器を想像して放出する能力。

 

◇◇◇

 

それだけ。

 

◇◇◇

 

だけど。

 

◇◇◇

 

正直。

 

◇◇◇

 

それも十分おかしい。

 

◇◇◇

 

想像した武器を生み出す。

 

◇◇◇

 

簡単に言えばそうだ。

 

◇◇◇

 

でも。

 

◇◇◇

 

どこまで出来るんだ。

 

◇◇◇

 

剣。

 

◇◇◇

 

槍。

 

◇◇◇

 

斧。

 

◇◇◇

 

弓。

 

◇◇◇

 

銃。

 

◇◇◇

 

どこまで可能なんだ。

 

◇◇◇

 

数の制限は。

 

◇◇◇

 

射程は。

 

◇◇◇

 

威力は。

 

◇◇◇

 

何も分からない。

 

◇◇◇

 

それが怖かった。

 

◇◇◇

 

強過ぎる。

 

◇◇◇

 

少なくとも。

 

◇◇◇

 

僕はそう思う。

 

◇◇◇

 

そして。

 

◇◇◇

 

それですら第五武装だ。

 

◇◇◇

 

第五。

 

◇◇◇

 

つまり。

 

◇◇◇

 

まだ上がある。

 

◇◇◇

 

第七武装。

 

◇◇◇

 

仮面舞踏会。

 

◇◇◇

 

あれも全容は分からない。

 

◇◇◇

 

なのに。

 

◇◇◇

 

問題はさらに別にあった。

 

◇◇◇

 

第二武装だ。

 

◇◇◇

 

あれだけが違う。

 

◇◇◇

 

他の武装を説明する時。

 

◇◇◇

 

七瀬は普通だった。

 

◇◇◇

 

面倒そうではあったけど。

 

◇◇◇

 

普通だった。

 

◇◇◇

 

だけど。

 

◇◇◇

 

第二武装だけは違った。

 

◇◇◇

 

『ただの銃』

 

◇◇◇

 

そう説明していた。

 

◇◇◇

 

でも。

 

◇◇◇

 

信じられない。

 

◇◇◇

 

第一武装。

 

◇◇◇

 

第三武装。

 

◇◇◇

 

第五武装。

 

◇◇◇

 

第七武装。

 

◇◇◇

 

全部異常だ。

 

◇◇◇

 

その中に。

 

◇◇◇

 

一つだけ普通の銃。

 

◇◇◇

 

そんな訳がない。

 

◇◇◇

 

何かを隠している。

 

◇◇◇

 

そんな気しかしなかった。

 

◇◇◇

 

ノートを閉じる。

 

◇◇◇

 

ため息が漏れた。

 

◇◇◇

 

七瀬は強い。

 

◇◇◇

 

それは認める。

 

◇◇◇

 

体育祭で証明した。

 

◇◇◇

 

僕より。

 

◇◇◇

 

爆豪君より。

 

◇◇◇

 

強かった。

 

◇◇◇

 

それなのに。

 

◇◇◇

 

本人はヒーローを目指していない。

 

◇◇◇

 

面倒だから。

 

◇◇◇

 

平穏がいいから。

 

◇◇◇

 

危険は嫌だから。

 

◇◇◇

 

そんな理由で。

 

◇◇◇

 

ヒーローという夢に興味がない。

 

◇◇◇

 

理解できなかった。

 

◇◇◇

 

僕は違う。

 

◇◇◇

 

ヒーローになるために生きてきた。

 

◇◇◇

 

ずっと。

 

◇◇◇

 

ずっとだ。

 

◇◇◇

 

オールマイトに憧れた。

 

◇◇◇

 

個性がなくても諦めなかった。

 

◇◇◇

 

そして。

 

◇◇◇

 

ワン・フォー・オールを託された。

 

◇◇◇

 

最高の個性。

 

◇◇◇

 

オールマイトの力。

 

◇◇◇

 

歴代継承者の想い。

 

◇◇◇

 

それなのに。

 

◇◇◇

 

僕はまだ未熟だ。

 

◇◇◇

 

全力を出せば身体が壊れる。

 

◇◇◇

 

満足に使いこなせない。

 

◇◇◇

 

進歩も遅い。

 

◇◇◇

 

少しずつ前へ進んでいる。

 

◇◇◇

 

それでも遅い。

 

◇◇◇

 

飯田君にも助けられた。

 

◇◇◇

 

轟君にも助けられた。

 

◇◇◇

 

オールマイトにも支えられている。

 

◇◇◇

 

なのに。

 

◇◇◇

 

七瀬は違う。

 

◇◇◇

 

ヒーローになりたい訳でもない。

 

◇◇◇

 

欲しがってもいない。

 

◇◇◇

 

そのくせ。

 

◇◇◇

 

僕がずっと欲しかった強さを持っている。

 

◇◇◇

 

だから。

 

◇◇◇

 

少し嫌いだった。

 

━━━━━━━━━━━━

 

屋上

 

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人影が見えた。

 

◇◇◇

 

七瀬だった。

 

◇◇◇

 

そして。

 

◇◇◇

 

アルトリア先輩。

 

◇◇◇

 

二人で話している。

 

◇◇◇

 

珍しい光景だった。

 

◇◇◇

 

七瀬がまともに誰かと話している。

 

◇◇◇

 

「職場体験はどうだった」

 

アルトリア先輩が聞く。

 

◇◇◇

 

「面倒だった」

 

◇◇◇

 

即答だった。

 

◇◇◇

 

アルトリア先輩が呆れる。

 

◇◇◇

 

「そうか」

 

◇◇◇

 

「そうだ」

 

◇◇◇

 

会話終了。

 

◇◇◇

 

早い。

 

◇◇◇

 

非常に。

 

◇◇◇

 

だが。

 

◇◇◇

 

アルトリア先輩は少し考えた。

 

◇◇◇

 

そして。

 

◇◇◇

 

「そういえば」

 

◇◇◇

 

「今度の休日は空いているか」

 

◇◇◇

 

七瀬が首を傾げる。

 

◇◇◇

 

「なんで」

 

◇◇◇

 

「買い物だ」

 

◇◇◇

 

「一人で行け」

 

◇◇◇

 

即答だった。

 

◇◇◇

 

アルトリア先輩が眉をひそめる。

 

◇◇◇

 

「荷物持ちが欲しい」

 

◇◇◇

 

「他を当たれ」

 

◇◇◇

 

「私と出掛けるのは嫌か」

 

◇◇◇

 

「そういう話じゃない」

 

◇◇◇

 

七瀬がため息を吐く。

 

◇◇◇

 

「面倒なだけだ」

 

◇◇◇

 

アルトリア先輩は少し考えた。

 

◇◇◇

 

そして。

 

◇◇◇

 

「なら問題ないな」

 

◇◇◇

 

「何がだ」

 

◇◇◇

 

「予定は空けておけ」

 

◇◇◇

 

七瀬が露骨に嫌そうな顔をした。

 

◇◇◇

 

だが。

 

◇◇◇

 

断らない。

 

◇◇◇

 

少し意外だった。

 

◇◇◇

 

アルトリア先輩が僅かに笑う。

 

◇◇◇

 

それを見て。

 

◇◇◇

 

もっと意外だった。

 

◇◇◇

 

二人は。

 

◇◇◇

 

思っていたより近いらしい。

 

◇◇◇

 

「珍しいですね」

 

◇◇◇

 

思わず声を掛けた。

 

◇◇◇

 

アルトリア先輩が振り返る。

 

◇◇◇

 

「緑谷か」

 

◇◇◇

 

七瀬は露骨に面倒そうな顔をした。

 

◇◇◇

 

それも気に入らなかった。

 

◇◇◇

 

「仲良いんですね」

 

◇◇◇

 

アルトリア先輩は少し考える。

 

◇◇◇

 

「腐れ縁だな」

 

◇◇◇

 

七瀬も否定しない。

 

◇◇◇

 

信頼している。

 

◇◇◇

 

それが分かる。

 

◇◇◇

 

少し意外だった。

 

◇◇◇

 

七瀬は誰も信用していないと思っていたから。

 

◇◇◇

 

「何か用か」

 

◇◇◇

 

七瀬が聞く。

 

◇◇◇

 

相変わらず素っ気ない。

 

◇◇◇

 

「別に」

 

◇◇◇

 

そう答える。

 

◇◇◇

 

本当は聞きたいことが沢山あった。

 

◇◇◇

 

第二武装。

 

◇◇◇

 

第五武装。

 

◇◇◇

 

保須市で何をしていたのか。

 

◇◇◇

 

全部。

 

◇◇◇

 

だけど。

 

◇◇◇

 

聞いても答えないだろう。

 

◇◇◇

 

そういう人だ。

 

◇◇◇

 

風が吹く。

 

◇◇◇

 

七瀬は空を見上げた。

 

◇◇◇

 

平和そうだった。

 

◇◇◇

 

少しだけ。

 

◇◇◇

 

羨ましかった。

 

◇◇◇

 

そして。

 

◇◇◇

 

やっぱり気に入らなかった。

 

◇◇◇

 

僕が必死に追い掛けている夢を。

 

◇◇◇

 

あいつは欲しがっていない。

 

◇◇◇

 

そのくせ。

 

◇◇◇

 

僕より強い。

 

◇◇◇

 

ずっと。

 

◇◇◇

 

ずっと強い。

 

◇◇◇

 

七瀬刃人。

 

◇◇◇

 

僕はまだ。

 

◇◇◇

 

あいつを理解できそうになかった。

 

◇◇◇

 

そしてきっと。

 

◇◇◇

 

好きにもなれそうになかった。

 

職場体験編 完

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