七武装輪転の転生者は平穏に暮らしたい   作:ポーンδ

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見えない繋がり

第9話 見えない繋がり

 

七体。

 

異形の脳無。

 

普通の脳無じゃない。

 

それだけは確信していた。

 

《第六印》

 

聴覚喪失。

 

《第七印》

 

視覚喪失。

 

そこまで入った。

 

確実に入った。

 

それなのに。

 

止まらない。

 

「何なんだよお前ら……」

 

思わず漏れた。

 

普通なら終わる。

 

戦闘不能になる。

 

少なくとも。

 

視界も音も失った相手がまともに戦えるはずがない。

 

だが。

 

七体は前進を続ける。

 

迷いなく。

 

真っ直ぐ。

 

こちらへ。

 

第六武装が解除される。

 

黒鎌が消えた。

 

「チッ」

 

次の瞬間。

 

七体が同時に飛び出す。

 

速い。

 

第七武装。

 

仮面舞踏会。

 

現れたのは。

 

《賢者の仮面》

 

白い仮面を装着する。

 

瞬間。

 

思考が加速した。

 

情報。

 

位置。

 

距離。

 

動き。

 

全部が整理される。

 

見える。

 

敵の軌道。

 

攻撃開始位置。

 

踏み込みの癖。

 

全て。

 

「尾白!」

 

「おう!」

 

「右!」

 

尾白が反射的に飛ぶ。

 

直後。

 

さっきまでいた場所を軍隊型脳無の拳が抉った。

 

「うおっ!?」

 

紙一重。

 

賢者の分析は正しい。

 

だが。

 

足りない。

 

数が多い。

 

連携が異常過ぎる。

 

七体全員で囲んでくる。

 

一体の隙を突いても。

 

別の個体が即座に埋める。

 

人間じゃない。

 

純粋に気持ち悪かった。

 

仮面が変化する。

 

《微笑の仮面》

 

投射呪法。

 

一秒を十二分割。

 

十二コマ先まで行動決定。

 

回避。

 

防御。

 

移動。

 

反撃。

 

全てを事前に設定する。

 

身体が勝手に動き始めた。

 

速い。

 

森の中を駆け抜ける。

 

軍隊型脳無の包囲を突破する。

 

尾白が目を見開いた。

 

「速っ!?」

 

だが。

 

突破出来ない。

 

あり得なかった。

 

速度では勝っている。

 

反応速度も上回っている。

 

それなのに。

 

包囲が崩れない。

 

まるで。

 

全員が同じ未来を見ているようだった。

 

「おかしいだろ……」

 

自然と呟く。

 

さらに仮面が変わる。

 

《哀劇の仮面》

 

大量の水が出現する。

 

森へ広がる。

 

地面。

 

木々。

 

軍隊型脳無。

 

全てを飲み込む。

 

位置は把握出来る。

 

そのはずだった。

 

だが。

 

違和感。

 

何かがおかしい。

 

一体を見る。

 

別の個体が動く。

 

さらに別の個体が反応する。

 

繋がっている。

 

まるで。

 

一つの脳で動いているように。

 

仮面が再び変わる。

 

《賢者の仮面》

 

分析。

 

比較。

 

観察。

 

思考。

 

演算。

 

そして。

 

答えへ辿り着く。

 

「そういうことか」

 

尾白が振り返る。

 

「何か分かったのか!?」

 

「分かった」

 

七体を見る。

 

あれは七体じゃない。

 

正しくは。

 

一体だ。

 

「情報を共有してる」

 

沈黙。

 

「共有?」

 

「視覚」

 

「聴覚」

 

「感覚」

 

「全部だ」

 

尾白の顔色が変わった。

 

「だから止まらないのか」

 

「そうだ」

 

一体が視力を失う。

 

別の個体が見ている。

 

一体が聴力を失う。

 

別の個体が聞いている。

 

だから問題にならない。

 

だから第六印も。

 

第七印も。

 

突破してくる。

 

「そんなのアリかよ……」

 

「俺も今同じこと思った」

 

思わず額を押さえる。

 

「何だよそれ」

 

「NARUTOのペインかよ……」

 

「ペイン?」

 

「いや」

 

「こっちの話だ」

 

説明も面倒だった。

 

だが。

 

本当にそんな感じだった。

 

七体。

 

別々の身体。

 

共有される情報。

 

共有される感覚。

 

共有される経験。

 

全員で一体。

 

最悪だった。

 

そして。

 

もう一つ気付く。

 

「……いや」

 

「違うな」

 

尾白が眉をひそめる。

 

「何だ?」

 

「まだ未完成だ」

 

沈黙。

 

「未完成?」

 

「ああ」

 

七体を見る。

 

速い。

 

強い。

 

厄介だ。

 

だが。

 

それだけ。

 

「共有能力しか見えていない」

 

尾白が固まった。

 

「は?」

 

「もし完成してるなら」

 

「もっと個性を積んでる」

 

普通の脳無でも複数個性持ちだ。

 

なのに。

 

こいつらは共有しか使わない。

 

共有しか見せていない。

 

それが逆に不気味だった。

 

「つまり?」

 

尾白が聞く。

 

「試作品だ」

 

思わず嫌な想像をしてしまう。

 

これで試作品。

 

これで未完成。

 

なら。

 

完成したらどうなる。

 

考えたくもない。

 

その瞬間。

 

七体が同時に動いた。

 

今までで最速。

 

今までで最も危険。

 

賢者でも。

 

微笑でも。

 

哀劇でも。

 

突破出来ない。

 

勝ち筋が見えない。

 

初めてだった。

 

そして。

 

仮面舞踏会が揺らぐ。

 

現れかける最後の仮面。

 

何の表情もない。

 

白い仮面。

 

《無貌》

 

七瀬刃人は思わず顔をしかめた。

 

「最悪だ……」

 

それだけは。

 

本当に使いたくなかった。

 

だが。

 

残された手札は。

 

もうそれしか無かった。

 

続く。

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